2015年第2回定例会代表質問―のの山けん
2015年6月24日 | のの山けん
私は、日本共産党北区議員団を代表して、花川区長および内田教育長に、大きく4点質問いたします。
1、安倍政権による「戦争する国」への暴走にストップを
1つ目の質問は、安倍政権による「戦争する国」への暴走を食い止めることについてです。
(1)安全保障関連法案の違憲性について花川区長の認識を問う
第1に、集団的自衛権の行使容認についてです。
最初に、現在国会で審議されている安全保障関連法案に関して質問します。
安倍政権はこの法案を「平和安全法制」と呼んでいますが、その内容は、自衛隊による海外での武力行使を可能にする「戦争法案」というべきものです。自民党、公明党は国会会期を大幅に延長しましたが、戦争法案強行のための会期延長は、国民が望むものではありません。
国会審議を通じて、この法案が違憲立法だということがはっきりしてきました。今月4日の衆議院憲法審査会では、政府与党が推薦した参考人もふくめ、招致された3人すべての憲法学者がこの法案を違憲だとのべました。さらに一昨日の参考人質疑では、憲法解釈の中心を担ってきた元内閣法制局長官が、「(政府の言い分は)黒を白と言いくるめる類」などと痛烈に批判、憲法9条に違反する法案は速やかに撤回を、と求めました。政府は、筋違いの砂川判決や1972年の政府見解を持ち出し「合憲」と言い張っていますが、従来の「戦闘地域」にまで自衛隊を派兵し弾薬の補給や武器の輸送をおこない、日本が攻撃されていないのに集団的自衛権を発動してアメリカの起こす戦争に参加しようという安保関連法案が、憲法9条に抵触することは明らかではないでしょうか。
そこでまず、うかがいます。
区長は、安保関連法案について憲法違反の法案だとお考えになりますか。もし、違憲ではないとお考えなら、その理由もお聞かせ下さい。
【区の答弁】
北区では、昭和61年3月15日、世界の恒久平和と永遠の繁栄を願い、平和都市であることを宣言するとともに、平成23年2月1日には平和市長会議にも加盟しました。真の平和と安全を実現することは、私たちの願いであり、人類共通の悲願であります。今後も平和で自由な協働社会の実現に向け、引き続き努力してまいります。
(2)憲法9条をじゅうりんする安保関連法案の廃案を政府に求めよ
多くの命を奪った侵略戦争と植民地支配の反省に立って、戦争を禁じ、軍隊と交戦権を認めないとした日本国憲法第9条は、国内のみならず世界でもアジアでも、普遍的な意義を持っています。戦後70年を迎える今年、この9条を根底からくつがえそうという戦争法強行の暴挙を許すわけにはいきません。
花川区長、平和都市宣言を高らかに掲げる北区として、平和首長会議に参加する自治体として、憲法9条をじゅうりんする安保関連法案の廃案を政府に求めるべきではありませんか。区長の前向きな答弁を求めるものです。
【区の答弁】
安全保障関連法案につきましては、国の外交、安全保障にかかわる問題であり、憲法との関係や様々な課題なども含め、国会等の場で十分審議・検討されるものと認識しています。その経過について注視してまいりたいと存じます。
(3)横田基地へのオスプレイ配備中止を東京都に求めよ
関連して、横田基地へのオスプレイ配備の問題について質問します。
アメリカ政府は先月、米空軍の特殊作戦輸送機CV22オスプレイを2017年から横田基地に配備すると発表しました。オスプレイは構造的欠陥から安全性に問題があると指摘され、先日もハワイで墜落事故を起こしたばかりです。高度30メートルの低空飛行訓練も辞さないオスプレイが東京に配備されれば、首都圏全体が危険にさらされるのは明らかであり、基地周辺の住民からは、強い配備反対の声があがっています。
オスプレイは、その名の通り、米軍の特殊作戦を遂行するための輸送機です。「海外で戦争する国」づくりと一体の配備は、沖縄であれ、横田であれ認めることはできません。
そこで、区長にうかがいます。
区民の命をも危険にさらしかねないCV22オスプレイの横田基地配備については、米軍に対し中止を求めるよう東京都に働きかけて下さい。
【区の答弁】
本件については、東京都および周辺自治体より、十分な説明と、安全対策の徹底、環境への配慮などに関して、国に対して要請がなされているところでありますので、その動向を注視してまいりたいと存じます。
