2019年第4回定例会個人質問―山崎たい子
2019年11月27日 | 山崎たい子
私は、大きく3点、地球温暖化、多文化共生、産後ケアや高齢者支援について質問します。
1、気候変動、地球温暖化防止について
1つめは、気候変動、地球温暖化防止についてです。
(1)大型台風の状況もふまえ気候変動、温暖化への区の見解を問う
先月の大型台風19号では、区内の石神井川が氾濫危険水位に達し、また大雨特別警報による土砂災害を警戒し、一部地域への避難勧告が出されました。更に、荒川の岩淵水門付近での最高水位はAP+7.17メートル、避難判断水位を超え、氾濫危険水位にあと53センチに迫る状況は、私たちに明らかな気候変動の影響と災害リスクを痛感させるものとなりました。
先日、気象庁は、昨年7月の日本の記録的な猛暑は、温室効果ガス排出量に伴う地球温暖化の影響がなければ起こりえなかったと分析し、西日本豪雨についても、個別の豪雨災害では初めて、温暖化が一因との見解を示しました。
また、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、今年9月、100年に1回程度だった大規模な高潮などが、海面上昇により今世紀半ばには、年1回以上発生するようになると警告しています。
そこで質問します。
防災、減災の備えを行うと共に気候変動、地球温暖化を防止することは、我が北区にとっても喫緊の課題であると改めて痛感しましたが、大型台風の状況もふまえ区の見解をお聞かせ下さい。
気候変動に関する政府間パネルIPCC第5次評価報告書では、地球温暖化は、もはや疑う余地がなく、現状を上回る対策を行なわない場合には、海面水位の上昇や異常気象による自然災害の深刻化、熱中症等の健康被害の増加、生態系の変化など、日常の暮らしに大きな影響があると予測をしています。
実際に、今年の夏は、日本列島の南の海水温が例年よりも高く、大型台風が日本に上陸し甚大な被害をもたらしました。
地球温暖化対策は、世界的に推進する必要があり、喫緊の課題であると認識しています。
区としましては、現在、平成30年度を初年度とする「第二次北区地球温暖化対策地域推進計画」を策定し、気候変動、地球温暖化対策の取り組みを行っておりますが、今後もこの計画を着実に推進していく必要があると考えています。
(2)国に対し、温室効果ガス削減目標の大幅引き上げ、再生可能エネルギー推進を求めよ
次に、温暖化を防止する国への要請ついてお聞きします。
ご承知のとおり、地球温暖化の原因は、先進国を中心とした経済活動により、石炭や石油などの化石燃料を大量に燃やし、消費が拡大したことで、大気中の温室効果ガスが急増したこと、地球の大気の構成が変わったためと言われています。
そのため世界では、2016年、温暖化に対して、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑え、21世紀末には1.5度に抑える努力をする。温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」にすることを目標とした「パリ協定」を発効し、全ての国が温暖化対策に取り組んでいます。
こうした中、日本政府の取り組みはどうでしょうか。世界各国が「脱炭素」の流れを加速しているのに比べて不十分であると、環境NGOからも指摘されています。
例えば、世界ではイギリスやカナダが主導して「脱石炭連名」を発足し、欧州諸国など30カ国、ニューヨーク州など22自治体が参加し、石炭火力発電の廃止に向けた宣言を行っていますが、日本は石炭火力発電の新増設計画が25基もあります。
温室効果ガスも、EUでは1990年を基準に、2050年までに80~95%削減、2030年までに40%削減するという目標ですが、日本は、2050年までに80%、2030年度までには、2013年比で26%の削減、これを国際基準の1990年比に直すと、わずか18%となり、主要国最低レベルです。少なくとも40~50%削減をめざすべきではないでしょうか。そこで質問します。
国に対し、温室効果ガス削減目標を大幅に引き上げること、石炭火力発電推進を改め、再生可能エネルギーの普及を推進するよう求めてください。
