2017年第3回定例会代表質問ーのの山けん
2017年9月12日 | のの山けん
私は、日本共産党北区議員団を代表して、花川区長に大きく6点質問いたします。
1、人類の悲願である核兵器廃絶のために
1つ目の質問は、人類の悲願である核兵器廃絶についてです。
(1)国連会議で採択された核兵器禁止条約について
今年7月7日に開かれた国連会議において、国連加盟国の約3分の2にあたる122ヵ国の賛成で、人類初の核兵器禁止条約が採択されました。この条約は、核兵器の開発、製造、使用などに加え、核による威嚇まで、まさに全面的に核兵器を違法化するものです。広島、長崎の被爆者をはじめ、世界各国で核廃絶を訴えてきた人々の努力が、ついに実ったものとして画期的な意義をもつものです。
世界の多くの国々がこれを支持する中、日本政府は国連会議をボイコットし、採択された条約にも参加する姿勢は見せていません。これに対し、長崎市の田上市長は、被爆から72年目を迎えた平和祈念式典の場で、「唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください。日本の参加を国際社会は待っています」とよびかけました。
そこでまず、お聞きします。
区長は、国連会議で採択された核兵器禁止条約の意義をどのように受け止めていますか。お答え下さい。
【区の答弁】
核兵器禁止条約は、本年7月に国連本部での会議において採択された核兵器の全面的な廃絶に向けた国際条約であると認識しています。
(2)平和都市を宣言し、平和首長会議に加盟する北区としてのとりくみについて
次に、核兵器廃絶に向けた区のとりくみについてです。
北区は、1986年3月に平和都市宣言をおこない、2011年2月には平和市長会議、現在の平和首長会議に加盟しました。北区平和都市宣言は、「わが国が非核三原則を堅持することを求める」と謳い、非核の決意を表しています。そこで、区のとりくみについて、4点お聞きします。
1つ。この夏、長崎では平和祈念式典にあわせ、第9回平和首長会議総会が開かれました。北区を代表して総務部長が参加されたと聞いていますが、その感想をお聞かせ下さい。
2つは、日本政府が核兵器禁止条約への参加を決断するよう、区長から働きかけていただきたいと考えますが、いかがですか。
3つに、ヒロシマ・ナガサキの被爆者が核兵器廃絶を訴える「ヒバクシャ国際署名」の推進です。
現在、約300万筆を集約し、770を超える自治体の首長が署名しています。花川区長がぜひ率先して署名をしていただくとともに、国連が呼びかけた9月26日の「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」も契機にして、区として署名を推進して下さい。
4つは、区内に在住する被爆者への支援についてです。
今でも北区には、90人をこえる広島・長崎の被爆者の方々が住んでいます。高齢化が進み、北区で活動していた被爆者の会「双友会」は、もはや自力では活動できない状況にあります。区として、被爆者のみなさんに、医療、リハビリ、心理的援助など支援の手を差しのべていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
区長の温かい答弁を期待するものです。
【区の答弁】
まず初めに、本年8月に長崎市で開催された第9回平和首長会議総会についてです。
このたびの総会は、2013年以来、4年ぶりに開催されたものですが、2020年までの核兵器廃絶に向けた行動計画が策定されたほか、加盟都市等の取り組み事例についての発表と活発な意見交換などがおこなわれたと総務部長から報告を受けております。
次に、核兵器禁止条約に関しては、平和首長会議国内加盟都市会議として、内閣総理大臣あてに核兵器禁止条約の早期実現に向けた取り組みの推進について、要請文を提出しています。
また、「ヒバクシャ国際署名」に署名し、区として署名を推進することにつきましては、現時点では考えておりませんが、他自治体の動向などに注視してまいります。
次に、被爆者への支援についてお答えします。
原子爆弾被爆者に対しては、区といたしましても見舞金を支給し、支援するとともに、国や東京都が実施している健康診断や医療費の給付、各種手当などの援護事業について、お知らせをしています。
一般社団法人東友会が、東京都からの委託を受けて「原爆被爆者相談所」を開設していますので、そちらを丁寧にご案内してまいります。
2、原発依存からの脱却をめざすエネルギー施策の推進を
大きな2つ目の質問は、原発依存からの脱却をめざすエネルギー施策の推進についてです。
