山崎たい子

2026年第3回定例会個人質問―山崎たい子

私は、大きく3点、若者政策やジェンダーギャップの取り組み、グリーンインフラや防災まちづくりについて質問します。

1、若者がいきいきと暮らせる北区を

1つめは、若者がいきいきと暮らせる北区です。

私は若者の声やニーズを区政に反映し、若者にとっても暮らしやすい北区となるよう質問を重ねてきました。北区では今年度、若者未来応援担当部を設置し、今議会にはご寄付を原資とした若者基金の創設が提案されました。若者政策に本腰を入れて取り組もうとしていることに期待しています。

(1)「北区若者meeting」などについて

はじめに「北区若者meeting」についてうかがいます。

8月28日、北とぴあにて開催され私も見学しました。15歳~39歳までの皆さんが4つのグループに分かれ、「北区とつながる 若者が考えるもっとイイ方法」や「若者活躍応援・支援宣言」などのテーマでトーク。「楽しいことがしたいと思って参加しました」、「オンラインもあるが、オフライン、面と向かって話がしたい」、「若い人が集まれるカフェやフリースペースがほしい」、「何か始める時、気軽に相談ができる場があれば」、「若者が一日区長をやってみたい」、「色々な機会で若者の声を聞かせてとよびかけて」などの声をお聞きし、人との出会いや挑戦を応援してほしいとのニーズを受けとめました。

また、話し合いには参加しないが、足を運んでくれた若者の声を「アイデアボード」やアンケートで集めるなど、声を可視化し気軽に参加できる工夫も良かったと感じています。

「若者meeting」を開催した北区の感想、振り返りについてお聞かせください。また、2回目は10月に大学キャンパスで実施されますが、今後、寄せられた声をどう区政に活かそうと考えているかお聞きします。

【答弁】

第1回北区若者meeting は、若者から対面で意見を伺う機会として初めて実施したもので、若者と行政との距離感を埋め、若者の地域活動や区政への参画を促進するためには何が必要かをテーマに意見交換を行いました。

その中で、区の取組みや地域活動への参加意欲を持つ若者や、挑戦への支援を期待している若者が多かったことから、若者の参画を促進するためには、情報発信の工夫に加え、若者が行政をより身近に感じられる関係づくりが重要であることを認識いたしました。

区といたしましては、こうした若者の生の声を直接伺えたことは、今後の若者施策を進めるうえで大変貴重な機会であり、大きな意義があったものと受け止めております。

次回の北区若者meeting では、第1回で得られたご意見を踏まえ、行政と若者の距離を縮めるための具体的な手法や、次年度以降の若者meeting の在り方、若者に届く効果的な情報発信の方法などについて、より議論が深まるように取り組んでまいります。

また、北区若者meeting で寄せられたご意見や課題については、庁内で共有し、連携を図りながら、若者が地域や区政に参画しやすい環境づくりにつなげてまいります。

2017年の若者幸福度調査で第1位の北欧スウェーデンでは、全国の市に約100名の若者で構成される「若者協議会」があり、ヨーテボリ市では、毎年、数百万円の予算が市から充てられ、若者が出会う場や活動を拡げる提案や計画に自由に予算を使えるようにしています。

そこで大事にされているのは若者の「おもしろいこと、やりたいこと」、若者の主体性です。

北区でも、若者は市民社会をつくるパートナーとして位置づけ、若者自身の企画・実践に対し、予算を確保し取り組んではいかがでしょうか。

【答弁】

若者を単に支援の対象として捉えるのではなく、地域社会をともにつくるパートナーとして位置づけ、その自由な発想や感性を区政や地域づくりに生かしていくことは、重要であると認識しております。

また、若者自身による企画や自主的な活動を後押しすることは、若者の社会参加や自己実現に加え、地域の活性化にもつながるものと考えております。

区といたしましては、北区若者meetingでいただいたご意見を踏まえ、若者の主体的な活動の実現につながる望ましい支援の在り方について、引き続き検討してまいります。

