2019年第3回定例会個人質問―のの山けん
2019年9月10日 | のの山けん
私は、区長、教育長に、大きく2点質問いたします。
1、人口増加にともなう小・中学校の整備について
1つ目の質問は、人口増加にともなう小・中学校の整備についてです。
(1)今後の人口増加をどう見通すか
まず、前提として、今後の人口増加をどう見通すかについて伺います。
現在、今後10年間の長期計画となる北区基本計画の改定作業中ですが、振り返って現在の基本計画を策定した時は、将来人口についてどんな認識だったでしょうか。基本計画2015では、当時約33万人だった人口が、2023年の33万6000人をピークに減少、日本人人口のみでは2018年以降減少に転じるとされています。つまり、10年を見通しても「人口減少」が計画の大前提でした。
ところが、昨年3月に発表された北区人口推計では、総人口で今後約10年間、年少人口で約15年間、人口が増え続けるという傾向が示されました。推計調査から、まだ1年半しか経っていませんが、今年1月1日時点での実際値は、総人口で推計を約1800人上回り、年少人口ではほぼ推計通りとなりました。
今回の基本計画の改定にあたっては、人口に対する認識を180度変え、今後10年間の人口増加を根幹にすえた計画にしていく必要があります。
一方、東京都は毎年、小・中学校区ごとに5年先までの人口推計を発表していますが、今年度の児童・生徒数は、ほぼこの推計通りの伸びとなっています。
日本共産党北区議員団は今年2月、人口増加に対応した学校整備を求める緊急提言を区長と教育長に提出しました。今後、人口推計通りに子どもの数が増えていくとすれば、小学生はピークを迎える11年後の2030年に現在の約1.3倍となり、中学生は16年後の2035年に約1.4倍になります。しかも、ピークを過ぎても人口は一気に減少するわけではなく、長期推計では、約30年後の2038年でも小学生は現在の1.24倍、中学生は1.38倍という水準を維持します。
今より3割、4割もの児童・生徒が増えるわけですから、人口増加にふさわしく学校施設を整備しなければ、深刻な教室不足に陥ることが予想されます。
そこで、区長にお聞きします。
1つに、北区として、推計値に基づく将来の人口増加をどうとらえていますか。
2つに、現在改定中の基本計画に、人口増加にふさわしい学校施設整備を位置づけるべきと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
まず、今後の人口増加をどう見通すのかについてです。
今年1月1日現在の人口を見ますと、年少人口や高齢者人口については、北区の人口推計調査値と近い状況ですが、生産年齢人口につきましては、約1700人上回り、かい離が出ています。
北区人口推計調査の実施から1年半程度の経過のため、引き続き動向を注視する必要がありますが、総人口の増加傾向は当面続き、北区の人口推計調査結果と近い動きになると見込んでいます。
次に、改定中の基本計画に、人口増加にふさわしい学校施設整備を位置づけるべきとのご質問についてです。
平成30年3月の「北区人口推計調査」につきましては、今回の基本計画改定の際の基礎資料の一つとなります。
長期総合計画である基本計画には、北区の10年後、その先の将来を見すえ、総人口や人口構成等もふまえ、現在、そして将来予測される課題に対し、計画的に進める事業を位置づけていくことになります。
学校施設を整備し、よりよい教育環境を確保することは、「教育先進都市」を掲げる北区にとって重要な課題の一つであり、教育委員会と連携を図りながら、十分に協議・検討を重ね、基本計画の中に位置づける考えです。
(2)改定された北区立小・中学校整備方針について
学校整備の第2に、このほど改定された北区立小・中学校整備方針について伺います。
これまでの整備方針でも、学校を改築する際に備えるべき教室や施設の基準が示されていましたが、実際の運用は学校長の裁量にまかされ、教室が足りなくなると、本来転用・共用してはならない教室まで活用する事態が生まれていました。
私たちは緊急提言で、改定される整備方針において、学校施設の設置基準を厳格に規定し、この基準に基づいて十分な教育環境を確保できるようにすることを求めてきました。
今回の改定において、前進面として評価すべき点は、(1)「社会環境への対応」を施設整備の基本的考え方に盛り込み、児童・生徒の増加に対応できるようにしたこと、(2)これまで目安にとどめていた標準的な諸室の構成・規模を、整備の基準として明確に示したこと、(3)普通教室の不足が生じた場合、多目的スペースや転用可能な諸室で対応できるようにしたこと、(4)グラウンドの面積が基準を大きく下回る場合には、敷地拡張の可能性を検討するとしたことなどです。
