2022年第1回定例会代表質問ーのの山けん
2022年2月22日 | のの山けん
私は、日本共産党北区議員団を代表して、大きく2点、質問します。
1、財政調整基金のさらなる活用で、新型コロナから、命・暮らし・営業を守る支援の強化を
大きな1つ目に、財政調整基金のさらなる活用で、新型コロナから、命・暮らし・営業を守る支援を強化することについてです。
(1)新年度予算案の特徴について
はじめに、新年度予算案の特徴について伺います。
区が示した予算案は、コロナ禍の下でも特別区税、特別区交付金が大幅な増収となり、当初予算としては過去最大規模となりました。民間福祉事業所や医療機関等への区独自の支援などは積極的と評価しますが、新型コロナを克服する積極的予算と位置づけるならば、積み上がった財政調整基金をさらに暮らし、営業の支援に活用する余地があるのではないでしょうか。
今年度、当初予算では財調基金を約78億円活用するとしていましたが、実際の取り崩しは約36億円、さらに最終補正では約48億円を積み戻したので、財調基金の残高は170億円余でほぼ横ばいとなりました。これだけの財政的余力を残しながら、新年度は財調基金の活用を約20億円減らし、年度末と新年度あわせて約71億円を特定目的基金へ積み増す予算となっています。
オミクロン株による第6波の感染拡大は、未だ収束のめどが立っていません。財政に余裕があるなら、今は積み立てるよりも暮らし、営業への支援にまわしてほしいというのが、率直な区民の声ではないでしょうか。さらなる財調基金の活用について、区の見解を問います。
新年度予算は、区民の健康・生命を守り抜くため、新型コロナ感染症対策に全力で取り組むほか、アフターコロナを見据え、区民福祉の充実や区民サービス向上に資する新規事業の構築やレベルアップを図る内容としています。
さらに、ゼロカーボン、多様性社会の推進や、生活困窮世帯への対応など、積極的に財源配分を行い、区政を着実に前進させていく予算としています。
また、新型コロナの影響の長期化により、国の要請に基づき、個人を対象に迅速な生活支援等が受けられるよう確実な給付手続きを進めているところです。
さらに、中小企業、個人事業主などを対象とした支援金の給付も行われており、区では、産業団体等とも連携し、様々な相談への対応を図っています。
今後も、感染状況や社会経済の動向の把握に努め、関係機関等と連携し、区議会とも相談の上、必要な支援策については、しっかりと対応してまいります。
なお、特定目的基金への積み立ては、多額の経費を要する計画事業を実現するための施策として、必要不可欠なものと捉えております。
今後とも、歳入状況や、今後の行政需要等を勘案し、財政調整基金の活用も含め、適切な基金の運用を行ってまいります。
(2)喫緊の新型コロナ対策について
第2に、喫緊の新型コロナ対策についてです。
東京で1日2万人を超える感染者が出ることは想像すらできませんでしたが、拡大と減少を繰り返す感染症においては、さらに大きな波が来ることも想定しなくてはなりません。今後の対応を見据えながら、以下、喫緊の対策について伺います。
1つに、3回目のワクチン接種は、国に十分なワクチン供給を求めながら、早期接種の必要性や前倒しの方針をしっかりと区民に徹底して、可能な限り速やかに行うことです。
これまで国は、3回目の接種に必要なワクチンの供給計画を示し、北区はその計画に基づき、1月から3回目接種を本格的に開始したところです。
また、早期接種の必要性については、国がテレビCMなどで周知を図っているところですが、区としても北区ニュースやホームページ等でさらなる周知に努めています。
そして、接種間隔の前倒しについては、リスクの高い高齢者の方には2回目の接種後6ヵ月になり次第、接種を可能としております。
一方、49歳以下の方には、2回目の接種から7ヵ月後を基本としておりますが、区内介護・障害・保育・教育等施設のエッセンシャルワーカーの方には6ヵ月後に前倒しし、さらに予約枠に余裕のあるモデルナ社製ワクチンについては、希望するすべての対象者に対して、接種機関を6ヵ月に前倒しするなど臨機応変な対応により、3回目接種を速やかに実施してまいります。
2つに、PCR検査については、無料検査の場所と期間を拡充するとともに、高齢・障害施設に加え、保育園や学校の従事者への定期検査の実施を求めます。
国は、オミクロン株による感染拡大の傾向が見られるため、都道府県知事に対し、幅広く、感染不安などの理由による検査の無料化を指示し、東京都はPCR等無料化事業を開始しました。
これを受け、区では、検査を希望する区民の需要に対応するため、東京都の事業に登録した検査会社と連携し、1月下旬以降、区内2ヵ所に検査会場を確保しました。
開設期間については、まん延防止等重点措置期間が延長されたことにより、北とぴあについては2月28日まで、赤羽エコー広場館については3月31日までとしたところです。
未だ収束の見通しが立たない中、区民の安心・安全な日常生活を支えるため、さらなる検査会場の確保について、検討してまいります。
次に、保育園や学校の従事者への定期検査の実施について、お答えします。