2、区民の暮らし応援の区政実現をめざして
大きな2つ目の質問は、区民の暮らしを応援する区政への転換についてです。
第1回定例会で日本共産党北区議員団は、北区の新年度予算に対し組み替え動議を提案しました。これまでに積み上がった過去最高の基金のうち、30億円程度を暮らし応援の施策にまわすことを求めたものです。残念ながら動議は否決されましたが、引き続きその実現をめざし、質問いたします。
(1)医療・介護施策の充実について
まず、医療と介護の施策の充実について、3点お聞きします。
1点目に、国民健康保険料、介護保険料の負担軽減についてです。
今年度も、国保料、介護保険料がともに引き上げとなり、家計には大きな打撃となっています。先月末には、国保の財政運営を都道県に移すことを柱とした医療保険制度改革法が自民、公明などの賛成で成立しました。これによって、今でさえ支払い能力を超えるような国保料が、さらに引き上げられる恐れが出てきました。上がり続ける国保料、介護保険料の負担軽減はまったなしです。
そこで、2018年度からの国保の制度移行に際し、あらゆる手立てを講じて国保料の引き下げをはかることを求めます。また、高すぎる国保料、介護保険料の負担をやわらげるために、高齢者、低所得者、障がい者、子育て世帯などを対象とした新たな給付金制度、(仮称)「暮らし応援手当」を北区として創設することを求めますが、いかがですか。
【区の答弁】
今回の国保法の改正は、平成30年度から、国保の財政運営の責任主体を都道府県に移管し、将来にわたり安定的に運営できるようにすることをめざしたものであります。以降にあわせて、現在区市町村が負担している法定外繰り入れなどの財政負担を軽減する目的で、新たに3400億円の公費が投入されることになっています。
なお、国保、介護保険料の負担軽減については、一定の所得以下の世帯や、生活困窮者のための減額制度などがあり、これらの周知に努めてまいります。このため、保険料の負担軽減を目的とした新たな給付金制度は考えておりません。
2点目に、特別養護老人ホームの整備についてです。
介護保険第6期計画から、特養ホームの入所資格が原則要介護3以上に限定されました。この下で現在、北区での特養待機者は何人になっているか、また要介護2以下の特例入所を希望する方で入所が断られた例がないか、まずお答え下さい。
次に、今後の整備計画ですが、中期計画では2017年度までにショートステイを含め270床の開設、165床の着工が示されています。
引き続き、事業者が撤退した豊島6丁目の計画地への誘致を積極的にすすめるとともに、中期計画を前倒しで達成できるよう整備に力を入れる必要があると思いますが、進捗状況をお示し下さい。
【区の答弁】
介護保険制度の改正により、特別養護老人ホームに入所できるのは、原則要介護3以上の方となりましたが、やむを得ない事情により、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、要介護1,2の方も特例として入所できることとなりました。北区の入所申し込みでは、平成27年度前期申し込みからこの改正が適用されており、申込者は793人でした。なお、要介護2以下の方で、入所申し込みをお断りした例はありません。
特別養護老人ホームの整備については平成29年度に開設予定の2ヵ所の整備に対する東京都補助内示を6月17日に受けたところです。また、特別養護老人ホームを整備するため、王子6丁目の国有地を取得したいとの要望が愛知県の社会福祉法人から国にあり、現在、審査が行われています。
豊島6丁目の計画に関しては、土地所有者は引き続き、特別養護老人ホームなどの福祉施設を含む土地利用を検討しており、今後も充分に、土地所有者と協議・検討してまいります。
3点目に、介護施設利用者の食費・居住費の負担軽減申請についてです。
現在、特養ホームなどの施設利用者のうち低所得の方については、食費や居住費の負担を軽減する措置がとられています。ところが、この8月から要件として、「預貯金等が単身1000万円未満、夫婦2000万円未満」という資産条件が加わりました。厚労省はタンス預金、いわゆる「ヘソクリ」まで自己申告することを求め、ある自治体では、長期間別居している配偶者の通帳のコピーや、銀行調査などの同意書まで提出を求められているそうです。申請書類を提出しなければ、軽減が受けられなくなってしまいます。
