2016年第3回定例会個人質問ーのの山けん
2016年9月9日 | のの山けん
本日最後の質問ですが、質問に先立ち、公明党の坂口議員がおこなった、わが党の名前をあげての批判については、しかるべき場において反論させていただくことを述べておきます。
質問に入ります。
私は、大きく2点について区長、教育長にうかがいます。
1、公共施設のあり方について
大きな1つ目の質問は、公共施設のあり方についてです。
(1)公共施設等総合管理計画について
初めに、公共施設等総合管理計画について質問いたします。
いま総務省は、全国の自治体に対し、総合管理計画を策定するよう求めています。北区はすでに2011年に公共施設白書をまとめ、これに基いて公共施設再配置方針を2013年7月に決定していますが、今年度中には総合管理計画を策定する予定だとうかがっています。
そこで、お聞きします。
第1に、総務省が求めている公共施設等総合管理計画の内容についてお示し下さい。
第2に、北区で策定する総合管理計画は、これまでの公共施設再配置方針とはどのような関係になるのでしょうか。総務省は公共施設に加え、インフラ整備の計画も求めていますが、どう対応する予定ですか。
第3に、総合管理計画を策定するプロセスと、パブリックコメントなど区民意見の集約方法についてお答え下さい。
【区の答弁】
公共施設等総合管理計画は、平成26年に総務省より地方公共団体が所有する公共施設等の全体の状況を把握し、団体における現況および将来の見通しを分析し、これを踏まえた公共施設等の管理の基本的な方針を内容とする計画を平成28年度までに定めるよう要請があり、策定するものです。
北区では、すでに公共施設等にいける区の現況および長期にわたった将来の見通しを含めた北区公共施設再配置方針を、平成25年に策定しています。
このほか、バックデータとしての北区公共施設白書や、区有施設保全計画などの施設の維持修繕に関する計画、橋梁の長寿命化計画や公園等のインフラにかかる計画もすでに整備しています。
こうしたことから、北区版の総合管理計画は新たな考えを示すものではなく、再配置方針をはじめとした、これまでの北区の公共施設等にかんする考え方や計画を統合した計画として策定をしてまいります。
したがって、庁内の検討会により計画をとりまとめることとし、パブリックコメントなど実施は考えておりません。
(2)志茂三・四丁目の大規模マンション計画にともなう公共施設の充実について
公共施設についての2つ目は、志茂3・4丁目の大規模マンション計画にともなう公共施設の充実についてです。
この5月、敷地面積約1万8000㎡という広大な日本化薬東京工場跡地に、総戸数502戸の分譲マンション建設計画が明らかになりました。建築主は総合企画を担当する長谷工コーポレーションなど3社、工事期間は今年の12月から2019年3月までとされています。マンションが完成し、新たな入居者が移転してくれば、3年半後にはこの地域で少なくとも1000人を超える人口が増えることになります。当然ながら、学校や保育施設、コミュニティ施設など公共施設の需要も増すことになります。
そこで第1に、保育施設についてお聞きします。
計画概要説明書によれば、3つの区画のうち約530㎡のC敷地に、事業者が「子育て支援の為、保育施設を整備」するとされています。
待機児解消は喫緊の課題であり、北区として認可保育園への活用が望ましいと考えますが、このことについて事業者との協議をおこなうお考えはありますか。
【区の答弁】
保育園の待機児童解消は、区にとって喫緊の課題であり、区では当該地における開発計画に対し、認可保育園の設置を要望しております。
第2に、マンションに近接する志茂東ふれあい館の活用についてです。
このふれあい館については、なでしこ小学校の複合化にともない廃止との方向性が示されていますが、利用者からは「高齢者の居場所として、なくてはならない施設」「利用率も高く老朽化もしていないのに、なぜなくさなければいけないのか」など、強い存続の希望が出されています。
マンション建設によって人口が大幅に増加するという新たな状況が生まれた下で、あらためて利用者ら地元住民の意向を問い、必要ならば存続も視野にいれた検討をおこなうべきと考えますがいかがですか。お答え下さい。
【区の答弁】
志茂東ふれあい館は、なでしこ小学校内に移転後、遊休施設となります。
