山崎たい子委員
北区におけるいじめの実態として、夏休み前に調査した内容は、いじめかどうか学校側で判断したものではなく、子ども自身がいじめられていると感じているものを全部把握していこうというもの。その視点で対応をはかるという事が、非常に大事と考える。今後もその姿勢で臨んでほしい。
いじめの問題は子どもにとっても、親にとっても、今、本当に身近な問題。どの子どもにも起こりうると受けとめている。区内の中学校では、昨年の学校だよりで、学校でおきている「いじめ」について知らせ、学校としての努力や保護者にも子どもの話を聞いてくださいとよびかける内容がのった。いじめの問題を隠さずに、一緒に考え、力をあわせましょうという姿勢に共感した。
教育委員会が、学校、保護者、地域と一体となって取り組もうというのは、本当に大切な姿勢と受けとめている。誰かが責任をとる。誰かが処罰されるということではなく、子ども達ひとりひとりの成長のために、大人が情報を共有して、力をあわせる姿勢が大事と考える。その上で、以下、お聞きします。
問、いじめの本質は暴力と受け止めている。いじめは、被害者と加害者だけでなく、それを見ているものが、混じり合った集団の中でおきている。いじめられる側、いじめる側、まわりで見ている者が、暴力を身近にし、みなが大なり小なり傷ついている言う点で、それぞれの立場でのアプローが必要と思うが、その取り組みをお聞かせください。
教育指導課長
いじめかどうかの判定ではなく、クラスの中で辛い思いをしている子どもを救うという視点が大切と考えている。また、いじめを行なう側にも、ストレスがたまっているという場合がある。困っている子ども、辛い思いをしている子どもに対して、またそういう友達がいたらどうしたらよいかを学びあい、早期発見・早期対応を行っていきたい。
問、自分自身と向き合い、他者とつながりあうことで、子どもは必ず、変化し成長する。いじめを克服しようと正面から取り組む体験は、どのこどもにとっても成長への学びになると信じている。子どもの学びを支える教育を求める。子ども主体のピアカウンセリング等も注目されていると聞くがどうか?
教育指導課長
ピアサポート、支えあう集団づくりも言われている。学級活動の中で、どのようにお互いの良さを認め合い、支えあえるかという関係を指導してゆきたい。
問、現在のいじめは、横の関係、似たもの同士の狭い関係の中で、お互いが気を使いあっている関係をゆるくするために、ターゲットをみつけ「いじりあう」
横の関係なので、特定の子どもに集中しない、主導権もぐるぐる回る、どこに地雷があるかわからない、みえにくいという側面があるとも指摘されている。
このグループから外れたら、友達がいなくなる。少しぐらい、辛いことは我慢しようと小さな世界に閉じこもる。そうした日々の人間関係の強迫観念から解放する。広い世界、異質な世界がある。時には孤独を味わう時間も大切ということを、子どもに伝えることも必要ではないか?
教育指導課長
今は少子化の中、子ども達は孤立しがち。同質の集団しかつくれないとも言われている。昔は縦の関係、異年齢集団も当たり前のようにできていて、免疫もできていたし、何をされたら辛いのか学ぶこともできた。そうした学びを、今は1~6年生までという場面を人工的につくりながら、色々な関係性の中で、学べる工夫もしている。
問、保護者への対応について聞く。親がお互いに、子どもへの働きかけを話せる関係があると心強いが、親も余裕がなく、学校や先生に、思いをぶつける場合もあると思う。大変だと思うが、まずは聞いてほしい。そして、親はどう接したら良いのか。子どもへの接し方も発信してほしいが、取り組みをお聞かせください。
教育指導課長
いじめている側の保護者にどう協力を求めるか大事。親はつい、子どもをかばってしまうが、子どもを守ることと、かばうことは違う。いじめられている側の保護者にも、いじめている側の保護者にも、問題を解決してゆこうというスタンスをしっかり伝え、対応してゆきたい。今後、保護者へのアピールを行なう予定で準備を進めている。
問、子どもの話も聞き、親の話も聞き、今、学校や教師にそんな時間や余裕があるのか問われている。少人数学級の早期実現、教師を支援する体制の充実がますます求められている。強く要望する。
また、教師が一人で問題をかかえるのではなく、お互いに相談し、支えあって問題に取り組める体制が必要だ。「教員評価制度」で日常的に緊張を強いられ、ヘルプを出しにくい状況は改善されなければならない。
最後に、いじめの背景には、日本の子ども達がかかえているストレスがいかに大きいかということがある。国連子どもの権利委員会からも、「日本は過度な競争教育が子どもの発達をゆがめている」と2度にわたり、勧告を受けている。
グローバルに激化する国際競争に勝つエリートを育てるという競争主義的な教育制度がもたらすプレッシャーやストレスが、いじめや不登校、校内暴力、自殺など子ども達をおいこむストレスの根柢にある。
10年間で200兆円、100兆円という規模での公共投資をすすめようとの議論もあるが、年間4.8兆円、10年間で48兆円あれば、高校までの30人学級や、教育費無償化制度の実現、私学負担も3分の1にできると言われている。
政府もようやく先日、中等・高等教育の無償化に関する国際人権規約の留保、マダガスカルと日本だけ留保していたものを、撤回した。
問、国に対し、子ども達の教育条件整備のための財政保障を強く求めるべき。
教育委員会次長
国に対して、教育委員会としても、教育の向上を要望してゆきたい。
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