(2)奨学金の負担軽減や若者の第3の居場所について

次に、奨学金の負担軽減や若者の居場所についてうかがいます。

先に紹介したスウェーデンは、若者政策の年齢は13歳~25歳ですが、若者世代への「投資」規模が大きいことが、日本とは異なるところです。

例えば大学も学費を負担する必要がないことに加え、奨学金制度が充実し、学生でフルタイムの就学であれば、毎月返済不要の奨学金を4万円、返済型を約10万円、両方で計14万円が、個人所得に関係なく希望者すべてに支給されます。

更に、学生若者割引も充実し、電車やバス、カフェ、携帯料金の他、住宅も学生価格で住めるなど経済的な障壁によって就学や余暇の機会が失われることがないよう、公が保障しています。

北区では、今年度から大学等の奨学金返済支援給付事業を独自にはじめたことは重要な取り組みです。今年度の申請書類の提出期限は7月31日でしたが申請状況についてお聞かせください。

【答弁】

奨学金返済支援給付事業の申請状況については、本年7月末日を申請期限として募集を行ったところ、募集人数100名に対し、31名の申請がありました。

区としましては、今回の申請状況を踏まえながら、本事業の趣旨である若年層の定住促進につながるよう、制度の充実に取り組んでまいります。

また、昨今の金利上昇で「100万円近く返済額が増えるかもしれない」と悲痛な声が寄せられています。利子つきの2種とあわせ無利子の1種を借りていても、卒業年次を超えており、対象期間に該当せず申請できなかった方もおりました。

そこで、すでに一定の返済を行っている方も含め、対象を拡充するよう求めます。

【答弁】

本事業は、大学等卒業後の若年層の区内定住促進及び区外からの転入促進を目的としています。

次年度の募集に当たりましては、初年度の募集状況等を踏まえ、本事業の目的である区外からの転入促進及び若年層の定住促進をより効果的に進めるため、対象者を拡充する方向で、制度内容の見直しを進めているところです。

詳細については、所管委員会でご報告いたします。

国に対し、貸与型奨学金の利率据え置きや返済額の軽減・猶予など緊急的な負担軽減措置や、長期的には無利子・給付型奨学金を中心とした制度移行を要請するよう求めます。

【答弁】

奨学金返還の負担につきましては、若い世代にとって大きな課題であると認識しております。

区ではこれまでも、貸与型奨学金の償還を支援するための制度の拡充や、給付型奨学金の対象拡大等について、特別区長会や特別区教育長会を通じて、国や都に対する働きかけを行っており、引き続き、要望してまいります。

今後も、教育委員会として、若者の学びを支えるための支援の充実に向け、取り組んでまいります。

次に、若者の第3の居場所ついてです。

若者の余暇の権利を考える際、すべての若者に開かれ、利用料は基本的に無料。誰でも自由に出入りして時間を過ごし、交流や様々な活動ができる「ユースセンター」的な第3の居場所が必要と言われています。

文京区では、先月7日から、区内の19歳~39歳の方を対象とした居場所、「文京ユースナイトラウンジ」が開設されました。古民家のレンタルスペースを活用し、毎週金曜日の午後6時~10時。仕事や勉強、読書など、目的を問わず気軽に立ち寄れる。若者同士のつながりを目的とした交流イベントや、スキルアップ講座も月2回実施。くらしや仕事の悩みを専門家に相談もできるとのことです。

北区でも、ユースセンター的な若者の第3の居場所を、若者と一緒に、創出・検討するよう求めます。

【答弁】

若者が気軽に集い、交流や様々な活動ができる居場所は、若者の健やかな成長や社会参加を支える上で重要であると認識しております。

北区若者meeting においても、若者同士がつながる場を求める意見や、行政に対して敷居の高さを感じるといった意見が寄せられており、若者が安心して自分らしく過ごせる居場所の必要性については、区としても認識しているところです。

今後も当事者である若者の声を丁寧に伺いながら、若者が気軽に集い、交流や活動ができる環境の在り方について、引き続き検討してまいります。

(3)住宅支援について

住宅支援についてうかがいます。

「北区若者Meeting」でも、「区内には高校や大学がいっぱいあるのに、家賃が高くて北区に住めない。学生マンションをつくって家賃を安くする。その運営を若者が担うなど取り組んでは」との声も出ていました。