遊休施設の利活用を検討する際は、基本計画等に位置づけられた事業としての活用や、北区全体や地域の課題解決のための活用、さらには基本計画等を実現していくための財源調達手段として活用することを原則としています。
移転後の利活用については、これら原則に照らした上で、その時点での行政需要や区民ニーズ等を十分見極めるとともに、地元町会自治会連合会からの要望などを含めて総合的に検討し、区が策定する計画の中に位置づけてまいります。
(3)住民の声を生かした学校跡地の利活用を
公共施設についての3つ目は、住民の声を生かした学校跡地の利活用についてです。
現在、旧清至中および旧赤羽中の跡地利活用について検討が始まっていますが、今回は赤中跡地を中心にお聞きします。
学校跡地は区民の財産であるとともに、地元住民にとっては長年にわたりコミュニティの中心となってきた、思い入れの深い場所です。利活用の検討では、住民の声を生かし、地元から歓迎される計画にすることが必要です。この間開かれている学校施設跡地利活用検討委員会では、自治会長やPTA会長など地域代表者と意見交換をおこない、丁寧に要望を聞いていただいていると承知しています。
一方、学校跡地のある志茂1丁目では、住民有志によって「赤中の跡地利活用を考える会」が発足しました。すでに112人からアンケートを集約し、地元住民が考える跡地利活用案をまとめ提言をおこなうなど、精力的な活動をおこなっています。
そこで第1に、区としては広範な地元住民の声をどのように集約し、利活用計画に反映させていこうとしているのかについて、お答え下さい。
【区の答弁】
「学校施設跡地利活用指針」にあるように、学校施設跡地は区民共通の資産であり、基本計画実現のための利活用、また計画実現のための財源調達手段等として活用するという認識のもと、旧赤羽中学校、旧清至中学校の利活用計画策定に向け、6月から学校施設跡地利活用検討委員会を設置し、検討を進めています。
第2回の検討委員会では、地域代表の方からご意見を直接うかがい、さらに第3回では広く区民の方からいただいたご意見を検討の際の貴重な資料としてご紹介をし、議論をいただきました。
寄せられたご意見の内容は多岐にわたりますが、類似した意見もあり、キーワードとなるものもいくつか見えてきたところです。
今後は、区の課題、地域の課題解決に資する活用といった視点から、検討委員会においてより議論を深め、利活用の方向性をまとめていく予定です。
第2に、地元自治会の拠点となるコミュニティ施設の要望についてです。
検討委員会の意見交換会では、地元の自治会長から旧志茂西ふれあい館に代わるコミュニティ施設をつくってほしいとの意見が述べられました。旧志茂西ふれあい館というのは、北清掃工場の建設と引き換えに地域住民への還元施設として提供されたもので、ふれあい館の機能とともに、志茂1丁目自治会館としての役割を果たしてきました。しかし、現在は耐震性の問題に加え、区の管理方針によって使用が制限されています。地元からは、現在の施設を耐震改修して元の通り使えるようにしてほしいという声も上がっていますが、それが不可能な場合、学校跡地に新たな代替施設を建設することは、道理のある要望だと考えます。
そこで、赤中跡地に旧志茂西ふれあい館に代わる自治会のコミュニティ施設をという要望には、区として前向きにこたえていただきたいと思いますが、区長の考えをお聞かせ下さい。
【区の答弁】
今回の検討委員会の場などで、地元から自治会館設置の要望をいただいております。
また、区民の方からの意見についてもコミュニティの活動拠点といったご意見もいくつかいただいているところです。
コミュニティという視点については、周辺のコミュニティ施設の配置状況も勘案し、今後の検討の中で、優先度なども含め議論いただくべき内容ととらえております。
ご要望のある自治会館については、他の町会・自治会館に対する支援と同様の考え方で対応することが適切であると考えています。
第3に、東京都からの都市計画道路建設の代替地にという要望についてです。
直近の利活用検討委員会で、赤中跡地を現在進められている道路計画の代替地として活用させてほしいという東京都からの要望が紹介されました。しかし、このあと述べるように、赤中跡地の敷地にもかかる補助86号線計画をめぐっては地権者らから根強い反対の声が起きており、事業認可取り消しを求める裁判も継続中です。学校跡地という公共の用地に個人住宅を提供するのが妥当かどうかという問題を別にしても、道路事業を進めたい東京都と、計画の中止を求める住民が真っ向から対立している中での代替地という提案は、この地域に新たな火種を投げ込むことになりかねません。