一方で、改築の際に、普通教室をどれくらい整備するかについては、「将来人口の推移をふまえて決定する」とされました。これまでは、「完成時の児童数の推計値を基準」に普通教室の数が決められていたため、比較的最近に改築された学校でも、完成から数年のうちに教室不足が懸念される例が生じています。
そこで、お尋ねします。
1つは、普通教室の数を決める際は、5年間の都推計とともに、北区の長期推計も考慮に入れ、今後の人口増加のピークに対応できる数を確保することです。
2つに、新しい方針で、グラウンド面積が基準を大きく下回る場合に、敷地拡張の可能性を検討するとした意図をお聞かせ下さい。
3つに、児童会室、生徒会室が「他の部屋との兼用を検討」とされていますが、子どもたちの自主的な活動を保障するため、児童会室、生徒会室は専用室と位置づけるべきではないでしょうか。
以上、お答え下さい。
小・中学校の改築にあたっては、東京都教育人口推計におけるピーク時の児童生徒数を参考として、整備すべき普通教室数を決定しています。また、この推計に反映されない大規模マンション建設などの動向がある場合は、事業着手までの間において可能な限り状況を把握し、事業計画に反映することとしています。
また、これらを上回る将来人口の増加に対しては、普通教室に転用可能な多目的室を整備することで、万全を期することとしているところです。
次に、敷地拡張の可能性を検討するとした意図についてです。
北区に限らず、23区をはじめとする都市部では、校舎と体育館を一体化したり、地下利用を含めて重層化を図るなど、さまざまな工夫をもって、限られた敷地の中で運動場の確保に努めているところです。
この度改定した整備方針では、「グラウンドの面積が基準を大きく下回る場合には、敷地拡張の可能性を検討する」との記述を加え、改築にあたって検討課題の一つとしました。
今後、敷地面積が不足すると認められる学校の事業着手にあたっては、隣接する土地所有者に意向を確認するなど、可能な限り敷地拡張の可能性を検討してまいります。
また、児童会室、生徒会室は専用室とすべきとのご指摘については、当該諸室の共用化が児童生徒の自主的な活動の妨げにならないよう、十分配慮しながら検討してまいります。
(3)新しい方針に基づく学校施設の整備について
学校整備の第3は、新しい整備方針に基づく学校施設の整備についてです。
今後改築が予定されている学校では、新しい整備方針を基準に改築がおこなわれますが、改修や長寿命化での対応となる学校でも、できる限り新しい基準に基づく整備が望ましいと考えます。また、当面、改築も改修も予定されていない学校においても、新しい整備方針で示された基準が確保されることが重要です。
そこで、お尋ねします。
改修、長寿命化で対応する学校や、改築・改修の予定がない学校での、新しい整備方針に基づく施設の確保について、教育委員会の考えをお聞かせ下さい。
現在策定中の長寿命化・改築改修計画においては、改築だけでなく、改修によって長寿命化を図る学校についても改善すべき教育環境を項目ごとに整理、検討しているところです。
なお、当面、改築や改修の予定がない学校は、短期的に大きな改善を図ることは困難ですが、できる限り計画的な修繕や設備の更新を行うことにより教育環境の確保に努めるとともに、近年の児童生徒の増加により、教育活動に支障が生じることのないよう、適切な対策を講じてまいります。
(4)教室不足を生じさせない対策を
学校整備の第4は、教室不足を生じさせない対策についてです。
その1つは、各学校ごとに将来的な施設の過不足について実態を見極めることです。
今回の補正予算で、小学校4校について将来的な施設拡張についての調査経費が計上されました。
引き続き、人口増加の影響を受ける小学校、そして中学校についても必要な調査をおこなうべきと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
2つに、開発による人口増の影響を正確に把握することについてです。
王子五丁目では、864戸の大規模マンションの出現によって、王子小学区域に学校一校分にあたる就学前人口が増えました。また、整備中の神谷小中一貫校周辺では、3つの大規模な大日本印刷工場跡地に加え、DNP赤羽スタジオの解体工事によって、新たに7000㎡ほどの空き地が生まれます。これらの開発用地にはファミリー向け分譲マンションなどが計画され、将来的な小中一貫校の児童・生徒数にも影響を及ぼす可能性があります。