今年2月、労働者福祉中央協議会が、30代以下の働く若者(単身者は個人年収500万円未満、既婚者は配偶者とあわせて年収700万円未満)の3000人を対象に実施した「若年層における住宅に関する意識・実態調査」の結果では、若者の過半数が生活を「苦しい」と感じ、収入の4分の1以上は住宅費で消え、住宅費が「かなり負担」33.5%、「やや負担」41.9%と、負担を感じている人の割合は75.4%、低・中所得層の若者の大半が、住宅費に負担を感じており支援の必要性が明らかとなりました。

北区でも若者向け低家賃アパートや公営住宅の整備、家賃補助、空き家活用など、若者の住宅費負担軽減を正面から検討するよう求めます。

【答弁】

区では、セーフティネット住宅の確保に努めるとともに、今年度、子育て・若年層世帯の居住支援として、区営住宅の定期使用許可制度を創設し、本年11月に入居者募集を行います。

また、NPO法人との連携により、空き家のワンストップ相談窓口を開設し、空き家の利活用による子育て世帯などの住宅確保要配慮者の居住支援に、一層努めてまいります。

区といたしましては、本年3月に策定した「東京都北区住宅マスタープラン2026」に掲げる住宅施策を着実に実施し、子育て世帯や若年世帯が住みたくなる住環境づくりを推進してまいります。

(4)若年健診やユースクリニックなどについて

4つめに、若年健診やユースクリニックについてお聞きします。

私は先日、若者から「北区の若年健診は30歳~39歳まで。20代でも受けられるようにしてほしい」との声や、「物価があがり生理用品を買うのも大変」「心や身体のことを気軽に相談、カウンセリングしてもらえる場所があるといい」との声も頂きました。こうした声に応え、北区の若年健診を20代でも受けられるように、また、若年健診の内容についても、レントゲンや血液検査を区民健診同様とするよう求めます。

また、会派では数年前から、「東京ユースヘルスケア推進事業」を活用し、10代~20代の若者が心や身体、性の悩みなど思春期特有の悩みを、専門家に無料で相談できる北区版ユースクリニックの創設を求めてきました。先日、東京都のR8年度ユースクリニック補助事業の結果が公表され、区内の「十条こどもクリニック」が対象となり、とても嬉しく感じています。

北区では区立中学校において、「東京都の手引き」にもとづき、区内の産婦人科医を外部講師とした「包括的性教育」講話も計画的にすすめられており、生徒さん達への個別フォローも含め、学校と医療機関が連携、相談できる体制を大切にしていると承知していますが、区内でスタートする「ユースクリニック」とも連携し、若者のSRHR性と生殖にかかわる健康と権利への取り組みをすすめて頂くよう求めます。

【答弁】

次に、若年健診について、お答えいたします。

現在区では、30歳から39歳までの方を対象に若年健康診査を区内医療機関において実施しており、昨年度の受診者数は770人でした。

現行の若年健診は、北区医師会と協議し、医学的見地等から対象年齢や必要な健診項目を定めたうえで実施しております。

若年から健診を受けることで、生活習慣病の予防をはじめ、健康意識を向上させていくという本来の目的を踏まえ、対象年齢や健診項目の拡充については、今後、国や東京都などの動向を注視してまいります。

続いて、ユースクリニックについて、お答えします。

国は「プレコンセプションケア推進5 か年計画」を策定し、妊娠・出産を含めた将来のライフデザインを考えながら健康管理を行う取組と位置付け、知識の普及と相談支援の充実を進めることとしています。

国の計画において、一般相談と専門相談の双方の充実が示されていることから、オンライン相談などの一般相談を入口として、相談内容に応じて専門医療機関やユースクリニック等へ適切につなぐ切れ目のない支援体制の構築が図れるよう、円滑な連携の確保を図ってまいります。

(5)ヤング・プレースレスの取り組みについて

ヤング・プレースレスの取り組みについてうかがいます。

私は、親に頼れず、家庭や学校に居場所がないなど、社会的に孤立している若者へのかかわりについても質問してきました。若者の中には、SOSの出し方がわからない。自分が支援される立場だと思わないという方もおり、どう信頼の関係性を築いていくか課題があります。

今年3月、そうした若者の課題をわかりやすく伝えるため、超党派の「ヤング・プレースレス議員連盟」が発足しました。ヤング・プレースレスとは、「物理的な場所がない」だけでなく、心理的なつながりや、社会的セーフティネットからこぼれてしまう若者の現状を表現し、支援の必要性を伝えるキーワードです。