そこで区長にお聞きします。
利用者本人が認知症などで申告が難しい場合や、戸籍上は配偶者でも関係が絶縁しているなどで所得や資産状況の把握ができない場合は、どのように対処しますか。正確な資産が示せず軽減が打ち切られた場合、利用者の負担はどの程度増えることになりますか。お答え下さい。
【区の答弁】
平成27年8月から、食費・居住費の負担軽減を受けるには、区の窓口で、資産状況の分かる資料を添付して、申請する必要があります。このため、今年の7月からは特設窓口を設けて、申請を受理するとともに、丁寧な説明に努めてまいります。また、申請が困難な方については、申請漏れが起きないよう、施設の職員に申請代行などをお願いしています。配偶者の資産状況を把握できない場合は、その事情を詳しくお聞きした上で、適切に判断してまいります。
試算要件により、軽減制度に該当しない場合の負担額ですが、国が示した標準的な日額で申しあげますと、食費・居住費とも、最大でそれぞれ1000円程度増えることになります。
(2)介護現場から虐待・身体拘束を一掃するために
第2に、介護現場において虐待・身体拘束を一掃する問題についてです。
昨年11月の「朝日」新聞の記事で明らかになった区内高齢者マンションでの身体拘束問題は、各方面に大きな衝撃を与えました。今年2月には北区が高齢者虐待防止法に基づく虐待を認定、その数は最終的に高齢者、障がい者あわせて99人に上りました。3月には東京都が当該マンションを有料老人ホームと認定して立ち入り検査に入り、拘束状態の早期改善を求めました。
そこでまず、北区が虐待と認定した高齢者、障がい者の方々が、いま現在どのような状況になっているのか、身体拘束の改善状況についてお答え下さい。
【区の答弁】
現在の状況についてですが、4月13日及び5月13日に、東京都の現地調査に同行して、虐待認定していない方も含めて、3棟の入居者の状況を確認しました。調査時においては、ミトンや拘束ベルト、4点柵などの虐待に当たるような拘束は見当たりませんでした。
この問題の2点目として、あらためて北区の介護現場で、虐待も身体拘束も許さないという花川区長の決意をお聞かせ下さい。
【区の答弁】
次に、介護現場で虐待も身体拘束も許さないという私の決意についてです。
昨年11月に報道されてから、これまでの間、現地立ち入り調査、虐待認定および改善指導などを行ってまいりました。その際、入居者の尊厳の尊重と安全確保を第一に考え、健康福祉部を中心に関係部課をあげて対応すること、介護保険法に基づく処分権限を持つ東京都と連携するように職員に指示しています。今後も引き続き、当該法人に対し、改善計画書の提出を求めるとともに、区内の介護現場で、身体拘束などの虐待が起こらないよう、虐待防止研修などを通じて、介護現場の意識の向上に努めてまいります。
3点目は、今回の事態を引き起こした医療法人社団岩江クリニックによる組織的・構造的な身体拘束システムについての認識と、今後の対応についてお尋ねします。
今回発覚した虐待・拘束は、一部の職員がたまたま起こしたものでも、一時的に起きただけというものでもありません。逆に、同法人が長期にわたり、高齢者の身体拘束を意図的、組織的におこなってきたというのが真実であります。
同法人はまず、医療依存度の高い要介護者の方を居住させる無届けの住宅を用意し、法人が運営する医療、介護のサービスを一体的に提供してきました。そして、その中で、「在宅医療における安全を図るために、医師の判断によりやむを得ず拘束を行う」という方針を打ち立てました。介護施設などでは原則禁止されている身体拘束を是認するにとどまらず、医師の「お墨つき」でこれ方針化したのです。次に、近隣の医療機関に対し、医療依存度の高い退院患者などを当該マンションの入居者として紹介してもらうよう、働きかけました。その結果、当該マンションは、他の介護施設や在宅ではケアが難しい患者らの受け皿となり、同法人は次第に提携施設のマンションを拡張してゆきます。最後に建設されたマンションは、戸数8戸と偽って北区の集合住宅条例の規制を逃れ、84人を入居させました。
