2018年第4回定例会個人質問―山崎たい子
2018年11月26日 | 山崎たい子
私は大きく3点質問します。
1、子どもの貧困対策、子どもの未来応援事業の充実について
その1つ目は、子どもの貧困対策、子ども未来応援事業の充実についてです。
(1)そらまめ相談室について
1点目は、相談体制ついてうかがいます。
北区では昨年から、ひとり親家庭などの相談事業として、「そらまめ相談室」を開設しました。まだ1年程ですが、平日の来所が難しい相談者に対しても、年8回、土曜日に実施している交流会やセミナーの後に、個別相談やメールでの相談にも対応して頂き、大変、心強く感じています。
区民からは、「児童手当の手続きに来た時、隣のそらまめ相談室を案内され、話を聞いてもらった」「仕事が終わってから、土日も相談できるといい」等の声を頂いています。
はじめに、そらまめ相談室の実績や特徴についてお聞かせ下さい。また、区民の声にこたえ、相談しやすい体制の拡充を求めます。更に、生活福祉課の母子・父子自立支援員による相談との調整や連携についても、お答え下さい。
【区の答弁】
昨年度は9月から事業を開始し、7ヵ月で心理カウンセラーや弁護士などによる相談の実績は、264件です。また、今年度10月までの7ヵ月の相談実績は、328件です。
そらまめ相談室の利用者の特徴は、全体の約6割が、ひとり親からの仕事探しや教育費などの相談であるのに対して、その他の約4割が今後、離婚を考えている親からの養育費や家計などの相談であり、離婚前からの早期のアプローチを実施することにより、離婚後にひとり親が抱える様々な課題の解消が図れるように努めております。
今年度からは、面接相談実施後に、平日に再来所することが難しい方に対して、メールでの継続支援を実施しています。
また、そのほかに区有施設などで年間8回、土曜日に出張相談や交流会、セミナーなども開催し、参加者からのアンケートも実施しています。
相談体制の拡充については、これらの相談実績を踏まえて、今後の研究課題とさせていただきます。
また、母子・父子自立支援員とは、就労支援、母子施設の案内、家計相談、養育相談など、相談者が求める内容に応じて、調整や連携を行なっています。
引き続き、庁内の横断的な連携を図り、ひとり親に対する支援を図ってまいります。
(2)高等職業訓練促進給付金事業、住宅支援の拡充を
2点目は、貧困そのものを解消する施策についてです。
そのためには、雇用・就労の改善、くらしの安定に資する社会保障の拡充がどうしても必要です。今年度、児童扶養手当の所得制限の緩和や、北区の就学援助入学準備金増額が決定。更に、我が会派は、就学援助の高校入学準備金や給付型奨学金の創設、学校給食の無償化、みなし寡婦の非課税適用についても実現を求めていますが、本日は以下2点、更なる改善を求めます。
ひとつは、「高等職業訓練促進給付金事業」について、これは、看護師、保育士などの資格を取得する機間、生活支援の給付金を支給する事業ですが、他区では都基準である月10万円に、5~10万円の上乗せ補助を実施しています。北区でも、基準額の上乗せを行い、安定した生活で資格取得が行えるよう求めます。
ふたつめは、積極的な住宅支援です。
北区の調査によると、貧困線を下回る世帯について、児童育成手当受給世帯では、民間賃貸住宅が約4割。家賃負担は8万円以上が約5割であり、この重い家賃負担の軽減は、くらしの安定に直結します。
そこで、母子生活支援施設の積極的な運用、民間賃貸住宅への家賃補助、母子支援のシェアハウスの新設など、住宅支援策の拡充を求めます。
【区の答弁】
まず、高等職業訓練促進給付金事業についてです。
この事業は、母子家庭の母又は父子家庭の父が、看護師や介護福祉士等の資格取得のため、一年以上、養成機関で修業する場合に、修業期間中の生活の負担軽減のために、給付金を支給するものであり、国の補助制度を活用して実施しています。
本年度からは、この給付金の支給を受け、准看護師養成機関から引き続き、看護師養成機関で就業する場合には、修業期間の全期間、通年3年分の給付金を支給することとされるなど、国が適宜、制度見直しなども行なっていると認識しています。
