◆平成25年第四定例会における山崎たい子区議の代表質問と区の答弁
一、民主主義・くらしを守る区政を求めて、
(一)「特定秘密保護法案」は廃案を
【区の答弁】
(二)原発ゼロ、放射能汚染の解決を
【区の答弁】
(三)人間らしく働ける雇用・賃金の改善を
(1)労働者派遣法の改悪等は行わないよう国に求めて
(2)区立保育園等、指定管理者評価に賃金・労働条件の把握を加えるよう求めます
(3)公契約条例について、業界や労働者団体等との学習、協議の場を持つよう求めます
(4)若者就職支援事業を来年度も引き続き、実施するよう
(5)北区でも5年雇い止めの改善を行うよう求めます
【区の答弁】
(四)来年4月の消費税増税は中止を
【区の答弁】
二、医療・介護の負担増・給付削減を許さないために
(一) 70~74歳までの窓口負担引き上げは行わないよう国に求めること
(二)来年度の国保料・後期高齢者医療保険料の値上げを抑えるよう、国・東京都に求めること
(三)介護保険法改悪は行わないよう国に求めること
(四)要支援認定に対する「地域支援事業」について、区の見解を問う
(五)地域包括支援センターを拡充し、要支援者へのサービスを福祉制度として充実すること
【区の答弁】
三、保育園待機児解消と保育の公的保障の拡充を求めて
(一)待機児の解消は、認可保育所整備を基本とする方針を継続すること
(二)認可保育所整備・運営の自治体財政負担の軽減を国・都に求めること
(三)保育士処遇や保育士配置の拡充を
(四)小規模保育所の整備について
【区の答弁】
四、子どもの貧困対策法の具体化について
(一)子どもの貧困実態調査の実施、貧困率削減の数値目標の設定、子どもの貧困削減計画の策定、財政措置等を、大綱に盛り込むよう国に求めること
(二)具体策を子ども貧困対策事業としても位置づけ、具体化・拡充をはかること
(三)北区の「子ども・子育て会議」においても、子どもの貧困解決の視点を加えて議論を深めて
【区の答弁】
五、学びと成長を支える学費と奨学金制度の改善について
(一)高騰した高等教育の学費を引き下げるよう国に求めること
(二)給付型奨学金の創設、貸与型奨学金の無利子化、延滞金、保証人制度の廃止、「所得連動型返済制度」の創設等を国に求めること
(三)北区の奨学金制度についても見直しを行い充実すること
【区の答弁】
質問に先立って、大島の土砂災害とフィリピンの台風被害に心からのお見舞いを申し上げます。
更に、東京都の猪瀬知事が、医療法人「徳州会」グループから5000万円の資金提供を受けていたことが明らかとなりました。しかしながら、その資金は知事として提出が義務づけられている「資産報告書」にも、また、選挙の「収支報告書」にも記載されておりません。同時に都内にも立地し、都の補助金を受けている特定の病院グループから、都知事選に立候補する本人自身が、無利子、無担保という破格の条件で、多額の資金提供を受けたことは重大であり、政治家として許されざることです。
日本共産党は、この問題での知事への説明責任と真相究明を求めるものです。
それでは、日本共産党北区議員団を代表して、質問に入ります。
先の第三定例会終了後、10月中旬から臨時国会が開会され、安倍政権が次々と打ち出す、くらしと民主主義をおびやかす動きに対し、あらゆる分野での国民の運動が拡がっています。
一、大きく一つ目の質問は、民主主義・くらしを守る区政を求めて、4点伺います。
(一)はじめに、「秘密保護法案」について伺います。
本日午前中、衆院特別委員会で法案が強行採決されました。この暴挙に強く抗議します。この法案は、広範囲にわたる国の情報を、政府が「特定秘密」に指定し、それを漏らしたり、取得した公務員やマスコミ、市民を最長10年の厳罰にするという法案です。何が秘密なのか?それ自体が秘密で国民には知らされず、国会や裁判所への提供も厳しく制限されます。まさに、国民の目と耳、口をふさぎ、国民の知る権利、言論・表現の自由を脅かすものです。更に、その背景には、安倍首相が「日米同盟の強化」と説明したとおり、日本を「海外で軍事行動する国」へつくりかえようとする戦略があります。