こうした中で、インフルエンザやノロウイルスの感染が広がり「わずか4ヵ月で28人の高齢者が死亡」という事例や、「25分で160人『回診』、診察せず報酬請求か」などの疑いが報道されるようになりました。
区長にお聞きします。
ことの経過から、岩江クリニックがおこなってきた組織的・構造的な虐待・拘束は、きわめて重大であります。北区の介護現場で今後も一切の拘束を許さないという立場から、今回の事例を徹底検証すべきだという認識はお持ちですか。現在の拘束が解除されるというだけにとどまらず、拘束がいつから始まったのか、どういう指示系統のもとで拘束が常態化したのか、不正な医療報酬の請求はなかったのかなどの点について、時間をかけてでも究明して議会にも報告すべきと考えますが、いかがですか。
【区の答弁】
拘束の始まった時期や指示系統については、身体拘束の解消を第一に対応しており、あらためての調査は考えておりません。なお、診療報酬請求についての調査は区に調査権限がありません。
この問題の4点目は、北区が、身体拘束については昨年11月の「朝日」の取材で初めて知ったとしていることについてです。
当該マンションについては、介護保険運営協議会の場でもたびたび議論になりました。区としても当時、かなりの情報を得ていたことが答弁からわかりますが、区はこの部分を無断で削除していました。また、岩江クリニックは3月9日付で公表した関係者への報告で「北区は公式の記者会見の場で、当法人が行っている身体拘束は『朝日新聞報道によって初めて知った』旨の発言をしておりますが、それは明らかな虚偽または会見を行った者の怠慢により知らなかっただけ」とのべています。
あらためて区長にお聞きしますが、区は「朝日」の取材・報道以前にも、身体拘束の事実をつかんでいたのではありませんか。事前にこの件に関する通報や情報提供は一切なかったのでしょうか。お答え下さい。
【区の答弁】
介護保険運営協議会では、3棟のマンションについて、委員から有料老人ホームにあたるのではないかとのお話はありましたが、拘束などについてはありませんでした。また、虐待にあたる身体拘束があるとの認識は、報道以前にはもっておりませんでした。
(3)若者就労支援事業の再構築について
第3に、若者就労支援事業の再構築についてです。
仕事を探している若者に区内中小企業を紹介し、正規雇用で就職に結びつける北区の先駆的な就労支援事業は、5年間で正社員190人という実績をあげてきました。国の基金が打ち切られ、事業は昨年度で終了しましたが、若者を使い捨てにするブラック企業の増加や、「生涯ハケン」を押しつける労働法制の改悪が強行されようとしている中で、着実に正規雇用を増やしてきたことは貴重です。さらに、北区の産業振興をになう中小企業の、次代の担い手をつくってきたことにも、大きな意義があるといえます。
今回の補正予算で、東京都の補助金を活用した新たなジョブトライ事業が提案されました。そこで、区長にお聞きします。
今回の新たな事業のねらいと目標、対象となる年齢、これまでの事業との相違点など、事業の特徴についてお示し下さい。また、都の補助事業は、若者のみならず女性や高齢者、障害者の就業促進も対象としています。今後、若者以外にも事業を拡充する計画があるかどうか、お聞きします。
【区の答弁】
今回、補正予算を計上したジョブトライ事業は、「東京都人づくり・人材確保支援事業』による補助金を活用し、未就職の若者にビジネス研修などをおこなったのち、就労体験を経て、雇用に結びつける事業です。雇用数のみに主眼を置くものではなく、労働力の確保や人材育成に重きを置き、地域企業での就職後も定着支援を行い、継続雇用をめざしていくものです。対象年齢は、おおむね35歳未満といたしました。
なお、若者以外の就労支援につきましては、東京都の補助金活用を含め、今後、検討してまいります。
(4)子育てファミリー世帯や若年層、ひとり親家庭への支援について
第4に、子育てファミリー世帯や若年層、ひとり親家庭への支援について2点うかがいます。
1点目は、保育園の待機児解消についてです。
認可保育園の整備・定員増を中心とした区の努力にもかかわらず、残念ながら年度当初の待機児童数は前年の69人から160人へと増えてしまいました。今年度も新たな認可保育園の整備と新赤羽台保育園での定員拡大などが予定されていますが、一刻も早く待機児ゼロを実現することが求められています。