国は、温室効果ガス削減目標については、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう技術的制約やコスト面の課題などを十分に考慮した裏付けのある対策・施策や技術の積み上げによる「実現可能な削減目標」として、設定をしたとしています。
区としましては、国に対し、まずはこの削減目標を責任を持って着実に達成するよう要望するとともに、あわせて再生可能エネルギーの活用促進や水素社会への基盤整備など、自治体への支援も含め、地球温暖化防止に向けてさらなる対策を講じるよう特別区長会等を通じて、要望してまいります。
(3)北区の地球温暖化対策推進のために
3つめに、北区の温暖化対策をいっそう推進するために、以下5点伺います。
1つは、昨年度改定した「北区地球温暖化対策推進計画」 についてです。
温室効果ガス削減目標のベースは、先に述べた国の目標と同様のため、国際的に求められているレベルから見ると、今後、更なる見直しが求められると考えます。区の見解をお示しください。
本計画における温室効果ガス削減目標は、北区が、大都市東京を構成する一因として地球温暖化対策における責務を果たすとともに、実現可能性も考慮しながら設定したものであり、ご指摘の通り国と整合を図ったものとなっています。
区としましては、まずはこの削減目標の達成に向け、区民、事業者、区が一体となって本計画を推進することにより、温暖化対策への取り組みを着実に進めていくことが必要だと考えています。
なお、東京都は、2050年までに都内のCO2排出量実質ゼロを柱とする計画を今年度策定する予定と聞いており、区の計画との整合といった観点からも、その動向について注視してまいります。
2つに、環境学習についてです。
北欧の高校生グレタさんをはじめ、若い世代の環境問題に対する行動が異彩を放っています。私自身も大人の一人として、襟を正していかなければと感じています。
イタリアでは、全ての公立学校の全学年で、来年9月から気候変動などに関する授業を、年間33時間義務付けるとの方針を明らかにしました。また国内でも、廃プラスティックによる環境汚染や食品ロスについての関心も高まっています。
そこで、気候変動、廃プラスティック汚染や食品ロスに関する、小中学校での取り組みや、区民への研修会など、環境教育を充実するよう求めます。
気候変動については、小学校・中学校とも、社会化および理科の学習を中心に、学習しています。
廃プラスティックによる環境汚染については、小学校の社会科で廃棄物処理と資源の有効利用について学習し、中学校の理科でプラスティックの性質や用途について学習しています。
また、食品ロスについては、東京家政大学との連携事業で小学生と保護者を対象に料理の無駄を減らすために、普段の調理で生ごみとして捨ててしまいがちな部分も活用するリデュースクッキングのレシピを開発し、専門の行使から美味しく調理できるコツを学ぶことができる講座を行っています。
さらには、環境大学事業において、北区の環境を守り、育て、伝えたいと思う18歳以上の区民などを対象に、自然環境を中心とした幅広い環境教育にも取り組んでいます。
児童・生徒の食育を通した環境教育から始め、幅広い世代の区民に向けた環境教育の充実を今後も図ってまいります。
3つに、区有施設の省エネ・再生可能エネルギーの普及です。
学校や区有施設は、災害時の拠点でもあり、自立電源の確立がますます重要となっています。
そこで、学校改築改修計画をはじめ、区有施設での再生可能エネルギーや非常用発電機の導入を、更に向上させるよう求めます。
区有施設での再生可能エネルギー危機の導入については、新築や改築の際、太陽光、太陽熱、地中熱利用システムの導入を図っており、平成30年度現在、34施設で導入しています。
ただし、発電施設の能力や規模は、施設の一部をまかなう程度となっています。
区としましては、今後も引き続き、災害時に災害対策本部としての機能を担う庁舎や、避難所となる公共施設・学校等において、新たにエネルギーシステムなどを導入する際は、再生可能エネルギー機器等の採用について調査・研究してまいります。
4つは、事業者の省エネ促進についてです。
再生可能エネルギー導入助成の活用を含め、事業者への働きかけ、省エネセミナーの推進を求めます。
