2021年第2回定例会個人質問―山崎たい子
2021年6月15日 | 山崎たい子
私は大きく3点、質問を致します。
1、痴漢・性暴力のない安全な北区を
1つめは、痴漢・性暴力をなくし安全な北区を求めてです。
私は4年前の第2、第4回定例会でもセクハラやデートDV、JKビジネス、痴漢等の被害防止、若年女性の自立支援や幼児期からの包括的性教育を取り上げ、会派としても質問を重ねてきました。今回は「痴漢」の問題にしぼってお聞きします。
「痴漢」は性暴力、重大な性犯罪であり、深刻な人権侵害です。しかしながら日本社会では、その被害は軽く扱われ、未だに日々、加害と被害がくり返されています。
池内さおり前衆議院議員が責任者となっている東京の日本共産党ジェンダー平等委員会では、この暴力を正面から語りあい、政治の課題として取り組もうと、昨年8月から、11月にかけて、「痴漢」についてのネットアンケートに取り組みました。
私自身もこのアンケートに回答し、はじめて自分の体験を言葉にする機会となりました。以下、その結果について、ご紹介させて頂きます。回答数は1435人。その83%が女性で、被害の概要は、性的接触などの痴漢やハラスメント被害が全体の96%、初めて被害にあった年齢は、18歳以下で71.5%、小学生以下は34.5%にのぼり、幼児や小・中学生、高校生が狙われている実態が明らかになりました。
更に、自由記述欄には、「ほぼ毎日、通学時に被害にあった」「電車が怖くなり不登校に」「電車に乗ろうとすると過呼吸になり仕事を辞めた」「男性が隣に座ると、怖くて動けない」など、深刻な被害、その後の人生にも深い打撃を与えていること。被害の場所は、路上、電車やバスの中、学校、保育園、図書館、トイレ、家の中まであらゆる生活場面を覆っていること。
痴漢がレイプの入り口になるなど、刑法上の性犯罪や未遂と思われるもの、暴力や脅しを伴い、生命の危険を感じさせるものも多くみられ、その記述は、A4用紙400頁を超えるものでした。
一方、加害者の実態はどうでしょうか?
性犯罪加害者の99.8%は男性です。長年、加害者の治療に取り組み、「男が痴漢になる理由」の著者、斉藤章佳さんは次のように語っています。
「痴漢は、性的欲求や衝動にのみよるものではない。支配や征服欲、男性性の確認など複合的な快楽があり、ストレスへの対処行動として痴漢を選択し常習化していく。特別な治療をしない限り、何度も繰り返される」
また、「痴漢脳とも言える、特有の認知の歪みをもち、それは日本社会の中にある女性蔑視、男尊女卑的な価値観と連動しているため、個人の再発防止プログラムと共に日本社会の価値観を変えていかなければ、なくならない」と。
加えて、「行政に必要なことは、正しい実態の把握に基づいた対策。特に、痴漢が起きた時、まわりにいる第三者が見て見ぬふりをしない。沈黙は加害行為に間接的に加担することであり、社会として痴漢は許さないという啓発が非常に大切」と指摘しています。
そこで、以下3点、区長・教育長に質問します。
痴漢被害が子どもをはじめ、被害者への重大な打撃になっている実態をどう認識していますか?