この法案に対し、日本弁護士連合会をはじめ日本新聞協会、日本ペンクラブ、憲法・メディア法研究者、テレビキャスター等が、次々と反対声明を発表しました。先週の産経新聞世論調査では、今国会にこだわらず慎重に審議すべきが、8割を越え、先日21日には「ストップ秘密保護法案大集会」が日比谷野外音楽堂で開催され、1万人が参加しました。国民の反対世論は大きく盛り上がっています。そこでお尋ねします。(一)民主主義を脅かす「秘密保護法案」は、廃案とするよう国に求めて下さい。区長の答弁を求めます。
【区の答弁】
まず民主主義・暮らしを守る区政などに関するご質問にお答えします。
はじめに、特定秘密保護法にかかわるお尋ねです。
安全保障に関する情報のうち、特に秘匿必要であるものの取扱いなどを規定する特定秘密保護法案につきましては、様々な課題なども含め、国会において充分に審議されるものと認識しております。
その審議の経過について、注視してまいりたいと考えております。
(二)二つ目は、原発・放射能汚染水問題です。
福島原発事故は今もなお、きわめて深刻な状態です。事態は全く収束していません。にもかかわらず安倍首相は「状況はコントロールされている」「健康問題は今でも、将来も問題ない」と発言し、汚染水漏れへの対応に手をこまねく一方で、原発再稼動、輸出には熱心という姿勢に、国民の強い批判と憤りが拡がっています。
先月13日には、NO NUKES DAY、原発ゼロ統一行動に4万人もの人々が、今月2日の「なくせ原発 ふくしま大集会」には、7千人が集い、「原発いらない」「再稼動反対」「国の責任で放射能汚染水問題の解決を」と声をあげました。
今、行うべきは「収束宣言」を撤回し、非常事態であるとの認識の下、放射能で海を汚さないことを基本に、国が責任を持って汚染水問題等の解決に全力をつくすことです。放出されている放射性物質は、セシウムやストロンチウムも検出され、東京湾の水質汚染の危険も依然として否定できない実態にあります。そこで、2点伺います。(1)新年度以降も、保育園・幼稚園・学校における給食の放射線量の測定や区内の空間放射線量の測定を継続するよう求めます。
(2)現在、原発は一基も稼動していません。しかし、経済もくらしも影響はありません。今こそ北区として「原発ゼロ」を宣言し、環境基本計画は自然エネルギー転換への具体策を、大きく打ち出すよう区長の答弁を求めます。
【区の答弁】
(1)つぎに、原発ゼロ、放射能汚染の解決をとのことについてです。
これまで、ご報告してきたとおり、放射線の影響が大きい子どもの安全・安心を第一に、平成24年度は、空間放射線量が区の目安値、地上5センチで毎時0.25マイクロシーベルト以上が測定された三地点について、洗浄などの対策を施し、測定された区内1739地点すべてで、目安値を下回ったことを確認致しました。 現在、平成25年度の調査を行っているところです。
また、今年すでに実施した保育園や学校など、給食に含まれる放射性物質の検査では、すべて検出下限値未満であることを確認しました。
今年も、今年度測定結果を踏まえ、子どもの安全・安心を第一に考えて参ります。
(2)環境基本計画の改定については、国のエネルギー施策の動向などを踏まえ、現在進めている環境審議会の低炭素・循環、自然共生、くらし・環境経営の三つの部会で十分審議してまいります。
(三)三つ目は、人間らしく働ける雇用・賃金の改善を求めて、5点伺います。
安倍政権は「世界で一番企業が活動しやすい国へ」をスローガンに、来年の通常国会で労働者派遣法の改悪法案を提出し、派遣労働の無制限の拡大をすすめようとしています。その上、解雇の自由化、サービス残業の合法化まで検討しており、こうした「雇用改革」では、賃金減少と不安定雇用の更なる拡大を招き、いっそうの貧困が拡がることは明らかです。そこでお尋ね致します。
(1)労働者派遣法の改悪等は行わないよう国に求めて下さい。
次に北区にかかわる雇用改善について伺います。
1点目は、指定管理者制度についてです。
