都が是正指導 北区の無料低額宿泊所
東京都北区が無料低額宿泊所の入所者の生活保護費を施設運営者に渡しているとして、都が是正を指導したことが分かりました。施設側による代理受給は生活保護法が禁じる保護金品の差し押さえに、あたります。
26日の北区議会本会議の代表質問のなかで、この問題をただした日本共産党の相楽淑子区議にたいし、区は2000年に最初の宿泊所が開設して以降、一貫して本人ではなく施設側に生活保護費を渡してきたことを認め、12月から支給方法を是正し、窓口で入所者本人に直接支給すると表明しました。
入所者の生活保護費を一括して渡していたのは区内にあるすべての無料低額宿泊所4施設です。
入所者全員の印鑑を管理
生活保護費を福祉事務所の窓口で受け取るには本来、受給者本人の押印が必要です。そのため施設側は入所者全員の印鑑を管理。毎月、支給日になると施設職員が窓口を訪ねて生活保護費を受け取り、本人に成り代わって押印していました。 都は区などから支給方法の相談を受けるなかで事態を認識。生活保護法第58条(別項)に違反するため問題視
し、10月上旬に是正を指導しました。
月の生活費は2万円程度
天引きを助長する支給方法をとった理由について、北区生活福祉課の担当者は[本人に渡せば持ち逃げされる恐れがあり、施設側にまとめて渡せば煩雑な事務作業も簡略できると考えた。施設と区の双方にメリットがあった」と弁明します。 北区内にある無料低額宿泊所の元入所者(73)は「入所時に印鑑を預けるように言われた。月初めに渡される生活費は2万円程度しかなかった」と天引きに憤ります。
相楽区議は「区は生活保護を申請する人を宿泊所に入居させてきた。区内4施設に入る170人はすべて生活保護受給者。食事や居室が劣悪な宿泊所もあり、まともな住宅が保障されていない。公的住宅の建設を怠って宿泊所に依存してきた東京都と北区の姿勢をただしていきたい」と話しています。 |