なお、給付金の上乗せについては、他区の状況なども踏まえ、現時点では考えていません。
次に、積極的な住宅支援についてお答えします。
区では、民間賃貸住宅の家賃助成に代えて、ファミリー世帯やひとり親世帯の転居費用助成の支援を行なっており、現在、家賃補助制度を始めることは考えておりませんが、住宅に困窮するひとり親世帯を含め、住宅確保要配慮者の居住の安定確保については、民間賃貸住宅への円滑な入居を促進する必要があり、重要な課題であると認識しております。
区といたしましては、ご提案の母子支援シェアハウスの新設など、現在、設立に向けて準備を進めている居住支援協議会において、検討してまいります。
なお、母子生活支援施設は、様々な課題を抱える母子に対し、生活・子育て・就労などの総合的な支援を行ない、自立を目指す児童福祉施設です。
入所にあたっては、入所調整会議を開催して入所者を決定し、適切な支援を行なっています。
(3)産後うつ防止、産後デイケアの拡充を
3点目は、産後うつや児童虐待防止についてです。
厚生労働省は9月、2015年からの2年間で、妊娠中や産後で自殺した女性は、全国で102名と調査結果を発表。「産後うつ」などが要因と分析し、昨年度、産後2週間や1ヵ月健診を行う自治体への補助制度を新設しており、北区でも、医療機関と連携し、導入するよう求めます。
また、民間団体が、区内で週1回実施している「産後デイケア事業」について、ニーズがとても高く、現在、予約が2ヵ月まちになっています。
週1回から2回へ、開所日が拡充できるよう、北区の補助金を増額することを求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
はじめに、出産後、間もない時期の産婦に対する健康診査の導入についてです。
区では現在、保健師等の新生児訪問等において、母親の抑うつ感や不安感を評価する「エジンバラ産後うつ病質問票」による課題の把握や、産前産後サポート事業等の支援を行ない、母親の産後の育児不安軽減や虐待の予防に取り組んでいます。
ご提案の健康診査の導入については、出産した区外の医療機関等から区に対する速やかな健診結果の報告の仕組みづくりなど、整理すべき課題があると考えておりますので、今後の検討課題とさせていただきます。
次に、産後デイケア事業についての補助金増額についてです。
現在、区では、産後デイケア事業を実施している民間団体「はあとほっと」に対して助成を行ない、産後うつや新生児の虐待予防につなげています。
「はあとほっと」からは、母親からの産後デイケア事業へのニーズが高く、事業の充実を図りたいとの相談を受けていますが、団体への支援を拡充するためには、安定的な運営体制を構築するための法人格の取得などが必要であると考えており、引き続き、「はあとほっと」に対して、必要な助言等を行なってまいります。
(4)子ども家庭支援センター、児童相談所、及び一時保護所について
最後に、子ども家庭支援センター、児童相談所、及び一時保護所についてうかがいます。
北区においても現在、児童相談所と一時保護所を含めた子ども支援の複合施設が検討されています。また、来年度からは、虐待などの子どもが、児童相談所から子ども家庭支援センターへ送致されるなど、相談件数が増加する見通しです。
私は先日、子ども支援にとりくむ弁護士や支援団体の方から、お話を伺いました。児童相談所や一時保護所の課題として、土日、夜間は相談できない。24時間の虐待通告ダイヤルはできたが、電話対応のみで、保護はしない。子どもの状況に応じて、民間の一時保護委託を認める運用をしてほしい。
また、一時保護所では、学校に行けない。年齢に応じた学習や生活が保障されていない。友達や支援者など、外部との交渉がたたれてしまう。心理的ケアが十分でないなど、保護のもとに子どもの権利が侵害されている状況があり、弁護士がついて、子どもの意見が言えるようにしてほしい。
更に、児童福祉司などの人材を十分確保し、子ども家庭支援センターや子ども支援施設と連携し、地域の中で子どもを見ていく体制を構築して欲しいとのご要望でした。そこでうかがいます。