日本共産党北区議員団は、この夏、北区と友好都市交流協定を締結している群馬県中之条町を訪ね、再生可能エネルギーのまちづくりについて視察しました。中之条町では、3つの巨大なメガソーラー発電所を拠点とした太陽光発電や、小水力発電、畜産バイオマス発電など、地産地消の再生可能エネルギー事業が大きく前進しています。町が出資して立ち上げた中之条電力は、自治体では初となる特定規模電気事業者の認定をうけ、現在は新たに設立された株式会社中之条パワーが町の公共施設や一般家庭に電力を供給しています。
このとりくみは、国内各地から注目を浴びているほか、文在寅政権の下で脱原発政策に転換しようとしている韓国のメディアからも取材を受けているとのことでした。
(1)区のエネルギー施策の基本的立場について
そこでまず、区のエネルギー施策の基本的立場について伺います。
区は、2013年3月の「北区のエネルギー施策に関する提言」を受け、2015年1月に「北区環境基本計画2015」を策定しました。この方針では、再生可能エネルギーを推進する意義が2つの側面から強調されています。1つは、温室効果ガスの排出抑制からであり、いま1つが、東日本大震災・福島第一原発事故をふまえた災害時における電力の安定供給という点からです。
「災害時の活用を視野に入れた再生可能エネルギー導入の検討」では、「政府のエネルギー政策の見直しを踏まえ」と書かれています。実は、国の第四次エネルギー基本計画では、福島原発であれだけの過酷事故を引き起こしたにもかかわらず、原子力発電を安定供給のための「ベースロード電源」と位置づけています。多くの住民の反対を押し切り、川内、高浜、伊方で5基の原発が再稼働され、来年には玄海、大飯で再稼働が計画されています。
原発事故の重大性を強調しながら、その一方で次々と原発を再稼働させる方針は、国民の納得を得られるものではありません。福島原発事故を契機に、脱原発へと舵を切る国々が広がっていますが、あくまでも原発に固執する日本政府の姿勢は、世界の目にどのように映るのでしょうか。
そこで、区長にお尋ねします。
区のエネルギー施策の推進においては、二度と原発事故を繰り返さないために、原発依存からの脱却こそ基礎にすえるべきではないでしょうか。区が立脚する基本的立場について、お答え下さい。
【区の答弁】
北区では、現在および将来のすべての区民が、健康で快適な生活を送ることができる環境共生都市の実現に寄与することを目的として、北区環境基本条例を制定しています。
この条例をもとに、北区環境基本計画を策定し、低炭素・循環型の社会づくりに向け、区立施設、小中学校への太陽光発電システムの導入や、区民や事業者に対する新エネルギー・省エネルギー機器の導入助成などをおこなっています。
今後も、国のエネルギー政策を踏まえ、地球温暖化対策を進めるため、また、災害時の活用を視野に入れながら、北区内における再生可能エネルギーの活用を進めてまいります。
(2)「原発ゼロ」社会実現への決意を北区から
第2に、北区から「原発ゼロ」社会の実現にむけた決意をしめすことです。
中之条町で再生可能エネルギーのまちづくりを始めるきっかけとなったのは、やはり東日本大震災と福島原発事故でした。当時の町長のイニシアティブで、2013年6月に「再生可能エネルギーのまち中之条」宣言を議決、同じ月に、再生可能エネルギー推進条例が制定されました。原発に代わるエネルギーを、町をあげてつくりだそうという決意が、こうした宣言、条例として実を結んだのです。
そこで、北区でも「再生可能エネルギー推進のまち北区」を宣言するなど、「原発ゼロ」社会実現への決意を内外にしめすことが必要だと考えますが、区長の見解を伺います。
【区の答弁】
原発のあり方については、これまで同様、原子力規制委員会の策定した新規制基準等に基づき、国が責任をもって判断するものと考えています。
今年7月、内閣府に設置されている原子力委員会は、原子力政策全体を見渡し、日本の原子力の平和利用、国民理解の深化、人材育成、研究開発等の目指す方向性やあり方を分野横断的な観点から示した「原子力利用に関する基本的考え方」をまとめました。
その中では、責任ある体制のもと、徹底したリスク管理をおこなった上での適切な原子力利用は必要との認識が示されています。
また、今年度は、国において第4次エネルギー計画の見直しが予定されており、年度内を目途に取りまとめるとしています。
区といたしましては、エネルギー基本計画見直しの動向を注視しつつ、必要な時には、国や東京都に対して全国市長会や特別区長会を通じて対応してまいります。
(3)再生可能エネルギーのまちづくりを推進する中之条町との連携について