超党派議連の立ち上げにかかわった、特定非営利活動法人サンカクシャは、北区内にも活動拠点があり、若者が安心して過ごせる居場所、シェルターやシェアハウスなど居住支援、働きたいに伴走する社会さんかく事業の他、SNSなど若者とつながる入口をつくるアウトリーチと多彩な取り組みを、行政や社会福祉協議会、企業、NPO、地域とのかかわりで拡げています。

北区でもこうした若者支援団体と連携し、「ヤング・プレースレス」への取り組みをすすめるよう求めます。

【答弁】

若者が安心して自分らしく過ごせる居場所については、先ほどご答弁申し上げましたとおり、区としても必要性を認識しているところです。

若者に対する支援については、単に場所を設けるだけでなく、行政、民間企業、NPO など、多様な主体が連携して支える視点も重要であると考えております。

今後も国の支援制度や先行自治体、民間団体等における様々な取組について情報収集を行い、若者にとって安心して継続的に頼れる支援の在り方について、引き続き検討してまいります。

2、ジェンダーギャップ解消の取り組み推進を

第2の質問は、北区におけるジェンダーギャップ解消の取り組みです。

私はこの夏、ジェンダーギャップ解消に、自治体として正面から取り組んでいる兵庫県豊岡市を視察してきました。同市では、地域の仕組みそのものを見直すため、職場、家庭、地域、学校を含めた「まち全体」のジェンダーギャップ解消を10年計画の長期戦略で推進しています。

その背景には、市の人口が2020年までの5年間で30%減少したこと。高校卒業後に市から8割~9割は転出し、20代の男性は2人に1人は戻ってくるが、女性は4人に1人しか戻ってこない。その分析では男女の賃金格差、ジェンダーギャップが大きく、男性中心社会があるとわかり、あらためてショックを受けたとのこと。

女性が、「暮らし働く価値を見出し、住みたいと思う町を創り上げない限り、次世代へ持続可能な町を引く次ぐことはできない」と、市長先頭に危機感を市全体で共有し、女性活躍ではなく、経済的、社会的、公正さに欠けているアンフェアな状態を解消し、フェアな社会をつくろうと予算を確保、専門家など必要な人材を配置し、分野横断的な取り組みを実施してきたとのことでした。

私はそのお話から、これは地方都市だけの話ではなく、日本社会全体で取り組み、北区でも活かすべきだと感じました。

(1)「まち全体」のジェンダーギャップ解消計画について

そこで、若者や女性が尊厳をもって働き暮らし続けられる北区をめざし、豊岡市に学び、職場、家庭、地域、学校を含めた「まち全体」のジェンダーギャップ解消を、計画的に進めるよう求めます。

【答弁】

ジェンダーギャップの解消には、社会全体で意識を変えていくことが重要であると認識しています。

区では、北区男女参画行動計画第7次アゼリアプランにおいて、全ての区民が、性別にとらわれることなく、人権を尊重され、安心して暮らし、学び、活躍し、参画できることを基本目標に掲げ、様々な施策を展開しています。

現在、計画に基づく施策について、昨年度の実施結果を取りまとめており、今後、専門家や学識経験者を含む男女共同参画審議会において、施策の実施状況や今後の方向性について審議いただく予定です。

また、男女共同参画月間における講演や映画会、5週連続で行う「さんかく大学」などを通じてジェンダーギャップ解消について、継続的に啓発を行っています。

さらに、若年世代に対しても、女性が様々な分野で活躍する姿を伝える出前講座を中学校や高等学校で実施するなど、普及啓発にも取り組んでいます。

豊岡市をはじめ、他自治体の取組は参考になると認識していますが、自治体ごとに人口構成や地域特性、抱える課題が異なるため、区の実情に応じた取組みを進めることが重要と考えています。

区では、今後の男女共同参画審議会での議論や、施策の検証も踏まえながら、引き続き第7次アゼリアプランに基づく取組みを着実に推進することで、ジェンダーギャップの解消につなげてまいります。

