プロフィール

2012年11月20日

2012年第4回定例会 個人質問

子どもの健やかな育成のために

私は、花川区長および伊予部教育長に、子どもの健やかな育成の問題にしぼって質問いたします。

今年度、東十条小学校で放課後子どもプランのモデル事業が始まりました。これは、これまで9つの小学校で実施されてきた放課後子ども教室と学童クラブとをあわせて運営し、子どもたちに放課後の新たな遊び場を提供するものです。来年度から7年かけて区内38の全小学校へ導入する計画にあわせ、区は今年度中に「今後の児童館のあり方に関する基本方針」を策定するとしています。

安全で安心な放課後の居場所ができることは歓迎すべきですが、保護者や子育てに携わるみなさんから、次のような心配の声も聞かれます。

「本当に地域に根をはった放課後子どもプランになるのか」。

「今後、学童クラブが縮小されたり、廃止されたりするのではないか」。

「子どもが楽しみにしている児童館がなくなってしまうのではないか」。

子どもをめぐる状況が大きく変わろうとしている時期だけに、こうした声もふまえながら、以下、順次質問いたします。

放課後子どもプランについて

まずはじめに、放課後子どもプランについてです。

東十条小学校でのモデル事業の検証について

第1に、東十条小学校でのモデル事業についてお聞きします。

東十条では、日曜・祝日などを除くほぼ毎日、夏休みの期間もふくめてプランが実施され、校庭、体育館、家庭科室などを使って、ドッジボール、サッカー、卓球、手芸、室内ゲームなど、児童たちが楽しく放課後を過ごしているとのことです。

そこで、まずお聞きします。

これまでの実施をふまえ、区として、モデル事業での評価点や今後にむけた改善点をどのようにとらえていますか。登録児童の割合やプランへの参加率もあわせてお答え下さい。

区の答弁

東十条放課後子どもプランにおける平成24年10月現在の登録児童数は、学童クラブの児童もあわせて313人で、86%の児童が登録しています。10月における平日の参加率は、36%となっております。

このたび、児童、保護者を対象にアンケート調査を実施いたしました。所管の委員会で集計結果をご報告いたしますが、「放課後子どもプラン事業についてどのように感じていますか」という問いに対し、回答いただいた登録児童の保護者の90%を超える方が「満足」まはた「やや満足」とのお答えで、また、子供たちについても、「放課後子どもプランについてどう思いますか」という問いに対し、回答した参加児童の90%が「満足」または「やや満足」と答えています。

校庭や体育館などを使った遊びや、教室での学習、ゲームなど多彩なプログラムが、子供たちにとって魅力的なものだったと考えています。

主な課題としては、学校、学童クラブ担当、放課後子どもプランの一般登録担当相互の意思の疎通に手間取ることや、体育館が使用できない際の雨天時の活動場所の確保などがあります。

また、日曜日、祝日、年末年始以外はすべて実施となり、さらに夏休みなど長期休業期間は朝からの実施となるため、人員の確保面で、地域の方々にかなりのご負担をおかけしている現状があります。

もともとこの事業は、地域社会全体で地域の子どもたちを見守ることを目的とし、地域の教育力向上をめざすものです。

東十条では、地域リーダー2名に、児童館長と教育委員会の担当職員が務めるマネージャーが2名、その他、児童指導員や地域スタッフ、地域コーディネーターなどで、総勢10数名の手厚い体制でプランが運営されています。それを支える実行委員会には、学校、児童館、PTA、町会・自治会、青少年地区委員会、民生・児童委員など、幅広い地域の方々が加わっています。

プランに携わっている方々からも「地域の人たちが関わっているからこそできる事業だ」「子どもの成長に対する地域の底力を感じる」などの感想を耳にしています。

そこで、お聞きします。

東十条のモデル事業における「区職員および地域スタッフによる直営方式」と手厚いスタッフ体制は、地域全体で地域の子どもたちを見守る上で、今後導入されるプランに踏襲されるべき基本形になると思いますが、区の評価をお聞かせ下さい。