そこでまず、区としていつまでに待機児ゼロをめざすのか、決意をお聞きします。次に、待機児解消は、北区子ども・子育て支援計画2015が示すように、認可保育園の整備を基軸としてすすめるよう求めます。その際、田端や赤羽で実現した都有地活用の新たな可能性を、都とも協力して追求することを求めるものです。お答え下さい。
【区の答弁】
まず、いつまでに待機児童ゼロをめざすのか、についてです。
国が策定した待機児童解消加速化プランでは、保育ニーズのピークを迎える平成29年度末までに待機児童解消を目指すとしており、「北区子ども・子育て支援計画2015」においても、同様の方針で策定をしています。
都有地の活用についてです。
「北区子ども・子育て支援計画2015」に基づき、人口動向や待機児童の状況、保育需要などを見すえながら、ゼロ歳から5歳児を対象とした認可保育所の整備を軸としつつ、区が認可する小規模保育事業などの地域型保育の整備をはじめ、国公有地や民間の建物を活用した認可保育所の誘致など、あらゆる方策を検討し、迅速かつ柔軟に取り組んでまいります。
2点目に、新たな家賃補助制度の創設についてです。
子育て世帯や若者が、区内に住み続けようとするときに大きな障害となるのが家賃の負担です。新宿区では、学生および勤労単身世帯向けと、子育てファミリー世帯向けの2種類の家賃補助制度を実施しており、いずれも6倍から9倍という応募が殺到しているとのことです。
そこで、北区としても子育てファミリー世帯、若年層、ひとり親家庭を対象とした新たな家賃補助制度を創設すべきと考えますが、区の考えをお聞かせ下さい。
【区の答弁】
区では現在、ファミリー世帯の定住化のため、ファミリー世帯転居費用助成や親元近居助成、三世代住宅建設助成などの施策を実施しております。特に、親元近居助成につきましては、今年度から、18歳未満のこの扶養数を、従来の2人以上から1人以上に緩和しております。また、ひとり親世帯の転居費用助成にもとりくんでいるところです。区としては、新たな家賃助成制度は考えておりませんが、今後もファミリー世帯などの定住化の施策について、研究してまいります。
(5)過去最高477億円に積み上がった基金は暮らし応援のために活用を
暮らし応援の区政についての最後の質問は、財源問題です。
今回提案している施策を実現しようと思えば、当然ながら財源が必要です。私たちは、組み替え動議を提出した際、積立金の一部を活用することを提案しました。その時には465億円だった主要5基金の残高は、5月の出納閉鎖で12億円がさらに積み上がり、477億円と文字通り過去最高を更新しました。なかでも財政調整基金には、実質収支額の2分の1、約24億円が積み増しされることとなりました。
「財政が苦しい」「このままでは基金が枯渇する」などといって区民にがまんと負担を強い、経営改革プラン2015や公共施設再配置方針など、新たな「行革」路線を推し進めてきた区の責任は重大といわざるを得ません。
区長にお聞きします。
新たに繰り入れた財調基金などを、各種保険料の負担軽減、特養ホームや認可保育園の増設、子育て世帯・若者向けの新たな家賃補助制度創設など、区民の暮らしを応援する施策に積極的に活用すべきと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
【区の答弁】
北区では、「区民とともに」の基本姿勢の下、3つの優先課題への積極的なとりくみなどを行い、区民福祉の向上に努めてきました。今後、行政需要が増大していく中で、財政調整基金は不足が見込まれており、特定目的基金については、学校改築、新庁舎建設、まちづくりなどを実現するために、計画的な積み立てが不可欠となっています。そのため、基金をさらに活用して、新たな給付金や補助制度を創設することは、考えておりません。今後とも、中長期的な課題に留意しつつ、柔軟かつ慎重な基金の活用を図り、区民福祉の向上と、安定的な行財政運営に努めてまいります。
3、個人情報の流出を防ぐために
大きな3つ目の質問は、個人情報の流出を防ぐ問題についてです。