北区として、痴漢の実態把握を行い、「痴漢は犯罪」であること、第3者も見て見ぬふりをしない啓発や、被害者の相談・支援に取り組むよう求めます。
子ども達が被害を受けているにもかかわらず、誰も教えていない現状に対し、小・中学校の性教育などで痴漢防止を扱うよう求めます。
区長・教育長の真摯な答弁を求めます。
【答弁】
「痴漢」は卑劣な犯罪行為であり、絶対に看過できないものであります。
区では、北区生活安全推進協議会において、定例的に警察から、性犯罪も含めた犯罪の認知状況について報告を受けることとしており、令和2年中の痴漢の検挙件数は、都内では約430件、区内では約20件とのことであります。
この数字は、被害申告にいたった件数であり、少なからず、申告されていない件数もあるものと受けとめています。
次に、痴漢被害の実態把握は区としては難しいと考えておりますが、区内3警察署との各種会議や、メールけいしちょうなどを通じ、できる限りの把握につとめてまいります。
また、啓発については、関係団体等と協力し、幅広く取り組むことが有効であると考えており、今月には、警視庁と鉄道事業者が連携したキャンペーンにも参加してましりました。
今後も痴漢撲滅機能を備えた警視庁公式防犯アプリ「デジポリス」の利用等も含め、区においても引き続き、啓発活動に努めてまいります。
さらに、然るべき関係機関を紹介するなど、被害に遇われた方の不安や苦痛の軽減に向け、適切に支援してまいります。
小・中学校の性教育などで位置付けることについて、痴漢や性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり悪影響を及ぼす、大変深刻な問題であると考えております。
現在、小中学校では、セーフティネット教室を実施し、不審者についていかない、SNS等で知り合った人に会ったり、自分の写真を送ったりしない、デートDVの正しい知識を身につけるなど、児童・生徒が性被害を含む犯罪に巻き込まれない、身の守り方などについて学べるよう。警察や地域住民、保護者と連携した防犯指導を行っています。
また本年4月には、文部科学省と内閣府が協力し、幼児期から小・中・高校、大学、一般まで発達段階に応じた「生命の安全教育」という教材を作成、公表しており、中学校向け教材の中では、痴漢となるような性暴力を紹介しています。
今後は、各学校の教育活動において、このような教材の活用も行いながら、子ども達が性暴力の加害者、被害者、傍観者にもならないための指導を進めるよう各学校に周知してまいります。
2、北区に住むすべての人の人権を守るために
2つめの質問は、北区に住むすべての人の人権をまもることです。
(1)難民申請中などの外国の方への支援について
難民申請中など外国の方への支援について伺います。
私は、年末年始やGWの連休中、生活困窮者支援団体が行った「大人食堂」での医療相談に医師と共に参加しました。相談に訪れた方のほとんどは難民申請中の方で、中には乳幼児や学童期の子どもをかかえた親子、若い女性もおりました。医療にかかれず健康状態を悪化させており、話を伺い薬を渡し、無料低額診療を行っている医療機関を紹介しながら、本当に胸が痛みました。
その背景には、日本政府の難民認定率が1%にも満たず、オーバーステイとなり、入菅施設に収容されてしまう。一時的に仮放免となっても、「仕事をしてはいけない」「生活保護も使えない」「医療の保障もない」など、これでどうやって生きていけというのか。一人の人間としての権利や尊厳が守られていない状態だと痛感しました。
先日、強制送還をすすめるなどの入管法改悪案が世論の批判を受け、今国会廃案となりましたが、外国人の生活や住居、医療の保障をどうするかなど人権が守られる仕組みは大きな課題ではないでしょうか。そこで、質問します。
北区における難民申請中の方の把握や相談実績についてお聞きします。
また、民間支援団体と連携し支援をすすめてほしいがどうか。
さらに、日本で生きる移民・難民とその家族に対する在留資格の適用拡大を国に求めてください。
【答弁】
区では、難民申請をしている人数、及び相談実績については、把握しておりません。区と致しましては、外国人の方や民間支援団体からの、生活に関する相談については、引き続き、助言や情報提供を行うなど適切に対応してまいります。
ご提案の移民・難民に関する在留資格の拡大については、今後の国の動向を注視してまいります。
(2)就学不明な外国籍児童などへの対応を問う
2点目に、就学状況が不明な外国籍児童について伺います。