区では、「北区ニュース」やホームページなどにおいて省エネ・節電に関する情報を発信するとともに、国に関係機関で行っている無料省エネ診断の案内等を行うことで、事業者の省エネルギー行動の啓発を図っています。
また、新エネルギーおよび省エネルギー機器等の補助制度を設け、工事費の一部を助成しています。
事業者の助成申請額の実績は、年々増加しており、今後も周知・啓発等を継続しながら、事業者の省エネ促進を支援してまいります。
最後は、他自治体との連携による再生可能エネルギーの活用についてです。
計画では新規事業となっていますが、現在の進捗状況についてお聞きします。
また、友好都市のひとつ中之条町は、「再生可能エネルギーのまち」宣言を行い、太陽光や水力発電などの施策を推進しています。そこで、北区が購入している電力の一部を株式会社中之条パワーから買い取る。また、北区と中之条で再生可能エネルギーをテーマにしたシンポジウムの開催、交流事業など検討を求めます。以上、積極的な答弁を求めます。
「第二次北区地球温暖化対策地域推進計画」において新規事業として位置づけた「友好都市をはじめとした他自治体等における再生可能エネルギーの活用についての検討」ですが、引き続き、実現可能性、有効性等を研究してまいります。
また、ご提案のありました中之条町との交流事業等についても、今後、調査、検討してまいります。
2、外国にルーツを持つ子どもや区民の支援充実を
大きく、2つめの質問は、外国にルーツを持つ子どもや区民の支援についてです。
(1)文科省の就学状況等調査について
はじめに、文科省が実施した就学状況調査について伺います。
今年の9月末、文科省が初めて行った就学状況等調査では、日本に暮らす学齢期の外国人の子どもは、住民基本台帳上、約12万4千人。その中で、教育にアクセスできていない子どもは、約2.2万人、6人に1人であることが明らかとなり、新聞紙上でも大きく報道されました。東京の場合は約2.5万人のうち、教育にアクセスできてない子どもは8290人。3人に1人と非常に高い割合です。そこでうかがいます。
就学状況が不明など、教育にアクセスできていない外国籍を持つ子どもの北区の状況についてお示しください。
本調査において、区が文部科学省に報告した就学年齢に相当する外国席の子どもは、951人であり、そのうち4分の3は、義務教育諸学校や外国人学校などに就学しており、残りの約4分の1を不就学として報告しています。
(2)外国籍の児童・生徒への対応について
2点目に、北区の小・中学校に通う外国籍の児童・生徒への対応について伺います。
文科省が2年毎に実施している全国調査、公立小中学校に通う外国人児童・生徒のうち、日本語指導が必要な児童・生徒は、2018年度、全国で小・中学校ともに半数近くにのぼり、東京では、小学校で約2割、中学校で約3割、人数では2年前に比べ、2932人も増加しています。
今年の決算委員会への学校支援課提出資料では、今年度、北区の外国籍就学者は小学校で471名、中学校で146名となっていますが、その中で日本語指導が必要な児童・生徒は何人でしょうか。また、近年の推移についてもお示しください。
また、北区では、日本語指導が必要な小学1、2年生には、日本語適応指導員を派遣する。小学3年生以上は、日本語適応指導教室を設置し、複数の学校から子ども達が通級し日本語を学んでいます。
今年度は堀船小と、明桜中に増設され、区内では小学校で3校、中学校で2校の設置となりましたが、外国人の増加に伴い、今後、更なる増設について、教育委員会の見通しをお聞かせ下さい。
次に、日本語適応指導員については、子どもの母語に通じている指導員を北区が直接雇用し、原則3ヵ月の派遣、延長が必要と判断した場合は6ヵ月まで可能にしているとうかがっています。
現場からは、派遣期間を更に延長できるようにしてほしいとの要望も受けていますがいかがでしょうか。
次に、学校教育以外の支援についてうかがいます。
先日、企画総務委員会が視察した愛知県豊橋市では、日本語の初期支援として、小学生向けに学校転入前2ヵ月の教室、中学生では放課後の教室など、集中的な日本語習得の支援が行われているとのことでした。
また、北区においては、子どもの保護者への対応について、学校からのお知らせやコミュニケーションが課題になっていると聞いています。そこでうかがいます。