1、子ども家庭支援センターにおいて、都の児童相談所とも連携し、児童福祉司、心理士、保健師などの専門職の人材確保を計画的にすすめること。
2、都の児童相談所との情報共有と情報システムネットワーク化をすすめること。
3、一時保護所の検討にむけて、子どもの学習権の保障や心理的ケアの充実、個室化の環境整備など、子どもの人権に配慮した構想とすること。
4、北区社会的養護の整備計画を策定し、子ども家庭支援センター、里親制度、自立援助ホーム、児童福祉施設など、民間とも連携し、社会資源整備をすすめること。
5、計画の準備段階から、子どもの権利擁護に関わる弁護士、外部の有識者、専門家や地域住民の声をいかし、協議しながら進めるよう求めます。
以上お答え下さい。
【区の答弁】
まず、東京都の児童相談所との連携による人材確保については、平成25年度からこれまで4名の職員を北児童相談所に派遣しており、今年度も1名の職員を派遣しております
今後も引き続き、東京都の児童相談所への職員派遣を継続するとともに、近隣自治体への派遣なども行ない、あわせて心理職などの専門職の人材確保についても、検討してまいります。
また、児童福祉法の改正による、児童相談所からの送致の開始を踏まえ、関係機関等と定期的に開催している「要保護児童対策地域協議会」等において、情報共有についてより一層の強化を図り、適切な支援に努めてまいります。
なお、情報システムのネットワーク化につきましては、今後、児童相談所の開設を予定している他区の状況等を注視し、調査・研究に努めてまいります。
次に、区立一時保護所については、平成30年7月に国が公表したガイドラインを踏まえ、子どもの人権に配慮した施設の検討を行なってまいります。
また、里親や児童養護施設等の整備については、平成29年8月に国が公表したビジョンを踏まえ、家庭的な養育環境の確保に努めてまいります。
最後に、今後の区立児童相談所等の検討に向けた構想や整備計画、意見の集約などについてです。
特別区では、「児童相談所移管準備連絡調整会議」を設置し、課題の抽出・整理を行ない、検討を進めています。
あわせて北区では、「児童相談所設置に向けた庁内連絡会」を設置し、北区における課題について具体的な検討を進めるとともに、本年10月に「児童相談所等複合施設基本構想検討委員会」を設置し、複合施設の基本構想の検討に着手いたしました。
今後の区立児童相談所等につきましては、有識者等の活用を図るとともに、地域住民のご理解を得られるよう配慮しながら、検討を進めてまいります。
2、DV(ドメスティックバイオレンス)、性暴力をなくし、女性の自立支援を求める
大きく2つめの質問は、DV(ドメスティックバイオレンス)・性暴力をなくし、女性への自立支援を求めるものです。
(1)性暴力被害者支援法制定について
#Metoo運動が世界中に拡がる中、性暴力被害者当事者がノーベル平和賞を受賞するなど、国際社会は性暴力の根絶に向けて、大きく動き出しています。
私は先日、札幌市で開催された全国シェルターネットシンポジウムに参加し、欧州評議会が、2011年に採択したイスタンブール条約、女性に対する暴力及びDVを防止する女性支援の国際スタンダードについて、学ぶ機会を得ました。
その条約は、女性に対する暴力が、男女間の歴史的に不平等な力関係を示すものと認め、ジェンダー不平等の解決と、女性への暴力をなくす施策を、共にすすめる必要があること。また、家庭や社会生活において、暴力を受けずに自由に生きる権利を認め、そこに、障がいや性的マイノリティなど、いかなる差別もあってはならない、被害者の人権と安全に焦点をあてています。
具体的には、暴力からの保護の原則として、政府が暴力行為を容認することもいけない。警察やソーシャルワーカーが、被害者に対し「たいしたことはない。帰りなさい」という対応はダメ。警察への通報があれば、速やかに保護を行う。その際、女性がシェルターに逃げるか、自宅で安全に過ごすか、どちらも選べる。後者の場合は、被害者の安全を最優先し、加害者に対して、緊急退居、接近禁止を命じ、加害者が暴力をふるえないようにアプローチする。つまり、被害者が逃げなくていいということです。