そこで、まちづくり部や区民部とも連携して、開発による人口増加の影響を正確につかみ、教室不足を生まない対策にとりくむよう求めます。なお、神谷小中一貫校については、周辺の開発計画によって、開校後数年で普通教室が足りなくなることはないか、現時点での判断をお尋ねします。
3つは、学校跡地の確保と活用についてです。
現在、北区が保有している学校施設跡地や、今後生まれる跡地については、将来的な学校不足への対処へ、優先的な活用を検討することを求めます。
以上、前向きなご答弁を期待するものです。
今回の補正予算では、現時点での推計値から、現有施設では普通教室が不足する可能性のある小学校について、あらかじめ対応策を検討するための予算を計上させていただきました。
また、現時点では、不足が見込まれる中学校はありませんが、引き続き小・中学校ごとの分析や学区域内における開発動向の把握に努めながら、適宜必要な調査を実施するとともに、教室不足を生まない対応に取り組んでまいります。
なお、神谷中サブファミリー小中一貫校については、現時点で確認できる情報をもとに想定できるマンション規模を考慮した上で、必要な教室数を整備する計画となっています。
東京都教育人口等推計の範囲を超える6年目以降の人口動向を確実に見通すことは困難ですが、現時点で予測しうる最大限の規模を確保できていると考えています。
次に、現在および今後発生する学校施設跡地の活用についてです。
北区学校施設跡地利活用指針では、利活用検討の手順として、「教育環境を整備する間の仮校舎としての利活用は優先する」としており、学校への活用を最優先課題と位置づけています。
個々の学校跡地については、改築改修の計画等を勘案しながら、教育委員会として、適宜区長部局と協議、連携を図ってまいります。
2、赤羽一丁目市街地再開発について
大きな2つ目の質問として、赤羽一丁目市街地再開発について伺います。
赤羽の再開発計画は、東本通り沿いの第一地区が先行し、今年度以降の都市計画決定をめざすとしています。一方、一番街商店街の東側を含む第二地区は、事業に賛同していない地権者が3分の1以上残されており、合意形成の途上とのことです。
今回の再開発は、地権者の発意による組合施行の事業であり、地権者の意向が最優先であることは論を俟ちませんが、区内で最もにぎわいのある赤羽駅前で、その周辺のまちづくりや教育環境に大きな影響を及ぼす計画だけに、周辺住民、関係住民の合意形成が大きなカギとなります。
そうした立場で、順次お伺いします。
(1)再開発が周辺に及ぼす影響について
第1は、再開発が周辺に及ぼす影響についてです。ここでは、第一地区、第二地区がともに事業化された場合を想定してお尋ねします。
まず、再開発ビルの計画内容です。先の地域開発特別委員会で、第一地区については、高さが約110メートル、地上30階前後、住宅戸数が約340戸という内容が示されました。第二地区では現時点の計画で、どのくらいの高さおよび住宅戸数が想定されているでしょうか。お答え下さい。
第二地区は、準備組合としているものの、地権者の合意形成が事業認可に必要な3分の2に達していない状況であり、具体的な施設計画等の検討には至っていないところです。
このため、再開発ビルの高さや住宅戸数については、明らかではありません。
しかしながら、第二地区は第一地区と比較し、計画敷地面積が広いことなどから、区では、同等規模以上の共同住宅が整備されると想定しています。
次に、周辺の商店街への影響についてです。
昨今、赤羽の町の人気が高まっていますが、その理由の一つに、1000円でベロベロに酔える、いわゆる「せんべろ」の店が集まる飲食店街があげられます。一番街を中心とした駅前のみならず、ちょっと奥に入った「裏赤羽」と呼ばれる場所にもリーズナブルな飲食店が広がり、隠れ家的な店を探すのが楽しみという声も多く寄せられています。
今回の再開発区域には、東口駅前通り商店街や一番街が含まれ、計画が事業化されれば、この場所で営業している多くの店舗が移転を余儀なくされることとなります。先日私は、この商店街を歩いてみました。ある店主は、「再開発の話は噂でしか聞いてないが、まだまだここで商売をやりたい。昭和のテイストが残る赤羽の商店街の雰囲気は、ずっと残してほしい」と話していました。
そこで、お聞きします。
区としては、再開発によって周辺の商店街にどのような影響が出るとお考えですか。また、この区域の商店街をどのように再編しようとしているのか、再開発準備組合からの提案があればお示し下さい。
第一地区の再開発ビル計画では、1、2階が商業床として整備される計画となっていますが、商業床の計画延床面積は、現在の本地区の商業施設の合計面積の半分以下となっており、周辺商店街への影響は、限定的と考えています。
また、第二地区については、これから権利者の意向をふまえ、商業計画を作成する予定と聞いています。