北区でも学校以外で、子どもや保護者に対する日本語習得や支援を行うよう求めます。また、北区では長年、区民団体が外国人に対する日本語教室を行っており、連携をはかってはどうかと考えますがいかがでしょうか。答弁を求めます。
本年5月1日現在、日本語適応指導教室へ通っている児童・生徒の数は、小学校では71名、中学校では61名となっております。
この5年間の同時期における日本語適応指導教室への通級者数は、小学校で最大84名、最小で53名、中学校では最大61名、最小で45名となっており、年度により変動が見られます。
今後の日本語適応指導教室の増設については、通級者数の毎年の変動状況なども考慮して、適宜、適切な対応を行ってまいります。
次に、日本語適応指導員の派遣期間の延長についてお答えします。
現在、本区における日本語適応指導員の派遣形態については、「日本語適応指導員派遣事業における取り扱い基準」において、原則、一日2時間・週3日の週6時間とし、派遣期間は3ヵ月と定めています。
また、個別の事情を鑑み、加えて原則3ヵ月を最大として延長を許可しています。
昨年度の派遣実績は39名となり、前年度と比較しても増加しています。
派遣期間の延長については、外国籍児童数の推移も見ながら、保護者や本人の希望および学校からの意見等も踏まえ、引き続き検討してまいります。
次に、学校以外における子どもや保護者に対する日本語習得の支援や、区民団体による日本語教室との連携についてお答えします。
本年2月に策定しました「多文化共生行動計画」では、日本人と外国人区民が、ともに安心して暮らせる環境づくりに向けて、外国人区民のコミュニケーションの壁を解消するため、幼児期を含めた日本語習得の機会の拡充を図ることとしています。
具体的には、日本文化の体験や異文化交流を通じて、日本語に親しみ、学習の場とする取り組みや、保育園に北区国際交流・協力ボランティア、通称「ケー・ボイス」を派遣し、幼児や保護者をサポートする取り組みなど、機会や場をとらえた事業を推進しております。
また、区民団体による日本語教室については、北区NPO・ボランティアプラザの情報を基に、問い合わせに応じて情報提供を行っているところです。
今後も、子どもたちの学習支援につなげられるよう、区内の日本語ボランティア団体との積極的な連携に努めてまいります。
(3)外国の各種学校における教育無償化について
3点目に、外国の各種学校における教育無償化についてうかがいます。
今年10月から幼稚園や保育所等を利用する子どもたちの利用料の一部無償化が開始されました。国は導入の理由として、高額な教育費の負担軽減やすべての子どもたちに質の高い教育を受ける権利を保障するとしています。
しかし現行の制度からは、幼児教育施設全体の0.2%にあたる外国人幼保施設88施設、そのうち40施設は朝鮮学校幼稚園、48施設はインターナショナルスクールなど外国人学校幼稚園が除外されています。
これは明らかに、子どもの権利条約の精神に反するものです。更に、国連の人種差別撤廃委員会は、2010年、高校無償化から朝鮮学校を除外していることも差別であると勧告しています。国は、直ちに除外措置を取り消し、すべての幼保施設に無償化を適用し、平等な環境を構築すべきです。
そこで質問します。
外国の各種学校を含め、すべての幼児教育・保育施設に無償化制度が適用されるよう、国に求めてください。
今回の幼児教育・保育の無償化は、法律により幼児教育の質が制度的に担保された施設を対象とし、幼稚園、保育所、認定子ども園等の費用が無償となっております。
また、待機児解消の観点から、保育の必要のある子どもについては、認可外保育施設等の費用も幼児教育・保育の無償化の対象となっています。
なお、各種学校については、多種多様な教育を行っており、幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えないことなどから対象外とされています。
また、インターナショナルスクールについては、それぞれの施設の設置形態や、保育の必要性等によって判断がされるとされています。
本制度の対象については、国において検討・判断されるものと考えています。