私は、2019年の第4回定例会本会議で、就学状況が不明など教育にアクセスできていない外国籍を持つ子どもの北区の状況について質問、教育委員会からは、「区が文部科学省に報告した就学年齢に相当する外国籍の子どもは951人、そのうち4分の3は義務教育諸学校や外国人学校などに就学しており、残り約4分の1を不就学として報告している」と答弁がありました。私は、不就学とした200名を超える子ども達への現況調査や対応を進めて頂きたいと要望しましたが、その後の北区の取り組みをお聞かせください。
【答弁】
区では、平成31年に作成した北区多文化共生行動計画にもとづき、外国籍児童の就学状況の把握方法について検討してまいりました。
検討の結果、令和2年度には、日本国籍の児童・生徒と同様に、まずは郵送による状況把握を行い、更に、把握できなかった児童・生徒について、東京出入国在留管理局へ出国履歴の照会を行いました。
これらの結果、居住実態はありますが、子どもを就学させていないご家庭があることや、この調査によっても状況が把握できない児童・生徒がいることが判明しました。
調査結果は既に、区長部協とも情報共有を行っており、今後、関係部署と連携、協力して必要な調査や支援の方法を検討してまいります。詳細は、所感委員会で報告します。
(3)困難を抱える女性への支援充実を
3つめは、困難を抱える女性への支援についてです。
私がコロナ禍の下、ご相談を受けてきた女性達は、仕事がなくなりお金がない。ネットカフェや野宿で暮らしている。家族からのDVや虐待で苦しみ、家を飛び出し居場所がない。頼れる親族もいない。精神的にも、女性特有の健康面でも悩みを抱えている。役所との関係もこじれているなど、様々な困難を抱えています。
そして、困っている状態を、なかなか人に言えず、整理して言葉にすることが難しい。行政の相談や制度も知らずに使っていないし、敷居も高い。1回の相談で解決することは少なく、信頼関係をつくりながら長期の支援を必要とする場合が多いと感じています。
この間、個別の相談では、福祉事務所やスペースゆうなど丁寧に対応して頂いておりますが、若年女性への支援も含め、かねてから要望してきた、コロナ禍で、孤独・孤立で不安を抱える女性に対し、国も今年度、自治体がNPOなどの知見を活用し、アウトリーチ相談や居場所の提供など、きめ細かな支援を拡充するため「つながりサポート型事業」として交付金を追加措置しました。そこで質問します。
北区でも交付金を活用し、民間団体と連携した事業の具体化を求めます。まずは、福祉事務所やスペースゆう、健康推進課や子育て支援課など、女性相談の関係部署で、横断的な検討の場をもち、男女共同参画推進ネットワークをはじめ、区内の女性支援に関わる民間団体と協働しながら、事業の構築をはかって頂きたいと考えますがお考えをお聞かせください。
【答弁】
さまざまな困難を抱える女性に対しては、相談から心身の健康の回復、自立支援に至るまでの経過において、婦人保護事業を中心とした専門的で切れ目のない支援が必要出ると認識しています。
区としては、引き続き、関係部署の連携のもと、支援に努めるとともに、女性支援にかかわる民間団体との協働事業につきましては、東京都や他自治体の事例を参考にしながら、調査・検討してまいります。
(4)パートナーシップ制度の創設・ジェンダー平等の推進を
人権の質問の4つめは、パートナーシップ制度、ジェンダー平等についてです。
すでに多数の会派・議員から早期制定が求められているパートナーシップ制度は、多様性を持つ個人の存在を社会的に認め尊重する人権の課題であり、区の姿勢を示し、区民理解を拡げる牽引力にもなるものです。北区の取り組みでは、当事者団体との協働事業、相談窓口開設、区民への啓発や職員研修など、実践的には着実に進んできていると認識しています。
そこで、一日も早いパートナーシップ制度、子どもを含めたファミリーシップ制度としても発展させて創設する決断を求めます。お答えください。
【答弁】
パートナーシップ認証制度の導入については、個人の価値観、婚姻制度や家族に関する課題であることから、区民の理解を得ることが必要不可欠であると認識しています。多様な意見を踏まえつつ。先行する自治体の状況を参考にしながら、引き続き調査・検討を進めてまいります。
次にジェンダー平等を進めていく上で、一人一人の意識や行動をブラッシュアップする取り組みについてお聞きします。
株式会社電通が、今年4月、「LGBTQ+調査2020」として、全国の20~59歳、計6万人を対象に行った、LGBTを含むセクシュアルマイノリティに関するインターネット調査の結果を公表しました。