区の答弁

今後導入するプランの運営体制については、東十条の例をひとつのよりどころとしながらも、各学校ごとに放課後子どもプランの運営にかかわる方々などのご意見もふまえながら、地域の実情にあった運営体制について検討し、柔軟に対応すべきものと考えています。

来年度の導入計画について

第2に、来年度に導入を予定している4校についてお尋ねします。

今年度、子どもプランに移行した東十条を除いて、8つの小学校で放課後子ども教室が実施されています。この間、私も実際に子ども教室に足を運び、元気に遊ぶ子どもたちの姿にふれてきました。早いところでは6年前から実施されいる子ども教室、責任者の方も「年月を重ねてようやく地域に定着してきた」と、実感をこめておっしゃっていました。

ところが、来年度導入の4校のうち、浮間小学校以外の3校では子ども教室を実施しておらず、いきなりのプラン実施となります。

そこで、お尋ねします。

プランへの移行を円滑に進めるためには、すでに放課後子ども教室を実施している学校から導入を始めるべきと考えますが、あらためて導入校の選定理由について区の考え方をお示し下さい。

区の答弁

来年度導入校の選定については、放課後子ども教室も含め、放課後対策事業実施校の増加を図るため、これまで実施していなかった学校も視野に入れて検討してまいりました。

導入を円滑に進めるために、学校内に学童クラブがあることや、余裕教室などの物理的な条件と地域バランスも考慮し、地域、学校、保護者の理解を得たうえで選定いたしました。

それぞれの地域では、すでに来年4月からのスタートに備えて実行委員会などが開かれ、調整がおこなわれているとお聞きします。

そこで、来年度導入の4校について、実施にむけた準備の進捗状況や当面する課題などについてお答え下さい。

区の答弁

現在、来年度実施予定の各学校においては、学校を中心に地域の関係者による準備委員会を立ち上げ、具体的な実施体制や運営に参加できる人材の確保など、開始に向け準備を進めております。

今後は、準備委員会による東十条小学校や他区の実施状況の視察、児童館職員による地域の方々への研修なども実施します。

また、委託方式による運営を予定している学校については、プロポーザルによる委託先の選定作業を進めてまいります。

民間事業者への委託について

第3に、民間事業者への委託についてお尋ねします。

区は、子どもプランの運営について、「民間事業者への委託方式なども含めた多様な運営方式で実施する」としています。しかし、「地域全体で地域の子どもを見守る」「地域の教育力を高める」という趣旨に照らし、安易に民間事業者に委託することには問題があるのではないでしょうか。

全児童の安全な遊び場を毎日提供し、そのためのスタッフを揃えるのは確かに大変なことです。しかし、この事業は、地域の力を結集してこそ意義のあるものだといえます。

「地域で支える体制がないから民間事業者へ」という発想は戒めること、ましてや「民間事業者に委託すれば安上がりで済む」などという考え方に陥らないようにすることが大切です。

そこでお尋ねします。

「民間委託先にありき」ではなく、地域の力を結集した区の直営方式を大前提にすべきと考えますが、いかがですか。

また、どうしても委託方式となる場合は、どのような事業者に、どのような形態で運営を委託するつもりなのか、区の考えをお示し下さい。

区の答弁

放課後子どもプランは、地域社会全体で地域の子どもたちを見守り、育む機運の醸成が図られ、子どもを育てやすい環境につなげることがねらいの一つです。

これを基本に、地域の実情に合わせた運営を図っていくこととともに、地域に過重な負担がかからないようにすることにも留意し、委託方式も含め運営方式を検討いたしました。

委託先の事業者については、放課後子どもプランなどに実績を有する法人とし、放課後子どもプランの基本となる安全安心な子どもの居場所づくりと見守りをおこなうことをベースとして、各種事業の実施を委託する予定です。

運営にあたっては、学校、PTA、学校評議員、長会・自治会、青少年地区委員会および児童館長などで組織する実行委員会の意向に基づくものとし、地域の方々が各種事業に特別講師などの役割で参画できるような体制づくりを進めてまいります。