保育園や学校で働く職員の検査につきましては、施設において感染者が発生した際は、濃厚接触者のほか、感染者と接触のあった職員も対象に検査を実施しています。
また、区が委託している検査機関により、必要に応じた検査を実施しているほか、東京都においては、現在、保育園や学校で働く職員を対象に集中的検査を実施しており、希望する施設は申し込むことで定期的な検査を受けられることとなっています。
区としましては、保育園や学校で働く職員を対象に、定期的な検査を実施することは考えていませんが、検査を希望する施設に対して、引き続き、こうした検査の活用を周知してまいります。
3つに、医療病床、大規模療養施設の確保です。墨田区では、1床最大100万円を補助して緊急対応病床28床を独自に確保しており、200床規模の野戦病院のようなコロナ専門病院の開設も検討しているとのことです。北区でも医療病床、大規模療養施設を確保するための思い切った支援を求めます。また、区内に設置された入院待機ステーション、酸素・医療提供ステーション等の活用状況等についてお答え下さい。
感染拡大時においては、東京都、特別区、保健所設置市および入院医療機関の連携の下、病床確保については東京都が一元的に担い、広域的に入院調整を行っています。
これにより、緊急に治療が必要な陽性者に対して、居住する自治体に関係なく、迅速に入院する病床を確保することを可能としており、すべての都民の命を守るための実効性ある医療提供体制と理解しています。
区内には、東京都により、東京北医療センターに入院待機ステーション、旧赤羽中央総合病院に酸素・医療提供ステーションが設置されたところです。
特に、旧赤羽中央総合病院に設置された酸素・医療提供ステーションは、透析患者の受け入れ機能や、病床ひっ迫時における入院待機患者の一時受け入れ機能を有するなど、医療機能が非常に強化されており、区民にとって利便性の高い施設となっています。
設置するにあたっては、地域住民へ説明を行い、理解を得る役割を担うなど、北区もその一翼を担っています。
今後とも引き続き、東京都等と連携しながら、医療体制の確保を図るとともに、二次保健医療圏単位の地域医療構想調整会議等において、感染拡大時における機動的な対策について、議論、検討を深めてまいります。
4つに、保健所体制の強化です。当面は、最大限の臨時応援体制で必要な業務を遂行することが必要ですが、将来を見据えて保健師など正規の専門職を定員化し、計画的増員を図るよう求めます。
保健所の定数や人員については、新型コロナウイルス感染症拡大による業務量の増大に対応するため、令和3年度および4年度に職員定数を増加するとともに、保健所に配属される保健師の正規職員の増員も行いました。
引き続き、感染拡大の状況に対応した全庁的な応援職員を確保するとともに、社会情勢や行政需要の変化に応じて、適正な人員の確保に努めてまいります。
5つに、小学校・保育園などでの休業に対する支援についてです。
まず、第6波の感染拡大以降、区内でコロナ休校、休園となった事例がどれくらいあるか現状をお聞きします。その上で、小学校休業等対応助成金について、会社の同意がなくても給付が下り、保護者による申請が簡素に行えるよう改善を国に求めるとともに、助成金が受けられないなどの相談を受け付ける専用窓口を区として用意することを求めます。
関連して、学校での休校で余った給食食材が廃棄されるケースがあるとお聞きしています。食材が無駄にならない仕組みを構築すべきと思いますが、いかがですか。
以上、お答え下さい。
今年の1月以降、2月15日までに、区立の幼稚園・認定こども園、小中学校で、全学年の休業となった学校・園は、幼稚園・認定こども園が1園、小学校3校、中学校2校となっており、休業期間は2日間から6日間となっています。
影響のあった園児・児童・生徒数は6校園あわせて2000人強となります。
区内保育園では、全クラスを休園にした施設は70園あり、休園期間は1日から、長い園で1週間程度となり、影響のあった園児数は6000人強となります。
なお、詳細につきましては、所管の委員会でご報告いたします。
次に、小学校休業等対応助成金についてです。
現在、区立小学校や保育園では、保護者の負担にも配慮し、教育委員会で速やかに濃厚接触者の特定を行い、できる限り休校や休園とならないよう対応しております。
ご質問の助成金の申請については、保護者個人で申請する場合の手続きを簡略化すると厚生労働省が発表しており、一定程度の簡素化は図られるものと考えております。
また、相談専用窓口については、すでに厚生労働省が各都道府県に設けておりますので、引き続き、北区ホームページ等において当該窓口の案内を行ってまいります。
次に、給食の食材が無駄にならない仕組みの構築についてです。
これまでも、インフルエンザ等で学級閉鎖となった場合は、他の学年などでの調整を行うなど、給食の食材が無駄にならないような取り組みは行っております。
全学年での臨時休業の場合は、できる限り食材の納品を止めるようにしておりますが、急に休業が決まるため、キャンセルできない食材も発生いたします。
また、食材は基本的に生鮮品であることなど他への転用は難しいものと考えますが、食材を無駄にしないための仕組みについては、今後も研究してまいります。
