2015年第4回定例会個人質問―のの山けん
2015年11月25日 | のの山けん
マイナンバー制度の実施について
私は、いま多くの区民が関心を寄せているマイナンバー制度の問題にしぼって、花川区長に質問いたします。
1、利用開始にあたって
大きな1つ目は、利用開始にあたり、さしあたって対応が求められる6点についてお尋ねします。
(1)通知カードの発送について
その第1は、通知カードの発送についてです。
10月から発送されるとしていた通知カードが、ようやく11月半ばから届きはじめています。住民票のある全ての住民に間違いなく届けること自体が大変な作業ですが、誤配送などのトラブルがないよう万全を尽くしていただくことを前提にお聞きします。
1つ。簡易書留で本人に届かず、区役所に戻ってくる通知カードはどれくらいあると想定していますか。また、そのカードの扱いはどうするのですか。通知カードを受け取ることを拒否した人には、区としてどのように対処するのですか。
2つ。認知症高齢者など本人が通知カードを管理できない場合は、誰が代わりに管理することになるのですか。
3つ。DV被害者のように事情があって住所を移していない人には、どう対応するのですか。お答え下さい。
【区の答弁】
まず、通知カードについてです。
北区での通知カードの発送は11月10日から始まりましたが、全世帯への配送は12月までかかる見込みです。配達時にご不在であり、再配達のご要望がなく、郵便局の保管期間内に取りに見えないなどにより、区役所に戻ってくるものは、国民健康保険に関する通知などを参考に、発送時の約7%、1万3000通程度と想定しています。返送された通知カードについては、3ヵ月間区役所に保管します。住所変更などがない場合には、区役所に戻っている旨の通知を出し、受け取りに来ていただきます。その他、発想の基準日以降に住所変更された場合なども、国が定めた要綱に基づき取り扱うことになります。また、通知カードの受け取りを拒否された場合には、3か月程度保管した上で、廃棄することになります。
次に、認知症高齢者などご本人が管理できない場合の管理についてです。
成年後見人がいらっしゃる場合にはその方が、また、いらっしゃらない場合はご家族の方が管理されることを想定しています。また、DV被害者など、やむを得ない理由により住所地において通知カードを受け取ることができない場合は、居所情報の申請や番号の変更手続きをしていただくことにより、新たに通知カードを作成して、居所に発送することができます。
(2)マイナンバーカードの発行について
利用開始にあたっての第2は、個人番号カード、いわゆるマイナンバーカードの発行についてです。
通知カードと違い、個人番号カードの申請はあくまでも任意です。区が作成している資料にも「現時点では『個人番号カード』が無いと、手続きが進まないような事務はありません」と明記されています。
そこで、個人番号カードの申請は義務ではなく希望制であることを、広く区民に周知して下さい。また、身分証明書として必要だという人でも、個人番号カードの代わりに住民基本台帳カードが10年間は証明書として利用できることを区民に周知することを求めます。
【区の答弁】
個人番号カード、いわゆるマイナンバーカードは交付を希望される方にのみ、ご申請いただく点や住民基本台帳カードが有効期限まで身分証明書として使用できることについては、これまでも機会をとらえて北区ニュースなどを通じて周知をしてきたところでありますが、今後も引き続き、説明に努めてまいります。
(3)区のコールセンター通話料は無料にすること
利用開始にあたっての第3は、コールセンターについてです。
住民向けの問い合わせ窓口として、国と区がそれぞれ有料のコールセンターを準備しましたが、「国の都合で進める制度なのに、なぜ相談者が料金を負担しなければいけないのか」との批判に、国は無料のマイナンバー総合フリーダイヤルを、11月2日より開設しました。一方、通知カードの受け取りや個人番号カードの申請についての問い合わせを受け付ける区のコールセンターは有料のままです。
通知カードが届き始め、これから問い合わせは殺到すると思われます。区のコールセンターも、すみやかに通話料無料にすることを求めます。あわせて、電話ではなく直接区役所に来庁した区民や事業者向けにも、相談窓口の開設が必要ではないでしょうか。お答え下さい。
【区の答弁】