(2)職場における取り組みについて

次に、同市がまっさきに着手した、職場における取り組みについてうかがいます。

豊岡市では2018年、市内の企業におけるジェンダー平等の核となる、「ワークイノベーション推進会議」を16事業所で設立。「女性従業員の3分の2以上が働きやすい職場にする」という目標をたて、働きやすさ働き甲斐に関する匿名の「従業員意識調査」を行い、その改善を経営者に正面から取り組むよう要請。

例えば、残業の削減。男性育休の導入。評価基準の改定。女性管理職の増加など、経営者の意識改革、女性のキャリア形成支援、先進事業所の可視化などです。

そして、事業所が取り組みやすくするために、ステップアップを設け、段階的に成長投資、促進補助金を市が付与するなどインセンティブも行った結果、男性職員の意識改革や育児休業取得が進み、2019年の取得率は10%台だったものが、2025年は60%台へアップしたそうです。

一方、中小企業においては、昨今、従業員の賃金を上げたくても、経営環境が厳しい中、自治体の後押しでは、ワークイノベーションも賃上げも、両方、実施することが推進のカギだと考えます。

そこで、北区でも、区内企業における、「従業員意識調査」など推奨し、経営側の主体的な雇用環境の改善をはかるための支援、更に、従業員の賃金引上げへの直接支援など、インセンティブ補助金を実施するよう求めます。

【答弁】

北区ではこれまで、SDG’s推進企業認証制度や、子連れワーク環境整備支援事業などを通じて、区内中小企業における多様な働き方の推進に取り組んでまいりました。

また、働きやすい職場環境の実現に向けては、事業者が従業員の声や職場の課題を把握し、自主的な改善につなげていくことが重要であると認識しております。

引き続き「産業活性化ビジョン2026」を踏まえ、職場環境の整備に対する支援の充実を図るとともに、従業員意識調査などの有効な取組みについても情報提供に努め、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めてまいります。

また、人材確保や定着に向けた賃金引上げの重要性を踏まえ、賃上げに取り組む区内中小企業に対する支援について、区が実施する各種補助制度におけるインセンティブ付与のあり方も含め、引き続き、検討を進めてまいります。

3、樹冠被覆などグリーンインフラと防災のまちづくり

最後の質問は、樹冠被覆などグリーンインフラと防災のまちづくりです。

気候変動の下、今夏も熱中症やゲリラ豪雨の被害が相次いでいます。気候危機から、区民のいのちを守るまちづくりを更に強化することが必要です。

(1)樹冠被覆について

はじめに、樹冠被覆についてうかがいます。

高い樹木の下に行くと涼しく感じるように、樹冠被覆率は「緑の日傘」の役割で木陰を生み出し、都市を冷却し、生物多様性を支える樹木そのものを測る指標であり、30%で都市熱による死亡の約4割を防げると試算されています。

そのため、最近では、メルボルン市が、2012年時点で20%だった樹冠被覆率を、2040年までに40%に、ニューヨーク市でも現状22%を30%に引きあげる計画を発表しました。こうした目標達成には、今後10年あまりで200万本近い木を植える必要がある数値ですが、世界の主要都市は気候危機打開のため、街路樹と樹冠被覆を30%~40%へと推進するのが主流となっています。

一方、東京都内の樹冠被覆率はどうなっているでしょうか。

東京大学大学院での研究グループ調査によると、東京23区では2022年までの9年間で、樹冠被覆は9.2%から7.3%と減少、約2割が消失したと発表されました。その主な原因は、開発や樹木の伐採です。

現在、東京都では、仮称「緑の広域計画」中間案を策定していますが、樹冠被覆率という概念や意義が示されておらず、専門家からも強い危機感が示されています。そこでうかがいます。

北区は樹冠被覆率についてどう認識しておりますか。北区緑の基本計画でも実態を把握し、改善のための数値目標を示し、目標達成の具体的施策へとつなげる必要があると考えますが区の見解をお聞かせください。