第3に、中之条町との連携についてです。
私たちも現場に行って、中之条町での先進的かつ意欲的なエネルギー施策に多くを学び、驚きました。中之条町にふるさと納税をしてくれた人に、返礼品として電力を無料で供給するユニークなとりくみもおこなわれています。
そこで、友好都市交流協定を結んでいる条件も最大限に生かした中之条町との連携について、2点提案いたします。
1つは、北区が購入している電力の一部を株式会社中之条パワーから買い取ることで、中之条町のとりくみを応援することはできないでしょうか。
2つは、中之条町の再生可能エネルギーのまちづくりを区民に紹介したり、再生可能エネルギーをテーマにしたシンポジウムの共同開催を計画してはどうでしょうか。
区長の前向きな答弁を期待するものです。
【区の答弁】
はじめに、北区が購入している電力の一部を株式会社中之条パワーから買い取ることについてですが、他都市と連携したエネルギーの活用については、引き続き実現可能性・有効性等を研究してまいります。
次に、中之条町の再生可能エネルギーのまちづくりの紹介等については、今後、検討してまいります。
3、国民健康保険制度の都道府県化にむけた対応について
大きな3つ目の質問は、国民健康保険制度の都道府県化にむけた対応についてです。
来年2018年度から、いよいよ国保制度の広域化が実施されます。特別区では、加入者の高齢化や低所得者の割合が増えるなどの要因で国保料が毎年引き上げられ、負担は限界に達し、制度の構造的欠陥が叫ばれるようになっています。
都道府県化によって、保険料負担がどうなるのかは、加入者にとって最大の関心事ではないでしょうか。
(1)納付金および標準保険料率の算定について
そこで第1に、納付金および標準保険料率の算定について伺います。
すでにこの8月、厚労省がしめすガイドラインに基づいて、都道府県が第3回目の試算をおこなったと聞いています。
それをふまえ、3点お尋ねします。
1つ。現時点で、試算の結果と保険料の見通しはどうなっているでしょうか。
2つ。23区ではこれまで統一保険料方式をとってきましたが、新しい制度になっても維持されるでしょうか。
3つ。納付金の額および標準保険料率、それに基づく一人あたりの保険料が最終的に決定されるのはいつですか。決定までのプロセスを含めてお答え下さい。
【区の答弁】
まず、制度改革における納付金と標準保険料率の試算についてです。
現時点で東京都から示されているのは、平成29年度に新制度であったとした場合の納付金と標準保険料率の試算結果であり、法定外繰入金を算入しない試算となっています。
次に、統一保険料方式については、特別区長会でも様々なご意見があるところですが、北区としては、可能な限り統一保険料方式を踏襲するよう主張しています。
納付金や標準保険料率の決定プロセスについては、本年9月の第1回東京都国民健康保険運営協議会で、納付金や標準保険料率の算定方針が審議され、11月に開催予定の第2回東京都国民健康保険運営協議会で、国の仮係数に基づく平成30年度の標準保険料率等の決定がなされます。
年末の東京都国保条例制定や、国による本係数提示を経て、年明けに平成30年度標準保険料率確定となります。
区でも、2回、運営協議会の開催を予定していますが、詳しくは所管の委員会にご報告させていただく予定です。
(2)高すぎる保険料は引き下げを
第2は、保険料の引き下げについてです。
これまでも繰り返し求めてきましたが、新しい制度の下で、いま以上の保険料値上げにならないよう、区として最大限の努力を求めます。
以下4点、要望いたします。
1つは、保険料を引き下げるために、国に対しては国庫支出金の割合を抜本的に高めるよう求め、東京都に対しても思い切った財政支援を求めていただきたい。
2つに、手厚い激変緩和措置を講じ、保険料の引き上げを抑えること。
3つに、保険料を支払うと生活保護基準以下となる境界層への保険料を減免するとともに、所得のない子どもに賦課されている均等割は減免とするなど多子世帯の負担軽減をはかること。
4つに、都道県化された下でも、保険料を抑えるための法定外繰り入れを継続すること。
区長の配慮ある答弁を期待いたします。
【区の答弁】
まず、国に対しては昨年12月、特別区長会として、被保険者の保険料負担軽減のための定率国庫負担割合の増を含めた5項目の緊急要望をおこないました。
また、本年8月にも特別区長会から平成30年度国の施策及び予算に関する要望として、財政支援とともに激変緩和措置の実施を要望しています。
