日本共産党北区議員団 山崎たい子
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2017年度予算に対する反対討論と組み替え動議に対する賛成討論

 私は日本共産党北区議員団を代表して、平成29年度北区一般会計予算、並びに平成29年度北区国民健康保険事業会計予算、平成29年度北区後期高齢者医療会計予算に対する反対討論をおこないます。

まず、一般会計予算についてです。

 新年度予算案の、直営園を含めた認可保育園増設等による待機児解消の取り組み、ひとり親家庭総合相談コーナー設置、精神障害者への福祉手当支給、感震ブレーカーの無料配付・設置、区独自のがけ調査等は区民要望に応えたものであり、評価致します。
しかしながら、以下、4点の理由により一般会計には反対致します。

反対理由の第1は、住民合意のないまま、住民立ち退き・商店街こわしのまちづくりを、推し進める姿勢です。
 現在十条地域では、特定整備路線補助73号線、優先整備路線補助85号線、鉄道立体交差事業と鉄道付属街路整備、駅西口再開発など、駅を中心とした地域に複数の開発事業が並行して進められています。
 これらの事業は、この間、多くのテレビ番組が取り上げ、「まかり通さぬぞ! 巨大街壊し!?道路」、「立ち退き要請、住民猛反発」、「東京・十条発、住民激怒の立ち退き問題」と紹介しているように、500棟に及ぶ住民を立ち退かせ、商店街に深刻な影響を与える計画です。
 今も、「西口再開発を見直す会」、「庶民のまち十条を守る会」、「埼京線とまちづくりを考える会」という3つの自主的な住民の会や、「十条富士見銀座商店街振興組合」「十条銀座商店街振興組合」「十条中央商店街振興組合」「十条仲通り商店会」「いちょう通り十条駅西口商店会」の5つの商店街などから、「住民の声が反映されていない」「事業の見直しを求める」との要請が続けられています。一刻も早く、こうした声に真摯に耳を傾け、住み続けられるまちづくりへと区の姿勢を転換すべきです。

 私たちの会派は、本会議の代表質問から予算特別委員会での質疑まで、一貫して住民合意のための努力を区に求めてきました。
 その1つは、まちづくり全体協議会だけでなく、広く住民の声を聞くことです。とりわけ、計画に反対している前述の住民3団体とは、率直な意見交換の場を持つことです。区の答弁では、最近は懇談の要請がないというものでしたが、改めて要請があれば、真摯にこれに応えることを求めます。
 2つは、十条地域の5つの商店街の連絡会から出されている要望に正面から応えることです。5つの商店街が総意として出した補助73号線、85号線見直しなどの要望に対し、区は真摯に向き合うべきと考えます。最初の要望書が出されてからすでに2年が経過しているにもかかわらず、区はいまだに正式な懇談を行っていません。商店街側から、あらためて新年度になったら懇談したいとの意向がしめされているようですので、新年度となりましたら、今度こそ早急に懇談を持つよう強く要請しておくものです。
 3つは、道路事業等にかかわる商店街への影響を調査し、地域商業再建策を策定することです。予定通り事業が進めば、いちょう通り商店会と富士見銀座商店街、十条銀座商店街では、計画線にかかる店舗が撤退を余儀なくされるほか、顧客の立退きによる利用客数の減少や、道路による地域の分断などにより、売り上げが減少することなど、5商店街すべてに与える影響も懸念されます。ところが、本会議代表質問で、十条まちづくり部長からは、商店街には「これから要望をききます」との答弁がありました。商店街をつぶすことになってしまうかもしれない道路事業が進められているのに、いまだにその影響について調査すらされていないこと。これまで地域経済を支えてきた商店街を余りにも軽んじているのではないでしょうか。
「東京都北区商店街の活性化に関する条例」では、区の果たすべき責務として「国及び都その他の地方公共団体が実施する施策と整合性を図り」、商店街を活性化するために、「情報の収集及び提供」、「経営の相談及び指導」などに努めるものとする。としています。事業を丁寧に説明し、商店街の発展する方向性を、具体的な計画をもって示すことは区の責務です。
すでに商店街からは、「大規模な開発計画によって地域が大きく変化することを受け、地域商業の縮小衰退を可能な限り防ぐため、商業および都市計画の専門家による調査を行い、当該事業主の要望、有識者の意見を反映した地域商業再建策を策定して実行すること」との要望が提出されています。産業振興課とも連携して、地元商店街のみなさんが納得できる対策を早急に講じるよう求めるものです。