【答弁】

緑を測る指標の一つとして、樹木の枝葉が地表を覆う割合を示す樹冠被覆率があると認識しています。

また、樹冠被覆率に関する研究や報告がなされていることは承知しています。

現時点で樹冠被覆率を計画上の指標や数値目標として位置付ける考えはございませんが、国や東京都の動向、他自治体の取組状況を注視しながら、情報把握に努めてまいります。

なお、5年に1度実施している緑の実態調査においては、草地等を除いた、樹木・樹林により緑でおおわれた土地である「樹木被覆地」について状況を把握しています。

(2)防災のまちづくりについて

防災のまちづくりについてうかがいます。

王子駅前地区計画案が示され、すでに任意の住民説明会が開催されています。

地域住民からは、「地震や水害リスクを考え、王子駅周辺まちづくりを王子地区全体の防災拠点にしてほしい」、「石神井川と隅田川を船で結び、被災者支援の拠点を整備すべき」との声もいただいています。

現在の再開発計画案にも防災機能の充実として、建物間をデッキで結ぶ「水害に強いネットワーク」、災害時にも機能する災害対策拠点と掲げていますが、その内容は、住民の要望に十分応える内容になっているのでしょうか。

例えば、大規模な一時避難・垂直避難スペースの確保。その規模にみあう飲料水・食料・簡易トイレ・毛布等の備蓄、非常用発電設備の確保、災害医療や応急救護スペースの設置、災害時の物資・配送拠点として石神井川・隅田川を利用した舟運を可能とするなど、王子・豊島・堀船をはじめ低地部全体を支える広域防災拠点として機能するよう求めます。

【答弁】

はじめに、王子·豊島·堀船をはじめ低地部全体を支える広域防災拠点として機能するよう求めることについてです。

王子駅前地区では、防災拠点となる新庁舎とつながりのある建物群を形成し、命を守る高台をつくることを基本方針とし、「一団地の都市安全確保拠点施設」を都市計画に位置付け、災害対応拠点を形成して、地域住民等の安全・安心の確保に資することとしています。

具体的には、震災時の帰宅困難者や水害時に高台へ逃げ遅れた方のための、一時滞在施設や退避スペースを確保するとともに、日用品・消耗品・医療物資等の備蓄を整備する予定です。あわせて、王子駅前まちづくり整備計画実施基準に基づき各建物等の特徴に合わせた機能・役割分担を踏まえ、地域や関係機関との連携を強化してまいります。

なお、災害時の舟運による物資輸送ルートの整備については、王子駅周辺まちづくりグランドデザインにおいて展開施策案として位置付けており、引き続き検討してまいります。

8月22日の集中豪雨の際、石神井川上流の城北中央公園調整池はどのような働きをしたのかお聞かせください。また今後のゲリラ豪雨に備え、民間施設を含め大規模地下調整池の確保や、高木による樹冠被覆を大規模にすすめ雨水を蓄える機能向上をはかるよう求めます。

【答弁】

本調節池は、東京都が都立城北中央公園内に整備中の地下箱式の調節池で全体の貯留量は約25万㎥となっています。

現在は一期工事の約9万㎥が完成し、大雨時の取水が開始されており、8月22日の集中豪雨では、約6,200㎥を取水して、その効果を発揮したと考えています。

次に、雨水を蓄える機能向上についてです。

王子駅前地区では、大規模地下調整池の整備は予定しておりませんが、「飛鳥山をまちなかにつなぐ」というコンセプトのもと、公共施設整備や民間開発等の様々な機会を捉えて積極的な緑の創出を推進していくなかで、グリーンインフラの考え方を取り入れ、雨水流出抑制等に資する対策に努めてまいります。

そのためにも、高さ190m、住宅戸数2,000戸の不動産価値最大化ありきでなく、高さと戸数を抑え、今後100年の王子東地区を支える防災拠点、緑・医療・子育て・ユースセンターなど公共施設・観光も含めまちの魅力を向上させる公共貢献と事業採算のバランスをとるべきと考えますが、北区の見解を伺い質問を終わります。

【答弁】

王子駅前地区のまちづくりにおいては、みどりやオープンスペースの確保、歩行者デッキや一時滞在施設の整備等による災害対策をはじめ、道路整備や地下通路のバリアフリー化などを開発事業者が行うこととしています。

また、にぎわいと交流を創出するホテルや子育て支援施設の整備も計画されており、これらは、いずれも王子駅周辺まちづくりガイドラインを踏まえた提案であり、再開発等促進区などの基準に基づく容積率の評価は適切であると考えています。