(4)くらしや人権擁護の相談体制について
最後に、くらしや人権擁護の相談体制についてうかがいます。
私は以前、区内に住む難民申請中の親子の相談を受けたことがあります。20代の母、2歳と6ヵ月の子どもが2人、事情があり母子3人で、民間アパートで暮らしていました。生活のため、保育園に子どもを預けて働きたいが空きがなく入所できず。収入は2人の子ども手当だけ。生活が困窮し、家賃が滞納になり、大家さんが困って私へ相談となりました。
こうした親子の相談はどこが窓口か。生活保護は受けられないかと福祉事務所に相談しましたが、難民認定されなければ、原則、受けることができないとのこと。困り果て、NPO法人難民支援協会を訪ねました。そこで、ミルクや食料、紙おむつなど生活用品を分けて頂き、何度か相談に通った末、ようやく民間シェルターへ引っ越し。家賃滞納という状況からは脱することができました。
日本の難民認定数は、2017年20人、2018年42人とわずか1%にも満たない認定率です。様々な事情で、母国を離れ日本に救いを求めてたどり着いても、公的支援はほとんどなく、大変厳しい現実があることを私自身も実感しました。
そこで、北区でも、外国籍の方のくらしをトータルにサポートする相談窓口の設置を求めます。お答えください。
「多文化共生行動計画」では、外国人区民が、日本人とともに安心して暮らせる環境づくりに向けて、生活情報の充実や、相談体制の整備に取り組むこととしております。
外国人向けの総合相談窓口については、専門知識や関係機関とのネットワークが重要であり、すでに設置している自治体に置きましては、相談員や通訳者の確保、スキルの向上などの課題があると伺っております。
今後、国の動向を注視しながら、他自治体の取り組みなど、区の総合相談窓口のあり方について、調査・研究してまいります。
3、子育てするなら、長生きするなら北区が一番の充実を
大きく3つめの質問は、子育てするなら、長生きするなら北区が一番の充実についてです。
(1)産後ケアについて
はじめに、産後ケアについてうかがいます。
私は先日、区内にある産後デイケア施設「はあとほっと」をお訪ねしました。産前産後の母子関係、特に母親への支援を行うことで、その後のより良い親子関係の形成につながるよう支援している民間施設であり、この夏、法人格も取得されました。
今年から、栄町の一軒家に移転し、毎週火曜日、ママと赤ちゃんへの産後ケア、母乳・骨盤などの専門ケア、赤ちゃんから離れてゆっくりとした時間を過ごすリフレッシュ、悩みを一緒に考えあうママゼミなどを行い、大変好評で、予約は1か月先までキャンセル待ちの状態とうかがっています。
スタッフの方は、「ゆっくりお昼ごはんを食べながら泣き出してしまうママや、湯船につかるのは久しぶり、人とまともに話がしたいという方もいます」とのこと。これが双子だったらどれだけ大変か。「頑張っているママ達を支えていくために、もっと受け入れを増やせるようにしていきたい」と語ってくれました。
そこで質問します。
産後デイケアへの補助金を増額し、開所日数を増やせるよう支援を求めます。
次に、助産師による産後ケア事業について伺います。
北区が助産師会に委託している新生児訪問では、産後の状況把握、相談が主で実際の母乳ケアや沐浴までは難しい状況です。
そこで、他区でも実施している助産師による母乳ケアや沐浴、育児相談など、自宅訪問型の産後ケア事業を、北区でも行うよう求めます。ご答弁ください。
区では、産後デイケアの取り組みをしている民間団体「はあとほっと」に事業の運営費を助成しています。
また、新生児訪問は北区助産師会に委託するなど、民間団体と連携しながら産婦の身体の回復と精神的な負担の軽減に取り組んでいます。
産後デイケアの充実と自宅訪問型の産後ケア事業につきましては、利用者や関係団体のご意見も十分に踏まえながら、人材確保などの課題を整理しつつ、産後ケア事業の充実に向けて引き続き検討してまいります。
(2)高齢者への支援について
次に、高齢者への支援について、3点、質問します。
はじめに、高齢者の口腔機能健診についてです。