教育委員会と子育て支援課の連携について

第4に、教育委員会と子ども家庭部の連携についてお尋ねします。

現在、子どもプランは、教育委員会学校地域連携担当課と子ども家庭部子育て支援課の共同所管となっています。

両者はどう役割を分担し、どう連携をはかっているのでしょうか。また今後、現場などにおいて、さまざまな問題や問い合わせなどが発生した場合、どちらが責任をもって対応するのでしょうか。2つの所管課の連携のあり方についてお答え下さい。

区の答弁

役割分担としては、学校地域連携担当課は、放課後子どもプラン導入にあたっての学校との協議、学校と地域の連絡調整や施設改修、一般登録児童の対応、委託にかかわる事務などを所管しています。

子育て支援課は、学童クラブの運営を中心とした児童の健全育成と児童館との連携を主に所管しています。

両課では、原則週1回の打ち合わせをおこない、情報の共有化を図るとともに、事業実施に向けた詳細部分の検討や確認などを通じて、事業の円滑で一体的な実施に努めています。

事故などの緊急時には、間近のスタッフ、区職員が対応し、地域スタッフのリーダーもしくは区職員から両課に報告がなされます。

基本的には、両課で可能な限り情報を共有し、意思の疎通を図り対応しています。

なお、現在、所管の1本化について、検討を進めています。

学童クラブの今後について

大きな2つ目に、学童クラブの今後についてお尋ねします。

学童クラブの役割について

第1に、学童クラブの役割についてです。

政府は、放課後子どもプランを、放課後子ども教室と学童クラブを「一体的あるいは連携して実施する総合的な放課後対策」と説明しています。

そこでまず、北区では、子ども教室と学童を「一体的」に実施するのか、「連携」して実施するのかをお答え下さい。

「一体的」か「連携」か、というのは、実は大変大事な問題です。というのも、すでに23区内では、子ども教室と学童が「一体的」に運営されることにより学童保育の役割が後退したり、品川区や渋谷区のように学童保育そのものが廃止となるところが出てきているからです。

ここで、あらためて学童クラブの存在意義について確認しておきたいと思います。  学童保育の運動は、「子どもが小学校に入っても安心して働きたい」「放課後の生活の場を確保したい」という保護者の強い願いから出発し、地域の協力で前進してきました。北区では、1956年に労働者クラブ保育園と神谷保育園で卒園児の保護者が共同保育を開始、1958年には町会運営の豊島こどもクラブが発足し、単独の学童保育としては初めて定着しました。これが、全国の学童保育の発祥といわれています。

国の制度がない中で、東京都では1963年に独自施策として学童保育への補助が開始されました。1998年にはようやく国の「放課後児童健全育成事業」、すなわち児童福祉法上の事業として位置づけられることになりました。

いま、共働き世帯が急増する下で、学童保育は放課後の生活の場として、ますます重要となっています。

一方、放課後子ども教室は「全児童対策」として子どもに安全な遊びの場を提供するものであり、留守家庭児童に対象を限定しない事業と位置づけられています。

いわば、学童保育と子ども教室は、まったく別事業であり、これを一体化させることは、学童保育の役割を後退させることにつながります。

そこで、お聞きします。

まず北区として、学童クラブの独自の役割をどう認識しているか、お答え下さい。また今後、放課後子どもプランを推進してゆく際にも、学童と「全児童対策」は別事業だということを明確にし、学童クラブは縮小・廃止せず、さらに拡充させることを求めますが、いかがですか。

区の答弁

北区は、放課後における子どもたちの安全・安心で健やかな活動拠点、居場所づくりの充実を図るため、「放課後子ども教室」「学童クラブ」「校庭開放」の機能をあわせもつ総合的な放課後対策を推進することとし、放課後子どもプランの実施を進めています。

「学童クラブ」は、保護者が労働などにより昼間家庭にいない児童に適切な遊びの場や生活の場を提供し、その健全な育成を図る役割があり、放課後子ども教室は地域の方々の参画を得て、さまざまな体験・交流事業や学習機会を提供する事業として実施してきました。

