◆2019年3月7日(木)
2019年第1回定例会 予算特別委員会「総括質疑」の質問と答弁(要旨)
山崎たい子区議
2019年3月7日
- 予算の基本となる区民の経済状況、くらしの実態について
- 高すぎる国民健康保険料の軽減について、
- DVや虐待から、いのち守る取り組みについて
- 住宅要配慮者の住宅支援、家賃軽減について
- 子どもの人口増に対応する教育環境の整備と学校改築基金について
山崎たい子です。日本共産党北区議員団を代表し、H31年度予算の総括質疑を行います。
1、予算の基本となる区民の経済状況、くらしの実態について
日本経済は、消費税8%の増税以降、消費は一気におちこみ、実質家計消費は、未だに増税前の水準に達していない。まさに「消費不況」が長期にわたっているのが実態です。そこで代表質問では、政府の言う「雇用・所得環境の改善」という経済見通しの認識を改め「うのみにするな」と質問したのに、区長は「政府の公式見解です」と、「うのみにしました」との答え。まさに、答えになっていない。
(1)あらためて、区長は区民のくらしの大変さ、くらしの実態をどのように認識されているのか、正面から、お答えてください。
(区長答弁)政府の直近の報告でも、ゆるやかな景気回復、個人消費が持ち直している。こうした状況を背景に、区民生活では、納税義務者の増加に伴い、区税収入も伸びているが、中小企業や商店の売り上げが減少するなど、経営上の課題があると認識している。引き続き、区民福祉の向上をすすめていく。
区長の答弁、「前半のゆるやかな景気回復、個人消費のもちなおし」は承伏できない。しかし、「商店や中小企業の経営状況をみれば課題がある。」その部分はそのとおりだ。NHKの世論調査、「景気の回復が実感できない」との回答は66%。党区議団がとり組んだ昨年の「区民アンケート」でも、暮らし向きについて「楽になった」は、わずか2%、「苦しくなった」は58%と約6割に及びました。その原因は「年金が減った」が、6割。「賃金が減った」4割。税金や社会保険料、医療や介護の負担が増えたと。
消費税の増税が、社会保障の充実にはなっていない。区民のくらしを考えるなら、10%増税の中止を求めるべきです。
また本会議では、区民の課税標準額も紹介された。700万円超える担税力のある方、5年前に比べ増えて、中所得者以上のファミリー世帯が増加したと。社保1割負担、扶養なしとした世帯で、収入で1000万円以上の方。それでは、
(2)課税標準額100万円以下、同じく、200万円以下、更に、400万円以下の納税義務者の構成比、H30年度の割合について、お聞きします。
(課長答弁)100万円以下、29.5%、200万円以下、58.2%、400万円以下は、
85.4%です.。
課税標準額100万円以下社保1割、扶養なしとして、年収250万円以下が、約3割、課税標準額200万円以下、年収400万以下で、約6割を占めると。その他に、非課税世帯の方がおられる。北区の納税者の大層は、低・中所得者の方々であるということだと思います。昨日もNHKの番組で、人々の生活苦を示す貴重なデータが報道されていた。年収700万円の手取額が、2002年587万円から、2017年537万円に、年50万円も減少している。しかもこの間に消費税は、5%から8%へ上がっています。
子育て世代が増加したが、家賃や住宅ローン、教育費の負担を抱えながら、「夫婦共働きでなければ生活できない」、高齢者も「年金だけではくらしていけない」と働き、若い人も「学費や奨学金の負担で重くて、働かなければ学業も生活もできない」というのが実情ではないか。こうした区民のくらしに、北区がしっかりと寄りそい応援する。収めて頂いた税金を、十分に還元していくことが自治体の役割だと思います。
H31年度予算案では、
北区の主要5基金残高は、H30年度580億円と過去最高。当初予算では、500億円としていたので80億円も増え、
財政調整基金残高は177億円、当初予算では109億円になるとしていたものが、68億円増えました。 日本共産党は、こうした財政力をいかし、この4年間、予算組み替え提案も行いながら、くらし応援の施策拡充をと求めてきました。
新年度予算案では、認可保育園や学童クラブの増設に続き、児童虐待防止のため、子ども家庭支援センターで3名の職員増、学校体育館などへのエアコン設置、教員の働き方改革の推進、コミュニティバス新規検討への公共交通会議の設置や外国人との共生社会の具体化など、切実な区民要望が反映されたことは良かったです。
その上で、先に述べた北区の財政状況からみると、もっと区民のくらしや福祉に、 まだまだ手当てができると考えます。代表質問に続き、いのち・くらし応援の施策拡充について伺います。
2つ目、高すぎる国民健康保険料の軽減について、
(1)区民の8万人、約4人に1人が加入している北区の国保世帯の平均所得はどれくらいか? 課長、課税所得は、115万円となります。
非常に厳しい。生活保護基準でみると、30代の夫婦、子どもの2人の4人家族で、年間の収入基準は320万、所得にすると210万円。課税所得115万円。生保基準よりも低い。この所得基準で国保料は年間33万円かかる。払いたくても払えない滞納世帯が北区は3割。私もご相談の方、生活苦で病院受診せず、がんが進行してしまったと言う方もおりました。区議団は、生活に困窮している・生活保護水準にある人には、国税徴収法にもとづき、徴収猶予、免除を行って生活再建を優先すべきです。
更に、赤ちゃんにもかかる「均等割」51000円、せめて子どもの均等割は半額にと求めたが、答弁は「一律に減免は困難」との答弁。しかしながら、
(2)都内でも均等割の独自減免を行っている自治体があります。ご紹介ください。
課長、昭島市、第2子まで半額、第3子9割。東大和市、第3子以降、均等割無料。清瀬市、第2子以降半額(所得300万円未満)。
(3)23区は、統一保険料方式ということであるならば、国保世帯は同様の困難を抱えているので、北区が音頭をとり、23区全体でやろうと働きかけるべきではないか?
