1、経営改革プランの見直しについて、うかがいます。
山崎委員
今、区民のくらしは、「年金が下がり、物価や税金があがって大変」「サービス残業は当たり前、長時間働いても、くらしが楽にならない」との声です。安倍首相は施政方針演説で「全国津々浦々に、経済の好循環が生まれている。」区長も北区政の基本方針で「雇用・所得環境の改善が続いている」と述べていますが、区民には、実感のない話ではないでしょうか。
この4年間をみても、家計消費は実質15ヶ月連続で、対前年比を下回り、働く人の実質賃金は、年額19万円も減少。この20年間でみると、平均賃金は年収で50万円以上も減少しています。その背景には、労働者派遣法の改悪や官製ワーキングプアなど、非正規雇用の増大があります。
今年1月末の総務省の発表。非正規雇用の割合は、1990年代半ばで2割だったものが、2016年は約4割へと急増し、調査開始以来、最も高くなった。ワーキングプアも、4.2%から、9.7%に倍増。中間層も疲弊し、「生活が苦しい」と答える方が今や6割を超えています。
私は、こうした区民のくらしの困難、今、日本社会の課題となっている子ども・若者の貧困・格差の拡がりは、雇用環境の悪化を背景にしてすすめられた、日本社会の構造的な問題、政治の責任であると考えます。
北区は、この間、基本計画を着実に実施するための、持続可能な行財政改革が必要であるとの認識で、「経営改革プラン」を推進してきました。そして、今後も着実に推進するとしています。
問1、しかしながら、北区の「経営改革」路線によって、この間、推し進められてきた職員定数の削減、事務事業の外部化、保育園、児童館、区民施設など、指定管理者制度の導入などにより、結果として非正規雇用や官製ワーキングプアと呼ばれる「働く貧困層」を、日本社会の中で増やすことにつながってきたのではないか。
あらためて、問題提起したいと思いますが、どうお考えでしょうか?
担当課長 民間活力を生かし、区民サービスの拡大、雇用拡大に寄与している旨の答弁。
サービス拡大と聞こえはいいけれど、それを体現している労働者は大変だ。
例えば、民間保育園同様、区立の指定管理保育園では、「2時間の延長保育で、朝7時から夜8時過ぎまでシフト勤務で働く。大変な負担だ。それなのに、賃金は、30代後半でも、手取りで21万円しかもらえない。サービス残業もやっている」との声を聞く。
昨年頂いた予算資料でも、保育士の常勤職員数の半分近くが退職となって、保育士さんが入れ替わる指定管理園が、一つや二つではありません。
多様なサービス拡大とコストを抑えることがセットで求められるのですから、そのしわよせは、働く人に及ぶということを認識すべき。
今年度、北区では「子どもの貧困に関する実態調査」として、アンケート調査を行いました。その中でも、保護者の就業状況の厳しさが見えてきます。
18歳未満の子どもがいる世帯全体で、正規で働いている父親は、約6割。30年前、初めて働いた人の雇用形態、総務省調査で、男性は9割以上が正規、女性でも8割が正規だった。
今は、男性で、正規は6割。女性は5割を下回り、非正規の方が上回っている。
いかに、不安定雇用が増えたかがわかる。
更に、その中でも、ひとり親家庭、北区で育成手当を受給している世帯は、非正規が6割を超えています。子どもの貧困はまさに、労働問題だ。
日本社会の雇用環境の悪化が、貧困格差を拡げている深刻さをふまえ、その視点から、経営改革路線も見直しを行うべきと要望する。
あわせて、改善策について、ILOが昨年「世界賃金報告2017年度版」を発表。近年、米、仏、独、韓国など20カ国の先進諸国は、賃金上昇率が高まったが、日本では、実質賃金が下落。「デフレリスクが増大している経済状況では、賃金の低下自体が重大なリスク要因になりかねない。」と、日本に警告。
最低賃金の引き上げによる、所得の引き上げ、非正規雇用の正社員並みの保護と均等待遇の必要性を強調している。
問2、北区の非常勤職員の待遇改善についてうかがいます。
H28年度、北区の正規職員数と非常勤職員の数をお聞きします。
担当課長 H28年度で正規2478人、非常勤547人。
4人に1人は非正規。総務省も、全国の地方自治体で働く非正規職員が65万人にのぼり、全体の2割に達したと。北区も同様。その多くが、保育園、児童館、家庭支援センターなどの福祉職場。教育現場の栄養士、最近重要な役割のSSWさんも
非常勤です。
報酬月額は、保育士20万850円、児童指導員18万5600円。栄養士201000円。SSW24万8千円。子どもの豊かな育ちを支える専門職だが、年収300万以下、手当なし、昇級なし、退職金なしというのが実情です。
問3、賃金の引き上げ、昇級や手当、正規職員への採用など、待遇改善を強く求めたいが、北区の新年度にむけた取り組み、改善状況を聞く。
担当課長、賃金面では改善ないが、育児・介護休暇の取得を要綱で適応できるようにした。
ちなみに、先ほど紹介した保育士200850円、10年前と変わっていない。児童指導員18万5600円 他区では20万1500円の区もある。北区の学童クラブでは、新年度、時間延長あり、職員確保が課題ではないか。SSW、他区では正規職員で募集している。是非、改善してほしい。
問4、臨時職員について、本会議答弁では、940円を超えると。いくらになるのか?
担当課長 970円です。
問5、最低賃金ぎりぎりだ。世田谷区では、2014年に公契約条例が可決。2016年から報酬下限額が定められた。2017年4月からは、報酬下限額が時給1020円に改定され、公契約条例が雇用改善の後押しになっている。こうした動きについて、北区の見解は?
担当課長 他区で4区実施は、承知している。情報収集に努める。
北区でも、一日も早い実施を求める。労働総合研究所の調査では、「月2万円の賃上げ」「最低賃金1500円」「働くルール確立」「非正規雇用の正規化」が実現すれば、新たな雇用創出にもなり、税収も1.4兆円増える。大きな経済効果がある。
貧困・格差の是正だけでなく、景気回復、経済活性化の本丸は、雇用改善。しっかり取り組んでほしい。
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