日本共産党北区議員 山崎たい子
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         最終更新日2016.03.28
平成28年(2016年)度予算に対する反対討論と組み替え動議に対する賛成討論

北区議会第1定例会本会議
宇都宮 章区議
2016年3月23日

 私はまず、第47号議案、平成28年度東京都北区一般会計予算並びに第48号議案、平成28年度東京都北区国民健康保険事業会計予算、第51号議案、平成28年度東京都北区後期高齢者医療会計予算に反対する討論をおこないます。

 新年度予算に盛り込まれた、子どもの貧困対策、若者・女性の就労支援、寡婦(夫)控除みなし適用の拡大、介護予防・日常生活支援総合事業の現行サービスでの提供、2つ目の区営シルバーピアと新たな障がい者グループホームの用地確保などは、区民要望にこたえたものであり評価いたします。しかしながら、以下にのべる4つの理由から、一般会計予算に反対いたします。

 反対理由の第1は、平和と憲法、区民のくらしをこわす戦争法、消費税10%増税など、安倍政権の暴走政治に対し、きっぱりとした反対の意思を表明しない姿勢です。

 私たちが戦争法への態度を質した際、花川区長は「平和安全法制は国民の命と平和な暮らしを守り抜くためのもの」という安倍首相の言葉を引用した上で、「平和を願うという気持ちは私も同様」とのべました。しかし、安保法制は本当に平和や安全を保障するものでしょうか。
  私たちが安保法制を「戦争法」と呼ぶのは、そもそも戦争しない、軍事力を持たないと定めた憲法9条の解釈を変え、日本が米軍とともに海外で戦争する、すなわち武力行使を可能とする危険な法律だからです。
  自衛隊がPKOで派遣されている南スーダンでは、戦闘が全土に拡大、数万人が殺害されており、昨年8月の「和平合意」後も、治安はまったく改善されていません。わが党の笠井亮衆議院議員が入手した防衛省の内部文書によれば、「駆け付け警護」の作戦の具体例として、文民を拘束する相手勢力の「狙撃・射殺」まで想定していることが明らかになっています。安保法制によって自衛隊の任務を拡大すれば、まさに他国での武力行使、戦争への加担となります。呼び方をどう変えてみても、法律の本質が戦争法そのものであることは隠すことができません。
  消費税の問題では、税率が10%になると13兆円、1人あたり8万1000円の負担増となり、区民の暮らしや区内の中小企業、商店街に大打撃を与えることは間違いありません。いま与党内からも来年4月の引き上げに慎重な意見が出ており、最近の世論調査では「遅らせるべきだ」「引き上げるべきでない」という声が7割を超えました。
  日本共産党は、消費税増税の中止を求めるとともに、「消費税にたよらない道」を提案しています。それは、富裕層や大企業への優遇をあらため「能力に応じた負担」の原則をつらぬく税制改革と、大企業の内部留保の一部を活用し、国民の所得を増やす経済対策で、税収増をはかることが柱となっています。
  予算審議のなかでは、これが「まやかし」だと決めつける質疑がありました。しかし、その言い分に耳を傾けると、300兆円を超える大企業の内部留保にはいっさい手を付けてはならない、負担はすべて国民にしわ寄せせよというもので、まさに財界・大企業の望む通りの議論でしかありません。
花川区長が、区民の生命と安全、暮らしを守るという確固とした立場から、戦争法や消費税増税に反対の意思を表明するよう重ねて求めるものです。