オーストリアでは、年間8000件の緊急命令を発しているとの紹介に、会場では大きなどよめきが起きました。
そして、この条約は、女性に対する、身体的、精神的、性的暴力。ストーカー行為、セクシャルハラスメントを犯罪としています。
ひるがえって、日本社会の現状はどうでしょうか。
エリート大学生による性暴力事件。職場の中でのセクハラ被害。学校や保育園、電車内での痴漢。一番辛いのは、実父や養父からの性的虐待など、小さい子どもから大人まで、性暴力の実態が拡がっています。
平成27年の内閣府調査では、「異性から無理やり、性交されたことがある」との回答は6.5%、推計すると、年間5~6万人がレイプ被害にあっている数字です。被害にあった時、「警察に相談」わずか4%、「相談していない」67%と、ほとんどの人は被害にあっても、誰にも相談できていません。
警察庁の強姦認知件数は年間1500件。実際の発生数の約2~3%を、犯罪被害者等基本法により支援していますが、残りの97%の被害者は、ほとんどないことにされたまま。日本では、被害者支援のための根拠法すらないのが現状です。そこで、お伺い致します。
先に紹介した、DV・性暴力根絶のためのイスタンブール条約や、その内容について、内閣府の第五次男女共同参画基本計画に盛りこみ、DV・性暴力被害者の回復支援と人権救済の法的根拠となる性暴力被害者支援法を制定するよう国に求めて下さい。
【区の答弁】
区では、平成28年4月に配偶者暴力相談支援センター機能を整備するなど、被害者の適切な保護に取り組んでおります。
また、人権擁護に関する法整備については、全国市長会を通じて、国の施策および予算に関する提言の中で、人権擁護の推進等に関する事項を提言しているとともに、性暴力被害者の支援に関する法律案については、現在国会で審議中ですので、国の検討の状況を注視してまいります。
(2)東京都の若年女性へのアウトリーチモデル事業との連携について
次に、制度の狭間にある若年女性への支援についてうかがいます。
私は先日、貧困や虐待など、様々な事情で家に帰ることができない、中高生の子ども達を支援している民間法人の「夜の繁華街現地調査」に同行させて頂きました。
路上やネットで少女達に声をかけてくるのは、JKビジネスや風俗店のスカウトとよばれる人たちです。繁華街を歩くと、それまでは全く気がつかずにいた風景の中に、本当に、たくさんのスカウトがいる様子や、若年女性の客引きを目のあたりにしました。
また、性を商品として、ビデオや本で販売している店にも立ち寄り、見るからに幼児や小・中学生の子どもが掲載されているアダルト商品が、多数、販売されている状況にもふれ、日本社会における子どもの人権侵害、性搾取、性被害の実態を垣間見て、強い憤りを覚えました。
こうした中、東京都は今年度から、若年被害女性等支援モデル事業として、民間団体に補助金を出し、若年者へのアウトリーチ活動をスタートさせています。そこでうかがいます。
北区でも、都のモデル事業と連携し、若年女性への支援ができるよう、個別の相談や民間が実施している居場所やシェルター、自立援助ホームへの支援、一時保護委託など、民間団体と連携した支援のあり方を検討して頂くよう求めます。
【区の答弁】
区では、これまでも、配偶者からの暴力防止等について、早期発見と迅速な対応などを目的とした連絡協議会を設置し、東京都や警察署、医師会等関係機関との連携強化に努めてきたところです。
今後も、必要に応じて、東京都のモデル事業との連携などについても検討し、適切な対応を進めてまいります。
なお、民間団体と連携した若年被害女性への支援のあり方については、平成32年度を初年度とする第6次アゼリアプランの策定作業の中で検討してまいります。
(3)女性の人権保障にたった中長期的な支援について
また、現状では、性暴力や虐待などで行き場のない女性達を保護する事業として、売春防止法にもとづく婦人相談所の一時保護所や婦人保護施設がありますが、措置入所によるハードルが高く、支援にたどりつけない。運営基準により、仕事や学校に行けない。携帯、スマホが使えない。外出が自由にできないなど、本人の同意が得られず、若年女性の支援にとどかない、支援につながらない実態があります。