(3)子育て・非課税世帯等への臨時特別給付金の対象拡大を
第3に、子育て・非課税世帯等への臨時特別給付金の対象拡大についてです。
コロナ禍によって深刻な影響を受ける子育て世帯にとって、現金給付は命綱ともいえるものです。ところが、同じ子育てをしていても、所得制限という線引きで受給できる、できないを振り分ける仕組みは、国民や子どもの中に分断を持ち込むものとなっています。子育て支援というならば、どの所得階層でも子どもを産み、育てやすくする制度にすることが必要です。
そこで、引き続き国に対し所得制限の撤廃を求めるとともに、北区で給付金の対象外となっている子育て世帯に、区独自に1人10万円の給付を行うよう求めます。
次に、非課税世帯等への給付金では、所得制限という仕組みから、同じ世帯所得でも給付が受けられない場合が生じています。足立区では、世帯所得が200 万円以下だが、共稼ぎのために給付金を受給できない課税世帯、約5万9000世帯を対象に、区独自に10 万円を支給することを決めたと聞いています。
北区でも、非課税世帯等臨時特別給付金について所得制限による不公平をなくすことが必要です。足立区のような対象拡大に踏み出すとすれば、北区での対象者はどれくらいになりますか。北区でも同様に対象を拡大するよう求めます。区の見解をお示し下さい。
子育て世帯への給付金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、児童手当制度を活用して速やかな給付を実現するよう、国からの要請に基づき実施しているものです。
北区においては、すでに多くの対象世帯に積極支給を行ったところであり、あらためて国に対して所得制限の廃止を求める考えはありません。
非課税世帯等への給付金は、様々な困難に直面した方々に対して、速やかに生活・暮らしの支援を受けられるよう、国の基準に基づき、約4万6000世帯を対象に、現在給付を進めています。
北区において、世帯所得が200万円以下で、非課税世帯向けの給付金が対象外となった世帯は、3万6000件程度と見込まれます。
いずれの給付においても、同趣旨の追加給付を区独自で実施することは、相当規模の一般財源を確保する必要があるため、現時点において、新型コロナウイルス感染症に対応するための、さまざまな施策に優先して、これを実現することは困難であると判断しています。
(4)中小・個人事業者への支援拡充を
第4に、中小・個人事業者への支援の拡充についてです。
東京では、まん延防止等重点措置が3月6日まで延長され、飲食店をはじめ事業者にとって苦しい日々が続いています。1月末から、コロナの影響を受けた中小法人・個人事業者に、事業の回復を後押しする事業復活支援金の申請が始まりましたが、岸田政権は、その支給額を持続化給付金の約半分としました。2年もの間、まともな営業ができず、客も離れてしまう状況の中で、持続化を通り越して事業復活が必要となっている時に、なぜ支援金が半分なのか。納得がいきません。
北区でも、赤羽駅前の飲食店街をはじめ、多くの中小・個人事業者が生き残りをかけて経営努力を続けています。
そこで、国、東京都に支援拡充を求めるとともに、区として独自の支援金の検討を求めます。また、設備投資等支援事業は、新年度も継続し拡充を図るよう求めます。
さらに、現状では課税の対象となっているコロナ関連の給付金については、区としての判断で非課税にすることを求めます。
以上、お答え下さい。
はじめに、国・東京都に支援拡充を求めるとともに、区独自の支援金を検討することについてです。
区としましては、この度の国の事業復活支援金や、東京都の感染拡大防止協力金等も含め、まずは、区内事業者の皆さまが、国・東京都や区の制度を確実に活用し、事業の継続につなげていただくことが最優先と考えますので、昨年10月より開設しておりますワンストップの電話相談窓口や経営相談、ホームページ、メールマガジンなど様々な手段を用いて制度の周知を図ることに努めてまいります。
また、国・東京都に対しましては、特別区長会を通じて、中小企業等に対する新たな生活様式に対応した事業継続等への支援をはじめ、地域経済対策等の充実について要望しているところです。
今後も必要に応じて、支援策の継続や拡充など、要望してまいる考えです。
なお、現段階で、区独自の支援金の給付は考えておりませんが、引き続き、区内中小事業者の経営状況等を注視し、求められている支援について検討してまいります。
次に、新型コロナウイルス対策設備投資等支援事業を新年度も継続し拡充を図ることについてです。
当該事業は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、店舗や事業所の改装・設備購入を行った際の経費の一部補助を行うもので、令和2年度から開始し、今年度は、業態転換や販路拡大に必要な広告宣伝費の一部についても補助対象とするなど、拡充して継続実施しているところです。
コロナ禍における区内事業者のニーズにあった制度の一つであると認識しており、令和4年度においても必要な見直しを行ったうえで、より効果的な補助制度を構築して継続実施することで、区内事業者のウィズコロナ、アフターコロナにおける取り組みを支援してまいります。