東京都に対しては、本年8月に特別区長会から東京都の責任において激変緩和措置を講じるよう要望するとともに、東京都と区市町村の協議の場である連携会議などにおいて、東京都としての激変緩和措置の実施を求めております。
次に、国民健康保険料を支払うと生活保護基準以下となる境界層の世帯の保険料減免については、制度改革により東京都も保険者となるため、都内の基準を統一する必要も考えられることから、東京都の考え方を注視してまいります。
多子世帯の負担軽減については、国に対し財政措置を、東京都に対しては保険料負担軽減策を特別区長会として要望しており、全国市長会からの国に対し、同様の要望をおこなっています。
また、法定外繰り入れの存続についてですが、制度改革後において国は、自治体の法定外繰り入れに相当する額の財政支援を拡充しているという理由により、法定外繰り入れの解消を求めています。
北区といたしましても、健全な国保運営のため法定外繰り入れは解消することが望ましいと考えておりますが、急激な解消は保険料の急騰につながりかねないため、統一保険料方式や標準保険料率の今後の推移も踏まえ、計画的・段階的な解消を目指してまいります。
(3)国保調整交付金の成績別交付算定の中止を求めること
第3に、国保調整交付金の成績別交付算定について伺います。
現在、東京都では、収納率向上の実績をあげた自治体や、収納率向上のための対策を実施した自治体に特別調整交付金を交付しています。例えば、差し押さえ件数が増えるほど自治体にお金が落ちるしくみとなっており、北区は新規差し押さえが年100件以上となった2013年度、15年度、16年度に、800万円の交付金を受け取っています。
やむにやまれず保険料を滞納せざるを得ない世帯も多い中で、差し押さえを奨励し、成績によって競わせるやり方は、あまりにもひどいのではないでしょうか。
収納率や滞納処分を強化する成績別交付算定は、来年度からの制度改定を機に中止するよう都に求めるべきと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
【区の答弁】
東京都の調整交付金は、各区市町村における国民健康保険の保険給付費などで算定される1号交付金と、医療費適正化や保険料収納率向上などの保険者努力により算定される2号交付金となっております。
ご指摘の差し押さえ件数については、保険料収納率向上の評価項目のひとつとして2号交付金に算定されるものですが、国保制度改革に伴い、2号交付金の一部が激変緩和措置に振り向けられることが検討されるなど、国民健康保険の財務運営の制度について検討・協議中ですので、現時点では論議の推移を見守ってまいります。
4、北区公共施設等総合管理計画について
大きな4つ目の質問は、北区公共施設等総合管理計画についてです。
区は今年2月、構造物とインフラの管理に関する基本的な考え方をしめす総合管理計画を策定しました。その基礎となっているのは、2013年に策定された北区公共施設再配置方針で、今回の計画においても、「平成25年を起点に、その後の20年間で施設の総延床面積を15%程度削減する」という目標が踏襲されています。
地方自治法第244条は、公共施設を「住民の福祉を増進する」施設とし、自治体は「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」と定めています。公共施設の適切な再配置は必要ですが、住民の福祉の増進を阻むことがあってはなりません。
(1)公共施設再配置方針の現状と検証の必要性について
そこで、第1に、公共施設再配置方針にもとづくとりくみの現状と、検証の必要性について伺います。
方針の策定から4年が経ちました。この間、学校改築にともなう施設の複合化や上中里コミュニティ会館、職員寮などの廃止が進められる一方で、今年度は公立の保育園・認定こども園4園を新設するなど、新たに公共施設を増やしています。待機児童解消のために、公立保育園まで増設して定員を拡大している区の姿勢は、ほかの自治体からも驚きをもって評価されています。
これらの結果、施設総量は微減にとどまっていますが、大切なことは、いかに施設を削減できたかではなく、いかに住民のニーズにこたえた施設が整備できたかではないでしょうか。
区長に伺います。
この4年の公共施設再配置方針のとりくみをどのように評価していますか。今後とも、これまでの検証をふまえ、必要な施設は必要に応じて整備するという姿勢を堅持していただきたいと思いますが、いかがですか。お答え下さい。
【区の答弁】
区では、平成25年7月に策定しました公共施設再配置方針に基づき、これまで旧北園小学校施設跡地の用途転換、なでしこ小学校や浮間中学校の改築に伴う複合化、はこね荘や職員寮・教職員住宅の廃止など、具体的な施設の再配置に取り組んできました。