この間、区の指定管理保育園における保育士等の処遇問題が明らかとなり、会派では賃金水準等の労働条件、定着率や保育士集団のあり方等が、保育の安定や質の向上にとって、非常に重要な条件であることを指摘してきました。区立保育園の運営を委託する際、適正な指定管理料が支払われることは当然ですが、その指定管理料が保育士等の待遇に、十分、反映されているかどうか、保育の質と区立保育園の運営に責任を持つ北区として、把握すべきと考えます。そこで、お尋ねします。 (2)区立保育園等、指定管理者評価に賃金・労働条件の把握を加えるよう求めます。
2点目は、公契約条例についてです。
ご承知のとおり公契約条例は、区の公共事業の請負工事等において、良質な区民サービスの確保や請負で働く労働者の適正な賃金の確保等をねらいとしています。
23区でも渋谷区に続き、先月、お隣の足立区でも制定となりました。
この条例を制定するにあたり課題になるのは、自治体にとっても、事業者側にとっても、労働報酬や入札改善における課題の共有化や、実務を担うことのできる体制づくりではないでしょうか。そこで、お尋ねします。
(3)公契約条例について、業界や労働者団体等との学習、協議の場を持つよう求めます。
3点目は、正規雇用につなげる若者就職支援事業についてです。
この事業は、区内業者の協力も得て、若者を正規就労へとつなげる支援事業であり、平成22年度から今年で4年目となるものです。昨年度までの3年間の実績では、132名の支援、100名の若者が正規就労を果たしました。国の緊急雇用補助金の活用、人材派遣会社の仲介を条件とする等の課題はありますが、何よりも区民から大変、喜ばれている事業です。そこで、お尋ねします。
(4)来年度も引き続き、実施するよう区長の積極的な答弁を求めます。
4点目に、区の非常勤職員の待遇改善について伺います。
現在、北区役所に働く非常勤職員は、そのほとんどが保育園、児童館、子ども家庭支援センター、学校等に働く専門職です。こうした非常勤職員の安定雇用は、区のサービス向上にもつながることです。北区が賃金等の条件を改善していることは多としますが、他区に比べても遅れているのは、継続して働けるのが5年までと、期限を設けて雇い止めを実施している点です。23区ではすでに15区で、実質、雇い止めがなくなっています。そこで、(5)北区でも5年雇い止めの改善を行うよう求めます。
以上五点、雇用の改善について、区長の答弁を求めます。
【区の答弁】
(1)次に、人間らしく働ける雇用・賃金の改善について、順次、お答えいたします。
まず、労働者派遣法につきましては、労働者派遣制度のあり方等について、厚生労働大臣の諮問機関である、労働者、使用者、公益を代表する委員による労働政策審議会で審議されているところです。
区といたしましては、今後の国の動向を見守ってまいりたいと存じます。
(2)次に、区立保育園など、指定管理者評価に労働条件の把握を加えることについてお答えいたします。
指定管理者の候補を選定する際には、外部有識者を含めた選定委員会において書類審査、プレゼンテーション審査、現地視察などを行い、応募事業者の労働法令も含めたコンプライアンス対応について確認しております。
審査では、事業計画などとともに職員配置や給与などの労働条件も確認しており、総合的な判断のもと、適正な指定管理候補者を選定しているものと認識しております。
また、指定管理者として指定した後についても定期ないし随時のモニタリングにおいて外部有識者にも加わっていただき指定管理者の労働環境や労働関連法令などに確認を行っております。
(3)
次に、公契約条例にかんする学習・協議の場を持て、とのお尋ねです。
公契約条例については、従来からご答弁させていただいているとおり、現時点では区として制定する予定はありません。
お尋ねの学習・協議の場についても、今のところ設ける予定はありませんが、条例制定過程を含め、他自治体の事例を聴取するなど、調査・研究は引き続き行ってまいります。
(4)次に、正規雇用につなげる若年(じゃくねん)未就職支援事業について、お答えいたします。
国の完全失業率を年代別に見ますと、若い世代の方々の失業率が高くなっています。
このため区では、若い方を正規雇用につなげる若年(じゃくねん)未就職者就労体験事業をはじめ、就職支援セミナーや若者就職面接会、就職に役立つ資格取得講座などを実施してまいりました。
若者の就職支援につきましては、新規学卒者の就職内定状況や国の緊急雇用補助金の動向等を踏まえながら、適切に対応してまいります。