そこで、都からの代替地提案については、現在おこなわれている跡地利活用検討委員会において、補助86号線計画に関連している住民との意見交換会を持つことを提案いたします。
【区の答弁】
補助86号線など都市計画道路の整備については、防災まちづくり事業等に資するもので、区民の安全・安心を確保する上でも重要な事業であるととらえています。
また、道路事業により影響を受ける区民の方々の生活環境の変化を最小限にするといった点からも、近隣での代替地確保に協力するのは、区としても必要なことであり、今回の東京都からの要望については協力をする考えです。
また、跡地利活用と道路事業については、あわせて議論すべきものではないため、検討委員会の中での意見交換等については予定しておりません。
(4)公共施設の再配置における利用者への説明責任について
公共施設についての4つ目は、施設の再配置における利用者への説明責任についてです。
今年度末で廃止となる上中里コミュニティ会館について、区は半年以上も前から指定管理者や建物所有者との協議をおこなってきました。会館廃止の噂が流れ、心配になった利用者らは今年4月に存続を求める要望書を提出しました。ところが区は、その2ヵ月後の6月に会館の廃止を決定してしまいました。利用者向けに説明会を開いたのは、廃止決定後の7月です。本来であれば、廃止する前に何らかの形で利用者から意見を聞き、納得を得る努力が必要だったのではないでしょうか。ましてやこの会館は、利用者同士の自治的な運営によってボクシングや卓球などの活動が営まれているという、他の施設にはないユニークな特徴をもった施設です。利用者の思い入れも特別に強いものがあります。
そもそも公共施設は、住民の暮らしや文化、コミュニティの形成と密接に結びついています。合理的な再配置は避けられないとはいえ、これまで使っていた施設がなくなれば、住民の生活が根本的に変わってしまうという可能性も否定できません。管理するのは国や自治体ですが、公共施設は住民の共有財産であり、その存廃については住民、利用者の意向を最大限に尊重して検討することが必要です。
そこで、うかがいます。
第1に、上中里コミュニティ会館の廃止については、決定する前に利用者の意見を聞き、区として事情を丁寧に説明して理解を求めるべきではなかったでしょうか。
第2に、今後廃止せざるを得なくなる公共施設について、利用者への理解を得るために、説明責任をどう果たしてゆくつもりかをお答え下さい。
【区の答弁】
上中里コミュニティ会館は、民間所有の建物の一部を北区が賃借し、昭和58年5月に開設した施設です。
平成18年度からは、地元の自主管理委員会を指定管理者として運営してまいりましたが、平成29年3月末をもって建物賃貸借の契約期間が満了となるため、昨年から建物所有者、昭和町地区自治会連合会、自主管理委員会と協議してきました。
その最終調整、最終確認を経て開催した説明会では、参加者の方々に対して丁寧な説明に努めてまいりました。
施設の再配置にあたっては、長期的な財政見通しをもとに、基本計画や中期計画、経営改革プランなど、区が策定する計画の中に位置づけ、区議会や区民のみなさまからのご意見をうかがいながら、とりくみを進めております。
今後とも、「区民とともに」の基本姿勢のもと、説明責任を果たしてまいります。
(5)公共施設再配置方針の目標について
公共施設についての最後の質問は、公共施設再配置方針の目標についてです。
北区の再配置方針は、今後20年間で15%の施設面積を削減するという目標を掲げています。しかしこの数値は、主にコスト面からのみ検討された机上の計算に基づくものであり、現実的ではありません。実際に、区内の公共施設の約半数は学校施設であり、数値目標が自己目的化すれば、必要のない学校統廃合にまで踏み込まなくてはならないという矛盾も生じかねません。
さらに、こうした数値を掲げることは、住民に「施設削減ありき」の意識を強要し、公共施設の存続や充実の要求を抑制させることにつながります。
区民に一方的ながまんやサービスの低下を求めることが、本来の公共施設再配置の目的ではありません。将来人口の推計などもふまえ、公共施設の数や配置はどうあるべきか、一方ではどう施設を充実させ、他方ではどのように合理化できるのか、今まさに住民とともに考えてゆくべき時ではないかと考えます。