今後も、すでに計画化している施設の整備や、学校改築といった施設の需要に応えていく一方で、総量抑制の観点から、学校施設跡地や遊休化した施設の売却など、施設の削減にも取り組んでまいります。
(2)施設統廃合・廃止の問題点について
第2に、総合管理計画における施設の統廃合・廃止計画についてです。
施設類型ごとの基本方針の中でも、明確に統廃合・廃止の方向がしめされているのが、児童館、ふれあい館、区民事務所分室です。
児童館は、「今後の児童館のあり方に関する基本方針」に基づいて、25館を15~17の子どもセンター・ティーンズセンターに統廃合する計画です。しかし、少なくない児童館運営委員会で、小学生の遊び場が減ってしまうことへの疑問の声が出ています。
なでしこ小学校への移設で廃止される志茂東ふれあい館については、住民説明会で「場所が変わると高齢者が行くのに大変になる」との発言がありました。今後、跡地には志茂保育園を移転させる方針がしめされましたが、同時に整備される地域交流室を、いかに利用しやすくできるかが課題となります。
7つある区民事務所分室は、区民事務所の混雑緩和にとっても、また近場で手続きを済ませたい住民のニーズからも統廃合・廃止は時期尚早と考えます。
これまであった施設がなくなれば、多くの利用者に不便を強要し、サービスを低下させることになります。施設の統廃合・廃止については、一律におこなわないよう計画の見直しを求めるものです。
【区の答弁】
公共施設等総合管理計画では、「総量抑制のための3つの方策」の一つとして、統廃合・廃止の検討を位置づけ、老朽化が著しい施設や、利用度・稼働率等が低い施設については、原因を十分に検証し、区民ニーズに合わなくなった施設や、役割を終えたと考えられる施設について、統廃合や廃止をおこなうこととしております。
施設の再配置にあたっては、地域の実情や区民ニーズの変化等を踏まえ、どの施設機能をどのように配置していくかを見極めながら進めてまいります。
(3)施設面積削減目標の抜本的見直しを
第3に、そもそも施設面積削減の目標に合理性があるのかという問題です。
20年で15%の施設削減という目標は、個々の施設の要不要を検討し、積み上げた結果の数字ではありません。あくまでも公共施設再配置方針策定時の財政状況や、向こう40年間の更新費用の理論値から机上の計算で導きだされた数値にすぎないのです。
区長にお尋ねします。
総合管理計画には、「施設総量の削減目標については、その時々の区の財政状況や人口の動向、区民ニーズの変化等を踏まえ、必要に応じて見直しを行います」と明記されています。15%削減という数字がひとり歩きし、本来必要でない施設削減を区民に強いることのないよう、目標の抜本的見直しを求めます。ご答弁下さい。
【区の答弁】
施設総量の削減目標につきましては、公共施設再配置方針を踏まえ、総合管理計画にも同様に位置づけたもので、平成25年度を起点に、その後の20年間で区が保有する施設総量を15%程度削減することとしています。
人口減少や少子高齢化の進展によって生じる施設需要の変化に対応することや、老朽化した施設にかかる多額の更新費用への対応が困難であることから、目標を定めました。
削減目標を定めてから4年が経過し、ここ数年、人口は増加しているものの、少子高齢化が進展する状況を踏まえますと、区税収入の大きな伸びを期待することは難しく、こうした公共施設を取り巻く環境に大きな変化はないため、現時点において削減目標を見直すことは、考えておりません。
5、住民の声に正面から向き合うまちづくりを
大きな5つ目の質問は、住民の声に正面から向き合うまちづくりについてです。
(1)国土交通省がしめす指針に従い都市計画道路の見直しを求めること
第1に、特定整備路線、優先整備路線など都市計画道路の見直しについてです。
私たちは、これまでも住民合意のない道路計画の問題について繰り返しとりあげ、地元住民のみなさんとともに計画の撤回・見直しを求めてきました。志茂86号線に続き、十条の73号線でも120人で組織された大型原告団の下で事業認可取り消しを求める裁判が始まり、赤羽西86号線でも提訴が準備されています。
ところが、今度は政府が計画の見直しを言い始めたのです。安倍政権は今年6月、「都市計画道路の見直しを加速する」ことを閣議決定、これを受けて国土交通省は「都市計画道路の見直しの手引き」を都道府県にしめし、今年度中に方策をとりまとめる意向を伝えました。この「手引き」では、計画決定されていながら未着手の路線が全国で約32%にものぼり、地方公共団体による「適時適切な見直し」がさらに進むことが必要だと強調されています。