コールセンターの無料化については、現在のところ、国からの補助は全くなく、現段階では、他区においても有料を継続する方針としている区が圧倒的に多い状況です。区といたしましては、国に対し、コールセンターにかかる経費の補助を要望するとともに、問い合わせの状況や、他区の動向などもふまえて、引き続き検討してまいります。
また、相談窓口については、10月より第2庁舎4階に開設しており、相談に来られる方も徐々に増えてきています。
(4)個人番号を扱う事業者への対応について
利用開始にあたっての第4は、個人番号を扱う事業者への対応についてです。
事業者には従業員と扶養家族などの個人番号を集め各種書類に記載するほか、番号を厳格に管理する義務が生じます。番号を漏らせば、最高4年以下の懲役や200万円以下の罰金が科されるだけに、事業者には厳しいセキュリティ対策が迫られます。ある専門家は、従業員100人で支店が数ヵ所という企業の場合、初期費用で1000万円、ランニングコストで毎年400万円もの負担が生じると試算しており、「これでは“マイナンバー増税”だ」との声もあがっています。
そこでお尋ねします。
個人番号を取り扱う事業者の新たな負担に対して、国や東京都に補助を求めるとともに、区としても何らかの形で財政支援をおこなうよう求めますが、いかがですか。
【区の答弁】
マイナンバー制度の導入にともなう事業者の新たな負担に対する財政支援は、国が責任を持って対応するものと考えています。これまでも国や東京都に対して、事業者に対する財政支援をはじめとして、マイナンバー制度にかかる研修会の開催などを要望しているところですが、引き続き、強く要望してまいります。
(5)マイナンバー詐欺や犯罪の防止について
利用開始にあたっての第5は、マイナンバー詐欺や犯罪の防止についてです。
制度のスタートに便乗して、個人番号などの情報を聞き出そうとしたり、「あなたの番号が漏れたので取り消し料を払ってほしい」などと言い寄る新手のマイナンバー詐欺が発生しています。インターネット上では、「マイナンバー占い」などといって番号を盗み取ろうという手口も使われています。さらに、事業者に必要以上のセキュリティ商品を売りつける悪質な「マイナンバー商法」も登場しています。
そこで、区として関係機関とも連携し、あらゆる場面でマイナンバー詐欺や犯罪を防ぐための手立てを講じるよう求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
区では、区内3警察および税務署と連携をして、マイナンバー詐欺にかんするチラシを作成し、各町会・自治会での回覧や、高齢者ふれあい食事会で配付をしているほか、民生委員・児童委員の方々などを対象とした制度説明会を開催し、マイナンバー詐欺について具体的に説明をするなど、あらゆる機会をとらえて、注意喚起を図っているところです。また、区内郵便局とも連携をし、区内企業などの協賛による「年賀はがき」を活用したマイナンバー詐欺の注意喚起を予定しており、区内関係機関が連携し、一丸となったとりくみを展開しているところです。今後につきましても、引き続き、制度の周知に努めるとともに、マイナンバー詐欺や犯罪の防止に努めてまいります。
(6)これ以上の利用拡大をおこなわないよう国に求めるとともに、法律で定められた範囲を越える個人番号の利用を厳格に禁じること
利用開始にあたっての第6は、制度の利用範囲についてです。
マイナンバー法は附則で、「施行後3年を目処として」利用範囲の拡大を検討するとしています。ところが、まだ制度がスタートしてもいない先の通常国会で、政府は預金通帳や特定健診、予防接種などへのマイナンバーの利用拡大を決めてしまいました。さらに財務省が、すでに撤回はしたものの、消費税10%の「軽減」に個人番号カードを使った還付措置を提案したり、NHK会長が受信料徴収に「マイナンバー活用を検討したい」と発言するなど、なし崩し的な利用拡大が取りざたされています。
来年1月から、個人番号カードを国家公務員の身分証明書として使うなどとも報じられていますが、希望制が原則の個人番号カードを強制的に取得させることは、法の趣旨からも外れるものです。
そこで、区として、マイナンバー制度のこれ以上の拡大はおこなわないよう国に求めるとともに、法律で定められた範囲を超える個人番号の利用は厳格に禁じるべきだと思いますが、区長のご見解をお尋ねします。お答え下さい。
【区の答弁】