なお、両地区の準備組合を支援する事務局では、第一地区から第二地区にかけての主たる動線を「バーボンストリート」と称し、路面店を整備するなど、飲食街中心の現在の雰囲気を継承し、地区の新たな魅力としていく提案を権利者の方々に行っています。
続いて、赤羽小学校への影響についてです。
この地に校舎を構えて140年の歴史を持つ赤羽小学校は、長い間、駅前の商店街と共存してきました。地図上で確認すると、事業が進んだ場合、赤羽小学校は直近の南側、西側を再開発ビルで囲まれることになります。さらに、2つの再開発ビルに数百世帯のファミリー世帯が入居することで、赤羽小学校の児童数は急増します。
この学校が、改築の時期を迎えていることを前提にお聞きします。
再開発ビルができることで、赤羽小学校の教育環境にどのような影響が出ると予想されますか。また、現在地で改築するとした場合、新たな児童数の増加を見込んだ校舎の建設は物理的に可能かどうか、教育委員会としての判断をお聞かせ下さい。
区では、市街地再開発事業が計画されている地区や、その事業規模と赤羽小学校の位置関係から、大きく2つの影響があると考えています。
1点目は、再開発ビルによる日影やビル風等の問題です。
第一地区の計画検討では、日影やビル風を極力抑えるために、施設配置等の工夫を促しましたが、日影等の影響は避けられない状況です。
2点目は、両地区で事業化が実現した場合、相当規模の共同住宅が整備されることに伴う住宅から出現する就学児童の受け入れの問題です。
住宅の購買層等により、就学児童の出現等の度合いは異なりますが、いずれにしても、赤羽小学校の現校舎規模での受け入れには限界があると考えています。
区としましては、教育委員会と連携しながら、まちづくりの推進とともに、赤羽小学校の教育環境の確保・充実について、検討を深めてまいります。
最後に、赤羽一丁目市街地再開発に関する事項のうち、赤羽小学校を現在地で改築する場合、児童生徒数の増加を見込んだ校舎の建設は可能かとのご質問にお答えします。
赤羽小学校の改築については、現段階で詳細な検討を実施しておりませんが、比較的広い敷地面積を有していることから、児童数の増加にも対応した改築が可能であると考えています。
(2)まちづくりと再開発に対する区の基本姿勢を問う
再開発の第2に、まちづくりと再開発に対する区の基本姿勢について伺います。
その1つは、超高層となる再開発ビルの問題です。
これまで北区でおこなわれた赤羽駅西口と北赤羽駅前の再開発では、ビルの高さがせいぜい十数階であったのに対し、今回の赤羽では地上30階のタワーマンションが建設される予定です。タワーマンションは、高度利用で多くの住戸を供給できる反面、周辺に対する圧迫感や地震の際の振動、またエレベーターが止まり上層階で孤立する危険など、デメリットも多々指摘されています。
さらに、約20年前、1997年の規制緩和を契機に建設が始まり、いま大規模修繕の時期を迎え始めたタワーマンションに、意外な弱点があることが判明しました。それは、その高さのために足場を組んだ外壁工事がおこなえず、工事が高額かつ長期にわたってしまうことです。将来、老朽化が進むに従い、管理組合で修繕費用をまかなえなくなる心配も出ています。
そこで、質問です。
区内にタワーマンションが増えていくことについて、区としてはどのような認識をお持ちですか。また、赤羽の再開発では高度利用地区を導入していくとのことですが、すでに容積率600%の区域に、さらに高層化を進める規制緩和をおこなうつもりですか。お答え下さい。
区内では、高さ60メートルを超える超高層建築物、いわゆるタワーマンションは、ここ十年間で5棟が完成しています。
一般に、タワーマンションの人気は、眺望、立地、資産価値等とされていますが、赤羽が「本当に住みたい街ランキング」で第一位になるなど、北区の住まう街としての魅力が認められつつあることが、タワーマンションの増加の一因と考えています。
次に、赤羽で計画されている市街地再開発事業において、高度利用地区を導入し、容積率の緩和を行うことについてです。
高度利用地区は、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、容積率の最高限度や建蔽率の最高限度等を定めるものです。
第一地区の市街地再開発事業においては、東京都の定める「高度利用地区指定方針及び指定基準」に従い、空地の確保に対する容積率の緩和等を適用し、一定の容積緩和を計画しています。
市街地再開発事業は、この容積緩和を生かし、保留床の処分等により、計画全体の事業収支を合わせ、事業を成立させる仕組みとなっており、対応は法令等に基づいた適切なものと考えています。