(5)次に、区の非常勤職員の待遇改善についてですが、非常勤職員は、任期を限って任用されるものであり、職の性質に鑑みれば、原則1年以内の任期を定めて、雇用されるものと理解しています。
また、同一の者が長期にわたって、同一の職務内容に職とみなされる非常勤の職に、繰り返し任用されることは、長期的、計画的な人材育成・人材配置への影響や、非常勤職員としての身分及び処遇の固定化などの問題を生じさせるおそれがあることから、そのような点に留意するよう、総務省からの通知が出されています。
従って、区の要綱において、任期を一年とし、任用回数に制限を設けいていることは、地方公務員法や総務省通知の趣旨に照らしても、妥当な運用であると考えています。
なお、非常勤職員の報酬等の雇用条件については、社会経済情勢や他団体の動向などを見極めながら、今後とも適時・適切な改善に努めてまいります
(四)くらしを守る質問の四つめは、消費税増税についてです。
国民・区民が先の参議院選挙で願ったのは、景気を良くしてほしいとの思いです。その願いに正面から応える一番の手立ては、来年4月の消費税増税を中止することです。区民生活において、所得が増える状況がほとんどない中、負担増だけがのしかかるとなれば、明らかに、くらしにも景気にも逆行です。
また、消費税増税は社会保障のためと言われましたが、今後、年金・医療・介護・保育など、社会保障の改悪メニューが目白押しです。その上、国は、地方自治体の地方消費税による歳入増を見込んで、今後いっそう、地方への財政削減をすすめてくるとも言われています。こうした点を総体として考えるならば、地方消費税が入るから良しとできるものではなく、社会保障の充実と言うのは全くの欺瞞です。そこでお尋ね致します。今こそ国に対し、来年4月からの増税は中止するよう求めてください。
【区の答弁】
次に、消費税に関する質問についてお答えします。
消費税の引き上げは、昨年8月、国会において賛成多数で可決・成立した「社会保障と税の一体改革関連法」に基づき、経済状況などを見極め決定されました。
なお、消費税収入は、年金や医療、介護といった社会保障給付、並びに少子化対策に要する経費に充てることとされており、今後社会保障制度の充実・安定化が図られていくものと期待しています。
二、大きく二つ目の質問は、医療・介護など、社会保障解体を許さない課題です。
「社会保障制度改革国民会議」の報告書が8月に提出され、その改革のスケジュールを定めた「プログラム法案」が、先の衆院厚生労働委員会で採決が強行され、怒りが拡がっています。報告書とプログラム法案の内容は、医療、介護、年金など各分野に削減の大ナタをふるい、制度の解体をすすめるオンパレードです。
例えば医療分野では、70歳~74歳までの窓口負担の2割への引き上げを来年度から実施、国民健康保険については2015年度に都道府県に移管、更に、新たな病床削減計画の策定や入院給食費、高額療養費の負担増等を行うとしています。
とりわけ70~74歳の窓口負担引き上げについては、開業医等でつくる全国保険医団体連合会が歯科会員に調査を実施し、約8割の歯科医師が「患者の減少、治療中断などの影響が出る」と受けとめていることがわかりました。これは、歯科診療だけの問題でないことは明らかです。そこで、お尋ねします。
(一)70~74歳までの窓口負担引き上げは行わないよう、国に求めて下さい。
次に、国保と後期高齢者医療の保険料について伺います。
国は来年度、消費税増税による対応として約500億円を投入し、均等割の5割、2割減額の対象を拡げる方針を示しています。一方で、国保料では医療費の伸び等もあり、全体の保険料は更に引き上がる見込みです。 後期高齢者医療保険料も東京都広域連合の試算で、年1万円もの大幅値上げとなっています。そこでお尋ねします。(二)来年度の保険料値上げを押さえる手立てを講じるよう、国・東京都に求めてください。
更に介護分野では、来年の通常国会に介護保険法を改定し、大幅な制度改変を行うことが示されました。
その内容は、要支援1、2の方のサービスを保険給付から外し、ボランティアを含む自治体の「地域支援事業」に移行する。その要支援者の訪問介護で掃除や洗濯などの生活支援は廃止し、ボランティアやNPO法人に委ねる内容です。
