議員団の活動

2025年度決算に対する反対討論―野口まさと

私は、日本共産党北区議員団を代表して、ただいま上程になりました2025年度東京都北区一般会計決算の認定について、反対討論を行います。

昨年度の予算執行において、全区民に対する区民生活支援金や、子育て応援手当の支給、省エネエアコン助成、産後ケアアウトリーチ事業の実施、区独自の奨学金返済支援事業の準備、不登校支援拡充、などは住民要望の反映として評価いたします。

しかしながら以下の理由から一般会計決算の認定に反対いたします。

区民の暮らしや中小事業者の営業への支援が不十分

第1の理由は、区民の暮らしが物価高騰や長期金利の上昇等の影響により厳しい実態にある下で、潤沢な財政力があったにもかかわらず、区民の暮らしや中小事業者の営業への支援が不十分にとどまったことです。

止まることのない物価高騰。実質賃金はコロナ禍以降もマイナスで推移をし続けています。区民の暮らしは年々苦しくなり続けている中で、昨年度、財政調整基金も活用して行った区民生活支援金については区民全体への大きな助けにはなりましたが、それでも生活必需品全体に及ぶ物価の上昇を考えると、これだけでは十分とはいえません。そして区民に経済的な余裕がないことは、そのまま区内中小事業者の経営にも影響します。区内事業者からは、コロナ禍当時の融資も未だ返済中で、これ以上は借り入れをしても返済の見通しが立てられず、商売を続けることも限界だとの声も上がっています。

こうした中、住民に最も身近な存在である北区政に問われていたのは、物価高騰から区民の暮らしと中小事業者の営業を守るために、どれだけ親身な支援ができるかということでした。

会派は、昨年度予算の審議にあたり、課税標準額100万円以下の納税者や家計急変世帯、介護や障害サービス従事者を対象とする区独自の物価高騰対策臨時給付金の支給をはじめ、中小事業者への直接支援、家賃補助制度の創設、学用品や修学旅行など教育費の無償化、国保料の子ども均等割5割減額の拡大など、暮らしと営業を応援する総額29億円余の予算組み替え動議を提出、その財源として、2024年度末に残高が228億円に達していた財政調整基金の一部を活用することを提案しました。

組み替え動議は議会の賛同を得られず実現に至りませんでしたが、2025年度決算では財調基金の残高は256億円と前年度を上回る規模にまで達し、当初の残高見込み174億円を、82億円も上回ることになりました。この結果をみれば、私たちが提案した諸施策は、財政的にも十分実現が可能だったのではないでしょうか。

積みあがった財調基金は、区民の暮らし・中小事業者の営業の支援に、最優先で活用することを求めます。

新自由主義の「行革」路線に固執する姿勢

第2の理由は、貧困と格差を広げる「行財政改革」を政策の第1に掲げ、職員削減、外部化、受益者負担を基軸とする新自由主義の「行革」路線に固執する姿勢です。

決算審議では、官から民への流れを加速させる「北区経営改革プラン2024」の下で、人件費の抑制が、特に介護・障害福祉の現場で働くケア従事者などの賃金や処遇に影響し、その改善が十分図られていないことを指摘しました。

今回、ヒューマンエラーと説明のあった特別養護老人ホーム、やまぶき荘大規模改修工事における区の積算誤りについての審議を通じて、ここ数年の区有施設の大型案件の増加や契約不調が相次ぐ中、営繕課など関係職場の業務が過重となっている状況が明らかとなりました。さらに原因を掘り下げれば、職員増員の需要があってもなお、職員定数を大幅に削減し続けてきたことが、問題を起こした大元にあるのではないでしょうか。

そもそも日本における公務員数は、雇用者のうち5%程度と、OECD加盟国の平均18.4%を大きく下回るといわれており、加盟国では最低の割合となっています。そして北区においては現在も、「職員定数管理計画」のもと、公務員数の削減をさらに加速させようとしています。

北区がこの間、削減してきた職員数の数をあげると、昭和58年度からの第一次・第二次行革で599人、平成12年度からの北区緊急財政対策で298人、平成17年度から始まった北区経営改革プランでは、平成26年度までに517人削減しました。

さすがに減らしすぎたのか、平成27年度からの経営改革プラン2015では5年間で71人を削減する予定でしたが、保育園の待機児解消などのため89人の増員となりました。令和2年度からの経営改革プラン2020でも、4年間で54人を削減する予定が、コロナ禍などのため61人の増員になりました。

結局、計画で職員を減らそうとしても現実には職員が足りず、増やさざるを得ないということです。

ところが、一昨年に策定された職員定数管理計画2024では、6年間で57人の増員としているものの、100人超の増員を見込んでいる児童相談所を差し引けば、実質的にはまたしても削減の計画となっています。