マイナンバー制度では、利用に限らず、提供についても番号利用法で定められた事務や手続きにおいてのみ可能とされているほか、これに違反した場合には、従前の個人情報保護法などと比較しても、厳しい罰則が設けられており、厳格な運用が求められています。マイナンバー制度は「国民の利便性の向上」や「行政の効率化」、「公平・公正な社会の実現」という国民生活にとって、重要な社会基盤となる新たな制度であることから、利用範囲の拡大は、必要なものと考えています。
2、制度の問題点について
大きな2つ目の質問は、マイナンバー制度の問題点についてです。
政府はマイナンバーについて、「行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤」になると説明していますが、良いことばかりと手放しで喜べない重大な問題があります。
(1)プライバシー侵害の恐れ
まず初めに、プライバシー保護についてお聞きします。
いうまでもなくプライバシー権は憲法で保障された権利であり、個人情報はむやみやたらに知られないようにしなければなりません。しかし、マイナンバー制度では各分野の情報が1つの番号に紐づけされ、利用すればするほど個人情報が集積されてゆきます。政府が提示しているロードマップ案では、今後5年間で個人番号カードに、キャッシュカード、クレジットカード、ポイントカード、診察券、運転免許証、さらには2020年東京オリンピックの入館カードなどの機能を一体化させる「ワンカード化」構想が示されています。まさにあらゆる個人情報が一つに集約され、利用されることになります。
重大なことは、政府が十分な個人情報保護措置を講じるとする一方で、刑事事件や犯罪の捜査などはその適用外だとし、「公益上の必要」があればマイナンバー情報を利用できるなどとしていることです。これでは、犯罪の嫌疑をかければ丸裸の情報を取得できるなど、公権力による個人情報の不正利用につながる恐れがあります。
国際的に見ても、全員強制で生涯不変、官民共通利用の番号制度を導入している国は、日本の他にありません。ドイツでは、1983年の連邦憲法裁判所の判決で「1つの番号で個人の情報を集約・管理してはいけない」との見解が示され、行政分野別の番号が使われています。その背景には、かつて住民を番号で管理していたナチスへの反省があります。また、イギリスでは、一度はつくられた共通番号制度が、保守層を含む広範な反対世論の下、2010年の政権交代によって廃止となりました。
加えて強調したいのは、通知カード、個人番号カードの性別記載が、性同一性障害など性的マイノリティに対する偏見・差別を助長するものになることです。カードの提示によって不用意に性が識別・公表されてしまうことは、トランスジェンダーの人などにとっては耐えがたいことです。
そこで、お聞きします。
区長は、1つの番号でさまざまな個人情報を紐づけ、集積することを義務化する制度が、プライバシーの侵害にあたるとお考えになりませんか。また、性的マイノリティの方々などに配慮し、カードの性別記載削除を国に求めるべきと考えますが、いかがですか。
【区の答弁】
マイナンバー制度においては、マイナンバーを含む個人情報は、従来通りそれぞれの機関が分散して管理をしており、情報の一元管理をおこなっていないことから、プライバシーの侵害にあたるとは考えておりません。
また、性的マイノリティの方々への配慮といたしましては、国ではカードの個人情報を目隠しするカードケースを配布する方針を決めたとの報道が9月になされています。性別にかかる記載や配慮については、マイナンバー制度に限らず、さまざまな制度にかかるものであり、国の議論の中で進められるものと考えています。
(2)情報漏えいの危険
制度の問題点の第2は、情報漏えいの危険についてです。
年金機構の125万件もの情報漏れ事件の例からも、100%情報漏えいを防ぐ完全なシステムの構築は不可能です。ましてや、行政機関だけでなく民間でも広くマイナンバーを使用することになれば、情報が漏れる危険はいっそう高まります。
最初に確認したいのは、北区におけるシステムのセキュリティ対策に関してです。個人情報を扱うシステムには、既存の住基システムに接続された基幹系ネットワークと、インターネットに接続された情報系ネットワークがありますが、総務省はインターネットを通じた標的型メールによる攻撃を防ぐため、この2つのネットワークを物理的に切断し、通信不可能な状態にしておくべきだとしています。
そこで、北区では、基幹系ネットワークと情報系ネットワークが切断された状態にあるかどうかを確認いたします。