課長、特別区でも多子世帯の子どもの均等割、模索・検討しているが、国の見解もあり難しい。
第2子以降の均等割半額、北区では5800万円で可能。18歳以下の子ども全ての均等割半額にしても、約1億円とのこと。是非、実施にふみだすべきだ。
3、DVや虐待から、いのち守る取り組みについて 新年度予算、児相経験者や心理職など、職員の増員はかられて本当に良かった。目黒区、野田市の事例でも、虐待の背景に、DVなど家庭の困難があると示された。 東京都におけるDV相談の現状でも、相談者の8割以上に子どもがおり、 暴力が子どもに及んでいる家庭も5割を超えています。代表質問の答弁では、
「DVと児童虐待には相関性がある」「要保護対策協議会や配偶者からの暴力防止連絡協議会の合同開催など連携強化する」お答え頂きました。 (1)是非、個別のケース対応で、実効性ある情報共有・支援の連携をとって頂きたいと思いますがいかがでしょうか。
課長、ケース会議は64回開催。対応は1部署ではできない。関係部署と連携をはかって対応していきたい。
厚労省の子ども虐待対応の手引きでも、支援する家庭にDVある時、母と子について、積極的な情報共有を進めなければならない。対応によって、DVや虐待がひどくなる可能性があるので、DV被害者援助機関と緊密な連携をとってケースワークを行うことが大切と。是非、具体的にすすめてほしい。 また、子どもにとっては、保育園や学校はシェルターの役割をはたす、子どものSOSをみつけられるように高いアンテナが必要です。そこで、 (2)保育園や学校などの管理職、教職員への虐待・DVの理解と対応の研修、マニュアルも作成して実施してほしいがどうか。
課長、保育園では、虐待事案について、子ども家庭支援センターに連絡するように、マニュアルを使って11月に指導した。直営の研修だけでなく、私立園にも案内したい。
課長、学校では、どの学校、どの子どもにもおこりうる重大な課題として、正しい知識や連携、マニュアルを全校に配布し研修している。野田市の事例、DVについても関連づけて、対応していきたい。
教職員だけでなく、SCやSSW(スクールソーシャルワーカー)の役割はますます重要。本会議の答弁では、国の常勤化にむけた調査研究を注視すると。しかし、優秀な専門職を確保するためスピード感求められる。足立区では、教育相談所として正規のSSWを配置したと聞いている。北区でも重ねて、SSWの増員、正規化を求めたい。
(3)また、社会全体の暴力を容認する意識を変えていかなくてはならない。子どもへのしつけと称して、体罰、虐待ある。体罰禁止法は世界54か国で実現。都でも条例化の動きある。北区でも体罰禁止を明確に打ち出すべきだがどうか。
課長、体罰によらない子育て。子どもの権利として重要だ。東京都が改正する虐待防止条例の中で、体罰禁止も明記されている。都民に広く周知していくと。オレンジリボンキャンペーンも含め、区も周知に努めていく。
国連の子どもの権利委員会が、子どもの虐待死をふまえ、日本政府へ勧告している。子どもでも被害を訴えることが可能な制度が急務。子どもも含めた教育プログラムを強化するように要請。そこで、 (4)子どもへの暴力防止(CAP)プログラムは、子ども達が虐待・体罰・性被害など、あらゆる暴力から自分の心とからだを守る方法を、子ども達自身の考えを引き出し、エンパワーメントしながら学ぶ参加体験型プログラム。
また、デートDV防止講座も人を力で支配しない。暴力容認の意識を捨てる。相手を尊重し共感するための講座。北区でも一部の学校で実施されているが、是非、全区的にとりくんでほしいがどうか。
課長、CAPプログラム、PTAが主体となって案内した。学校では、関係機関と連携して、セーフティネット教室を実施している。誘拐や暴力から逃れる、ロールプレイを行いながらできる内容。保護者、地域の人も参加できる。CAPの内容ふまえて充実をはかっていきたい。
課長、デートDV防止講座。被害者にも、加害者にもならないために、今年度、取り組む学校が1校増えて3校になる。これからも可能な限り案内していく。
(5)NPO法人等が実施する講座や研修で、受講に3~5万円程度かかる。区民や団体・グループが自主的に実施するなどの際の補助制度も北区で積極的に対応してほしいがどうか。
