日本共産党北区議員 山崎たい子
トップページ プロフィール 活動日誌 区政レポート 区議会報告 生活・法律相談 リンク集 おたよりはこちらへ

 
         最終更新日2016.12.01
2016年度北区議会第4回定例会個人質問
山崎たい子区議
2016年11月25日

1、 障がい者福祉について
(1) グループホームなど、すまいの拡充について
障がい者の高齢化や重度者の受け入れの現状について、また、今後、看護師の配置や、24時間の生活をカバーできる人員配置など検討が必要と考えますが、区の見解をお伺い致します。
(2) 就労支援事業について
就労支援B型事業での利用者の高齢化に対応し、人的体制や施設の改善について、検討が必要な時期にきているのではと考えますが、区の見解をお聞かせください。
区内2カ所の就労支援センターの事業量増大にふさわしく委託料を増額するよう、区長の積極的な答弁を求めます
(3) 人材確保について
重度障がいに対応できるヘルパーさんの養成
手話通訳者の養成について、昼間の開講や委託料の増額について
(4) 相談支援事業について
国に対し、報酬単価を引き上げること、当面、都と連携し、区としても定期的な面談や、サービスにつなぐまでの同行支援など、きめ細かな加算を行うよう求めます。
2、 子どもの貧困など、子ども・若者支援の充実について
(1) 経済的支援の要、児童扶養手当の拡充について
児童扶養手当について、第1子からの増額、所得制限の緩和、20歳までの対象年齢の拡大、及び4ヶ月毎の支給を毎月支給へ改善するなど、国に拡充を求めてください。
就学援助や貸付制度の改善について
(2) 子どもの居場所・食への支援について
(3) 産後うつを予防する無料検診の実施と産後ケアの連携について
  産後2週間目の無料検診を実施し、産後ケアと連携して、産後うつの予防に取り組んで頂くよう求めます
(4) 児童相談所設置をみすえた区の取り組みについて
  23区の児童相談所開設は、子どもの命を守るセーフティネットをどうきめ細かく、充実してゆくかと言う視点で、財源及び人材確保を都に求め、整備すべき課題ではないかと考えますが、児童相談所設置をみすえた区の取り組み状況と、今後の課題について見解をお伺いいたします。
(5) 子どもと接する現場での研修や体制強化について
  虐待の早期発見、早期対応のために、保育園、幼稚園、小・中学校など、子どもに接する現場の職員研修を強化
  スクールソーシャルワーカーや養護教諭などの体制強化について
スクールソーシャルワーカーの正規での職員配置を求めます。
養護教諭の先生、保健室が起点となり、他の教師や学校全体へ、SSWとも連携し、チームで子ども達を支えていける取り組みをすすめて頂くことが、ますます重要と考えますが、北区の取り組み状況と見解をお伺い致します。また、現状の児童・生徒数の増加をふまえ、養護教諭の複数配置など、体制強化を求めます
(6) 10代後半の子どもの支援について
10代後半の制度のはざまにある子どもへの支援について、子どもシェルターや自立援助ホームの整備拡充を国・都に求めてください。
区として、自立援助ホームや児童擁護施設退所後のこども達に、住居や進学、就労支援など、実施するよう求めます。
答弁の後、以下の内容で要望・再質問致しました。(要旨)

 私は、大きく2点、障がい者福祉の充実と子どもの貧困問題など、子ども・若者支援の拡充について質問します。

 1、はじめに、障がい者福祉についてです。
過日の第3定例会では、精神障がい者への福祉手当支給などの陳情が、全会一致で可決しました。改めて、長年、運動にとりくまれてきた当事者をはじめ、家族会、関係者の皆様の努力に、心から敬意を表する共に、北区議会としても、障がい福祉充実に向けての力強い発信になったと大きな意義を感じています。今後の区施策に、一日も早く反映されることを願い、質問に入ります。