次に、コロナ関連の給付金を区の判断で非課税とすることについてです。
持続化給付金など、法令で課税対象の収入とされる給付金等につきましては、税の公平性の観点から、北区が独自の判断で非課税所得として取り扱うことは難しい状況です。
区としましては、必要とする事業者に対し、税務相談などの案内を各税務団体と連携し、適切に実施してまいります。
2、北区基本構想の策定にあたって
大きな2つ目に、北区基本構想の策定にあたって伺います。
今、20年後の北区の将来像をテーマに、基本構想審議会での活発な議論が重ねられています。私も可能な限り、傍聴を続けてきました。20年後の北区を考えることは、この20年間の北区を振り返ることでもあります。今ある問題をどう解決し、新しい課題にどう立ち向かっていくのか。基本構想の策定にあたり、いくつかの角度から提案します。
(1)人口増加に見合った区民施設の整備を
第1に、人口増加に見合った区民施設の整備についてです。
現在の基本構想を策定した20年前には、将来人口が大きく減少し、2020年頃には30万人を割り、20万人台後半になるとの見通しが示されていました。しかし、現実には、北区の総人口は、今年2月現在35万1000人を超えています。直近の北区人口推計調査では14年後の2036年まで増加傾向が続き、20年後まで36万5000人台を維持するとの予測です。
新しい基本構想では、人口減少を前提にしたこれまでの諸計画を見直し、人口増加に見合った施設整備の方針を示すことが必要です。
ア、少人数学級実現に向けた学校施設整備
その1つは、学校施設です。
この間、児童・生徒が減少するとして適正配置方針による小学校の統廃合が進められてきました。加えて、全校での放課後子ども総合プランの実施や学童クラブの学内への移行、小学校での段階的な35人学級が進み始めたことから、教室不足が顕在化してきました。
今後、30人学級や中学校での少人数学級化が進んでいくことも展望し、学校改築などの機をとらえて、普通教室をはじめとした計画的な学校施設整備に取り組むよう求めます。
また、新年度に学童クラブの待機児を解消するため、定員70~80人のクラブをつくるとしていますが、定員の水増しでなく施設の増設で対応すべきです。学童クラブの定員は40人を厳守するよう求めます。
学校改築、リノベーションの実施にあたっては、「北区立小・中学校整備方針」および、「北区立小・中学校長寿命化計画」に基づき整備を進めており、普通教室については、東京都教育人口等推計におけるピーク時の児童生徒数や大規模マンション建設の動向などを参考として、整備すべき規模を決定しています。
また、令和元年の小・中学校整備方針の改定では、社会環境の変化への対応を、施設整備の基本的な考え方の柱の一つに加え、教育活動の変化や児童・生徒の増減に対応できるよう、普通教室等への転用を考慮した多目的スペースなどの可変性の高い施設整備を行うこととしています。
区といたしましては、引き続き、少人数学級の推進に関する国の動向を注視するとともに、東京都教育人口等推計や住民基本台帳のデータなどを分析し、児童・生徒の教育環境の向上に資する、適時、適切な学校施設の整備に努めてまいります。
次に、学童クラブの定員について、お答えします。
これまでも、増築棟の整備による専用室の確保や、特別活動教室などの利用により定員の拡充を図っており、今回、定員を拡充する学童クラブについても、王子小学校では旧桜田小学校を活用して増設したのち、旧育ち愛ほっと館あとに整備する増築棟の完成後に移転を予定するほか、今年度当初に学童待機が生じた4校については、学校施設の放課後時間帯の利用等について、学校と協議の上、活動エリアを確保したところです。
運営に当たっては、一人当たりの必要面積の確保、および必要人員のスタッフ配置を適切に行ってまいります。
なお、放課後の居場所づくりについては、現在、区長部局と教育委員会が横断的な会議体を設置して、35人学級の推進とともに、学校施設を最大限活用した活動諸室の確保策について検討を進めており、引き続き、学校施設が放課後児童にとっての安心安全な居場所となるよう努めてまいります。
イ、感染症対策の拠点となる保健所の増設を
2つは、感染症対策の拠点となる保健所の増設です。
1997年の地域保健法の施行と、その後、自公政権が進めた「地方分権改革」によって保健所の「合理化」、「再編」が大きく進み、全国的に保健所の数が、ほぼ半分へと激減しました。かつて北区内にも3つの保健所がありましたが、この流れの中で1つに統合・再編されました。保健所と職員を減らしすぎたことは、コロナ禍での業務パンクを引き起こす最大の要因となりました。
地域保健法では、保健所を必要とする人口の目安を20万人としており、今後、感染症対策の抜本的な強化を図っていく上で、長期的視野に立った保健所の増設を検討していくことが避けられません。そこで、北区での保健所増設について、区の見解を問います。
保健所の統合については、地域保健法の施行に伴い、平成9年度に3つの保健所を統合して北区保健所を設置し、地域住民の健康を支える中核機関として、疾病の予防、衛生の向上など、業務執行体制の強化と指揮命令系統の一本化を図りました。