そこで、公共施設再配置方針については、施設面積削減の数値目標を見直し、住民の理解を得ながら、住民とともに公共施設の再配置をすすめる現実的な目標を新たに検討し設定すべきではないでしょうか。お答え下さい。
【区の答弁】
区では、平成25年7月に北区公共施設再配置方針を策定して、公共施設の総量を20年間で15%程度削減することとし、これまで統合や廃止、複合化などによって一定の削減を図ってまいりました。
一方、待機児童解消などの行政需要への対応も積極的におこなってきている中で、平成28年3月時点においては、公共施設の総量は「微減」となっています。
公共施設再配置方針は、人口減少や少子高齢化の進展による利用状況や区民ニーズの変化への対応の必要性と、今後、老朽化した公共施設の建て替えや改修など、多額の更新費用に対応していくことが困難な状況であることから定めたものであり、その状況は変わっておりません。
公共施設再配置方針を着実に実現していくことが、北区の将来に対する責任であると考えており、現時点において、削減目標を見直すことは考えておりません。
2、あらためて都市計画道路補助86号線問題を問う
大きな2つ目の質問は、都市計画道路補助86号線に関してです。
先の都知事選では、東京の都市計画道路問題が一つの重要な争点となりました。小池百合子新知事は候補者の時に、都内の市民団体が送った公開質問状にこう答えています。
「このたび東京都は優先的に整備すべき路線を決定するに至りました。…知事に就任させていただきましたら、とりわけ地元から強い疑義が提起されている路線を実際に巡視し、地域住民の皆様とも対話し、優先整備路線に位置付けることが不適切だと判断される路線に関しては、大胆に見直しを進めていきたいと考えております。前知事が決めたからといって、そのまま踏襲するというような硬直的な考えは一切持っておりません」。
これは大いに歓迎できる回答です。区としても、硬直的な考えから脱却し、新知事とともに住民の声に耳を傾け、道路計画の見直しを図っていただきたいと思います。
(1)赤羽南区間の事業認可と用地説明会について
86号線問題の1つ目に、赤羽南区間の事業認可と用地説明会についてうかがいます。
赤羽南86号線は、この3月に事業認可され、都は先日、用地説明会を開きました。ところが、参加した住民から「公共事業でありながら、公共の福祉にどう利するのかの説明もないまま土地を売れとは何事か」「2年前に許可を得て新築したばかりの家を壊して立ち退けといわれても納得できない」などの意見が続出し、会場は大混乱、都の担当者は答弁不能となり、事実上、用地説明会が流会する事態となりました。
都は認可前に事業説明会を開いたといいますが、たった1回の説明で地権者の大切な土地や財産を譲ってもらえるなどと考えているなら、思い違いも甚だしいといわなければなりません。それとも、都が決めたことに、住民は唯々諾々と従えということでしょうか。志茂や赤羽西の86号線計画で、住民不在だと批判が起きたやり方から、何も教訓を学んでいないではありませんか。
そこで質問です。
第1に、赤羽南地区の用地説明会には区の担当者も参加されていましたが、住民に対して丁寧な説明がなされたと考えますか。区長の見解をおうかがいいたします。
第2に、9月中旬から始めるとされている物件調査を延期し、あらためて事業説明からやり直すよう都に申し入れるべきではないでしょうか。お答え下さい。
【区の答弁】
東京都が開催した用地説明会は、スライド等を使い、「公共事業と補償」、「物件調査」について説明がおこなわれました。
質疑では、様々なご意見がありましたが、区といたしましては用地にかかる一定の説明がなされたものと認識しております。
また、補助86号線については、すでに事業認可を取得しており、区といたしましては東京都に物件調査の延期、事業説明のやり直しを求めることは考えておりません。
(2)北清掃工場における住民と都の公害防止協定について
86号線問題の2つ目は、北清掃工場における住民と都の公害防止協定についてです。
志茂地区では現在、86号線の事業認可の取り消しを求めて、国を相手どった裁判がたたかわれていますが、その焦点のひとつが北清掃工場の建設時に交わされた、3次にわたる公害防止協定です。