(1)第1は、グループホームなど、すまいの拡充についてです。
保護者の高齢化を受けて、障がいがあっても、長年暮らしてきた地域で住み続けられるようにーとの切実な願いにより、「入所施設」を区内につくってほしいとの陳情が、過去に区議会でも全会一致で採択されています。一方で、障がい福祉をとりまく方針が、「施設」から「地域」へとの流れの中、「グループホーム」という形で、地域生活を支えていこうとの制度設計、計画が北区でも進んでいます。
その念願のひとつが、先日、神谷の区有地に建設されました。地元で長く障がい福祉に携わってこられた社会福祉法人が設立し、私も内覧会にお伺い致しました。
ショートスティの受け入れもできる個室を備え、アットホームであたたかな雰囲気、安全やバリアフリーにも配慮された施設仕様もさることながら、開設までにこぎつけた法人、職員の皆様の熱意と地域の方々のご尽力に、改めて頭の下がる思いです。  そして何より、入所が決まった利用者やご家族の方々から「涙がでた」と、大きな喜びと安堵の声を聞かせて頂き、今後のグループホームの運営が安定しますようにとの思いを、一層強くしたところです。

 さて、このグループホームの運営をめぐっては、現状で制度上、多くの課題が指摘されています。例えば、障がい当事者の高齢化、認知症などに伴う手厚いケアや医療的対応、看護師の配置も含め、24時間の生活をカバーできる職員配置や体制が十分ではないこと、経営的にも非常に大変であるという点です。身近な地域に、小規模な入所施設をつくってほしいとの要望も、こうした課題にもとづくものでもあります。  そこで質問です。障がい者の高齢化や重度者の受け入れの現状について、また、今後、看護師の配置や、24時間の生活をカバーできる人員配置など検討が必要と考えますが、区の見解をお伺い致します。
【区の答弁】
 現在、区内25か所のグループホームに97人が生活していますが、そのうち、50歳以上のの利用者が14名、支援区分4以上の重度障害者が19名入所しています。
 今後、入所者の高齢化と重度化の傾向がさらに進むことが見込まれ、施設側の負担が大きな課題になっています。
 ご指摘の医療的ケアを前提とした看護師の配置等につきましては、今後の検討課題とさせていただきます。

(2)次に、就労支援事業について、2点、質問します。
①1つ目は、就労支援B型事業における高齢化の対応についてです。
 民間福祉作業所職員の方が、次のように語っています。「障がいのある方は、50才をすぎてくると、日中活動も大変です。作業にスムーズに入れなかったり、トイレに何度も行くなど、現場では個別に支援を厚くして対応しています。こうした状況は、今後も更に増えてくるでしょう。高齢化に対応した加算を検討してほしい」と。
 また、先日お伺いした区立の福祉作業所でも、利用者の方々が、お年をめしてこられたなあと感じ、ふと、施設にエレベーターがないことや、トイレも介助するには、十分な広さとは言えない状況であると率直に感じた所です。
 そこで、お尋ね致します。就労支援B型事業での利用者の高齢化に対応し、人的体制や施設の改善について、検討が必要な時期にきているのではと考えますが、区の見解をお聞かせください。

【区の答弁】
近年、障害者通所施設における利用者の高齢化と重度化が進んでいる実態は、認識しています。
高齢化と重度化に伴い、自力通所や作業が困難になった場合には、これまでは、生活介護施設への移行が当たり前と考えられていましたが、施設移行を望まない利用者もいます。
通いなれた施設で日中を過ごせることも求められているため、 今後は通所時の移動支援の実施や生活介護併設の多機能型施設の検討など、施設の改善を含め、利用者に配慮した処遇について、検討を進めてまいります。


 
2つ目に、就労支援センターの委託費についてうかがいます。
現在、北区では区内法人2カ所に、業務を委託し、就労にむけての相談や就労後の定着支援、日常生活の相談支援などに取り組んでいます。私は、先日、この2カ所の就労支援センターの取り組みと要望を伺ってまいりました。