放課後子どもプランは、それぞれの役割をふまえたうえで、同じ地域の子どもたちが遊びや学びの機会を共有するためにも、一体化を図り運営する必要があると考えています。

なお、北区の放課後子どもプランにおいても「学童登録」の区分を設けて、「学童登録」の児童については指導員を配置し、健康管理、出席確認などの安全確保、基本的生活習慣の援助などを継続していく考えでいます。

放課後子どもプランとの「一体的運営」について

第2に、放課後子どもプランにおける学童クラブの運営についてです。

これまで学童クラブは、児童館内の育成室や小学校内の専用教室を使って運営されてきました。子どもプランが実施されると、おやつの有無や帰宅時間などが異なるものの、一般登録の児童と学童登録の児童がいっしょになって遊ぶことになります。このような状況で、学童クラブをどのように運営してゆくのか、以下、3点お聞きします。

1つは、運営主体の問題です。

いわゆる一般登録の全児童対策事業も学童クラブも、本来、地域力を結集した区の直営で運営できることが望ましいと考えます。しかし、すでに学童が民間に委託されている場合には、一般登録事業も同じ事業者に委託することになるのでしょうか。

または、学童が委託であっても、プランを直営で運営するとなった場合は、学童の指定管理を解除して区直営に戻すのでしょうか。

放課後子どもプランの運営主体の整理の仕方について、区の見解をお示し下さい。

区の答弁

放課後子どもプランの「一般登録」と「学童登録」を異なる主体で運営する場合、指揮命令系統や危機管理面において支障が生ずることも想定されますので、基本的には単一の運営主体による運営が望ましいと考えております。

2つは、一般登録事業の拡大による学童クラブへの影響についてです。

全児童対策の一般登録事業と学童クラブが別物だといっても、保護者からみてサービスの違いがわかりづらく、本来、学童保育が必要な児童まで一般登録で済ませてしまおうという動きが出てこないとも限りません。

たとえば下校時間です。東十条では一般登録が午後5時、学童は6時となっていますが、他区では一般登録事業が実施時間を延長し、学童と下校時間の差がなくなっているケースもあると聞いています。

また、保護者の費用負担の問題もあります。東十条の一般登録は原則無料、負担は年額500円の保険料のみです。一方、学童クラブは育成料の5000円と、おやつ代1500円を合わせて月額6500円かかります。

このような比較の中で、実際にこどもプランが導入されたある区では、学童クラブの登録者が大幅に減少したという事例が起きています。

そこで、お聞きします。

区としては、学童クラブ本来の役割が失われないよう、一般登録との区別を明確にして運営する工夫が必要だと思いますが、いかがお考えですか。お答え下さい。

区の答弁

先ほどもお答えしたとおり、学童登録の児童については、健康管理、出席確認などの安全確保、基本的生活習慣の援助などを継続していく考えでおりますので、保護者会などの機会をとらえて「一般登録」と「学童登録」の実施内容などの相違について、わかりやすい説明に努めてまいります。

3つは、児童館内にある育成室の扱いについてです。

小学校内でプランを実施するために、現在、児童館内にある育成室を学校内に移設するとした場合、空き教室が足りなくなる恐れもあります。無理に移し、学校内の学童クラブの定員を大幅に水増しするようなことは絶対に避けるべきと思いますが、区の見解をお示し下さい。

区の答弁

来年度の放課後子どもプラン実施にともない、浮間児童館にある浮間育成室は利用を終了し、学校内学童クラブに移行することとしました。現在の利用者は少なく、増加も多くは見込まれないため、学校内の学童クラブの増設は必要ありませんでした。

しかし、児童数が多く、余裕教室の少ない学校などへの学童クラブ移設については、「放課後子どもプランあり方」の中間報告でも検討課題であるとしております。

今後、国が示す「放課後児童健全育成事業の設備および運営に関する基準」に留意しながら、結論を得てまいります。

育成料の見直しについて

第3に、学童保育の育成料についてです。

経営改革「新5か年プラン」では、今後、育成料を見直すとしています。増え続ける留守家庭世帯の負担を考慮し、育成料の値上げはおこなうべきではないと思いますが、いかがですか。区長のあたたかいご答弁を求めるものです。