反対理由の第2は、貧困・格差の解消や、暮らし応援の施策が更に求められる中で、まちづくり基金に十条まちづくり分として、10億円を積み増すことです。
 新年度、区は「十条まちづくり分」として、新たに10億円の基金の積み増しを計画しています。十条まちづくり分の基金はすでに80億円となっており、これに更に10億円を積み増す必要があるのか。本会議から予算特別委員会まで、このことについて質してきました。
まず明らかになったのは、中期計画での向こう3年間については現在の積立額80億円でまったく問題なく事業が行えることです。
 区が策定した新しい中期計画では新年度からの3年間で、西口再開発事業などに、約72億円を計上していますが、これに充てるまちづくり基金の取り崩し額は、3年間で約25億円です。差額の約47億円は、国の補助金や都市計画交付金で措置されると質疑の中で、区からご回答がありました。現在の積立額で十分対応が可能ですので、新年度10億円を積み増す必要はまったくありません。
 一方、区は、十条地区まちづくり計画の全体では、区が160億円支出する必要があり、現在の80億円では足りないと説明しました。しかし、160億円というのは、今後十数年にわたる支出の総額であり、一括で必要な額というわけではありません。しかも、毎年基金から取り崩して支出する分は、翌年度から4年間で、ほぼ全額、都の財政調整交付金で措置されますので、戻ってきた分はその時の判断で、改めてまちづくり基金に積み直すこともできるのです。区も、単年度での取り崩し額は最大でも60億円程度だとしており、このことからも現在の80億円で十分に事業は行えることになります。
 こうした私たちの指摘に、区が最後に持ち出したのが、「まちづくり基金はまちづくり全体の積立金であり、十条だけのためではない」という議論でした。しかし、区が発行している「平成29年度予算の概要」では、これまでの10億円ずつの積立金は「十条まちづくり分」と明記されています。さらに代表質問への答弁では花川区長が、「まちづくり基金については、…多額の経費を要する『十条のまちづくり』に関する事業を、着実に推進するために積み立てて」いると答えており、他のまちづくりにも使うから基金を積み増すのだという説明は、今回10億円を積み立てる理由として納得のいくものではありません。
 そもそも、まちづくり基金は、特定目的基金です。他の特定目的基金、たとえば学校改築基金や減債基金は、毎年どれだけ取り崩し、どれくらい積み増しが必要かと算定しながら運用しています。ところが、十条まちづくりに関しては、明確な積算根拠がないまま、積み立てているといわれても仕方がありません。これでは特定目的基金ではなく、いわば第2の財政調整基金ではありませんか。
 以上のように、十条まちづくり分としての基金は、すでに現在の80億円で十分足りており、新年度、更に10億円を積み増すだけの合理的理由はありません。  
よってこの10億円の財源は、貧困・格差をなくす、切実な区民施策にまわすことを求めます。