 そのひとつ、知的障がいを主に担当しているセンターでは、現在の登録人数650人となり、最近は、当事者の就労だけでなく、保護者の高齢化により、親護さんにかわって、お風呂をうながしたり、コインランドリーを手伝ったりと、朝に夕に、生活のフォローもしなければならない現状がある。「人が対応する事業なので、なんとか委託料を増額してほしい」との要望です。

 また、もうひとつは、精神障がいを主に担当しているセンターです。
こちらも現在、登録者は620人をこえています。相談件数はここ数年で、約2倍近くに増え、訪問件数も約3倍に増えました。また、対象者の特性では、統合失調症やうつに加えて、知的障がいとの重複、発達障がいや高次機能障がいと多様化し、更には、企業からの支援依頼が増加し、関係機関との連携も含め、業務量が増大している中、正規職員2名の方々は長時間、及び土曜の相談・対応と疲弊している状態です。来年度、企業の雇用義務化にむけて、現状の職員給与の増額だけでは、とても間に合わない。「正規職員の増員にむけて、委託料を増額してほしい」との切実な要望を頂きました。
 そこでお尋ね致します区内2カ所の就労支援センターの事業量増大にふさわしく委託料を増額するよう、区長の積極的な答弁を求めます。

【区の答弁】
 区では、障害者の一般就労を促進するため、就労支援事業を「社会福祉法人ドリームヴイ」と「NPO法人わくわくかん」に委託し、これまでに736人の一般就労を実現してまいりました。
 障害者の就労支援事業は、企業への障害者雇用促進の働きかけととともに就職後の就労定着支援と生活支援が重要であり業務量は年々増大しています。
 また平成30年度には、法定雇用率の算定に精神障害者を加える改正障害者雇用促進法のの施行が予定されており、民間企業側からの雇用拡大も見込まれています。
 一方、北区内では、障害者の一般就労に向けて作業や実習、適性に合った職場探しや、就職後の職場定着支援を行うことを目的とした「就労移行支援事業所」も八か所整備されました。
 さらに、平成30年度には、障害者総合支援法の改正において就業に伴う生活面の課題に対応するため、事業所と家族との連絡調整等の支援を行う「職場定着支援」が法定サービスとして新設されます。
 就労支援センターへの委託内容につきましては、この制度改正を契機に、就労支援センターの執行体制とともに見直しを行う予定であり、それまでは、ハローワークを含め、就労移行支援事業所等の関係機関と連携を強化し、効率的な事業運営に努めてまいります。


(3)3つめの質問は、人材確保についてです。
 ご紹介のとおり、障がい者の高齢化や重度障がいに対応できるヘルパーさんの養成が求められています。また、聴覚障がい者団体の皆様からは、手話通訳者の養成について、昼間の開講や委託料の増額が要望されております。こうした人材確保について、区としてすみやかに取り組んで頂きますよう求めます。お答えください。

【区の答弁】
 障害福祉サービスを展開していくうえで特に、重度身体介護を中心とする介護ニーズに的確に対応していくためには、ホームヘルパーの更なる量的、質的充実を図っていくことが求められています。
また、オリンピック・パラリンピックに向けた手話通訳者の養成も重要な課題です。
ヘルパー等の養成につきましては、東京都が実施するヘルパー従事者養成研修や外国語手話講習会等の周知に努めるとともに、障害福祉サービス事業者連絡会等を通じ、サービス提供事業者のご意見を伺いながら人材確保について検討してまいります。


(4)4つめの質問は、相談支援事業についてです。
障がい者の生活全体をマネジメントする相談支援事業が、民間団体の協力も得て進められていますが、その報酬単価が依然として低く、100人ほどケースを担当しても、職員一人分の人件費をまかなえる状況にはありません。そこで国に対し、報酬単価を引き上げること、当面、都と連携し、区としても定期的な面談や、サービスにつなぐまでの同行支援など、きめ細かな加算を行うよう求めます。
 以上、障がい福祉の充実について、区長のあたたかい答弁を求めます。