一方、婦人保護施設の利用率は、平成28年度で22%まで低下している状況や、若年女性への支援とともに、母親と一緒に保護される子ども達への対応、心理的ケアも課題となっており、現在、厚労省は売春防止法の見直しも含め、専門家や関係者による検討会での議論をすすめています。そこで質問します。
女性の人権保障の観点から、虐待、暴力、搾取など性被害を受ける恐れや、被害を受けた女性、とりわけ、制度の狭間にある若年女性の保護や立ち直りの中長期的な支援について、すみやかな対応、及び、法制度の確立を国に求めてください。
【区の答弁】
若年層の助成を狙った性的な暴力の問題については、深刻な状況であるとの認識の下、内閣府男女共同参画会議の専門調査会で、相談体制の充実強化や、中長期的な支援のあり方などが今後の課題として報告されているとともに、人権擁護に関する法制については、全国市長会を通じて国の施策および予算に関する提言の中で、人権擁護の推進等に関する事項を提言しておりますので、国の検討の状況を注視してまいります。
3、乳幼児期からすべての人に性の学びを
最後の質問は、子ども達の性の自己決定力を育む包括的性教育についてです。
(1)乳幼児親子への性教育やCAPプログラムなど、子どもセンター、保育園、幼稚園などで取り組むよう求める
日本では「性」と言うとオープンに人に話すことではない。SEXの一面的なイメージが先行してしまいがちです。けれども本来、「性」とは生きることそのもの。小さい頃から、成長により変化していく自分の身体や心を受け入れ、自分を肯定できる。人と人とのより良い関係を築く力をつける。予期せぬ妊娠や性被害、病気を予防することが大切だと考えます。
私は保育士さん達から、「1~2歳児のトイレトレーニングで、おしっこやうんちが出た時、良かったねえと肯定的な言葉をたくさんかけて、小さい時からあなたの身体が大切ということを伝えます」、「絵本の読み聞かせで、赤ちゃんはどうやって生まれるの? との子どもの問いかけに、語り合う関係を大切にしています」、また、「3歳の男の子が、女の子の手をつないで影に隠れ、パンツ下げて見せてということがあり、保育者同士で、どう対応するかよく話し合いました」など、お話を伺いました。
人生のスタート時点である乳幼児期に、自分の身体への肯定感が持てるように、親や大人とのスキンシップ、関係性の中で、日常でのトイレの仕方、入浴の時の洗い方等、口や下着を着けている部分、胸、性器、お尻、肛門は、「プライベートパーツ」で、自分だけが見たり、触ったりしていいところ、他の人に見せたり、触らせたりしない。もし、他人に触られて嫌だと感じたり、見せることを強要されたりした場合は、嫌だと伝えていいよ。その場をすぐ離れる。信頼できる大人に伝えるなど、自分を大切にする性の学びはとても重要だと感じます。
そこで、乳幼児親子への心と体を大切にする性教育やCAPプログラムなど、子どもセンター、保育園、幼稚園などでも取り組むよう求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
区立の幼稚園や保育園では、下着やおむつの着脱などの日常の保育活動に際して子どものプライバシーに十分配慮するとともに、子どもたちが自分の体を大切にするという意識が身に着けられるように指導をしています。
民営の保育施設につきましても、指導検査や巡回等を通じて区立保育園などと同様な取り組みがなされるよう指導・助言に努めており、適切な対応を継続してまいります。
また、子どもたちの成長に関する様々な課題について、保護者の子育ての不安を解消するために、子どもセンターや児童館等で、職員や専門相談員による子育て相談を行なうなど、引き続き丁寧に対応してまいります。
なお、ご提案のCAPプログラムにつきましては、今後取り組みを進めるにあたっての参考とさせていただきます。
次に、学校教育での包括的性教育についてうかがいます。
今年5月の朝日新聞調査では、性交を知る時期と方法について、中学生までに知った90%、性情報の知識は、学校以外で知ったが93.6%と、友人やメディアなどの情報で覚えるしかない現実が示され、NPO法人による高校生の性知識の調査では、平均正答率は3割という低さでした。