反対理由の第3は、区民負担増、サービス削減につながる経営改革プランや公共施設再配置方針を推進する姿勢です。
 今日問題となっている貧困・格差拡大の背景には、非正規雇用や官製ワーキングプアの増大があります。区が推進する経営改革プランは、職員定数の削減、事務事業の外部化、指定管理者制度の導入などにより、そうした不安定雇用、働く貧困層を増やし、ひいては子ども・若者などの貧困にもつながるものであり、抜本的な見直しを求めるものです。
 こうした中で、喫緊の課題である保育園待機児解消の取り組みにおいて、新年度、直営保育園を新設し、正規保育士を増やして対応したことは評価致します。一方、10年にわたり賃金がすえおかれている非常勤保育士などについては、賃金引き上げ、昇級や手当の支給、正規職員への採用を進めるよう求めます。また、指定管理園や民間の保育現場などで働く、職員の処遇改善もあわせて進めていただくよう求めます。 
 現在、北区では、人口増により、保育園、学童クラブ、学校施設など新たな行政需要が生じており、「20年間で施設面積の15%を削減する」とした公共施設再配置方針との間に、重大な矛盾が生じています。わが会派は一貫して、再配置方針の目標を見直すべきと求めてきましたが、新たに策定された「北区公共施設等総合管理計画」では、相変わらず15%削減目標を追認しています。
 実態と合わなくなった経営改革プラン、公共施設再配置方針は、大本から見直すべきだと指摘しておきます。

反対理由の第4は、貧困・格差を拡げるアベノミクス、消費税増税と大企業の法人税減税、年金、医療・介護など社会保障の改悪をすすめる安倍政権の暴走に、批判的立場を持たない姿勢です。 
 自公政権が2000年代になって始めた、社会保障費の「自然増」削減額は、約3兆3000億円にのぼります。これに対し、大企業を中心にした法人税減税は、第2次安倍政権だけで約4兆円に達します。安倍政権は大もうけした大企業に負担を求めるどころか庶民に増税し、法人税などの減税を繰り返してきました。
 「大企業栄えて、民滅ぶ」というアベノミクスによって、大企業の内部留保は390兆円にまで膨らむ一方、労働者の実質賃金や、高齢者の年金支給額は引き下げられ、若者からお年寄りまであらゆる世代にわたって貧困と格差が拡大し続けています。
 ところが北区は庶民に重い負担を強いる消費税を「社会保障の財源を調達する手段としてふさわしい税金」と位置づけるなど増税を容認し、政府の施策に対して批判的立場を持ちません。情報漏えいやプライバシー侵害、国民監視の恐れがあるマイナンバー制度も、国が示す方向で粛々と導入・運用が進められています。
 区民の暮らし、安全を預かる自治体として、国に対して主張すべきことは、はっきり主張するという立場に立つことを求めるものです。

 以上大きく4点の問題点を指摘し、一般会計に反対します。

 次に、特別会計予算についてです。

 初めに、国民健康保険事業会計予算についてです。
 平成29年度の北区の一人当たりの国民健康保険料は、金額、率とも、この5年間で最大の値上げ幅となります。国保加入者の生活実態を考慮するならば、さらなる受診抑制にもつながりかねない今回の保険料値上げは、とても容認できるものではありません。国や都に対して、高すぎる保険料を抑制するために、最大限の財政支援を求めるとともに、境界層減免の一日も早い実施を働きかけるべきです。
 また、北区には、わが会派が予算組み替え動議で提案している、区独自の均等割値上げの緩和策を実施し、さらに、ひとりでも多くの方が必要な医療が受けられるよう、医療費の一部負担金減免制度を積極的に活用するなど、温かい対応を引き続き求めます。

 次に、後期高齢医療会計についてです。

 高齢者の生活をめぐっては、この間2.5%の年金の削減に加え、さらに、公的年金改革法、いわゆる年金カット法が制定されたことで、今後物価と賃金で、下落幅がより大きいほうに合わせて年金も減額されることになります。物価が上がっても賃金水準が下がれば年金を減額するという新しいルールの施行によって、高齢者世帯にとってはさらなる負担増になります。
 そうした中、新年度より2年間で保険料の特例軽減措置が縮小・廃止されることにより、約4万2000人の加入者中約5000人に、平均約1万2000円の負担増の影響が出ることが明らかになりました。軽減措置の存続と負担軽減策の拡充を、国と都に働きかけることを求めます。
 以上述べてきたように、国民健康保険事業会計予算は、保険料の大幅値上げから反対致します。
 後期高齢者医療会計予算は、軽減特例の見直しにより保険料が値上げとなることから反対致します。
 最後に、介護保険会計と中退共会計には、賛成であることを表明し、日本共産党区議団の討論といたします。