長期的にみれば、このことが、営繕課の職員不足となり、資料のチェック体制など業務遂行に支障を来しているということはないのでしょうか。また、営繕課のみならず、学校や介護現場などあらゆる部署で深刻な職員不足による弊害が生まれています。

今回の新聞報道に係る検証結果を受け、再発防止にむけた職員体制の強化やスキルの向上とともに、新自由主義の「経営改革」路線を抜本的に見直し、職員が安心して仕事ができる環境づくりを推進するよう求めます。

公民連携による大型開発中心のまちづくりを推し進める姿勢

第3の理由は、駅前にタワーマンション建設を呼び込む市街地再開発計画など、公民連携による大型開発中心のまちづくりを推し進める姿勢です。

タワーマンション建設を伴う市街地再開発事業は、東京一極集中を加速させ、周辺の地価高騰を引き起こしています。さらにこれが借地料や家賃の高騰などにも連鎖することによって、生活物資の高騰と合わせて深刻な庶民の生活困難を引き起こしています。

市街地再開発事業については、東京新聞が、「昨年10月末時点で事業認可が行われている、東京の再開発事業の9割が工期の遅れや事業費の増加が生じている」と報道したように、各地で行き詰まりに直面しています。区内の市街地再開発についても、現在事業中の赤羽一丁目第一地区において、昨年度一年間はまるまる事業計画の見直しに費やされました。今年度に入っても事業は停滞したままとなり、竣工予定時期は、すでに当初計画より3年3か月も遅れることになっています。このような状況下でも北区は、引き続き、赤羽、王子の駅周辺まちづくりで、今後も市街地再開発計画を進める方針です。

すでに事業が完了した十条駅の再開発においては、竣工から間もなく2年となりますが、商業区画であるジェイトモールはいまだに空き区画があり、入居した区画も一部は事務所になっているなど、再開発以前の賑わいを取り戻したとは思われません。さらに住戸区画については、実際に住民票を移して生活をしている戸数は3分の2程度と思われ、一部では、当初販売価格の1.5倍程度の価格での転売が行われていることも確認できます。都内含めた各自治体では、空室税の検討など、転売防止のための対策を事業者に求めるなどの動きも出てきたほか、中央区では、事業者自身による転売対策が取られることになりました。さらに国においても、「実需に基づかない投機的な取引を規制するための検討」が始められたと報道されています。しかし依然北区においてはこのような規制を設けることには消極的です。

結局のところ、この事業には国と自治体で約240億円もの税金が投入されましたが、基本構想で「にぎわいとやすらぎを奏でるまち―十条」という将来像を掲げているものの、住民にとっての賑わいや安らぎにはつながらず、参入したディベロッパーなど民間大企業が巨額のもうけをあげ、権利床を除いた約400戸の分譲物件は、企業や海外投資家による投機・投資の対象とされる事態を招いたのが十条の市街地再開発の姿ではないでしょうか。いったい、誰のためのまちづくりかが、根本から問われる結果です。

こうした現状をふまえて、北区においては、市街地再開発事業を推進するまちづくり方針は抜本的に見直し、まちの個性・魅力・歴史を残す修復型のまちづくりに転換することを求めます。

なお、3特別会計の認定については、いずれも賛成することを申し添えておきます。

決算審査で提案した要望について

最後に、決算審査の中で提案した諸課題について、以下、要望をします。

1、桐ヶ丘やまぶき荘にかかわる予定価格の過大見積もりの検証については、さらなる情報公開に努め、「北区が予定価格を意図的につり上げているのではないか」などの区民の疑念を晴らすよう努めること。

2、残高が増え続ける特別区債については、昨今の金利上昇をふまえ、後の世代に負担を残さないよう発行を抑制すること。また不要不急の大型事業は抑制を図ること。

3、増加する外国籍住民への対応として、外国籍住民の要望を広く聞く仕組みづくりと、要望をもととした政策の策定を行うことで、いっそうの「多文化共生推進」を図ること。

4、訪問介護報酬引き下げにより、経営が困難な状況に置かれている小規模訪問介護事業所に対する支援を行うこと。

5、2013年から2015年にかけての生活保護基準引き下げに対する最高裁での違憲判決を受けて、過去に生活保護を受給していた世帯に対しても、区の保有する情報を最大限活用して、追加給付につなげるよう努力すること。

6、国民健康保険料については、収入のない子供にまでかかる保険料の負担をやわらげるため、均等割5割軽減を18歳以下まで拡大すること。

7、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料のそれぞれが、被保険者世帯にとっては重い保険料設定となっていることから、減免制度の活用と、未納となった世帯に対する実態にそくした執行停止を行うとともに、保険料負担そのものの負担軽減に取り組むこと。

以上、2025年度一般会計の認定に対する反対討論といたします。ご清聴、ありがとうございました。