また、平成28年度、厚労省の衛生行政概要では、人工妊娠中絶の件数について、中学生でも毎年200人以上いる。東京の10代の妊娠中絶率は、全国第6位と高い傾向となっています。
更に日本の刑法では、「性行為に同意する能力がある」とみなされる性的同意年齢は、国際的にもっとも低い13歳(中学1年生)ですが、性交の意味や予期せぬ妊娠、避妊などについて、学校でも正確に学ばずに、どうしてこのような力がつくでしょうか。
国際的には2009年に、ユネスコ「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」が発表され、性は基本的人権。性教育・性の学びは、人権教育として、包括的性教育を保障することとしています。
日本は、国連子どもの権利委員会から、学校内外で10代の妊娠及び性感染症の予防を含む、自己のリプロダクティブ・ヘルスに関する権利についての情報を、十分、提供するよう勧告されています。
子どもの実態をふまえ、中学生で性交、避妊、中絶などの学習をすすめることは、賢明な判断と行動の選択の上で、まったなしの課題であり、各種世論調査でも「中学生にも、しっかり教えるべき」との声は圧倒的です。
こうした中、東京都教育委員会では、現在、「性の手引き」を14年ぶりに改訂し、医師など外部講師派遣をすすめる動きとなっています。
そこで、以下2点、質問します。
(2)学校教育での包括的性教育について
中学段階における、性交、避妊、中絶、性感染症などの学習を、外部講師と連携し、学校自らが推進する主体となり、様々な教育活動の中で、継続的に保障するよう求めます。
【区の答弁】
現在、学校における性教育に関する指導は、学習指導要領を踏まえ、体育科、保健体育科、道徳、特別活動の時間を中心に計画的に指導をしています。
その際、児童・生徒の身体的な発達・成熟に伴い、異性への関心等が高まることに対して、性に関する情報に適切に対処する力や、理性によって行動を抑える力を養うこと、異性を尊重し相手を思いやる心を醸成するなど、性に関する適切な態度や行動の選択ができるようになることに十分に配慮しています。
今後は、学校の教員が、まずは東京都教育委員会が改定する「性教育の亭引き」の内容を十分に理解することから始め、適切な性教育の実施に努めます。
そして、外部講師の活用等も視野に入れつつ、学級担任、教科担任、養護教諭、スクールカウンセラーなど教職員が性教育についてより一層の共通理解を図り、保護者への情報提供を適切に行ない連携しながら、小中一貫教育の中で、発達段階に応じた性教育の推進に努めてまいります。
(3)保育士、教職員などへの研修の保障、絵本や本、教材を充実させ、保護者・区民向けにも活用する環境整備を
包括的性教育の主体者として、保育士、教職員、養護教諭などへの質の高い研修を保障し、保育園、学校、図書館で、楽しく性が学べる絵本や本、教材の充実、保護者向け、区民向けにも紹介するよう求めます。
以上、子ども達の性の自己決定、人権の立場にたった積極的な答弁を求め、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【区の答弁】
性教育に関する研修については、小学校・中学校の養護教諭や保健・体育科等の教員を対象に、本年9月に実施いたしました。
今後も在職経験が10年に達した教員が受ける中堅教諭資質向上研修をはじめとする職層研修、体育健康研修などにおいて定期的に扱うとともに、保育士も参加できるようにし、教員や保育士が性教育の基本的な考えや指導内容について理解を深められるよう、計画的に行なってまいりたいと考えます。
また、北区教育研究会養護研究部と連携しながら研究を行なうなど、性教育に関する指導の質の向上にも努めてまいります。
あわせて、幼児・児童・生徒の性に関する正しい理解につなげるために、中央図書館と連携し、学校図書館等に幼児段階から性に関する絵本などの図書を充実させ、適宜読み聞かせや調べ学習を行なうことができるよう環境整備に努めるとともに、必要に応じて保護者や地域に周知してまいります。