 なおここで、私たちの会派の予算に対する態度について、その基本的立場をのべておきます。
 区はさまざまな施策や事業を行っていますが、区が議案として示す一つひとつの案件については、その都度、区民の利益に資するものかを判断基準として賛否を決めています。当然ながら私たちは、区民利益に叶う多くの議案には賛成し、区民の利益に反すると考えるものには反対しています。
 一方、予算は、これらさまざまな施策や事業の裏付けとなるものであり、区民から託された貴重な税金を、どこに重点をおいて配分するかを決めるものです。そこには、区としての政策判断が伴います。私たちは、区がどういう考えで予算を編成しているのか、必要な施策に十分な財源が充てられているのか、区民の目線で不要不急と思われる施策はないのか、などを総合的に判断して、予算への態度を慎重に判断しています。
 個々の施策で賛成しているものがあるからといって、必ずしも予算全体に賛成するとは限りませんし、逆に、予算全体に反対しているからといって、区が行う施策すべてに反対だというわけではありません。これは、ごく常識的な考え方だと認識しています。
 ところが、このことを知ってか知らずか、私たちが区民の切実な要望をとりあげることについて、「共産党は予算に反対しながら、自分の実績だと主張する」という発言が予算質疑の中でもありました。個々の施策への賛否と、予算への賛否の区別も理解されていないようなので、改めて一言(いちごん)しておくものです。
 なお、予算に反対する会派はもの言うべからず、ともとれる発言は、議会における野党の存在を著しく貶(おとし)めるものです。予算に賛成する与党ばかりの議会であれば、2元代表制のもとでの議会が持つチェック機能が働かなくなってしまうことを指摘しておきます。

 続いて、「第46号議案 平成29年度一般会計予算の組み替えを求める動議」に賛成する討論を行います。

 まずは、組み替えの内容です。見て頂ければお分かりのとおり、組み替え動議に掲げられた項目の中で、例えば、保育園の待機児解消、認証保育所の保育料補助、就学援助の前倒し支給など、子どもの貧困対策・未来応援事業、障害者就労支援事業等は、区当局としても具体化をすすめている施策であり、議会各会派、無会派のみなさんのご賛同が頂ける内容であると確信しています。
 また、ヘルシー入浴券や商品券、住宅リフォーム助成、耐震改修助成の拡充なども、財源が確保されれば、区として前向きに取り組むことのできる項目だと認識しています。
 更に、住宅確保要配慮者への家賃補助については、住宅セーフティネット法改正も視野にいれ、居住支援協議会の設置とあわせ、前倒しで事業化できる項目ではないでしょうか。

 国民健康保険料の負担軽減については、23区の一人あたりの均等割額をみても、平成11年度で2万6100円だったものが、平成28年度で4万6200円と、この17年間で、なんと約1.8倍もの値上げとなっており、平成29年度には、更に3300円負担が増し、4万9500円となります。予算質疑では、均等割のうち、低所得者の7割、5割、2割減額の前年比値上げ分の総額は、7267万円余であることが示されました。あまりに重い保険料の負担増にあえぐ区民の窮状を思えば、区として最大限、均等割の軽減を図る措置を講じる必要があると考えるものです。

 次に、財源ですが、区の新年度予算の財政運営をみた時、予算反対討論でも申し上げたように、まちづくり基金の十条まちづくり分10億円の更なる積み立ては、不要不急のものであり、この財源を活用すれば、区民のくらし応援、貧困格差を是正する施策を更に、前進させることが可能と考えました。

 以上、区の施策展開からも実現可能、区民要望からみた切実性、財源という面から、組み替え動議提案の意義を述べました。議場の皆様の賛同を心からよびかけ、組み替え動議の賛成討論と致します。ご静聴、ありがとうございました。
 
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