【区の答弁】
 障害者の自立した生活を実現するためのサービス等利用計画ですが、現在、区内の17事業所で、1124件のサービス等利用計画が作成されています。
 計画作成に当たっては、区の保健師、福祉司および地区担当職員が相談支援専門家と連携し、必要な情報の共有や同行訪問を通じ、サービス等利用計画の作成を支援しています。
 報酬単価の引き上げにつきましては、特別区長会を通じ、機会をとらえて国に要望してまいります。


大きく2つめの質問は、子どもの貧困など、子ども・若者支援の充実についてです。

 今定例会には「子どもの貧困対策計画の策定」にむけ、ニーズ調査の結果や施策の中間報告が出される予定となっています。計画の内容に大いに期待しながら、以下、6点にわたり質問致します。

(1)1つめは、経済的支援の要、児童扶養手当の拡充についてです。
 相対的貧困率が5割をこえているひとり親家庭では、9割をこえる保護者が就労しているにもかかわらず、貧困率の改善には至っておりません。国も事態を重く受けとめ、先般、児童扶養手当の第2子、第3子の増額にようやくふみきったところです。
 しかしながら、ひとり親家庭の6割は、第1子のみでもあり、本手当の更なる引き上げは、引き続き、喫緊の課題です。そこで、①児童扶養手当について、第1子からの増額、所得制限の緩和、20歳までの対象年齢の拡大、及び4ヶ月毎の支給を毎月支給へ改善するなど、国に拡充を求めてください。

【区の答弁】
 まず、経済的支援のうち、児童扶養手当の拡充についてです。
 第190回通常国会で成立した児童扶養手当法の1部を改正する法律案に対する附帯決議には、「支払方法については、支給回数について隔月支給にすること等を含め、所要の措置を検討すること。」が盛り込まれており、さらに「ニッポン一億総活躍プラン」においても、「支払方法や、より確実な養育費の確保の仕組みなどについて、関係省庁での検討の場を速やかに設け、検討を開始する。」ことが。明記されています。
 北区といたしましては、こうした国の動向を踏まえながら、適切な支給事務を行い、ひとり親家庭への支援に努めてまいります。
 なお、現時点において、児童扶養手当の更なる増額や、対象年齢の拡大などを、国に求めていくことは、考えておりません。


②次に、就学援助や貸付制度の改善についてです。

 会派ではこの間、就学援助の入学準備金など、タイムリーな前倒し支給について提案してきました。是非、早急な改善を求めます。加えて、他自治体では、就学援助とは別に、貸付制度などを活用して、あとから就学援助金を回収するという工夫をしているところもあります。今定例会に、福祉資金貸付制度の改善が示されていますが、更に、制度がより効果的に利用されるよう、就学援助や児童扶養手当と連動した貸付制度の改善を求めます。お答え下さい。

【区の答弁】
 就学援助入学支給金前倒し支給についてお答えします。
 就学援助の新入学学用品等購入費の前倒し支給については、支給の判定にかかわる所得の考え方など、実施に当たっての課題がいくつかあり、子どもの貧困対策の中の検討課題とさせていただきます。

 就学援助や児童扶養手当と連動した貸付制度の改善についてお答えします。
 入学準備に必要な費用については、保証人等の貸付要件を満たせば、区の応急小口資金貸付を利用できます。
 就学援助等と連動した貸付制度については、先進事例を参考に今後の研究課題とさせていただきます。