このことにより、今回のような新型コロナウイルスの感染拡大という健康危機の状況下にあっても、一律の基準で迅速な対応が図られたと認識しています。
一方で、感染者数の増加などによる平常時とは異なる業務量の増大に対しては、職員の応援体制を構築し、全庁的に対応してきたところです。
令和4年度に向けては、健康福祉部と保健所を再編する組織改正を行い、健康部を新設することとし、健康施策のさらなる充実とともに、健康危機管理対策の強化を図ってまいります。
なお、保健所の増設については、考えておりません。
ウ、区民に身近な窓口の再配置を
3つに、区民に身近な窓口の再配置です。
コロナ禍の下で、給付金の支給やワクチン接種など、すべての区民を対象にした施策の必要性が増してきました。こうした時、取り残されがちなのが、ネットによる予約・申請が苦手な人や、難しい書類の扱いに慣れていない人たちです。現在は、区内の公共施設などに臨時窓口を設置し、相談に対応していますが、元々は区民に身近な窓口として、職員が常駐する区民事務所分室が7ヵ所に設置されていました。
ところが区は、2018年9月をもって7つの分室をすべて廃止し、住民にとっては区政がより遠い存在になってしまいました。
今後も人口が増加し、職員が丁寧に対応する区民に身近な窓口の必要性は増してきます。あらためて区民事務所分室のような窓口の再配置を検討すべきと考えますが、いかがですか。
区民事務所の分室の廃止につきましては、北区経営改革プラン2015に基づき、効率的な組織、執行体制の構築を目的に、人材、機材を区民事務所に集中し、機能強化を図りました。
これにより、繁忙期における区民事務所の待ち時間を大幅に短縮するなど、効果を上げることができていると考えています。
また、近年のマイナンバーカードの普及により、住民票等のコンビニ交付件数や割合が着実に増加するなど、利便性の向上・効率化も進んでいると考えています。
そのため、区民事務所分室のような常設の窓口の設置につきましては考えていませんが、引き続き、電子申請が不慣れな方などに対しては、臨時的な相談窓口やコールセンターの設置など区民の方々に寄りそった柔軟な対応に努めてまいります。
エ、公共施設再配置方針について
4つに、公共施設再配置方針の施設削減目標についてです。
人口が増加すれば、それに見合う施設整備が必要となります。ところが公共施設再配置方針は、未だに20年間で15%の施設削減を目標に掲げています。方針策定からすでに8年が経過していますが、施設面積は減るどころか増加しているのが実態です。この削減目標は、現実から乖離している上、今後の施設整備の足かせにもなりかねません。
基本構想の改定にあわせ、あらためて公共施設再配置方針の施設削減目標を見直すよう求めます。
以上、お答え下さい。
人口動向の変化や学校施設を含めた公共施設の長寿命化など、様々な環境の変化や国から示された新たな視点などをふまえると、公共施設等総合管理計画の見直しは、必要と考えています。
その際には、削減目標を含めて課題の整理や検証を行い、あらためて中長期的な視点で総合的・計画的に公共施設のマネジメントを推進してまいります。
今後とも、その時々の行政需要などを考慮し、必要な施設の建設や更新を計画的に進めつつ、施設の集約化や複合化、用途転換などにも取り組み、施設総量の抑制や維持管理費の縮減に責任をもって取り組んでまいります。
(2)新自由主義を転換し、区民の暮らし最優先の区政に
基本構想の第2に、新自由主義を転換し、区民の暮らし最優先の区政にすることについてです。
コロナ禍によって、真っ先に雇用を失ったのは非正規で働く人でした。飲食店をはじめ中小業者や個人事業主、文化・芸術、イベント関係者らが苦境に立たされる一方で、一部の富裕層、大企業はコロナ危機の中でも利益を増やし、巨額の資産をため込んでいます。歴代政府がとってきた弱肉強食と自己責任を押しつける新自由主義の政治は、貧困と格差を増大させました。今、コロナ禍の下で、その矛盾がいっそう浮き彫りになっています。
岸田首相も所信表明演説で、「新自由主義的な政策については、富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだ、といった弊害が指摘されています」とした上で、「新しい資本主義」を実現すると表明しました。分断と弊害の解決に向けた本気度が問われます。
区政においても、新自由主義からの転換を新しい基本構想の柱に据えるべきです。
ア、賃金・雇用・働き方の抜本的改善を
その1つは、賃金・雇用・働き方の抜本的改善です。
非正規化やアウトソーシングによる雇用破壊の政策によって、労働者の賃金が引き下げられ、不安定で劣悪な働き方が広がりました。北区として、以下のような働き方の改善に取り組むよう求めます。
区が発注者となる契約で、最低賃金を引き上げる公契約条例の制定がいよいよ具体化の段階に入ってきました。新年度には151施設にまで広がる指定管理者を含め、労働者の賃金を大幅に引き上げる実効性ある条例の制定とするよう求めます。
現在、制定の手続きを進めている公契約条例は、区が契約するすべてを対象とするものですが、工事または製造の請負契約、業務委託契約、区が締結する指定管理協定のうち、基準金額以上のものを「特定公契約」と定め、区が定める労働報酬下限額以上の賃金を業務に従事する労働者の方々に対し、支払うことを求めるものです。