通所介護(デイサービス)は「機能訓練」に特化し、認知症予防の交流は高齢者自身による「サロン」等に解消。家族の負担を軽減する「預かり」機能なども自治体の裁量に委ねます。
更に、特別養護老人ホームの入所は要介護3以上とする、一定以上の収入がある人の利用料負担は2割へ引き上げる等、更なる負担増・給付削減となっています。
そこで、お尋ねします。
(三)介護保険法改悪は行わないよう国に求めて下さい。
(四)また、「地域支援事業」についていえば、北区の場合、介護認定者、約15000人余のうち、要支援者は5400人余と約35%を占める方が対象となります。この割合は、23区の中でも3番目に高いものです。こうした方々へのサービスの提供体制、財政面での保障は十分なのか?結果として、介護サービスが縮小、中止となれば、介護の重度化を招きかねないと考えますが、北区の見解を伺います。
(五)また介護について、日本共産党はかねてから保険制度と福祉制度の両輪で充実をはかることを提案してきました。そこで、地域の高齢者福祉の拠点となっている地域包括支援センターを老人福祉法に位置づけ、要支援者へのサービスを福祉制度として充実することこそ必要と考えますが、北区の見解を伺います。
【区の答弁】
(一)医療・介護についての質問にお答えします。
最初に、70から74歳の方の窓口負担についてです。
70から74歳までの方の医療機関の窓口における自己負担割合について、国は平成20年度から2割とした上で、これまで特例として1割に据え置いてきました。
このたび国において、持続可能な医療保険制度を実現するため、保険給付の適正化策として、来年4月から本来の2割に戻す法案をまとめました。
国会における今後の審議の動向を注視しています。
(二)次に、来年度の国保と後期高齢者医療の保険料についてお答えします。
26年度の国民健康保険料につきましては、総医療費の増加、特に高齢者の医療費の増加が見込まれ、後期高齢者を支える支援金分の保険料への影響が避けられない状況です。
被保険者の負担軽減については今年度も全国市長会を通じて国に求めています。
後期高齢者の保険料につきましては、医療費が増加する中で、財政安定化基金の活用などにより、保険料の負担軽減に努めています。
26年度及び27年度の保険料算定についても、同様の対策を検討するほか、全国市長会及び、全国後期高齢者医療 広域連合協議会を通じて負担軽減を国に対して求めています。
(三)(四)次に保険制度改正にあたり、国に求めること、および、地域支援事業についての区の見解について、お答えします。
「社会保障制度改革国民会議」の報告書では、要支援者に対する介護予防給付の地域支援事業への移行や、通所介護の重度化予防に効果のある給付への重点化、特別養護老人ホームの中重度者への重点化や、一定以上所得のある利用者負担の引き上げ等が示されています。
介護予防給付の地域支援事業への移行については、社会保障審議会の介護保険部会において、予防給付における訪問介護と通所介護は従来の介護事業所によるサービスに加え、NPO,ボランティア、民間事業者等の多様な主体によるサービス提供が可能となるよう検討されていますが具体的な内容や財源など、詳細は明らかになっておりません。
今後、介護保険部会の論議の動向を注視するとともに、特別区介護保険課長会としての現場の実態を踏まえた国への要望を取りまとめさせているところです。
今後とも必要に応じて、要望等を行なってまいります。
(五)次に地域包括支援センターについてのご質問です。
地域包括センター、愛称、高齢者安心センターは、介護保険法で福祉の増進を包括的に支援することを目的として設置され、これまでも介護、福祉、健康、医療の様々な面から地域の高齢者を支援してまいりました。
これからも要支援者への多様なサービス提供に努めるとともに 在宅サービスなど福祉の充実を図ってまいります。
また、区内15か所目となる仮称王子西高齢者あんしんセンターの開設や出張窓口の設置検討など、高齢者あんしんセンターの充実に取り組んでまいります。