日本年金機構から125万件の個人情報が流出した事件は、あらためて情報管理の在り方に警鐘を鳴らしました。この問題で明らかになったのは、意図的に情報を盗もうとする人間が存在する限り、100%情報漏えいを防ぐ完全なシステムは存在しないということです。一度漏れた情報は流通・売買され、取り返しがつかなくなります。しかも、情報は集積されればされるほど価値が高くなり攻撃されやすくなります。
さらに今回の問題で、見過ごすことができないのは、年金機構が委託したデータ入力業務で、違法派遣がおこなわれていたことです。同機構の理事長は、国会で追及されるまで、外部委託の実態をつかんでいませんでした。
こうした中、マイナンバー制度は、10月から番号通知、来年1月から利用開始の予定です。年金機構の情報漏えいについて徹底した原因究明をおこない、マイナンバーを利用する機関のセキュリティを再点検することなしに、実施に突き進むのは時期尚早といわなければなりません。ましてや、本格実施前から利用拡大の法律をつくることなど、もってのほかです。
(1)マイナンバー制度の導入について
そこでまず、マイナンバー制度の導入について区長にお聞きします。
北区では、マイナンバーを扱う事業において、外部委託や再委託を考えていますか。高度なセキュリティが求められる作業を外部委託すれば、より情報流出の危険性が高まるのではないですか。
年金情報流出事件を受けて、あらためて北区でのセキュリティを総点検する上でも、10月からの番号通知、1月からの実施は中止するよう国に求めるべきと考えますが、いかがですか。
【区の答弁】
マイナンバー制度においては、マイナンバーを利用することができる事務の全部または一部の委託や再委託が法律上、認められておりますが、公権力の行使や、判断を要する事務については、従前の取り扱いと同様に委託することはできません。北区として、事業の委託にあたっては、受託者の情報の安全管理措置はもとより、費用対効果など総合的な検討の下、取り組んでまいります。
マイナンバー制度は「国民の利便性の向上」や「行政の効率化」、「公平・公正な社会の実現」という国民生活にとって重要な基盤となる制度です。制度の導入については、個人情報の保護にも万全を尽くしつつ、マイナンバーの利用開始に向けて準備をしてまいります。
(2)経営改革プラン2015で掲げる窓口業務の外部委託について
次に、経営改革プラン2015に掲げられている窓口業務の外部委託についてです。
マイナンバー制度と同様、窓口業務の委託については、個人情報漏えいの危険があります。さらに、判断業務を必要とする窓口業務は、本来的に区の職員が担うのが原則であり、無理に委託職員に任せようとすれば、職場が複雑に分断され、かえって区民サービスの低下を招くことになります。窓口業務の外部委託については、検討・実施を中止することを求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
経営改革プランにおいては、戸籍住民課や国保年金課の窓口事務の一部について外部委託を実施・検討することとしています。これらの実施に当たっては、引き続き関係機関の見解や周辺自治体のとりくみを把握しながら、個人情報保護など安全管理の措置に万全を期するとともに、業務の円滑な移行や費用対効果など、総合的な検討の下、実現に向けてとりくんでまいります。
4、住民の声が生きるまちづくりの推進を
大きな4つ目の質問は、まちづくりに住民の声を反映させることについてです。
(1)特定整備路線について
この問題の第1は、特定整備路線についてです。
北区内ですすめられている補助73号線、81号線、86号線の3路線4区間では、いずれも計画に反対する根強い住民の声があります。日本共産党はこれまでも、「防災」を名目にしているが延焼遮断効果は薄いこと、数百人の住民を立ち退かせコミュニティを破壊すること、貴重な文化遺産や公園の自然環境を傷つけることなど、道理のない計画であることを繰り返し指摘し、計画の撤回を求めてきました。
ところがこの2月、国土交通省は、都が住民の理解を得ないまま提出した事業申請に対し、すべての路線で認可を下してしまいました。この決定に対し、赤西86号で1279人、志茂86号で879人など、北区内だけでも2400人を超える住民から不服審査請求が出されています。志茂地区では、計画線にかかる地権者の半数以上が、計画の撤回を求めています。これだけの異論が出ている計画は、北区でも例がないのではないでしょうか。
