◆2018年度北区議会第3定例会本会議
健康福祉委員会の報告事項、「区職員による生活保護費横領事件にかかる再発防止策等について」の山崎たい子委員、福島宏紀副委員長質疑(要旨)
山崎たい子区議
2018年9月14日
山崎、党区議団は、6月の代表質問、また9月先日の代表質問でも、今回の区職員による生活保護費横領事件を契機に、北区の生活保護行政全般の抜本的改善、また、区政の信頼回復に全力を尽くしてほしいと、区長の姿勢も質し、具体的な改善策も求めたところです。
ご報告を頂いた再発防止検討委員会の報告書を読ませて頂き、はじめに、会派として、是非、この報告書の内容にしっかり取り組んでいただきたいと考えています。その上にたち、大きく4点の角度で、質問・要望いたします。
1つめは、住所不定チームの廃止と、その後の対応や職員体制について。
今回、事件の発端となった、いわゆる「住所不定チーム」は、報告書にもあるとおり、住所不定者へのきめ細やかな保護と配慮を専門に行う専管組織として機能してきた部署です。 私自身もご相談を受けたことがありますが、職を失っていたり、家族・親族の関係が難しくて家には戻れない、依存症が重い、刑務所から出所された方もおりました。 住所が定まっていないので、そもそも安定したくらし、社会制度に根本的につながりにくい、社会的に大きな困難を抱えている方々の憲法25条にもとづく、セーフティネットに対応する役割をおっています。時には、職員の方々の身の安全も配慮しなければならない事態も想定されるでしょう。
こうした複雑な課題、社会的、専門的な知識やソーシャルワークの力量が求められる方々の対応を、今後は専管組織を廃止し、地区担当の再編で対応してゆくために、是非、職員の方々のスキルアップや体制を充実して頂きたいと考えます。
代表質問の答弁でも、社会福祉主事は77%と。約2割は資格がない方でした。本来は100%、有資格者とすべきではないか。事件をおこした2名職員の資格の有無はどうだったのでしょうか?国家資格である社会福祉士は11%、精神保健福祉士は2%、この比率を拡充していくことを求めます。
課長、事件をおこした職員2名のうち、1名は資格あり。全員に受講を促し、とりくんでいる。研修もすすめていきたい。
山崎、福祉事務所の職員は、本来100%社会福祉主事。全員の取得にむけ改善してほしい。 また、職員1人の受け持ち世帯数については84世帯と。これは、面接相談員も含めた数ではないでしょうか?実態とすれば、もっと多いのではないか。 また、平均ということを考えると、中にはお一人で100世帯以上持っておられる方もいるのではないでしょうか。是非、
職員を増員して、受け持ち世帯を軽減することも求めます。加えて、地区の再編で、現行12チームは、増やす必要があるのではないか?
課長、面接相談員を除くと、平均88世帯となる。多い人は100前後になる場合ある。現行12チームは13にしたい。業務変更や事務改善を行い、増員を検討していきたい。
山崎、社会福祉法第16条において、80世帯あたり1人とされている。かつては法律の最低基準になっていた。是非増員をしてほしい。 住所不定チームは5人+1人。通常のチームは7人+1人にて、チームとしても、最低2名は必要。また、最初に受ける相談係も1名は増員必要ではないか。最低、数名は増員が必要と思う。要望する。
査察指導員について、いわゆる係長職、ケースワーカーの指導や実務・管理能力など、高い力量が求められる。再発防止策では、相互チェックとあるが、相当、多忙な中、イメージは?また、2~3年ごとに地区担当を変えると、担い手の課題もあると感じるが、人事政策は?