(2)質問の2つ目は、子どもの居場所・食への支援についてです。
 この間、区内においても学習支援など、子どもの居場所や子ども食堂などに取り組んでいる住民や団体が増えてきました。子ども・子育て世帯の孤立を防ぎ、地域の中で、つながりあうとりくみとして、大変、心強く感じています。また、夏休みや週末などに、子ども料金でランチを提供する取り組みも出てきているようです。こうした住民や民間団体のとりくみに対し、国や東京都も、自治体を通じての補助制度を設けています。
 そこで北区としても子どもの学習支援や居場所、こども食堂などに取り組む団体と連携、ネットワーク化をはかり、場所の提供や財政支援を行うこと。また、子どもの食の支援について、土日、長期休暇も視野に入れるよう求めます。お答え下さい。

【区の答弁】
 困難を抱える家庭の子どもと保護者のニーズに応じたきめの細かな支援を展開するためには、地域や企業、NPO、ボランティア団体などによる様々な取り組みが行われ、地域全体で見守り、支援する環境づくりが、重要であると考えています。
 現在、生活困窮者自立支援法に基づく子どもの学習支援事業として、地域の中に学習支援団体を立ち上げてもらうための支援などを北区社会福祉協議会に委託しており、12月から1カ所目が開始することになりました。
 区といたしましては、社会福祉協議会とも協力を図りながら、地域やNPO、ボランティア団体などによる取組を促進し、連携を深める方策について検討してまいりたいと考えています。
 なお、子どもの貧困対策に関する実態調査結果の概要や計画の中間まとめについては、本定例会の所管委員会においてご報告をさせていただきます。


(3)3つめは、産後うつを予防する無料検診の実施と産後ケアの連携についてです

 産後うつは、10人に1人が経験するとされ、深刻化すれば、虐待や育児放棄、自殺を招いたりする恐れがあります。厚労省が実施した調査では、産後2週間目に発症のリスクが高かったため、来年度、母親の不調の兆しを早期に把握し、相談や適切なケアへつなげるため、産後2週間と1ヶ月検診を無料とする費用助成を実施する見通しです。北区でも、保健師の産前・産後面接や、産後ケアがすすめられていますが、産後2週間目の無料検診を実施し、産後ケアと連携して、産後うつの予防に取り組んで頂くよう求めます。お答え下さい。

【区の答弁】
 区では、新生児訪問の際に産婦の母体回復の把握を行うとともに、精神科医による「親と子のこころの相談室」、また、産前産後セルフケア講座や産後デイケア事業などを実施し、出産前後の母親の心身の疲労や出産直後の母親の心身の疲労や出産直後の悩み、育児不安の軽減等に努めています。
 ご提案の産婦健診については、産後ケア事業の充実とともに、来年度の国の予算編成の動向を注視しつつ、今後の検討課題とさせていただきます。


(4)4つめは、児童相談所設置をみすえた区の取り組みについてです。

 先月、文教子ども委員会で、福岡県北九州市の「こども総合センター」を視察してまいりました。当市では、14年前に児童相談所と少年相談センター、教育相談室を統合し、「子ども総合センター」が発足、10年前から直営で、「24時間子どもホットライン」も実施しています。
 施設の4階には、子どもを親から分離し、2ヶ月程度まで保護・生活の場を保障する「一時保護所」も設置されており、施設の中も見学をさせて頂きました。子ども達が寝泊まりする部屋、洗面所、浴室、食堂の他、私達がうかがった午前中は、学習の時間帯で、身体の小さな学齢期の子どもや、少年期の子どもが同じ部屋で静かに勉強している様子や、また、別のホールでは幼児期の子どもを遊ばせている様子にも接しました。困難を抱えている18歳までの幅広い年齢の子ども達を、保護し成長を支えている場に接し、あらためて、その処遇の責任の重さを痛感したところです。
 ひるがえって、北区での児童相談所設置をみすえた時には、先にご紹介した24時間の相談体制や、一時保護所の設置、更には、退所後の子どもの受け入れ体制を、家庭以外の場でも作っていく。例えば、児童養護施設だけでなく、ファミリーホームや里親制度など、その子どもにあった受け入れ環境を整えることも必要です。
 更に、児童虐待防止法の改正を受け、弁護士、保健師、児童福祉司などの専門家の配置や研修体制、人材確保を予算措置とあわせて行っていくことが、一番の課題になっています。
 現在、都内では、都の児童相談所と区の子ども家庭支援センターが、役割分担をしながら、虐待などの対応にあたっていますが、相談・通告件数の急増に対して、施設は114%の受け入れ、人員体制も追いつかず、現場は大変厳しい状況となっています。こうした現状の中、23区の児童相談所開設は、子どもの命を守るセーフティネットをどうきめ細かく、充実してゆくかと言う視点で、財源及び人材確保を都に求め、整備すべき課題ではないかと考えますが、児童相談所設置をみすえた区の取り組み状況と、今後の課題について見解をお伺いいたします。