区長はこれまで、「都市計画道路等のまちづくり事業においては、区民の皆さまのご理解とご協力が不可欠」と表明されてきました。住民の理解と協力が得られない特定整備路線計画については、事業計画の中止・撤回を国、都に求めるべきではありませんか。まず初めにお聞きします。
【区の答弁】
首都直下地震の切迫性などを踏まえると、特定整備路線の整備は、延焼遮断帯の形成のほか、災害時の緊急避難路や救援活動のための空間確保など、木造密集地域の防災性を向上させるうえで極めて重要なとりくみと認識しております。区内の特定整備路線は、すでに東京都が事業に着手しております。区といたしましては、今後とも、東京都に対し、地域のみなさまへの丁寧な説明を申し入れてまいりますが、事業の中止・撤回を求めることは考えておりません。
特定整備路線の2点目として、1946年の都市計画決定の有効性という問題についてお尋ねします。
都は、今回の特定整備路線の根拠を69年前の戦災復興院告示第15号による都市計画決定に求めています。ところが、住民のみなさんが調査したところ、決定の原簿も図面も、どこにも存在していないことが明らかになりました。しかも、告示には「内閣総理大臣の決定アリタリ」と書かれていますが、その決定は見つかっていません。それもそのはず、時の幣原内閣は復興院告示の前に総辞職しており、総理大臣が存在していなかったからであります。これまで都が根拠とし、北区もそれを当然の前提としてきた1946年の都市計画決定は、実は無効だったのではないかという疑義が生じてきたのであります。
このことに関して、区長にお尋ねします。
北区として、都市計画決定の有効性を証明する決定原簿と図面、内閣総理大臣の決定の存在を確認していますか。もしこれらが存在していなければ、都市計画決定自体が無効となるのではありませんか。このことについて答える権限が国や都にあることは承知していますが、区長ご自身の言葉で判断をお聞かせ下さい。
この重大な問題について、確たる判断が出るまでは、事業を一時停止させることが適当だと考えますが、いかがですか。
【区の答弁】
特定整備路線に選定された路線の都市計画決定は、昭和21年の戦災復興院告示第15号に記載されております。東京都からは、その関係図面については、現在、不存在であるが、都市計画決定された区域は、他に決定された都市計画区域もあわせて図示した資料に継承し、適切に管理されていると聞いております。都市計画については、当時の法律に基づき適切な手続きにより決定されたと認識している、とのことです。
なお、区では、内閣総理大臣の決定について、告示文に記載されていることを確認しております。
以上、道理のない計画に多くの住民が納得しておらず、都市計画決定の有効性に重大な疑義が浮上しているもとで、事業を前に進めるのは言語道断です。都市計画の有効性は、新しい問題提起であり、国も都も区も、正式な場で住民に説明したことはありません。
この問題の最後に、都市計画決定の経緯や法的根拠もふくめ、あらためて近隣住民への事業説明を最初からやり直させることを求めます。区長直々に、東京都に働きかけて下さい。
【区の答弁】
東京都は、特定整備路線について、これまで事業概要および測量説明会の他、個別相談会や自治会主催の場での事業説明を実施し、関係地権者のみなさまのご協力を頂きながら測量を進め、事業認可を取得したと聞いております。東京都に対しては、引き続き、関係する住民のみなさまへの丁寧な説明を申し入れてまいりますが、説明のやり直しを求めることは考えておりません。
(2)志茂のまちづくりについて
第2は、志茂のまちづくりについてです。
現在、志茂地域では、主要生活道路拡幅などのルールを定める地区計画の導入が検討されています。木造密集地域解消のためには、幅6メートルの避難経路整備は欠かすことができません。一方で、建て替え時に道路の中心から3メートルの後退を義務づけることは、計画線にかかる地権者の財産権にもかかわる問題であり、十分な説明と納得を必要とします。