 反対理由の第2は、「財政対応力が高まった」といいながら、貧困と格差を解消する抜本的対策を講じる予算となっていないことです。

 これまで区長は、「財政が厳しい」「事業の見直し・縮小が必要」と繰り返してきました。ところが、今年の所信では、これらの表現が消え、「財政対応力が高まった」と表明しました。それを裏付けるかのように、主要5基金の残高は、平成27年度末で過去最高を更新する530億円となりました。財政力が高まったというなら、貧困と格差の是正をはじめ、区民の暮らしを応援する施策に重点的に予算を配分するべきです。私たちは委員会での質疑を通して、給付型奨学金制度の創設や就学援助の前倒し支給、「子ども食堂」など子どもの居場所づくり、ひとり親家庭へのさらなる支援、低所得者への家賃補助などを実現することを求めました。これらは、やる気さえあれば、すぐにでも予算化できるものです。しかしながら今回の予算は、こうした区民の切実な要望に正面からこたえる内容になっていません。
  予算審議で明らかになったのは、区がいう「高まった財政力」とは、特定目的基金、すなわち、すでに90億円を積み上げている新庁舎や、80億円を積み上げている十条まちづくりなど、使い道の決まっている基金のことだということです。一方、区民の暮らしなどに使える財政調整基金は、過去最高の140億円を積み上げても、「まだ足りない」との認識をしめしました。必要とされる施策にも予算をつけず積み立てにまわす姿勢は、区民の納得を得られるものではありません。
  加えて重大なのは、今回の予算で区民にとって切実なサービスが打ち切られたことです。 浮閒で唯一のバス路線、国際興業バス赤06系統への運行支援は、採算がとれるかどうかの調査はしたものの、高齢者や障がい者など利用者の影響調査は全く行わず、何の代案も出さずに打ち切りを決定しました。わずか880万円の予算を打ち切ったために、8月以降バスは休止に追い込まれることになります。
  また、岩淵児童館が3月末で閉館となります。現在25館ある児童館を15~17に削減する再編計画の具体化です。新年度、神谷南児童館が神谷こどもセンターに移行しますが、児童館運営委員会では放課後子ども総合プランや、小学生のクラブ活動などについて不安の声が続出しました。子どもセンターへの移行にあたっては、小学生への柔軟な対応を重ねて求めます。

 反対理由の第3は、堅調な財政のもとでも、なお区民負担増、サービス切りすての「経営改革プラン」、「公共施設再配置方針」に固執する姿勢です。

 区はこれまで、「数年後には基金が枯渇し区政運営が困難な事態に陥る」などと「財政危機」を過大に強調しながら経営改革プランや公共施設再配置方針を策定してきました。しかし、基金は枯渇するどころか過去最高を更新し、もはや区民負担増、サービス切りすての「行革」プランを推し進める理由がなくなっています。それなのに、新年度予算においては副区長の依命通達でこれまでの編成方針を踏襲し、職員削減と外部化、事業の廃止・縮小、徴収強化を柱にした「経営改革」路線を堅持、強化しています。
  その結果、これらの方針と、区民の要求が真っ向から対立する事態が起きています。
  例えば、今回の論戦の中で議論が集中した保育園待機児問題です。区長が全庁的、横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、区の遊休施設の物件確保、保育士の確保にスピード感をもって全力でとりくむ決意を表明したことは、会派としても大いに評価するものです。しかし、区立直営の保育所増設や区の職員として保育士を臨時募集するべきとした私たちの要望には、「外部化・民営化を基本とする経営改革プランと相いれない」と消極的な答弁に終始しました。特養ホームの増設とあわせ、民間任せからの転換こそ求められています。
  また、学校適正配置計画では、年少人口の減少どころか急増する児童数との乖離が浮き彫りなりました。学校を減らす根拠が失われつつあるのに、なお統廃合や「複合化」にこだわるのは、「20年間で施設面積を15%削減する」とした公共施設再配置方針との関係に他なりません。
実態と合わなくなった経営改革プラン、公共施設再配置方針は、大本から見直すべきだと指摘しておきます。