大きく三つめの質問は、待機児解消と保育の公的保障の拡充を求めてです。 北区では待機児解消にむけ、この間、認可保育所を中心とした保育所増設をすすめ、来年度に向けても、現在、約400名を超える定員増を計画しています。また、先の幹事長会では、田端1丁目の都営住宅跡の都有地を活用し、認可保育所を整備する方針が示されました。日本共産党は都議会でも、都有地活用を提案してきましたが、北区で実現の運びとなり、今後は、営利企業に頼らない整備の具体化を期待するところです。
さて、今後の保育施策展開で重要なのは、税一体改革関連法として成立した、いわゆる子ども・子育て支援新制度の動向です。新制度では、多様な施設・事業に、規制緩和も含めて多様な基準が認められることで、子どもの保育に格差が生じ、保育環境の悪化が懸念されています。
一方で、保護者や保育関係者の声と運動により、児童福祉法第24条に規定する、区市町村の保育実施責任はのこすことができました。国・自治体の責任で認可保育所を増やすことこそ、安心、安全の保育の願いに応える道と考えます。そこで、 (一)待機児の解消は、認可保育所を基本とする方針を継続するよう求めます。
次に、認可保育所を整備してゆく上での課題について伺います。
東京都社会福祉協議会が、2010年に行った「保育所待機児童対策に対する区市町村アンケート」の中で、課題として最も多いのは「運営費の確保」が約8割、「建設費の確保」「用地の確保」もそれぞれ7割をこえています。現在、建設費の確保は、国の「安心子ども基金」で補助率が3分の2となっていますが、公立保育所は対象とならず、期限も今年度末などの問題があります。
また「子ども・子育て支援新制度」では、保育所整備の補助金が基本的に廃止されるため、財政負担の点からも、整備が困難となる事態が懸念されています。
そこで、(二)認可保育所整備の自治体財政負担を軽減するために、国・東京都に以下2点を求めて下さい。①公立を含む保育所整備や保育所運営費の補助金復活・増額、②用地の確保は公有地の無償貸与、用地取得助成の創設です。
答弁を求めます。
次に待機児解消の緊急対策について伺います。
北区は来年度に向け、小規模保育所などの募集を行い、その制度については、国の子ども・子育て会議で検討中の小規模認可保育所への移行を視野に入れるとしています。その内容は、定員6~19人で、原則0~2才の保育を提供する事業であり、保育所が運営する少人数の分園を想定したA型、「保育ママ」のC型、AとCの中間のB型と3つの類型が示されました。それぞれの保育者の基準は、A型は全員が有資格者ですが、B型は半数が無資格者で良い、C型は研修だけで資格は必要ないとされています。
これに対し、全国保育団体連絡会は「今回の資格要件の緩和は、保育の質の低下につながる問題であり、容認すべきではない」と表明しています。そこで伺います。 (三)小規模保育所の整備の際は、保育の質を確保するため、区として独自に保育士配置基準を定め、規制緩和は行わないよう求めます。お答え下さい。
次に、保育の質に直結する保育士配置や処遇について伺います。
先の決算委員会でも私立保育園園長会からご要望頂いた夕方の保育や食物アレルギー等に対応する支援の充実を要望させて頂きました。区は「今後の制度設計の中で検討してゆく」と答えましたが、言いかえれば「数年は改善しない」と言っているに等しいものではないでしょうか。
会派は第三定例会後も、改めて区立の指定管理園や私立保育園に伺い、保育現場の様子を勉強させて頂きました。夕方の保育では、午後5時前にお迎えに来られる保護者は少なく、0~2才児を含め多くの子ども達が5時を過ぎても保育園で過ごしておりました。更に午後6時15分以降の延長保育で0~2才児を含め20人前後の子ども達を保育している園が28園中、15園と半数以上を占め、捕食といっても立派な夕食を、子ども達は元気に食べている様子を目の当たりにし、保育士配置の増員はまったなしの切実な課題であることを実感しました。そこで、お尋ね致します。 (四)保育士配置の支援を、スピード感を持って検討して頂くよう改めて求めます。
あわせて、来年度以降も保育士等処遇改善補助が継続、充実するよう国に求めて下さい。
【区の答弁】