課長、査察指導員の相互チェック体制、具体的にはプロジェクトを設置して、これから検討していく。人材確保、該当者限られてくる、容易ではない。部内各課の取り組みで、平準化で担っていきたい。
部長、これから主任主事について、係長の補佐の仕事もしていく。ケースワーカーの継続的な研修も含め横断的に対応していきたい。
山崎 小田原市の教訓、私自身、小田原市の福祉事務所、企画課職員の方から直接、お話を聞く機会があった。市長の姿勢は、福祉事務所の現場まかせにしない。人事政策も含めて、市が全庁あげて対応するというもの。生活保護行政は、憲法25条を体現する公務員としての最前線の職場。是非、北区も
そうした姿勢で職員体制の充実に取り組んでほしい。
2つめは、金銭管理について
山崎、正直、報告書を読んで、当時の金銭管理の現状に驚いた。 原則、ケースワーカーは金銭の取り扱いはしないと思っていたが、「ケースワーカー払い」の運用があり、本人印鑑と面接カードがあれば、ワーカーが保護費を受領できるとか。現金取り扱いの研修はしていない。亡くなった方の遺留金品の取り扱いを一人でやるなど、今後、防止策をしっかりと実行してもらいたい。
3つめは、無料低額宿泊所の対応について
区内3か所の無料低額宿泊所の入所者の保護費は、住所不定チームの査察指導員とワーカーが、まとめて保護給付係から現金を受領し、面接相談室で施設長に支払っていたとのこと。以前、無料低額宿泊所の対応が問題になった時に、保護費のうけわたしは改善されたと認識していましたが、そうではなかったと。
事件をおこした職員の方々の動機は不明とのことだが、会計処理や金銭管理の甘さに、事件をおこしやすい環境、温床があったことは否めないと感じた。
生活保護費の窓口での現金払いは、約1000世帯あるとのことだが、そのうち、
無料低額宿泊所の入所者はどれくらいいるのか? これまでの無料低額宿泊所の入所者への保護費支給について、区はどのような認識でいるのか?ただちに、改善されるべきと思うがどうか?
課長、無料低額宿泊所の方は、9月1日現在で138人。 3月末で、直接、本人に支払っていたほとんどの方を口座払いに変更した。
山崎、無料低額宿泊所、良心的なところもあるが、中には貧困ビジネスと言われる社会的な問題がある。先日、住まいの貧困の研修会で研究者の方が、全国では 無料低額宿泊所で死亡する方が、年間130人~150人もいるとのこと。驚いた。 私自身も含め、北区としても、そうした方々の実情を、しっかり把握し、アパート設定など、居宅移行に切り替えていく。
ハウジングファーストという立場で、まず住まいを保障し、生活支援を組み立てるということが重要だ。住宅セーフティネット法改正の北区での具体化とあわせ、積極的に取り組んでほしい。
4、最後に、今後の対応について
いまだ事件の全容は明らかではない。被害総額7月末時点で、職員Aが8600万円と、Bは1300万円、あわせると9900万円となるが、被害総額や事件の全容が明らかになってくる今後の見通しは?
課長、東京都が12月に査察指導に入り、更なる確認が必要になる可能性もある。最終金額や時期については、まだ見通しが立ちにくい。損害賠償もまだ、はっきりしない。
山崎、7月末時点で9900万円にて、今後1億円は超えてくると予想される。再発防止策の5つの観点と、実施時期を見通した時系列的な対応はしっかりすすめてほしいと思うが、区民向けにどう発信していくか。また、進行管理をどうしていくか?
利用者の声、意見もとりいれた評価にしてほしいがどうか?
部長、被害の金額、期間についても、区民の信頼を大きく失墜させた事件、二度とおこしてはならないと反省している。そうした立場から、まずは早急に対策をたてた。これを確実に実施していくという強い姿勢ですすめ、区民にも伝えていく。 今委員会に報告後、ただちにプレス発表、HPにも掲載し、区民の意見も求めていきたい。また、生活保護受給者にも、不安を与え、申し訳なく思っている。それぞれのケースワークをしっかり対応していきたい。
福島、議会としては、行政のチェック機関としての役割ある。1000件も現金を渡す人がいる。無料低額宿泊所の取り扱い、北区でも社会問題になっていた。議会としても、改善に、一緒に取り組んでいく。 重ねて、職員の資格問題については、社会福祉主事、100%をめざしてほしい。 今後の対応で、必要な際は、検討委員会の再開もあるということ、決意として受け止めたい。
区民の反応で、「つかいこまれたお金はしっかり返してもらえ」との弁ある。河内長野市、約2億数千万円は、最終的に職員が全額返納した。仮に、一定額返済あるとしても全額でない時
、国、都への国庫負担金の返還について、「債権に税金を使うのか?」などの区民の声も出てくる。アナウンスが必要ではないのか?
課長、まずは、被害額を確定して、損害賠償請求をしっかりとやっていく。全力でとりくんでいきたい。
部長、国庫負担の返還、東京都が8月に入り、12月にもう1回入る。全容が明らかになるのはまだではないか。しばらくかかりますよと言われている。まず、全容を明らかにすることに力をいれていく。その後、返還について、予算に計上していかなければならない際には、説明をしていきたい。
|