【区の答弁】
 詳細は、本定例会の所管委員会でご報告いたしますが、特別区長会から下命を受け、平成26年度にまとめた、「児童相談所移管にかかわる検討について(最終報告書)」の再検討とロードマップについての方向性の検討を行いました。
 その中で、乳児院やファミリーホーム、里親など社会的養護の確保も重要な課題と捉えています。
 東京都と特別区の協議については、今後どのように行われるか、いまだ不透明な状況ですが、各区課題については、「児童相談所移管に向けた庁内連絡会」において、区長部局と十分情報交換し、検討してまいります。


(5)5つめは、子どもと接する現場での研修や体制強化についてです。

 先にご紹介した北九州市の取り組みでは、①虐待の早期発見、早期対応のために、保育園、幼稚園、小・中学校など、子どもに接する現場の職員研修を強化し、そこからの通告も増えているとのことでした。そこで、北区でも、こうした子どもに日々、接する方々への研修にいっそう力をいれて頂きたいと考えます。ご答弁ください。

【区の答弁】
 ご指摘のとおり、日々子どもたちと接している学校や幼稚園、保育園の先生方からの情報提供や通告は重要であると考えています。
 今年度から、子ども未来部が教育員会となった利点を活かし、これまで以上に、学校をはじめ関係機関相互の連携に努めてまいります。
 先日は、小・中学校の副校長研修において、虐待の早期発見や、保護者等への対応に関する講義を実施いたしました。 また、来月は、公立の幼稚園長会でも、研修を予定しています。
 今後とも、様々な機会をとらえて、教職員や保育士等への研修に努めてまいります。


②スクールソーシャルワーカーや養護教諭などの体制強化について
 また、北区では、他自治体に先駆け、SSW(スクールソーシャルワーカー)を配置、増員し、学校と連携しての家庭訪問や、児童相談所など関係機関と連携・調整するなどの活動をすすめています。こうした取り組みを充実するためスクールソーシャルワーカーの正規での職員配置を求めます。

【区の答弁】
 現在、スクールソーシャルワーカーとして非常勤職員を王子・赤羽・滝野川の三地区に一名ずつ配置しています。
 また、平成27年度からは、統括指導員を配置し、事例検討やケースの進行管理などの助言・指導など充実を図っています。
 ご提案の趣旨も含め、スクールソーシャルワーカーの拡充につきましては児童・生徒を取り巻く様々な課題の状況や、教育再生実行会議や中央教育審議会の検討経過など、国の動向を注視し、北区における子どもの貧困対策の議論も踏まえて、今後の検討課題とさせていただきます。

 更に、学校内では、教師以外にも、保健室の存在、養護教諭の役割に、あらためて光があてられています。保健室は成績で評価されない、否定されない貴重な場所であり、親に頼れない、家庭に受け皿を期待できない子どもが、養護教諭にSOSを発することが少なくありません。その子どもが発したSOSを、養護教諭の先生、保健室が起点となり、他の教師や学校全体へ、SSWとも連携し、チームで子ども達を支えていける取り組みをすすめて頂くことが、ますます重要と考えますが、北区の取り組み状況と見解をお伺い致します。また、現状の児童・生徒数の増加をふまえ、養護教諭の複数配置など、体制強化を求めます。お答え下さい。