その結果では、LGBTQ+と回答した方は、前回2018年調査と変わらず8.9%であったものの、性自認・性的指向が決められない、他人に恋愛感情を抱かない、性自認が男性、女性どちらとも感じる、またはどちらとも感じないなど、L・G・B・Tの他にも、多様な性の存在が明らかになりました。
さらに今回の調査で初めて、ストレート層と言われる性的マイノリティ以外の方々の、LGBTQ+に対する知識と意識を調査し、その特徴を6つの集団に分類し分析。
最も多かった層は、知識はあるものの、課題意識があまり高くない、自分事とは考えられない「知識ある他人事層」(34.1%)で、当事者が抱える課題について、この層に啓発していくことが、平等な社会実現に向けたきっかけになりうると考察しています。
さらに私自身が注目したのは、その「知識ある他人事層」は男性が6割以上を占めること。その一方で、アクティブサポーター層など、理解を示し、行動しようとする層の7割近くは、女性であることでした。そこで質問します。
一人ひとりの人権を尊重し、多様性社会を推進するためには、政策決定の場はもちろん、あらゆる場面でジェンダー平等をすすめることが力になること。更に、男性の理解と参画を促進する事業を進めて頂くよう求めます。お答えください。
【答弁】
ジェンダー平等について、第6次アゼリアプランでは、「男女があらゆる分野で学び、参画する地域社会」を目標の一つとして掲げています。男女が共に個性と人格を尊重しあう社会をつくるためには、固定的な役割分担意識を解消し、主体的に自己決定ができるよう、情報や支援を得られるようにすることが大切であると認識しています。
区といたしましては、第6次アゼリアプランに基づき、「育ちの場における男女共同参画意識の形成」、「日常生活における男女共同参画の推進」を着実に推進してまいります。
3、ゼロカーボンシティ北区をめざして
3つめの質問は、ゼロカーボンシティ北区をめざしてです。
私はこの間、地球温暖化に対する危機感を区民と共に共有し、北区が「気候非常事態宣言」を行い、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロの実現にふみ出すこと、庁舎をはじめ、学校や区民施設への100%の再生可能エネルギー電力への転換、事業者や区民への再エネ・省エネ機器導入助成拡大、友好都市と連携したカーボンニュートラルの推進など提案してきました。
今定例会には、「北区ゼロカーボンシティ宣言」が提案されていることに心から賛同致します。そして、今後ますます重要となる、どう具体的な行動につなげていくのかの課題について、これまでの質問に続き、以下4点、提案させて頂きます。
(1)公共施設などの断熱改修について
1点目は、公共施設などの断熱改修についてです。
その内容は、建物のまわりを断熱材で覆い、空気から遮断することで、建物のコンクリート劣化を抑え長寿命化をはかり、室温の安定、気温の影響を低減する環境対策です。コンクリート劣化を可能な限り抑えることができれば、長寿命化で50年使う建物を更に延伸活用でき、経済的にも有効とされています。そこでうかがいます。
北区の学校や区民施設、公共住宅、今後、改築を予定している公共施設への断熱強化、省エネ機器の積極的な使用を求めます。
【答弁】
区では、「北区役所地球温暖化対策実行計画」を5年ごとに改訂しながら、区が事業者として事務事業に伴い排出する温室効果ガス削減に取り組んでいます。
区有施設の新築、改築の際は、この実行計画に基づき、可能な範囲で、断熱性のある資材の採用や再生可能エネルギー機器の活用を図っています。
引き続き、コストと効果のバランスを考慮したうえで、北区基本計画や北区環境基本計画との整合性をはかりながら、区有施設のエネルギー消費性能の向上に努めてまいります。
(2)ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)など省エネ住宅への積極的な取り組みを
2点目は、ゼロ・エネルギーハウスなど、省エネ住宅購入に対する支援です。
ゼロ・エネルギーハウスやゼロ・エネルギービルとは、断熱性の高い住まいを基本に、効率性の高いエアコンやLED照明などの省エネシステム、太陽光発電などにより、年間エネルギー消費量を正味ゼロ以下にする建物です。2030年までに新築住宅の平均で実現をめざし、国の補助事業となっています。
北区においても、ゼロ・エネルギーハウスやゼロ・エネルギービルに積極的に取り組むよう求めます。
【答弁】
区では、平成20年度に新エネ・省エネ機器等導入助成を開始して以降、助成項目の追加や限度額の引上げなど、充実を図ってきました。
ご提案の省エネ住宅の取り組みについては、国の補助事業に加え、東京都においても令和元年度から東京都が独自に決めた機能を取り入れた住宅を新築する際の助成事業を実施しています。