あわせて、実効性を確保するために、支払われるべき当該賃金等が支払われていない、または賃金等の額が労働報酬下限額を下回る場合には、労働者の方からの申し出により、区は受注者等に報告を求め、調査し、違反があった場合には、是正措置命令、契約の解除、事実の公表ができることを定めるものです。
また、労働報酬下限額の決定については、条例により設置する審議会の場で、ご審議を頂くことになります。
なお、仮称東京都北区公契約条例骨子案のパブリックコメント実施結果につきましては、本定例会の所管委員会で、ご報告させて頂きます。
国はこの2月から、介護職員や保育士、学童指導員の賃金を一人あたり月平均9000円引き上げるとしていますが、北区での具体化について伺います。国の負担が大幅に減る今年10月以降の永続的な措置の検討も含め、お答え下さい。
国では、福祉・介護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取り組みを事業者が行うことを前提に、今年の2月から9月分までを事業実施期間として、処遇改善の必要な補助を行うこととしています。
介護事業所に対しては、都が補助を行いますが、交付申請を4月から受け付け、6月から交付が開始されると聞いています。
保育園および学童クラブを運営する事業者に対しては、区が補助を行うため、必要な経費を予算案に計上しました。
令和4年10月分以降については、国は公定価格や介護報酬などの見直しにより、同様の措置を継続することとしていますが、その際、自治体の負担増を招くことのないよう、全国市長会等を通じて国へ要望してまいります。
教員の働き方改革はまったなしです。すべての区立小・中学校、幼稚園、認定こども園でのタイムレコーダー導入によって明らかになった働き方の実態と、それを改善する次の一手について、教育委員会の見解を伺います。
タイムレコーダーにより全北区立幼稚園、こども園、小・中学校で在校時間を把握することを始めた令和元年9月の時点では、勤務時間外が80時間を超える教職員は136名おり、全体の11.8%でしたが、その後は減少傾向にあります。
今年度については、これまでのところ最多は4月の95名で7.9%、最少は8月でゼロとなっており、時期による増減が見られます。
在校時間の集計結果を受けて、各校の管理職が公務の精選や効率化を図り、在校時間の長い教職員には個別に指導していること、教育委員会としても調査や報告の簡略化を図ったことなどによって、改善が進んできていると考えます。
今後も、教職員がゆとりをもって子どもたちの教育に取り組めるよう、引き続き、働き方改革を進めてまいります。
イ、貧困・格差の是正に向けて
2つに、貧困・格差の是正に向けてです。
歴代政権は、40年にわたって社会保障削減の政治を続け、そのしわ寄せを国民に押し付けてきました。年々高騰する国民健康保険料は加入者への重い負担となり、もはや国民皆保険と呼べない水準にまで達しています。
東京都は2022年度の国保納付金額を決定しましたが、一人あたりの保険料は前年度比約1万円の引き上げ、国保の広域化以降で最大の値上げとなる計算です。都に保険料を引き下げるための財政措置を求めるとともに、区としても独自に保険料引き下げの手立てをとるよう求めます。
また、新年度から実施される就学前の子ども均等割減免については、区独自に対象を拡大するよう検討して頂きたい。
令和4年度の国民健康保険料については、新型コロナウイルス感染症に関する医療費の増加などの影響により、保険料の大幅な上昇が見込まれるため、特別区長会において、国や東京都に対し、必要な財政措置を要望するとともに、被保険者の負担抑制について検討してまいりました。
北区では、現在、その結果を反映した条例改正案について、国民健康保険運営協議会に諮問しているところであり、詳細は、本定例会の所管委員会でご報告させて頂きます。
ご提案の区が独自で保険料の引き下げを行うこと、また、子どもの均等割保険料の軽減措置を未就学児以外に拡大することについては、特別区における統一保険料方式の中で、共通基準を設けているため、区独自で減免等を行うことは難しい状況にあります。
いまひとつ、最後のセーフティネットである生活保護も、住居を失った困窮者にとっては自立へのハードルが高いという問題を抱えています。区は、住居を持たない人が生活保護の申請をした際、その多くに無料低額宿泊所をあっせんしています。しかし、相部屋でトラブルを起こしたり、アルコール依存症など病気を抱えた生活保護利用者が、アパート設定に至る前に施設から退去してしまう例も多いと聞きます。
そこで、無料低額宿泊所での生活に馴染まない生保利用者が、アパート設定までの間、一時的に生活できる借り上げの集合住宅や、遊休施設を活用した宿泊所などを区として用意することが必要と考えます。区の見解をお尋ねします。
生活保護開始時において、申請者個々の状況に応じた適切な保護を行うために、日常生活の管理能力等を把握する必要があることから、無料低額宿泊所を利用することがありますが、無料低額宿泊所は一時的な場所であり、アパート等への転居を見据えた適切な対応に努めているところです。