この間、志茂まちづくり協議会では、役員を中心に地区計画導入に向けた勉強会を重ね、素案をまとめあげてきました。このこと自体は大変なご苦労ですが、この素案の中身が十分に周知されないまま北区への提案となってしまった感は否めません。昨年の8月から10月にかけておこなわれた素案に対する住民アンケートは、回収率が2.8%にとどまりました。今年1月の協議会では「道路のために家を削れという話は聞いていない」などの意見も出る中、22人の参加で採決をおこない、14人の賛成で協議会案を決定しました。
まずお尋ねしますが、志茂全域にかかわる地区計画の素案について、総会ではない通常の協議会で多数決をとり、決定するという権限が、まちづくり協議会にあるのでしょうか。また、この経過で決定されたとする素案は、志茂地域の住民の意向を十分に反映しているといえるでしょうか。お答え下さい。
【区の答弁】
志茂まちづくり協議会では、平成25年6月より、区への提案を見すえ、まちづくりルール協議会案の策定にとりくんでまいりました。協議会として、志茂地区の防災性を向上させるためのルールづくりをおこなうことは、適切なとりくみと考えております。区では、協議会からの提案の内容を参考に、地区計画北区原案の作成を進めてまいりました。
協議会では、まちづくりルールの内容について、住民アンケートや志茂まちづくり協議会ニュースなどにより、住民意向の把握や周知をおこなってきましたが、「十分には理解されていない状況がある」とも聞いております。区といたしましては、今後、地区計画の策定を進める中で、引き続き、住民理解を深めるための丁寧な説明が必要と考えております。
現在、地区計画は北区原案の説明会、縦覧がおこなわれ、今年中には都市計画決定するとされています。区は、避難経路周辺の住民に全戸訪問をおこない、計画を周知徹底するとしていますが、計画を知らない地権者を残したままルールを決めてしまうことだけは、絶対に避けなければなりません。
そこで、住民説明会は今後とも必要に応じて適宜開催すること、全戸訪問による説明を急ぐとともに、納得がいかないという地権者が多数いれば、決定時期をずらしてでも丁寧な説明を尽くすことを求めますが、いかがですか。
【区の答弁】
地区計画の策定にあたっては、現座、地元説明会をおこなっており、再度、9月以降に開催する予定です。災害発生時の避難経路となる主要生活道路沿道にお住いの方々への全戸訪問は、7月から実施できるよう準備を進めております。地区計画は、2020年度までを期限とする不燃化特区のとりくみと相乗的な効果が期待できることから、年内の都市計画決定を目指し、引き続き、住民の方々にご理解をいただけるよう説明に努めてまいります。
(3)学校改築にあたって広く住民の声を反映させることについて
まちづくりの第3、最後の質問は、学校改築にあたって広く住民の声を反映させることについてです。
北区で初めて地域施設との合築となる、なでしこ小学校の改築計画では、昨年10月に近隣住民向けに開いた区の説明会のあと、直近の住民から改築にともなう住居への影響について意見があがったと聞いています。その後、教育委員会と区の担当部署で丁寧に対応していただき、おおむね納得は得られたとのことですが、そもそもの問題は、基本設計を検討するワークショップが非公開とされ、計画の素案が固まるまで直近の住民に情報が伝わらなかったことにあります。
教育施設であり、近隣住民のみなさんには、ある程度の理解をしていただくことが必要ですが、そのためにも、計画立案段階から広く住民の声を反映させるシステムが必要だと考えます。
そこで、今後の学校改築においては、基本計画づくりのワークショップなどは原則公開とし、住民の意見を広く取り入れられるよう改善すべきだと思いますが、教育長の考えをお聞かせ下さい。
以上で、私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
【区の答弁】
北区では学校の改築事業に着手した当初より、学校が教育の場であるとともに、地域の様々な活動の場となっていることから、学校、PTA、地域代表の方々による基本設計検討会を設置し、改築計画の検討を行うことで、開かれた学校づくりを計画段階から進めてきました。
ワークショップ方式で行う検討会の公開につきましては、昨年度事業化した田端中学校の改築事業から、原則公開とするとともに、検討会の様子を随時ホームページでご紹介するなど、情報提供に努めているところです。