志茂1丁目にゴミ焼場建設計画が持ち上がり、地元住民約6200名が原告となって建設反対の法定闘争がたたかわれたのは、今から55年前の1961年のことでした。東京都は、当時の自治会長や地元住民代表と10回にわたる交渉を繰り返し、68年には第1次協定が、次いで70年には第2次協定が締結されました。これらの協定では、「(東京都は)あらゆる手段をつくして特に地域的にも公害の防止と絶滅をはかる義務を負担し、その実現のために不断の努力を行う」と定められています。つまり、清掃工場を建設する代わりに、志茂地区の環境を悪化させないことを都に約束させ、騒音・振動、排気ガス、有害物質の排出などについて細かく基準値を設定したのです。協定書の履行状況は、今も定期的に北清掃工場運営協議会で確認されています。
志茂の86号線裁判で、住民の代表はこう陳述しています。
「東京都が率先して志茂1丁目の住民らと作り上げた、将来にわたる地域住民の命と健康を守るための公害防止の協定とその条件を、こともあろうに同じ東京都が今回は反対の主体となって、根底からこれを破壊することになります。…地域住民と北清掃工場との間に築かれた信頼関係を、東京都は今ぶち壊そうとしています」。
まさにこの言葉通り、1日約500台の通行量を1万台に引き上げるようなことになれば、志茂地域の環境を著しく悪化させ、都自らが協定を反故にすることになるではありませんか。
そこで、お尋ねします。
第1に、今回の道路計画が志茂地域の環境に及ぼす影響の調査と、その結果の公表を都に求めて下さい。
第2に、志茂地区の86号線計画が公害防止協定に抵触する恐れについて、区はどのようなお考えをお持ちですか。お答え下さい。
【区の答弁】
環境に著しい影響を及ぼす恐れのある都市計画を定める場合には、当該都市計画にかかる事業の実施が環境に与える影響の調査、予測および評価をおこない、手続きをおこなうこととされています。
環境影響評価の対象となる道路事業の要件は、4車線以上と規定されており、2車線道路については対象外となっております。
区といたしましては、東京都に調査の実施等を求めることは考えておりません。
なお、区といたしましては、補助86号線計画と公害防止協定の関連について、現在、訴訟係争中のため、見解を申し上げることは差し控えたいと考えております。
(3)法的瑕疵問題をあいまいにしたまま事業を進めることは許されない
最後の質問は、86号線計画にかかわって、都と区が法的瑕疵問題をあいまいにしたまま事業を進めていることについてです。
志茂の86号線裁判では、1946年の都市計画決定、すなわち戦災復興院告示第15号の有効性について争われています。国や都は、この都市計画決定を86号線計画の根拠としていますが、住民側は当時の決定原簿や関係図面がないことを指摘し、決定自体が無効だと主張しています。東京都もこれらの資料が不存在であることを認めています。元々の図面がない以上、道路の始点や終点、幅員を特定することができず、都市計画は成り立ちません。
さらに、当時の計画決定に必要な内閣の認可も存在していません。国と都は、1946年当時は旧都市計画法が適用されており、戦時特例を定めた勅令によって内閣の認可は省略できると強弁しています。戦争が終わってもなおこの勅令が有効だという国や都の見解は、70年も経って道路計画を復活させるのに、大日本帝国憲法をもってその根拠とすると述べるに等しいものです。
しかし、日本国憲法前文は国民主権を高らかに謳い、こう述べています。「これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」。つまり、日本国憲法の成立をもって、勅令は一切無効になったと宣言されたわけです。
ここにきて、国や都の最後の拠り所も失われました。86号線のみならず、戦災復興院告示第15号に基づく道路計画、すなわち北区で進められている十条の73号線、85号線、西ヶ原の81号線、田端から荒川区にかかる92号線の法的瑕疵の疑いがはっきりしたのではないでしょうか。
区長にお尋ねします。
法的瑕疵という極めて重大な問題が指摘されているのに、国も都も明確な説明ができないまま道路事業を進めているのは法治国会にあるまじきことです。あらためて都に対し、86号線計画の撤回を求めること、さらに、この法的瑕疵問題について裁判で明確な判断が示されるまで計画を中止するよう要請することを求めます。お答え下さい。
以上で私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
【区の答弁】
ご指摘の都市計画道路の都市計画決定について、東京都からは、「当時の法令に基づき適切に手続きが実施されたものと認識している」と聞いております。
区といたしましては、東京都に計画の撤回、中止を求めることは考えておりません。