 反対理由の第4は、住民に大義のない立ち退きを迫る道路計画など、東京都とともに住民合意のないまちづくり計画を推し進める姿勢です。

 花川区長は、所信で「本格化するまちづくりの一層の推進」を表明しましたが、まちづくりは住民合意が大前提です。しかしこの間、住民の声に耳を貸さず、一方的にまちづくりを進める区の姿勢が際立っています。
  日本共産党北区議員団はこれまでも、区内4路線で進められている特定整備路線について、立ち退きを迫られる数百軒に及ぶ地権者の意見もまともに聞かないまま強引に事業化したこと、この事業認可に反対して不服審査を申し立てている人が区内だけでも2400人以上にのぼっていること、志茂地区86号線では都市計画決定の法的瑕疵などを指摘した認可取り消しの裁判までおきていることなどの問題点を明らかにし、住民無視の都の計画に唯々諾々と従う姿勢をあらためるべきと質してきました。
  今議会ではさらに、長年にわたる大きな課題である十条まちづくりについて、現地調査をふまえ、住民の声をつぶさに拾い上げ、住民の苦悩を紹介して、計画見直しの必要性を訴えました。
この中では、都市計画道路補助73号線と85号線の計画が、住みなれた住まいとともに、都内有数の庶民に親しまれた伝統ある商店街を軒並み潰す計画であることが浮き彫りになりました。
現在道路のないところに幅員20mの道路を通して大量の住民を立ち退かせる73号線に加え、誰もが地下化だと思っていたのに高架案となった駅の立体交差事業では、側道をつくることで、さらなる立ち退きが生まれることが明らかになりました。
  第4次優先整備候補路線とされた85号線は、十条駅の踏切と交わる東西610mの路線です。現道は幅員18mですが、昭和39年に踏切をまたぐため、つまり道路を高架にするために幅員30mが必要だとされました。いま埼京線十条駅の立体交差化素案が出てきたため、もう一度、平面道路にしようという計画変更ですから、18mのままでいいはずなのに、両側を6mずつ広げて30mにするというのです。道路は立体から平面に戻すが、道路幅員は戻さないというのはなぜなのか、疑問です。
この85号線沿道には、両側に50軒ほどの店舗が並び、いちょう通り商店街を形成しています。道路を30mに拡幅すれば、ここにある店舗のほとんどが撤退を迫られてしまいます。ここはちょうど、十条駅西口再開発区域に隣接する場所です。駅前40階の超高層マンション計画や、住民合意のないまま立ち退きを迫り、手続きをすすめてゆく道路計画に対して、住民、関係者の方々から、「“にぎわいとやすらぎを奏でるまち十条”という将来イメージと違ってきた」「何かおかしいんじゃないか」という声がでてくるのは、当然です。
住民の理解を得ないまま、東京都に従って、事業化の手続きを強引にすすめるというやり方は、この不況の中で懸命にがんばっている商店主の方や、庶民のまち十条を愛し生活している住民を窮地に追い込むことになってしまいます。こうしたことはまた、わざわざ遠方から、十条の街に買い物に来るお客さんの期待や、貴重な観光資源としての十条のまちの風情を失ってゆくことになりかねません。
あらためて、まちづくりは住民の合意と納得に基づいて進めるよう、強く求めておきます。
以上4点が、一般会計予算に反対する理由です。 次に特別会計予算についてです。
まず、国民健康保険事業会計について申し上げます。
北区の国保料はこの4月も値上げされ、一人あたり平均で10万5226円となりました。今年度比5263円、5.26%の引き上げです。生活保護基準程度の収入で標準4人世帯の場合にも35万円の保険料がかかります。額も率も都の平均を大きく上回るものであることから、予算に反対します。
  予算審議で私たちは、国民皆保険を守るために介護保険制度にある境界層・ボーダーライン層への減免制度を、国保でも創設することを国に求めよと提案しました。また、東京都の特別調整交付金の存在、すなわち「収納率向上に関わる取組成績別交付要綱」の問題を質しました。これは、国保料の収納率をあげたり、滞納処分をすればするほど自治体に交付金が支給されるというしくみです。具体的には滞納世帯に対して年度内の「差押」が100件を超えると800万円の交付金が支給されます。また、滞納世帯に5%以上の「資格証明書」を発行すると、500万円が支給されるという驚くべきものであります。北区の場合、差し押さえ件数は26年度124件、27年度もすでに124件の実績ですから、2年続けて800万円の交付金を受けることになります。区民からの異常な取り立てのしくみは廃止するとともに、あらためて経営改革プランの強制徴収方針を見直すべきと求めます。
  また、後期高齢者医療会計については、一人あたりの保険料で若干の引き下げになりましたが、新規の保険料軽減策はありませんでした。約40%の方が値上げとなることから反対します。

 私はここで、今回の予算特別委員会の中で、わが党の機関紙「しんぶん赤旗」や、区内で活動する団体に対しておこなわれた一連の発言についてふれておきたいと思います。
公明党の委員は、「しんぶん赤旗」が介護保険制度の問題で「おどろおどろしい紙面」を使って、ありもしない不安をかりたてているとのべました。しかし、特養ホームの入所を原則要介護3以上にしたことで、北区でも待機者が約200人も減少しました。これらの人たちは、入所の希望がなくなったのではなく、制度改悪によって、申し込みの対象から外されたのです。また、要支援1、2の人を保険から外し地域支援事業に移行させる問題では、北区では関係機関などの努力によって現行サービスを維持することができましたが、多くの自治体で緩和されたサービスやボランティアによる対応が広がっています。さらに、要介護1、2を保険から外そうと議論されている問題では、政府が主催する会議の中で日本医師会の会長からも、「要介護1、2の人を切り捨てることはできない。家族介護が必要になり、介護離職ゼロも達成できなくなる」との発言が出されています。
  「ありもしない不安」どころか、実際に噴出している介護保険改悪への怒りの声は、いくら「しんぶん赤旗」に八つ当たりしたところで、押しとどめることはできません。
  さらに、公明党は、日本医療福祉生協連が発行しているチラシや新日本婦人の会が展示しているちぎり絵をとりあげて、内容に問題があるなどとのべました。しかし、自主的な団体が医療や介護制度の改悪を批判したり、現政権の退陣をうながすことは、憲法で保障された表現の自由に属することであり、その内容に何ら問題がないことは理事者の答弁でも明らかです。自分たちに都合の悪いことを言われたからといって、当該団体が反論もできない委員会の場で一方的な決めつけをおこない、非難するなどということは、極めて公平性に欠ける議論です。しかも、医療介護連携や男女共同参画事業など区の施策にも長年にわたって協力してきたこられの団体に、理事者まで巻き込んで区から指導をおこなえなどと執拗に迫る質疑は、常軌を逸したものとしか思えません。
  安保法制を戦争法と呼ぶのが正しいかどうか、消費税増税が区民のためになるのかどうか、介護保険の制度改悪で利用者に影響が出ないのかどうか、安倍政権は存続すべきか退陣すべきか―これらはいずれも堂々とした政策論争で問うべき問題です。政府の一員として自ら進めた政策によって生じている国民の不安や怒りを、団体などが発行する宣伝物をたたいて抑え込もうというのは、まともな政策論争を回避する姿勢だと指摘しておきます。