【区の答弁】
 養護教諭、保健室が起点となり、学校がチームで子ども達を支える北区の取組状況と見解についてです。
 養護教諭は、いじめや虐待が疑われる児童生徒、不登校傾向である児童生徒等課題を抱えている児童生徒と日常的に保健室でかかわる機会が多いため、健康相談を通じ、課題の早期発見、早期対応に努めています。
 また、学級担任やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等と連携して校内委員会で情報を共有し、組織的に課題解決に当たっています。
 現在、学校からスクールソーシャルワーカーに相談が来る場合の三割が、養護教諭からの情報となっており、その役割は極めて重要となっています。
 今後も、養護教諭、保健室が起点となり、学校全体で子どもたちのSOSサインを受け止めるとともに、スクールソーシャルワーカーとの連携を図りながら、学校がチームとなって教育相談や問題解決に当たるよう管理職研修や生活指導主任研修、保険主任、養護教諭研修等を通じて指導してまいります。

 養護教諭の複数配置についてお答えします。
 養護教諭は、東京都教育委員会の教職員の定数配置基準により26学級以上の学校に二名配置することが定められています。北区の小中学校には現在26学級以上の学校がないため、正規の養護教諭の複数配置校はありませんが、北区の中で学級数の多い3つの小学校については、養護の非常機教員が配置されています。
 教育委員会といたしましては、現在配置されている養護教諭の資質・能力の一層の向上を図るために、養護教諭対象の研修や養護教諭の多くが兼務している特別支援教育コーディネーターの研修においてスクールソーシャルワーカーとの連携について研修を行ってまいります。


(6)最後に、10代後半の子どもの支援についてうかがいます。

 虐待や非行などの困難をかかえている18歳から20歳未満のこども達は、児童福祉法と児童相談所の狭間にあり、支援のあり方が課題となっています。例えば、児童相談所の一時保護所も、幅広い年齢で生活するため、ハイティーンの子ども達には、落ち着いた生活環境になりにくい。また、児童擁護施設や自宅から出て、住居をかまえるにも、保証人や経済的なハードルなどで、アパートや携帯の契約にも支障があります。
 こうした中、全国では民間団体による、子どもシェルターや自立援助ホームの取り組みが拡がっています。これらの施設は、平成25年の児童福祉法の改正で、ようやく、児童自立生活相談事業として位置づけられたものの、職員配置は2.5人分の費用しかないため、東京都が一定の加算を行っても、施設の運営が大変厳しく、全国でも休止においこまれている場所が少なくありません。
 私は先日、都内の自立援助ホームをたずね、お話を伺いましたが、「自治体からも是非、国や都に支援の拡充を求めてほしい」「シェルターや自立援助ホームを出た後も、アフターケアが必要となってきます。世田谷区ではじまった住居や進学支援や、就労についても生活困窮者自立支援法と連携し対応してほしい」と、要望を受けました。そこで、
 ①10代後半の制度のはざまにある子どもへの支援について、子どもシェルターや自立援助ホームの整備拡充を国・都に求めてください。
 ②区として、自立援助ホームや児童擁護施設退所後のこども達に、住居や進学、就労支援など、実施するよう求めます
以上、子ども若者の未来にむけた、区長の積極的な答弁を求め、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【区の答弁】
 児童養護施設、自立援助ホーム、子どもシェルターへの入所措置は、都道府県知事が行い、その費用は国と都道府県が負担することとされています。
 子どもシェルターや自立援助ホームの整備拡充の国や東京都への要望についてですが、この度の児童福祉法の改正では、自立援助ホームの入所条件が就学中に限り、22歳の年度末まで引き上げるなど、児童虐待の防止から虐待を受けた子どもの自立支援までの総合的な強化が図られております。今後、区としてどのように対応していくべきかは研究課題とさせていただきます。
 次に、自立支援ホームや児童養護施設退所後の子どもたちへの支援についてです。 国では、今年度から、施設対退所の子どもを対象に家賃相当額や生活費を貸し付け、就業継続等の条件により返還を免除する制度を創設しています。
 また。東京都では、連帯保証人が不要な自立生活支援のための貸付や、施設への自立支援コーディネーター等の配置、施設退所者等の住居確保のための改修費の補助などの取り組みを行っています。
 区といたしましては、国と東京都の動向を注視しつつ生活に困窮する方の相談を受け、就労支援などを行う北区くらしとしごとの相談センターの一層の周知を図るなかで、自立援助ホームや児童養護施設退所後の子どもを含む生活に困窮する方の支援を図ってまいります。
<答弁の後、以下の内容で要望・再質問致しました。(要旨)>
障害者福祉ですが、今回は特に、障がい当事者の皆さんが高齢化、重度化してきていることに対応するグループホームや日中活動の制度、スキームが追いついていない現状について、とりあげました。