課長、男女共同参画事業に資する内容であれば、出前講座として補助できる。小・中学校いかかわらず、区民も可能です。
(6)昨年11月、スペースゆうでの「DV親子への支援について」の講座、とても良い内容だった。被害者が相談するのは、身近な知人・友人が多い。一人一人の理解が必要だと、区民的にもっと多くの区民が学べる講演会・シンポジウムなど実施してほしいがどうか。
課長、女性における暴力防止、オレンジキャンペーンの中で実施した。申し込みは34名、実際は27名の方が受講。参加者のアンケートでは「理解できた」「どう対応したら良いかわかった」など、行動変容が感じられるもの。キャッチコピーを工夫するなど多くの人に聞いて頂けるよう努力していきたい。
本会議質問では、DVなどで保護が必要な際のシェルターなど、都の女性相談センターと連携を進めるとの答弁があった。一方で、女性相談センターの一時保護所や施設入所は、措置にもとづくものでハードルが高い。外出制限、仕事にも学校にも行けない、形態も禁止など制約が強く、当事者もしりごみして選ばない。また、近年増えている若年女子の対応にもなかなか適応しない。 こうした中、国立市では新年度、
困難な女性によりそうパーソナルサポート事業が予算化されました。 内容は、DVや家庭でうまくいかない、自宅にもどれないなど、困難をかかえた女性に、一定期間(5泊6日)心と身体を休める「一時滞在所」を提供し、同行支援や相談支援などを受けられるもの。民間団体と連携し、宿泊費や運営費、人件費を含め、
340万円が計上されています。 (7)北区でも支援を行っている民間団体と連携し、是非、実施してほしいがどうか。
課長、物理的に心と身体を休めること必要。実家に少し帰ることが多いが、近くになく、知人もいない、経済的にもお金を用立てられない人もいる。国立市の取り組みは、ひとりでは自立できない人に寄り添った相談支援、一時宿泊所を提供し、民間と連携して行う。注視していきたい。アゼリアプランの中で検討していきたい。
網の目のように、いろいろな状況で選択できるセーフティネットをつくってほしい。
4、住宅要配慮者の住宅支援、家賃軽減について
居住支援協議会が今年度中にスタートし検討していくと本会議でも答弁があった。 (1)児童養護施設退所者への支援について、区内でも「修学型の学生支援ハウス」を民間法人が既に運営しています。連携してスピーディに支援を始めて頂きたいがどうか。
課長、3月25日、「居住支援協議会」を設立予定。住宅に困窮する児童擁護施設退所者などの民間賃貸住宅への入居をはかり、住宅と生活を一体に運用することは喫緊の課題。居住支援協議会で検討していく。協議会には、施設で暮らすなど厳しい状況の中、進学する学生のため、住居、相談支援など援助する「学生支援ハウス」を運営しているNPO法人も会員として参加する予定、連携して運用できるようにしていきたい。
支援のNPO法人が居住支援協議会に入る。良かった。期待したい。児童養護施設退所者のアフターケアをしている方のお話では、「生活困窮でネットカフェや寮つきの職場で仕事を失うと、たちまち住まいを失う。性風俗や犯罪に巻きこまれてしまう人も少なくない。」しくみができるまでやりませんでは、支援が遠のく。先行して実施してほしい。
5、子どもの人口増に対応する教室など学校環境の整備と学校改築基金について
子どもの人口増に対応する教室の確保など、学校環境の整備について、党区議団として「緊急提言」もまとめ、区長、教育長に申し入れも行い、代表質問でも要望した。ご答弁は、いくつか課題がありつつ、真摯に丁寧にお答えいただいたと感じています。先週の文教子ども委員会でも質疑、ざっくりとした積算で今後の改築・改修にどれくらい財源がかかるのか。「改修で1校10億活用しても、10校程度」と、今の積み立てでは足りないとの認識した。
(1)学校改築基金への積み立ては、優先度高く進める必要があるのではないか。
課長、改築校への対応、複数校存在している。学校改築・改修の財源措置、様々な状況をみきわめた上で、計画的に確保していきたい。
今後15年間は増え続ける子どもの人口増に対応した教育環境整備を財源確保もあわせて推進して頂くよう求め、総括質疑を終了します。
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