 続いて「第47号議案、平成28年度東京都北区一般会計予算」組み替えを求める動議に賛成する討論をおこないます。
  予算反対討論でも述べたように、区が提案している予算は、「財政対応力が高まった」といいながら、貧困と格差を解消する抜本的対策を講じる予算となっていません。今回上程された組み替え動議は、可能な財源の範囲内で、区民の暮らしを支えるために必要とされている施策の実現を求めたものであります。掲げられた項目のいくつかを紹介します。
  まず、保育園待機児解消です。
  2次審査を終えても、指数10の方を含め認可保育所の不承諾が560人となり、昨年並みの比率ならば、認証保育所などさまざまな手を尽くしても、260人を上回る待機児が見通されています。区当局も区長自らプロジェクトチームの発足などでの対応を表明されましたが、しっかりとした予算措置も含めて喫緊の課題にとりくむべきです。
  次に、区民の足を守る交通対策です。
区の運行支援が打ち切られるために、8月になると浮閒地域で唯一のバス路線が休止に追い込まれます。代替措置もないことから、高齢者、障がい者などのくらしや医療・介護などの足が奪われてしまいます。使いたくても使えないシルバーパスは「無用の長物」にさえなりかねないのであります。あらためて民間バス支援の継続、コミュニティバスの実施に向けた検討を強く要求します。
  さらに強調したいのは、貧困と格差の是正に向けた本腰を入れた対策です。
  今日の貧困問題は、子どもやひとり親家庭に象徴的に現れています。相対的貧困状態におかれた子どもは6人に1人、ひとり親家庭の貧困率は5割以上になっています。質疑では乳幼児2人を保育園に預け、パートで働く20代のシングルマザーの例を紹介しました。親は遠い郷里におり、訳あって親族には頼めないので、何があっても、どんなことがおきても、24時間一人で子どもを見るしかない。生活保護の支援を受けて、やっとの生活ですが、「何か要望は」と問いかけると、「考える以前に生活するだけで精一杯。したいと思うことが何もできない。ふと気がつくと、今日も生きていたという自分がいる」と語ってくれました。組み替え提案では、寡婦(夫)控除のみなし適用を区のあらゆる制度に広げることや、ファミリーサポート利用料の減額などを求めています。
  このように、組み替えを求めた17項目はいずれも直面する切実な住民要望であります。
  次に、財源についてのべます。
予算の反対討論でも指摘しましたが、財調基金の残高は平成27年度末の見込みで過去最高の140億円に達しています。区は、予算を編成する時には「財調基金は取り崩すので減る」などといいますが、実際には毎年、決算時には大きく積み増しています。質疑でも指摘したように、平成25年度の財政調整基金当初残高見込みは69億でしたが、出納閉鎖後の確定値は120億円で、51億円も見込みを上回りました。同様に26年度のかい離は65億円、27年度は出納閉鎖前ですが現状では74億円ものかい離が生まれています。この5年間の平均では、予算から決算に至る間に、財調基金は毎年約70億円を予想以上に積み上げてきた計算になります。
  したがって、このように決算時点で生まれる、見通しを超えて積み上がった財調基金の一部を使うだけで組み替えは十分可能なのであります。まさに、「やる気さえあればすぐに予算化できる」という点を強調したいと思います。
  以上、区民要望からみた切実性、財源という面から組み替え提案の意義をのべてきましたが、議場の皆様の賛同を心から呼びかけ、組み替え動議の賛成討論とします。
  ご清聴、ありがとうございました。
以上
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