区の答弁

北区経営改革「新5か年プラン」の方向性のひとつである「財源確保と変化に強い行財政システムの確立」のため、学童クラブ育成料について見直しを検討しているところです。

保護者の経済的負担に留意しながらも、受益者負担の考え方に基づき、適正な育成料について検討してまいります。

児童館のあり方について

大きな3つ目に、児童館のあり方についてお尋ねします。

先に示された児童館のあり方に関する「中間報告」では、全小学校への子どもプラン導入で「小学生の新たな安全・安心な活動場所が確保できる」とし、小学生を児童館の利用対象からはずすことが検討されています。これは児童館の役割を根本的に変えてしまうものです。

放課後子どもプランとの関係について

そこで第1に、放課後子どもプランと児童館の関係について、いくつかお尋ねします。

1つは、児童館で遊ぶことを楽しみにしている小学生に対する対応です。

中間報告が示されて以降、子どもたちから「これからは児童館で遊べなくなってしまうの」という声が寄せられています。同じ学校の仲間だけでなく他校の友だちや、中高生のお兄さん、お姉さんと遊べる児童館は、子どもたちにとって大きな魅力です。

放課後子どもプランが実施されるからといって、児童館の役割がなくなるわけではありません。子どもの大切な遊び場を奪ってはならないと思いますが、いかがですか。

区の答弁

安全・安心で健やかな活動拠点となる放課後子どもプランの実施により、放課後の小学生の居場所としての機能はプランが担うことになり、その場所を小学校に移すことになります。

放課後子どもプランは、たくさんの子どもたちが集い、児童館ではできなかった遊びの広がりが期待できる、子どもたちにとって魅力的な場になるものと考えています。

しかし、放課後子どもプランや学校になじめない子どもたちを受け入れることも必要と考えており、今後、その態勢について検討してまいります。

2つは、児童福祉法にもとづく児童館の位置づけの問題です。

児童福祉法では、児童館の利用対象は0歳から18歳までの児童とされています。

小学生を利用対象から除外し、乳幼児や中高生向けに特化すれば、そもそも児童館として成り立たなくなるのではないでしょうか。区は児童館そのものをなくすつもりですか。お答え下さい。

区の答弁

今後の児童館の機能については、乳幼児親子や中高生の居場所機能を中心とする「新たな児童館」、小学生の安全・安心な居場所である「放課後子どもプラン」、それらをつなぐネットワークの仕組みを構築することで、維持発展させることができると考えています。

3つは、児童館と地域との関係についてです。

どこの児童館でも毎年、地域の青少年委員会などと連携して児童館まつりを開催するなど、地域に開かれた活動を展開しています。今回のあり方の見直しで、こうした活動の場が失われることにはならないでしょうか。

区の答弁

現在の児童館と同様、「新たな児童館」を拠点として、放課後子どもプランとも連携した地域の子育てネットワークの構築が必要と考えています。

これまでつちかってきた児童館と地域のつながりを、さらに強化・発展させることで、地域ぐるみの子育て支援、安全・安心のネットワークづくりを充実してまいります。

4つは、児童館の職員体制についてです。

区では、遊びの専門家でもある児童館職員を系統的に育成し、施設に配置してきました。今回の見直しによって、児童館の職員数を大幅に削減することを計画しているのでしょうか。自治体の責任として、専門性をもった児童館職員を確保することは重要だと思いますが、今後の職員体制の考え方についてお答え下さい。

区の答弁

これまで児童館には、主に保育士や児童指導の専門職を配置してきましたので、今後も乳幼児親子への支援については、その対応の経験と専門的な知識を有する職員が少ない状況にありますので、研修などにより職員のさらなる資質向上を図ってまいります。

また、外部の専門性を活用することや、連携を図っていくことも重要と考えています。

5つは、プレーパークなど小学生を対象にした他の事業への影響です。

公園など屋外での遊び場を提供しているプレーパーク事業は、子どもたちに大人気です。今後、放課後子どもプランが実施されても、小学生を対象にした他の事業を打ち切ることがあってはならないと思いますが、いかがですか。