次に、マイナンバーを扱う事務の委託についてです。先日、区の紙おむつ支給事業において個人情報が流出するという事件が発生しました。この件では、委託業者による契約違反の再委託が発覚し、さらには再々々委託業者によって個人情報が利用されていました。マイナンバー事業では、こうした事故は絶対にあってはなりません。
そのためには、マイナンバーを扱う事務については区の職員があたることを原則とし、委託は禁止とすべきだと思いますが、区は委託や再委託を考えているのでしょうか。お答え下さい。
この問題の最後に、マイナポータルによる個人情報流出の危険についてお尋ねします。国は、番号に紐づいた情報は各行政機関に分散管理され、お互いは符号でやりとりするので、マイナンバーによって“芋づる式”に情報が漏れることはない、と説明しています。しかし、2017年1月からの運用が予定されているマイナポータルでは、個人番号カードによって、本人の個人情報が閲覧できるようになります。
悪意ある人物が、個人番号カードと暗証番号を手に入れれば、マイナポータルを通じて個人番号に紐づいた情報を一気に盗み取ることができるのではないでしょうか。区長のご見解をお聞かせ下さい。
【区の答弁】
まず、北区の基幹系ネットワークと情報系ネットワークについては、構築当初から分離されています。
また、マイナンバーを扱う事務の委託については番号利用法上認められているところです。北区におきましては、マイナンバーを扱う一部の事務については委託を想定しております。
悪意のある者が、個人番号カードと暗証番号を手に入れれば、マイナポータルを通じて自己情報を確認することはできますが、個人番号カードと暗証番号を、悪意のある者が同時に入手することは、困難であると思われます。
(3)費用対効果について
制度の問題点の第3は、費用対効果についてです。
マイナンバー制度には、導入の初期費用に約3000億円、年間経費に約300億円と莫大な経費がかかり、これ以外に算出すら困難な民間事業者負担が加わります。北区でもすでに、約15億円もの費用がかかっています。ところが、これだけの支出に見合うメリットがあるのか、政府からはまともな説明はありません。
行政効果について甘利担当大臣は、年間約2400億円の増収が見込まれるとしましたが、これは番号制導入で効率化できる1980人の税務職員を徴収にまわせば、一人あたり約1億2300万円も徴収額が増えるという荒唐無稽な仮定に基づくものです。国民の利便性についても、一生に一度の年金申請や、せいぜい年に数回程度の手続きが簡素化されるというだけのものです。
では、本当のメリットは誰が享受しているのか。日本共産党国会議員団の調べで、政府機関が発注するマイナンバー関連事業862億円のうち、約9割にあたる772億円を、富士通、日立製作所、NTTデータなど9社の大企業が独占的に受注していることが明らかになりました。これらの企業は、政府のマイナンバー検討会議に委員を出しており、プライバシーの売り買いを通じた政管癒着の構図が浮かび上がっています。10月には、関連事業の契約をめぐって、厚生労働省の室長補佐が収賄容疑で逮捕されるなど、マイナンバー制度そのものが利権の温床であることが、国民の目にも明らかになりました。
そこで、区長にお聞きします。
莫大な経費に対し、国民へのメリットは少なく、制度に関連した大企業がビジネスチャンスとばかりに巨額のもうけをあげるマイナンバー制度が、本当に国民・区民のためになるとお考えですか。
それでも自治体にこの制度の実施を求めるとすれば、国が必要かつ十分な財政措置を講ずるべきです。国に対してさらなる財政支援を求めるべきと考えますが、いかがですか。
【区の答弁】
マイナンバー制度は、国民の利便性の向上のほか、行政の効率化、公平・公正な社会の実現のための、国民生活にとって重要な社会基盤として新たに整備されるものです。マイナンバー制度が導入された場合の効果については、その利活用によってさまざまなメリットが期待されており、国会での審議では定量化が困難な定性的な効果も含めて十分な費用対効果が見込まれるとの見解がしめされております。
制度やシステムの詳細がより具体的になってきていることから、今後、国において、正確でわかりやすい費用対効果がしめされると認識しております。
(4)徴収強化、社会保障の負担増・給付削減のねらい
制度の問題点についての第4は、マイナンバー制度が徴収強化、社会保障の負担増・給付削減に利用されるのではないかという点です。