また、無料低額宿泊所には、施設の管理人が常駐しており、利用者間のトラブルの防止や利用者の保護といった役割も果たしており、北区においては、無料低額宿泊所に入居した方が、すぐに退去してしまうといった事例が多いとは捉えておりません。
なお、東京都では、生活保護開始時に一時的な居所が緊急的に必要な方に、安価なビジネスホテルの利用を可能としており、今後も東京都と連携した対応を行いながら、被保護者の安心した生活の確保に努めてまいります。
区独自で一時的な居所を用意することについては、他自治体の取り組み状況などを注視してまいります。
ウ、北区行政改革路線の検証を
3つは、北区の行政改革路線の検証についてです。
国が推し進めてきた新自由主義の政治は、自治体行政にも持ち込まれました。郵政民営化をテコにした小泉「構造改革」の嵐が吹き荒れた2005年、北区では初めて、「官から民へ」、「民間でできることは民間に」を標榜する経営改革プランが策定されました。
改定を重ね、現在の経営改革プラン2020まで、この方針を貫いてきたのは、職員定数削減、外部化、受益者負担という柱でした。
今、一国の首相ですら新自由主義の弊害を口にせざるを得ない状況の下、貧困と格差を広げてきたこの路線をそのまま続けてよいのか、掘り下げた検討が必要です。
基本構想策定にあたり、経営改革プランに具体化された北区行政改革路線を検証し、新自由主義の政策の抜本的転換を図ることを求めます。お答え下さい。
現在、北区の将来を見据えた新たな基本構想の策定に着手しており、あわせて経営改革プランの改定も予定しております。
経営改革プランでは、基本構想の実現、基本計画実現のための資源調達、健全で安定的な行財政運営の確保という3つの課題解決を図るという考え方を掲げており、改定の際には十分考慮すべきと考えております。
さらに、今年度から本格的な取り組みを始めた行政のデジタル化を強力に推進していくことから、自治体DXを経営戦略の柱の一つに据えることも検討しています。
経営改革プランの改定にあたっては、現プランの総括を行うとともに、新たな視点も加え、検討してまいります。
(3)持続可能で多様性を認め合う北区へ
基本構想の第3に、持続可能で多様性を認め合う北区をめざすこと。すなわち、現在の基本構想が策定された20年前には、今ほど緊急な課題として捉えられていなかった新しい問題へのアプローチについてです。
ア、気候危機打開、住環境を守るために
その1つは、気候危機打開、住環境を守ることです。
世界的な気候危機という非常事態の中で、破局的な気候変動を回避するために、世界が一致団結してCO2削減の努力を続けています。北区ゼロカーボンシティ宣言でも明示している2050年までにCO2排出量実質ゼロの目標を達成するには、国連IPCCが呼びかけているように、2030年までに温室効果ガスを2010年比45%削減することが喫緊の課題となります。
日本共産党は、昨年9月に「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表し、日本が2030年までにCO2を最大60%削減する目標を掲げるよう提案しました。
北区では現在、環境基本計画の改定に取り組んでいるところですが、CO2削減目標については、上位計画いかんにかかわらず、少なくとも50%以上とする必要があると考えます。現在の検討状況、および区としての目標値の考え方についてお答え下さい。
今年度より改定に取り組んでいる次期環境基本計画においては、気候変動への適応、脱炭素の実現を最重要課題として位置づけており、庁内検討会や環境審議会での議論、区民および事業者へのアンケート結果等を踏まえて、現在、骨子案をまとめたところです。
その中で、区としては、CO2を含む温室効果ガス全体の削減目標を定めることとし、2013年度比で、2030年度までに50%削減を目指すことを検討しています。
詳細な算定方法等については、所管委員会で報告をさせて頂きますが、この50%という数字は、これまでの温室効果ガス排出量の推移に基づく将来推計に、今後の対策効果による削減量を見込みつつ、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けた、意欲的な目標設定であると考えております。
今後、目標の達成に向けては、計画の骨子案を土台としながら、国および東京都の施策を踏まえ、区民および事業者と連携した実効的かつ具体的な取り組みを、全庁一丸となって検討してまいります。
住環境を守る課題では、これから本格化する北清掃工場の建替えにあたり、周辺への環境影響を最大限抑えることに、区としても全力で取り組むよう要請します。
東京二十三区清掃一部事務組合は、周辺住民から強い要望のあった解体工事での全覆い仮設テント設置について、工事設計概要書に「工場棟を全て覆う、あるいは大部分を覆う仮設が設置可能であれば、その中で解体を行う工法を採用する」と明記しました。
現状、仮設テント設置の見通しについて、清掃一組から得ている情報があれば、お答え下さい。また、仮にテントが設置されない場合、どのような工法で周辺への環境影響を抑えるのかを明示し、さらに今回の工事の際、おおよそ25年先となる次の建替工事にはテントがかけられる施設の構造設計とすることを、清掃一組に求めて下さい。