区の答弁

現在のところ、小学生を対象とした事業のうち、児童館以外の事業について、具体的見直しが必要であるとは考えておりませんが、今後とも、すべての事業について常に見直しながら、ニーズをふまえた効果的な施策の展開を図ってまいります。

6つは、志茂子ども交流館の扱いについてです。

志茂子ども交流館は、乳幼児からお年寄りまで、年齢を超えて交流することを目的としてつくられた施設です。今回の児童館の見直しでは、子ども交流館でも小学生を利用対象から除外するつもりですか。

以上、区長のご答弁を求めます。

区の答弁

志茂子ども交流館も、今後の児童館のあり方の対象となるのは他の児童館と同様ですが、今後とも、実施する事業の中で、多世代の交流を図ってまいります。

児童館のあり方を今年度中に方針化するのはやめること

第2に、児童館のあり方に関する基本方針についてです。

区は、来年1月にかけてパブリックコメントを実施、議会からの意見を聴取した上で、年度内に「基本方針」を策定するとしています。

しかし、放課後子どもプランが全校に導入されるのは、現行計画でもうまくいって7年先の話です。これまで指摘してきたさまざまな課題も考慮すれば、小学生を利用対象から排除するなどの方針を決定するのは、あまりにも拙速といわなければなりません。

そこで、児童館のあり方を今年度中に方針化することはやめ、関係者からの声に耳を傾け、何よりも子どもたちからしっかりと意見を聞き、時間をかけて慎重な検討をおこなうよう改善を求めますが、いかがですか。区長の真摯なご答弁を求めるものです。

区の答弁

小学生の居場所は、校庭や体育館を活用したよりダイナミックな遊びや、学校施設を活用した特色ある事業を展開できる小学校へと広がっていきます。

そのことにより、これまで小学生が利用の中心であった児童館の役割が大きく変わることは確実であり、0歳から18歳までの児童の健全育成の場の再構築は、喫緊の課題であります。

また、児童館を現状のまま存置させつつ、放課後子どもプランを全小学校に展開することは、区をとりまく厳しい社会経済情勢の中で極めて困難といわざるを得ません。

経営改革「新5か年プラン」の再検討を

最後に、経営改革「新5か年プラン」を再検討することについてです。

放課後子どもプランの推進は、子どもや保護者に歓迎されるものです。また、潜在的な地域教育力を掘り起こす上でも大きなきっかけとなる事業です。

一方で、こうした事業を「効率的・効果的」という側面からのみ見て、「民間委託にすれば安上がり」「プランを実施すれば児童館はいらない」などという考えに陥れば、子どもの育成に重大な影響を及ぼしかねません。

ところが、今年3月の北区経営改革「新5か年プラン」改訂版では、依然として児童館や学童クラブへの指定管理者制度導入が続けられるとともに、これまで検討を重ねてゆくとされていた「児童館のあり方」については、いきなり今年度の方針決定、来年度からの実施となりました。

わが党は、これまでも「効率化」の名の下に進められる「外部化」路線が、サービス切り捨て、区民負担増につながる問題を繰り返し指摘してきましたが、子ども育成の分野にこのことを持ち込んではなりません。

そこで、お尋ねします。

子ども育成の分野に指定管理者制度を導入することや、「効率的・効果的」の位置づけで児童館のあり方検討をおこなうとする経営改革「新5か年プラン」は、この際、再検討すべきだと考えますが、いかがですか。

区長の前向きなご答弁を期待して、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

区の答弁

北区経営改革「新5か年プラン」は、基本構想の実現、基本計画、中期計画の実施に向け、さまざまな行政課題に対応し、将来にわたり持続可能な区政運営を確保するために、平成23年度に改定しました。

施策を進める上で、効率的・効果的な執行体制を構築することは、子どもの育成の分野においても必要不可欠なものであり、また、迅速な対応が求められています。

今後も、事業目的に照らしあわせ、区民のニーズをふまえながら、さまざまな角度から見直しを図るとともに、より実効性のある施策の展開を図ってまいります。