今後のさらなる取り組みについては、国や東京都の動向を踏まえながら、北区に必要な事業メニューを、環境基本計画の改定とあわせ、検討してまいります。
(3)グリーンリカバリー、グリーンニューディールの推進を
3点目は、グリーン・リカバリーの推進です。
新型コロナ感染症で停滞した経済の立て直しに、脱炭素社会など環境問題への取り組みも合わせ、国際的に推進されているのが、気候変動対策と雇用の回復・創出を同時に達成することです。
国際エネルギー機関 IEAのデータでは、再エネや省エネの方が、化石燃料や原発よりも雇用創出が大きいこと。再エネや省エネに対する投資は合理的とのコンセンサスが得られてきています。日本でも、石炭火力や原発によるエネルギー政策を転換することがいよいよ重要と考えます。北区においても、再エネ・省エネ施策の推進と雇用の創出をはかり、北区グリーン・リカバリーをすすめるよう求めます。
【答弁】
グリーン・リカバリーは、コロナ禍で停滞した社会経済の復興を図ると同時に環境問題を解決していく手法として、ヨーロッパを中心に推進されており、日本においても、その取り組みが進められていくものと考えます。
なお、環境基本計画の改定にあたっての基本的な考え方のひとつに、コロナ禍からのグリーン・リカバリーを掲げ、新しい生活様式を踏まえた、環境負荷の少ないライフ・ワークスタイルへの転換や生物多様性の保全・回復に配慮した経済や社会の回復などの視点を取り入れました。
今後2ヵ年にわたって改定作業を進めていくなかで、昨年12月、国において2050年カーボンニュートラルへの挑戦を、経済と環境の好循環につなげるため策定した「グリーン成長戦略」の動向などを踏まえつつ、北区にふさわしい施策のあり方を調査・研究してまいります。
(4)脱プラスチックについて
4点目は、脱プラスチックについてです。
廃プラスチックのリサイクルを進めるプラスチック資源循環促進法が成立しました。今定例会の補正予算では、プラスチックごみの分別回収をはじめる区民説明会の予算が計上されています。北区で行われてきたサーマルリサイクル、熱回収による焼却からの重要な政策転換です。清掃工場の規模抑制も要望します。
さらに私は、リサイクル促進とあわせ、プラスチックそのものの総量を減らすことが重要と考え、東京農工大学農学部教授の高田秀重さんのお話をうかがいました。
大量生産、大量消費社会の中で、世界に大量に出回ってしまったプラスチック。その中でもペットボトルは、日本での回収率が約9割にのぼる一方、回収しきれず毎年約25億本が海洋などに流出していると推計されています。そのペットボトルが微細化し、マイクロプラスチックとなって海の生物も汚染。使用されている化学物質が環境ホルモンとなり、免疫力の低下、精子の減少、乳がんの増加など、生態系や人体への影響にもつながる懸念が指摘されています。
高田教授は、そうした現状の中、3Rのリデュース、リユース、リサイクルの中で、優先順位高く取り組むべきは、削減(リデュース)であり、プラスチックの生産自体を減らす国や企業側の生産者責任を徹底する施策が基本である。自治体や住民も意識と行動を変えていく必要があると強調しました。
くらしの身近には、例えば、レジ袋やペットボトルを使わないマイバック、マイボトルの使用、液体せっけん入りプラスチック容器は、紙包装の固形せっけんに切り替え。公共施設にはマイボトルへの給水機を設置し、自動販売機は置かない。仮に自動販売機をおいたとしてもペットボトルはなくし、缶や紙飲料に切り替えるなどの取り組みです。
そこでお尋ねいたします。
脱プラスチックの啓発をすすめ、北区で改定作業に入る環境基本計画において、脱プラスチック、プラスチック削減の具体化をはかるよう求めます。ご答弁下さい。
以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【答弁】
区では、平成27年度に策定した北区環境基本計画に基づき、健全な物質循環の確保と、循環型社会の構築にむけ、3R推進のための啓発活動や環境学習を推進しています。
しかし、世界的にプラスチック汚染問題が顕在化し、国や東京都におけるプラスチックごみの再資源化に向けた取り組みが加速するなか、昨年3月改定を行った「北区一般廃棄物処理基本計画」では、未来をつなぐ持続可能なごみゼロのまちづくりを基本理念に、新たな社会問題に取り組むため、プラスチックごみの削減を需要事業に位置づけました。
こうした動向と整合性をはかりながら、環境基本計画の改定を進めるなかで、脱プラスチックに向けた施策のあり方を検討してまいります。