また「手引き」には、全国での道路見直しの実例が紹介されています。
例えば、名古屋市では、公園や緑地を分断する路線の計画変更を検討、兵庫県では、文化財や景観、商店街等に与える影響が懸念される路線、さらには地域コミュニティを分断する路線を見直しの対象にしています。また、鳥取県では、住民の反対があるかどうかを評価基準にし、反対は1件から対象とするとしています。大阪府では、都市計画決定から概ね30年以内に整備できるかどうかを目途としています。
これらの例に従えば、公園や文化財を突き抜ける赤羽西86号線、コミュニティを壊す志茂86号線、商店街に重大な影響を与える73号線などは、すべて見直しの対象路線となります。しかも国交省は、「すでに事業化されている路線も見直しの対象となる」と、はっきり答えています。これらの路線が、都市計画決定からすでに71年を経過していることも、再三にわたり指摘してきたところです。
区長にお聞きします。
住民に理解が得られず、周辺への影響も重大で、計画から70年以上も経っている北区の特定整備路線、優先整備路線については、国交省の「見直しの手引き」に沿って見直し対象とするよう東京都に求めるべきではありませんか。お答え下さい。
【区の答弁】
国は、これまで「都市計画運用指針」において、都市計画道路の必要性について検証をおこない、その結果を踏まえて、廃止や幅員変更など適切な見直しをおこなうことを地方公共団体に助言しております。
「都市計画運用指針」に沿って、東京都と特別区等では、「都道府県の見直しガイドライン」にあたる東京における都市計画道路の整備方針、第4次事業化計画を策定し、都市計画道路の整備を着実に進め、計画的かつ効率的に道路ネットワークの形成を目指しています。
区といたしましては、現在、東京都とともに、第4次事業化計画において必要性が確認された優先整備路線以外の未着手の都市計画道路について、あり方に関する方向性などを検討しております。
従いまして、すでに事業化されている補助86号線や補助73号線などの特定整備路線や第4次事業化計画において、必要性が確認された優先整備路線については、東京都に見直しを求めることは考えておりません。
(2)「十条まちづくり」への要望に対する区の対応について
第2に、「十条まちづくり」への要望に対する区の対応についてです。
十条まちづくりに関しては、地元の5つの商店会でつくる十条地区商店街まちづくり連絡会から、度重なる要望書が東京都と北区に提出されています。とりわけ営業にも重大な影響を及ぼす補助73号線は2015年3月から、道路拡幅により商店街をほぼ全面撤退させる補助85号線の計画には、昨年6月から、商店街をあげての見直し要望が出されています。
ところが区は、今日に至るまで商店街まちづくり連絡会との正式な協議の場を持たず、誠実な回答をおこなうよう求める議会でのわが会派の提案にも、「調整中」との答弁を繰り返してきました。いかなる理由があれ、商店街からの正式な要望書に対し、1年も2年も正式回答をおこなわずに済ましてきたことは、許されるものではありません。
今年の夏になって、ようやく個別の商店街との話し合いがもたれたと仄聞していますが、あらためて区の対応についてお聞きします。
1つは、どの商店街と、どんな内容の話し合いを持ったのでしょうか。その中で商店街からの要望書について、区から正式回答をおこなったのかどうか、お答え下さい。
2つは、今後、商店街まちづくり連絡会との正式な協議の場を持つ予定はありますか。事業主体である東京都や産業振興課の参加も求め、早急に協議をおこない、商店街の声に耳を傾けるべきと考えますが、いかがですか。
【区の答弁】
初めに、商店街との話し合いについてです。
十条地区商店街まちづくり連絡会は、十条銀座商店街など、駅周辺5つの商店街で構成されており、区との話し合いについては、各商店街の考えや日程調整が整わず、開催が見送られてきました。
このため、区は各商店街の意向に沿った個別の話し合いを提案させていただき、本年6月に十条銀座商店街と、いちょう通り商店会との2つの商店街と話し合いをおこなったところです。
このほかの商店街は、引き続き、まちづくり連絡会での区との話し合いを持つことで支障ないとのことで、個別の話し合いは開催しておりません。
また、話し合いの議題は、東京都が事業主体の補助73号線や補助85号線の道路整備ではなく、本年5月に組合設立認可を受けた十条駅西口再開発事業や、北区が事業主体のフジサンロードを延長する地区幹線道路とされておりました。