2つに、まちづくりと再開発への関係住民の理解に関する問題です。
まちづくりの事業では、事前に周囲の理解を得ることが決定的に重要ですが、この間、北区が進めてきた特定整備路線などの事業では、住民合意がないがしろにされ、地権者や地域住民から事業認可取り消しを求める4つもの住民裁判が提訴されるという事態が起きています。
とりわけ、北区自身が最大の地権者となって参画している十条駅西口再開発事業で、未だ多くの反対者を抱え、住民合意が得られていないことは、今後赤羽で再開発を進めるにあたっての大きな課題ととらえる必要があるのではないでしょうか。
そこで、区長に伺います。
まちづくりや再開発の事業を進めるにあたり、地権者など当事者の合意はもちろん、可能な限り地域住民の理解と納得を得ることが不可欠であると考えますが、いかがですか。赤羽の再開発にあたっても、事前の住民合意を得るための最大限の努力をおこなうよう求めるものです。
区では区政の基本姿勢として、「区民とともに」を掲げ、多様な分野での協働のまちづくりを推進しています。
この協働のまちづくりの原点となるのは、自身が生活し活動する地域に関心を寄せ、愛着を持つことです。
このことからも、まちづくりに対する地域住民の理解は、魅力あるまちづくりを実現するために、重要であると考えています。
区としましては、赤羽の市街地再開発事業においても、これまで同様、住民の理解を得るために丁寧な説明に努めてまいります。
3つに、区のまちづくりの姿勢に関連して、8月に開かれた都市計画マスタープラン地区別懇談会について伺います。
現在、都市計画マスタープランは、10年ぶりの改定作業に入っています。専門部会の検討を経て、地域住民から素案づくりに向けた具体的意見を聞く場が、地区別懇談会でした。ところが、各会場での参加は、極めて少人数にとどまったと聞いています。
そこで、地区別懇談会の参加状況と、なぜふさわしい参加が得られなかったのか、区の考えをお聞きします。まちづくりの土台となる方針である都市計画マスタープランを住民参画でつくりあげるために、あらためて住民意見を聴取する何らかの方策が必要だと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
はじめに、地区別懇談会の参加状況についてです。
懇談会は7地区別に、8月の19日から30日まで開催し、参加者数はのべ48人でした。
懇談会における参加者数が伸びなかった原因につきましては、開催時期や周知方法に加え、都市計画やまちづくりへの関心度など、さまざまであると考えています。
次に、あらためての住民意見の聴取の方策についてです。
区では、今回の都市計画マスタープランの改定に際し、住民参画を一層推進するため、審議の中枢を担う都市計画審議会専門部会委員の区民公募を行うとともに、町会自治会やPTAをはじめ、区内関係団体等からの推薦や公募による区民37名で構成したワークショップを開催するなど、積極的に区民参画の機会確保に取り組んできました。
今後の住民意見の聴取については、パブリックコメントを実施いたしますが、区としましては引き続き、より多くの区民のみなさまからご意見をいただけるよう、情報提供と周知に努めてまいります。
(3)赤羽のまちづくりに向けた住民合意の形成を
再開発の第3は、赤羽のまちづくりに向けた住民合意の形成についてです。
現在、意向集約中の第二地区も、地権者の賛同が3分の2を超え、組合の設立要件を満たせば、計画は一気に動き出します。だからこそ、計画に対する賛否の声も含め、今が赤羽のまちづくりについて議論を深める肝心要の時期といえます。
事業主体である準備組合の努力とあわせ、この時期、北区として住民の合意形成に向けてとりくむべき課題を、以下、4点提案いたします。
その1つは、再開発の具体的イメージや周辺への影響を、広く地域住民に周知することです。
第二地区では地権者の合意形成の途上であることを考慮しつつ、区として100メートル級の再開発ビルが建ち並ぶことによる外観の変化、予想される周辺商店街や赤羽小学校の教育環境に及ぼす影響など、再開発の具体的イメージや周辺への影響を、当事者である地権者はもとより、地元住民や、商店街、学校関係者などに積極的に周知すべきと考えますが、いかがですか。
先行する第一地区につきましては、準備組合による施設計画案等がほぼまとまり、今後の東京都など関係機関との調整の進捗次第では、区としても、年度内には都市計画決定の手続きに着手する考えです。
その際には、都市計画法の定めによる公聴会等の開催をはじめ、施行主体の準備組合による施設計画案の説明会の開催など、地域の関心となる様々な情報を積極的に周知し、事業に理解を得られるよう準備組合と相談しながら、対応を検討してまいります。