区のご答弁を伺って、全体として、問題意識は共有できているなと感じましたが、GHについては、現状では、日中の過ごし方の基本が、外に出ることになっている。
移動支援は使える。作業所など就労に出ることを想定しての制度設計になっている。けれども、例えば、体調が悪い、病気になったなど、日中休んで室内にいる時、では誰がケアをするのか、現実には職員の方が、朝、夕2時間づつ延長するなどして対応しています。日中の室内でのケアや支援メニューがない状況があり、これでは、経営としても、システムとしても成り立ちません。
法人の方も、「施設から、地域へというのは良いが、地域で暮らせる体制は、まだまだ不十分です」と、語っておりました。いずれにしても、障がい者の方の24時間、多様な生活を視野に、生活が豊かになるようにとの視点が、ますます求められます。
この問題、是非、法人関係者の皆さんとも課題を共有して、検討をすすめて頂きたい。そして、GHを今後も、都営住宅や区有地を活用するなど、計画的、積極的に増設をはかっていただきますよう重ねて要望致します。
 就労支援B型の作業所では、多機能型という形で、改善を検討したい旨の答弁でした。是非、民間の福祉作業所も含め検討して頂くようお願い致します。
また、就労支援センターの委託費について、答弁ではH30年に、受け皿や法定サービスなど再構築が予定されている。それまでは効率化とのことでした。しかしながら、例えば精神の方のところは、7年前の委託費が1168万円余。今年度は1160万円と、実績は数倍になっているのに、むしろ委託費は下がっています。  
来年度のH29年度予算は、早急に改善されるべきではないか再質問致します

【区答弁】 来年度の予算編成の中で、検討してまいります。

 子ども・若者支援については、所管委員会での中間報告もありますので、そこでも議論させて頂きたいと思いますが、1点、就学援助の前倒し支給について、子どもの貧困対策の中で検討との答弁で、前向きなニュアンスを感じました。是非、早急に具体的な検討をお願い致します。また、入学準備金の貸付について、保証人などの条件があるが、応急小口資金の貸付ができるとの答弁でした。それができるのなら、大変、良いことですが、実際、実績はあるのでしょうか?再質問致します。

【区答弁】 実績はありません。

 今まで、入学準備では使われていないということ。今後、制度の周知につとめ、 積極的に活用できるようにしてほしい。重ねて要望する。

▲このページの一番上へ戻る
 
 
 
Copyright(C) 山崎たい子事務所 2006-
本サイト内のテキスト・写真など全ての掲載物の著作権は山崎たい子事務所に属します。
リンク希望の方は、お手数ですがメールにてお知らせ下さい。
山崎たい子 携帯 090-2160-1292 /E-Mail YIU14986@nifty.com
 日本共産党北区議員団控室 TEL 03-3908-7144 / FAX 03-5993-0280 / E-Mail mail@kyoukita.ip