北区では、従来の歯周病健診に加え、口から十分な栄養をとることができるように、口腔粘膜の乾き具合、噛む力、舌の動き、飲み込みをみる口腔機能維持向上健診をスタートさせました。その対象者は、年齢で75歳、77、79、80、81歳と限定されていますが、いつまでも美味しく食事を食べることができるのは、高齢者の健康と尊厳を保つことでもあります。そこで伺います。
年齢の上限なく、毎年、健診が受けられるよう求めます。お答えください。
高齢者がいつまでも食生活を楽しみながら栄養をしっかりと摂取していくことは、健康維持と健康寿命の延伸につながります。
このためには口腔機能の維持向上が重要です。
そうしたことから、区ではこれまでの歯周疾患健診を平成30年度に再構築し、歯周病健診・口腔機能維持向上健診として受診対象年齢を拡大したところです。
事業の充実および拡大につきましては、これまで議会各会派からご意見、ご要望を頂いています。
また、北歯科医師会と滝野川歯科医師会からもご要望を頂いており、現在、協議を進めているところです。
引き続き、両歯科医師会のご意見を伺いながら、検討してまいります。
次に、就労支援について伺います。
先月、健康福祉委員会で大阪府豊中市を視察しました。同市では、高齢者の就労を確保するには、企業や事業者の協力が必要と、国の補助金を活用し、企業へのシニア活用セミナーの開催、企業の悩みや課題への対応、高齢者雇用補助金制度の周知など、高齢者雇用の受け皿整備に力をいれていました。
また、それまで市職員が1000社におよぶ企業訪問で積み上げた、顔の見える関係性を生かし、高齢者の個別の状況と事業者のマッチングを丁寧に行っており、北区の取り組みにもいかせるのではと感じました。そこで質問します。
北区では、高齢福祉課が所管で、いきがい活動センターを開設予定です。これまで就労支援で実績を積んできた産業振興課との連携が大事ではないかと考えますが、お考えをお聞かせください。
区では令和3年1月に、いきがい活動センターを開設し、「人生百年時代に向けたあらたなる活動拠点」として、「就労」と「社会参加」につながる「いきがいづくり」支援を進めてまいります。
今までの就労支援の取り組みも参考にしながら、「相談」や「学び」から、一人ひとりが役割を持ち、就労やボランティア・地域活動などの活躍の場へつなげていく仕組みを作ります。
庁内での連携を強めるとともに、地域や関係機関との連携を図るため運営協議会を設置し、新たな取り組みを進めてまいります。
最後に、認知症の人とともに築くまちづくりについてうかがいます。
健康福祉員会で視察した、和歌山県御坊市では、「認知症の人とともに築く総活躍のまち条例」を制定、全国で初めて「認知症の人の役割」を明記し、自らの希望や思いを身近な人や市、関係者に発信する。地域社会の一員として社会参加することを位置づけました。それは、お世話される立場から本人が主体となること。地域で共に生きていく仲間であるとの考えに、私も大変、感銘を受けました。
条例をつくる過程の話し合いの場にも、医療や介護の専門職だけでなく、当事者本人が参加し、「当事者の言葉を奪わないで」「どんなくらしをしたいのか、一緒に考えてほしい」との思いを反映。条例の中で市の責務は、「市民、事業者、関係機関と連携し、認知症の人の声に耳を傾け、その人とともにより良いまちづくりを不断にめざす」としています。そこでうかがいます。
北区でも、認知症コーディネーターの育成、認知症カフェの開催など、当事者や家族を支える支援を整備してきましたが、当事者本人の視点、共に生きるという視点でこれまでの事業内容を更にバージョンアップするよう求めて私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
今年6月、国は認知症施策推進大綱を示し、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会をめざし、認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進することを基本的な考え方としています。
事業を実施する上で、当事者本人の視点を重視することは重要であると認識しています。
今後は事業に、できるだけ認知症本人の声が反映できるよう工夫するとともに、幅広い世代への認知症の正しい理解が、「共生」を実現させる基礎となることから、関係機関と協力連携し、普及啓発に努めてまいります。