一方で、第二組合については、法的には事業化の要件が整っていない状況であり、準備組合としても地権者の合意形成に注力していることや、具体的な情報発信については、慎重に対応していく必要があると考えています。
2つに、再開発区域で営業しているテナント事業者に、再開発の正確な情報を提供することです。
商店街をまわった際、あるテナント事業者は、「再開発の情報はほとんど入ってこない。再開発で店がなくなるという噂を聞きつけて従業員がやめてしまう可能性もあり、本当に不安だ。テナントであっても、ちゃんと情報を伝えてほしい」と話してくれました。
そこで、お聞きします。
テナント事業者に対する説明責任は、第一義的に準備組合にありますが、再開発の正確な情報が提供されるよう、北区から準備組合に強く求めて下さい。
ご指摘の通り、組合施行による市街地再開発事業にあっては、まずは施行主体となる準備組合や、テナント事業者と契約関係にある各権利者が、契約等に基づき、責任を持って説明を果たすべきものと考えています。
一方で、各権利者や準備組合は、都市計画決定や事業認可などの確実な事業手続きの段階に至っていない状況では、計画の実現性への不安や、事業着手手前の早期のテナント離れ等の懸念から、説明をためらう傾向があると認識しています。
区としましては、円滑な事業進捗や地域の理解を得るために、これまでも第一地区の権利者や準備組合に対し、テナント事業者をはじめとする関係者への随時の情報提供を求め、これらの働きかけにより、権利者向けにテナント対応勉強会が開催されたところです。
第二地区については、権利者の合意形成にまだ時間を要しますので、事業化の見込みが立った場合には、第一地区同様に取り組みを求めてまいります。
3つに、赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会を、さらに住民に開かれたものにすることです。
赤羽のまちづくり協議会は、この間、精力的な活動を展開しています。協議会には、総会、幹事会、ブロック部会、作業部会などの機関が設けられていますが、いずれの場でも、まちづくりに関心を持つ幅広い住民の参加を保障することが望ましいと考えます。
そこで、住民に対しては、まちづくり全体協議会への参加を積極的に呼びかけるとともに、協議会として住民の意見を吸い上げる運営の工夫・改善を求めます。また、年に4回程度開かれている幹事会には、希望する住民のオブザーバー参加を可能とするよう検討を求めますが、いかがですか。
赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会は、第一地区の事業化の計画が現実的となった一昨年度から、協議会が平成27年9月にまとめた「赤羽駅東口地区まちづくりゾーニング構想」の具体化を図る絶好の機会ととらえ、幹事会を中心に、駅周辺のまちづくりについて、議論を重ねています。
本年3月に開催した年に一度の総会では、一般の出席者から、より開かれた協議会運営を求める声や、幹事会の活動についても意見が複数出されました。
これらをふまえ、協議会は「検討の深まりに応じて、より多くの住民の参加が得られる機会の創出と情報提供について、積極的に取り組んでいきます」という今年度の活動方針を定めています。
先月開催した幹事会では、さっそく地域住民の声をより多く聞き取るための取り組みとして、地区内の商店街、町会・自治会、学校PTAを対象にグループインタビューを実施することの検討を始めています。
区としましては、今後も住民主体の協議会運営を尊重し、より広く地域のまちづくりの議論の場となるよう活動を支援してまいります。
また、ご提案の幹事会への住民のオブザーバー参加については、協議会に伝えてまいります。
4つに、区として周辺住民、関係住民が広く参加できる討議の場を保障することです。
説明会、勉強会、シンポジウム、討論集会など形態は問いませんが、赤羽のまちづくりや再開発について、地域住民、商店街、学校関係者などが自由に参加でき、住民同士で自由に質問や意見を出し合い、理解を深めあえる討議の場を早急につくることを求めます。
以上、区長、教育長の前向きな答弁を期待し、私の質問を終わります。ご静聴、ありがとうございました。
赤羽のまちづくりにおける住民参画の基盤は、これまでの活動実績等から赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会がふさわしいと考えており、区としましては、引き続き、協議会の自主性を尊重しつつ、住民の幅広い参画を基調とした協議会活動が展開されるよう、積極的に支援してまいります。