(一)保育園待機児解消と保育の公的保障の拡充をもとめてのご質問にお答えします。
まず、保育園の待機児童解消の方針についてです。
北区保育計画においてお示ししているとおり、認可保育所を保育サービス提供の基本としながら、認証保育所等の認可外保育所も併せて整備し、待機児童解消に努めてまいります。
(二)(1)(2)次に認可保育所整備・運営の自治体財政負担の軽減を国・都に求めることについてです。
保育所の整備や運営に対する財政負担経験については、引き続き特別区長会を通じて国や東京都に要望してまいります。
また、国有地や都有地の活用についても十分な情報提供と活用にあたっての負担軽減を引き続き求めてまいります。
(三)次に、小規模保育所の整備についてです。
小規模保育所は待機児童の解消を図るため認可保育所や認証保育所を誘致できない地域で、マンション等の空き部屋を活用し設置するもので、大都市の保育需要への起動的な対応を可能にするものと考えております。
国は、子ども・子育てに新制度における地域型保育の対象となる小規模保育について検討を進めており、小規模保育の事業構成は、現行制度からの円滑な事業の移行をはかるために三類型とされる見込みです。
そのうち、中間型であるB型は保育士割合を五割以上としていますが、経過措置的なものであり、保育の質を確保するための研修の実施、保育士資格取得の支援及び、保育士比率の上昇を促していく仕組みが今後検討される予定です。
国の検討経過を踏まえ、今回、区が募集した小規模保育所における保育士の配置基準は、国及び東京都の補助制度を活用するため、東京都の基準である6割以上といたします。
(四)次に、保育士の配置と処遇についてです。
区はこれまでも私立保育園に対し保育士の配置をはじめとする運営費について国及び東京都の制度によるのののほか、区単独でも様々な補助を行なってまいりました。
今後の支援のあり方については、平成27年度に予定されている子ども・子育て新制度の実施に伴い、国及び東京都の補助制度が大きく変わる可能性があるため、その動向を踏まえ適切に対応してまいります。
また、保育士の処遇については、全国市長会を通じて改善に向けた支援の拡充を国に引き続き求めてまいります。
大きく4つめの質問は、子どもの貧困対策法の具体化についてです。 今年の6月に、「子どもの貧困対策法」が議員立法により制定されました。わが国で「貧困」の言葉がつかわれた法律ははじめてのことであり、国が子どもの貧困を認め、その解決のために法制化した意義はとても大きいといえます。
しかしながら法律には、子どもの貧困率の削減目標や具体的取り組み内容までは明記されず、今後、国において大綱を定めることとなりました。そこで、お尋ねします。法律の実効性を確立するために、(一)子どもの貧困実態調査の実施や貧困率削減の数値目標と削減計画の策定、財政措置等を大綱にもり込むよう国に求めて下さい。
次に北区の取り組みについて伺います。
私は昨年の本会議質問でも、子どもの貧困問題について取り上げ、全庁あげての取り組みとすること、具体的には貧困率が突出して高い、ひとり親家庭への支援の拡充、貧困と虐待の関連性からも子ども家庭支援センターの体制強化と要保護児童・家庭への支援の充実、児童養護施設のハード、ソフト両面の拡充、生活保護受給家庭を含めた生活に困難をかかえる家庭の子どもに対する生活と学習、就労や社会参加への支援をNPO法人や社会福祉士会等、区民と協力して実施する等を提案させて頂きました。そこで、2点伺います。
(二)先にのべた具体策を子ども貧困対策事業としても位置づけ、具体化・拡充をはかること。(三)北区の「子ども・子育て会議」においても、子どもの貧困解決の視点を加えて議論を深めていただくよう求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
(一)子どもの貧困対策法の具体化についてのご質問にお答えします。
まず、子どもの貧困実態調査の実施、貧困率削減の数値目標の設定等を大綱に盛り込むよう国に求めることについてです。
今年6月に成立した「子どもの貧困対策の推進に関する法律」では、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、子どもの貧困対策を総合的に策定し、実施することを国の責務とし、対策推進の大綱づくりが政府に義務付けられております。