なお、文書での回答はしておりませんが、今後も意見交換等をおこなってまいります。
次に、商店街まちづくり連絡会との協議の場についてです。
十条地区商店街まちづくり連絡会の要望書は、補助73号線と補助85号線の内容であることから、区といたしましては、東京都と連携し、対応について調整を進めてまいります。
(3)埼京線鉄道高架化・補助85号線拡幅計画について
第3に、まもなく都市計画決定されようとしている埼京線鉄道高架化と補助85号線拡幅計画についてです。
先だって、わが会派は、十条に住むみなさんとの懇談会を開き、2つの事業計画についてご意見をお聞きしました。その中では、「埼京線の立体交差は、旧国鉄と北区の間で地下化の約束があったはずではないか」、「今まで聞いたことがない計画が突如出てきてびっくりしている。インターネットで調べてもわからず、資料が手に入らない」、「85号線沿線で店を開いているが、車の渋滞もないのになぜ拡幅が必要なのか」などの意見が飛び交いました。多くの住民のみなさんが、都や区が進める方向に異論を持っているだけでなく、計画自体が知られておらず、まだまだ賛同・合意するだけの情報がないという方も大勢いらっしゃいました。
こうした状況のまま、都市計画審議会を開催すれば、多くの住民が知らないうちに、頭ごなしに計画が決定されてしまうことになります。
そこで、区長に伺います。
1つ。鉄道高架化と85号線拡幅計画について、十条まちづくり協議会ではどのような議論がおこなわれたのでしょうか。区としては住民の意見を丁寧に聞き、議論を尽くしたとお考えでしょうか。
2つ。鉄道高架化にともなう付属街路の建設で、約120棟の立ち退きが迫られます。このことに関し、地権者には十分な説明をおこない、合意を得たのでしょうか。
3つ。10月の北区都市計画審議会が開かれる前に、2つの事業について住民への説明責任を果たし、理解と合意を得るよう区としての最大限の努力を求めます。
4つ。それでも住民の納得が得られなければ、鉄道高架化および補助85号線拡幅は、都に計画の撤回を求め、区として付属街路の計画を中止すべきだと考えますが、いかがですか。ご答弁下さい。
【区の答弁】
初めに、十条まちづくり全体協議会での議論についてです。
鉄道立体交差化計画については、平成27年2月に、補助85号線については、平成28年1月に、東京都が都市計画素案を示したことから、全体協議会の4ブロック部会で議題といたしました。
鉄道立体交差化計画では、「昭和58年の区議会の地下化決議」や、「工事終了後における仮線用地の側道の必要性」についてのご意見等を、また、補助85号線では、「鉄道を高架とした場合の拡張工事の必要性」、「整備のスケジュール」などについてのご意見等をいただき、事務局の区といたしましては、きめ細かく、丁寧な説明をおこなってまいりました。
次に、鉄道付属街路の整備についてです。
連続立体交差化計画に併せて実施する鉄道付属街路は、現況測量などの調査を実施していないため、正確な数ではありませんが、地図上の算定で、対象の建物件数として、おおむね110から120件を見込んでおります。
区では、対象と思われる方々に対し、平成27年度と28年度で計4回、個別相談会を開催し、都市計画案の概要、今後の予定、補償のあらましを説明し、参加者からの質問に答えてまいりました。
また、その後も電話や窓口等において、個別のご相談を受けております。
区といたしましては、引き続き、地権者をはじめ地域の皆さまに対し、多くの合意が得られるよう、丁寧な対応に努めてまいります。
6、北清掃工場の建替えにあたって
最後の質問は、北清掃工場の建て替えについてです。
現在、東京二十三区清掃一部事務組合(清掃一組)は、老朽化した工場の建替え工事を順次おこなっています。北清掃工場については、5月に開かれた住民向け事前説明会で、今年度から5年間の準備期間の後、2022年度から6年間かけて建替え工事をおこなう予定がしめされました。完成は10年後の2027年度です。
(1)建替え工事中の元気ぷらざの利用について
質問の第1は、建替え工事中の元気ぷらざの利用についてです。
5月の住民説明会では、建替え工事の間、元気ぷらざの集会施設および温水プールは利用できるのかとの質問がありました。これに対し、元気ぷらざ自体は建替えの対象となっていないため、集会施設は利用できるとのことでした。一方、工場からの熱供給が止まる温水プールについてはボイラーで代替することは可能だが、利用については区において検討中であるとの回答でした。温水プールが6年間利用できないとなれば、区民への影響は大きくなります。