政府は、マイナンバーの導入で、「負担免れや不正給付を防止し、本当に困っている人にきめ細かな支援をおこなう」といいますが、大企業には法人税の大減税、庶民には消費税10%増税と税制をゆがめ、医療・介護・年金など社会保障費に大ナタをふるって削減を繰り返してきたのが歴代の内閣です。「本当に困っている人」から、さらに税金をとり、社会保障費を減らそうというのが本音ではないでしょうか。
現に、今年6月に閣議決定された骨太の方針2015には、「マイナンバー制度を活用し、…金融及び固定資産情報と所得情報をマッチングするなど、マイナンバーをキーとした仕組みを早急に整備するとともに、税・社会保険料徴収の適正化を進める」、「医療保険、介護保険ともに、マイナンバー制度を活用すること等により、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担を…検討する」と明記されています。これは、基本インフラの整備によって給付と負担の「見える化」を推進すべしと提言してきた財界の意向と一致する方向です。
今でさえ国民健康保険料の滞納差し押さえは、2013年度、全国で26万件、935億円にのぼり、5年間で件数、金額とも1.4倍化しています。保険料を払いたくても払えない低所得者からも徴収を徹底的に強化し、給付を抑え込む。こんなツールにマイナンバーが使われれようとしているのです。
マイナンバー制度が実施され、定着するにつれ、さらなる徴収強化や社会保障の切り捨てがすすむのではないですか。花川区長のお考えをお聞かせ下さい。
【区の答弁】
6月に閣議決定された「骨太の方針2015」では、マイナンバー制度の活用などにより税・社会保険料徴収の適正化を進めるとの方針がしめされています。今後、マイナンバー制度の導入の趣旨である「公平・公正な社会の実現」に向けたとりくみの一つとして、公平な課税や給付を実現するために、給付金などの不正受給の防止などが適切におこなわれていくものと考えております。
3、国に対し制度の延期・中止を求めること
大きな3つ目の質問は、国に対しマイナンバー制度の延期、中止を求めることについてです。
これまでみてきた問題点に加え、マイナンバー制度には、あわてて導入しようとしたために、準備や周知も遅れに遅れているという実態があります。
私が指摘したいのは、実施を急ぐあまり、リスク対策としておこなわれるべき特定個人情報保護評価が骨抜きにされていたという事実です。本来、特定個人情報保護評価は、システム改修をおこなう前に実施しなければなりません。ところが政府は、一定の条件を満たせば、この順番を守らなくてもよいとする「特例」を設け、北区でも評価書によって安全が確認される前に、システム改修に手をつけていたのです。制度の実施に間に合わせるため、安全指針すら軽視されていることは重大です。
国民への周知では、内閣府による7月の調査でも、制度の内容まで知っていたと答えた人は4割強にすぎませんでした。周知が不十分なまま運用を開始すれば、マイナンバーの不正使用や漏えいが頻発する恐れがあります。
また、特別な体制で通知カードを配る郵便職員や、窓口での大混雑が予想される個人番号カード交付に備える自治体職員にも過大な負担がかかります。経営改革路線で大量の職員を削減し、今や約4割が非正規となっている北区でも、全くミスなく業務をこなすのは大変なことでしょう。
そこで、最後に区長にお尋ねします。
準備が遅れ、周知も行き届いていないマイナンバー制度については、国に対し、来年1月からの運用実施を延期するよう求めるべきと考えますが、いかがですか。
その上で、この制度が持つ多くの矛盾や問題点を根本的に解決するためには、今からでも制度の中止を正面から求めることが必要です。花川区長が、国に対してはっきりとマイナンバー制度を中止するよう声をあげることを求めて、私の質問を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。
【区の答弁】
マイナンバー制度は、国民の利便性の向上、行政の効率化、公平・公正な社会の実現のための国民生活にとって、重要な社会基盤として新たに整備されるものです。区といたしましても、今後も区民のみなさまや区内事業者に対して、北区ニュースやホームページなどを通じて制度の周知に努めるとともに、区職員の教育や窓口体制の構築はもとより、区内関係機関とも連携をしつつ、番号利用法やガイドラインの規定にもとづき、しっかりと対応してまいります。