内閣府に「子どもの貧困対策会議」を設けて検討するとしておりますので、その動きを注視してまいります。
(二)(三)次に、ご提案いただいた具体策を子ども貧困対策事業としても位置づけ、具体化・拡充を図ることについてです。
子どもの健やかな成長のために適切な環境が等しく確保されることが必要であり、北区としても児童手当・児童扶養手当の支給などの経済的支援、保育や子育て支援の実施等の生活支援、ひとり親家庭などの就労支援、就学援助等の教育支援を実施しております。
今後も必要に応じ、各部局と連携をとって対応してまいりたいと考えております。
また、子ども・子育て支援法に基づく基本指計案では、貧困状態にある子どもも特別な支援の必要な子どもとされており、子ども・子育て会議を今後進めていくにあたり、障害のある子どもや社会的擁護が必要な子ども等に加えて、子どもの貧困についても対応の視点としてまいります。
最後の質問は、学びと成長を支える学費と奨学金制度の改善についてです。
ご承知のとおり、現在、大学の学費は、国立で年間80万円、私立では100万円をゆうに超えています。今や日本の大学の学費は、世界で最も高いレベルになってしまいました。一方で、家計の収入は苦しくなり、大学に行くためには奨学金に頼らざるを得ない学生が急増しています。その比率は、この12年間で4分の1から2分の1へ、大学生の2人に1人は奨学金を利用し、約8割は日本学生支援機構の奨学金を借りています。
外国で奨学金といえば「給付型」をさしますが、日本では奨学金のほとんどは「貸与型」であり、支援機構の奨学金は、全て貸与です。その上、2012年には有利子が約7割以上を占めるまでになり、多くの学生は大学卒業時、大きな借金を抱え債務者として社会に出なければならなくなりました。
他方、卒業した後、安定した収入を得て、奨学金を返済できる環境は、大きく崩れています。就職できても非正規等の不安定雇用、低賃金では、当然、返済が滞ることが生じてきます。ところが返済困難時に、救済制度がほとんどありません。更に、延滞金は10%と高く、返しても元金が減りません。
このように、今や支援機構の奨学金は、等しく教育を受ける権利を支えるという本来の姿を失い、完全に教育ローン化しています。奨学金の返済に苦しむ若者は、不十分な教育支援制度の下、自分の力ではどうしようもない理由で返済困難に陥り、無理な返済を迫られています。こうした「奨学金被害」をなくし、学びと成長を支える学費と奨学金制度を実現することは喫緊の課題です。そこでお尋ねします。
(一)高すぎる高等教育の学費を引き下げること。
(二)奨学金制度については、給付型奨学金の創設、貸与型奨学金の無利子化、延滞金や保証人制度の廃止、本格的な「所得連動型返済制度」の創設等、奨学金制度の改善を行うこと。以上2点を国に求めて下さい。
(三)北区の奨学金制度についても、先に述べた内容で見直し、充実を求めます。
教育長のあたたかい答弁を求め、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【区の答弁】
奨学金についての質問にお答えします。
日本学生支援機構の奨学金については、来年度、無利子枠が七万人分拡大され、遅延金率も、10%から5%への引下げが検討されています。
さらに、卒業後に一定収入を得られるまでの間、変換期限を猶予する所得連動型返済制度があります。
国の奨学金制度は相当程度、改善が図られていることから、当面、その推移をみてまいりたいと存じます。
高校授業の無償化について、来年度より、所得制限が設けられますが、78%の高校生は、引き続き、無償化の対象となります。
また所得制限により生まれる財源で、年収250万円までの世帯に、新たに給付型奨学金が支給されます。
特に、私立高校生対象の就学支援金は、年収250万円までの世帯で、29万7千円と6万円ほど増額となります。
制度の充実により、区の奨学制度金は、他の制度の補助的・補完的な役割であると考えられることから、当面は、現行制度を維持してまいりたいと存じます。
|