そこでお聞きします。
清掃工場の熱供給によらず、ボイラーの使用で温水プールを稼働させるための経費はどれくらいになりますか。建替え工事中においても適切な予算措置を講じ、温水プールが利用できるようにすることを求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
平成10年6月竣工の元気ぷらざは、施設の老朽化が進んでおり、大規模改修が必要な時期を迎えています。
北清掃工場建替え工事中における熱供給停止時に元気ぷらざを稼働した場合の経費や、指定管理期間の設定との兼ね合いなどについて、現在検討を進めています。
なお、平成28年度の場合、北清掃工場が定期点検補修のためボイラーでガス炊きした期間は、1月から3月の3ヵ月で、その間のガス料金は、1185万480円となっています。
(2)敷地内に埋められている汚染土の対策について
第2に、敷地内に埋められている汚染土の対策について伺います。
北清掃工場は1969年に建設され、約20年前の1998年に1回目の建替え工事がおこなわれています。清掃一組によれば、建替えの際、環境基準を超える水銀、鉛、カドミウム、亜鉛による土壌汚染が見つかり、敷地内の北東部、現在は緑地広場となっている場所に封じ込め処理をおこなったとされています。
この事実は、地元住民らで組織する「北清掃工場の環境を考える会」が昨年来、清掃一組に汚染土の実態をしめすよう求めてきた中で明らかにされたものです。
北清掃工場内に埋められた汚染土については、情報を公開し、安全の確保に努める必要があります。住民からは、「今回の清掃工場建替え工事の際に、汚染土を撤去してほしい」との声もあがっています。
そこで以下5点、お尋ねします。
1つは、敷地内に埋められた汚染土は安全に管理されているでしょうか。現在の状況について、お答え下さい。
2つに、汚染土壌処理にともなう水質測定について、清掃一組からしめされた資料では、2ヵ所ある観測地点のうち1ヵ所のデータが7年前から欠落していますが、その理由は何ですか。
3つに、当時の資料では、封じ込め層から地上に抜ける「ガス抜きパイプ」の存在が明らかになっています。ここを通じて、気化した水銀が地表へと出てくる危険はないのでしょうか。
4つに、汚染土壌収容場所の告知についてです。当時の環境影響評価書では、「不用意に汚染土壌を掘削しないよう収容した旨を記録した表示板を設置する」とされていますが、現在、表示板が設置されている様子がありません。清掃一組に、設置を求めるべきではありませんか。
5つに、今回の建替え工事にあたり、清掃一組が保管されている汚染土をどのように処理しようとしているかを明らかにしていただきたいと思います。
以上で、私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
【区の答弁】
北清掃工場は、前回建て替え時に、水銀、鉛等による軽度の汚染土が発見されたため、東京都は工場敷地内にコンクリート等による封じ込め層を作り、その中に汚染度の封じ込め処理をおこないました。
その後、地下水への汚染物質の流出を監視するため、地下水の水質検査を定期的におこない、現在は東京都から引き継いだ東京二十三区清掃一部事務組合が、地下水の水質検査を実施しています。
この水質検査の結果、汚染土封じ込め処理前から現在まで、水質に変化が見られないため、封じ込めた汚染度からの汚染物質の流出はないと、清掃一部事務組合からは聞いております。
次に、水質測定の観測地点についてです。
清掃一部事務組合の見解では、10年以上にわたり2ヵ所で測定し、問題のないことを確認したため、1ヵ所のみの測定をおこなっていると聞いております。
次に、ガス抜きパイプから気化した汚染物質が地表に拡散する恐れについてです。
汚染土は、東京都が封じ込めをおこなった際、汚染物質が溶け出さない処理を施しているため、重金属等の気化や地上への飛散の危険はないと聞いております。
次に、汚染度の封じ込めを示す表示板についてです。
清掃一部事務組合からは、再接地のための準備をしていると聞いております。
最後に、封じ込めた汚染度についての今後の管理についてです。
封じ込めをおこなった汚染度の処理は、関係法令等に基づき、東京都により適切に処理され、封じ込めた汚染土からの汚染物質の流出もないことから、現状の管理を継続していくと聞いております。
今後、北区といたしましても、引き続き、区民の皆さまの安全、安心を最優先に考え、北清掃工場の建て替え事業が円滑に進むよう、必要に応じて清掃一部事務組合に申し入れてまいります。