まず、仮設テント設置の見通しについてです。
昨年12月6日、北清掃工場の建て替えに向けた総合評価一般競争入札の広告が行われ、工事設計の概要などが示されました。
東京二十三区清掃一部事務組合では、現状において、北清掃工場の敷地形状や地下部分の構造等から、全覆い仮設テントの設置は技術的に困難であると判断しておりますが、入札参加者から工場棟を全て覆う、あるいは大部分を覆う仮設の設置が可能となる提案があった場合は、選定委員会の中で、技術力と価格を総合的に評価し、最も評価が高いものを選定していくと聞いております。
次に、仮に仮設テントが設置されない場合の工法についてです。
清掃一組からは、解体の基本条件として、可能な限り粉じんの飛散や騒音、振動を抑えられる仮設、養生、工法を採用し、周辺環境に十分配慮すると聞いております。
また、具体的な工法については入札参加者より技術提案がなされるものと認識しております。
区としましては、引き続き、次回の建替えも含め、地域への環境影響を可能な限り少なくできるように清掃一組に求めてまいるとともに、建替え工事の円滑な推進に向けて、連携・協力してまいります。
イ、ジェンダー平等の実現をめざして
2つに、ジェンダー平等の実現についてです。
先だって区議会議員を対象に行われたハラスメント研修を受講し、私自身も大きな刺激を受けました。強者からは弱者が見えにくい、多数者からは少数者が見えにくい。だからこそ、弱者、少数者が受けている「痛み」を知り、気づきへと誘うことが大切だというお話には説得力があり、男性こそ、賃金差別や性暴力・性被害、生理の貧困など女性が受けてきた苦しみを深く理解し、ともに手を携えて解決していく立場に立つことが不可欠だと痛感しました。
ジェンダー平等の実現に向けた気づきの契機となるハラスメント研修について、区職員向けに取り組んできた開催の状況についてお答え下さい。また今後、全区民的に研修を広げていく計画があれば、お示し下さい。
令和2年6月の労働施策総合推進法改正に伴い、職場におけるパワーハラスメント対策が大企業の事務となりました。
この法改正を契機に、区では昨年、全管理職を対象にハラスメントの未然防止や相談を受けた場合の対応を学ぶための研修を行いました。
そのほか、係長職1年目の職員を対象にしたハラスメントに関する研修や、LGBT等について正しい知識を学ぶための研修を毎年行っています。
また、一昨年、スペースゆうにおいて区民向けの講座として、ハラスメントをテーマとした講座を行いました。
引き続き、機会をとらえて、区民を対象としたハラスメントに関する講座を実施してまいります。
私はこれまでも、選択的夫婦別姓制度の実現を国に迫るよう区に求めてきました。法律で夫婦同姓を義務づけている国は日本だけで、このことが異常なジェンダーギャップを生んでいます。すでに議会でも、2020年第3回定例会で、国会審議の推進を求める意見書が全会一致で採択されています。区は、動向を注視するという受け身の立場でなく、主体的に制度の実現を国に求めるべきと考えますが、区長の決意をお聞かせ下さい。
国は、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、家族の一体感や子どもへの影響、最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえたうえで、さらなる検討を進めるとしています。
区といたしましては、引き続き、国における検討の状況を注視してまいります。
ウ、SDGs教育の積極的な推進を
3つに、区立小・中学校でのSDGs教育を積極的に推進することです。
昨年11月に、桐ヶ丘中学校で教育委員会研究協力校の研究発表会があり、私も44年ぶりに中学校の授業を受けました。この学校では年間を通してSDGs教育に系統的に取り組んでおり、授業の中でも確実に子どもたちの行動変容につながっていることが見て取れました。
今後、こうしたSDGs教育を、区内すべての小・中学校で積極的に推進することを求めるものです。教育長のお考えをお聞かせ下さい。
平成29年3月に告示された学習指導要領の前文には、児童・生徒が「持続可能な社会の創り手となる」ことが示され、様々な教科等の学習内容に人や国の不平等や気候変動などSDGsの17の目標にかかわる内容が位置づけられており、教科横断的にすべての学校で学んでいます。
北区教育ビジョン2020においても「SDGsの達成に向けた教育の充実」を重点事業としており、桐ヶ丘中学校は昨年11月に「持続可能な開発目標を達成しようとする生徒の育成を目指して」という研究主題で、SDGsに関わる研究発表会を実施しました。
この成果は、研究紀要やリーフレットとして、北区立小・中学校全校に配付し、共有しました。
また、令和4年度に向けて、各学校が教育課程を編成するにあたり、「SDGsの達成に向けた教育」を位置づけ、組織的かつ計画的に取り組むよう指導しております。
今後も、各校におけるSDGs教育が充実するよう、教員研修や先進校の事例を情報提供するなど、支援してまいります。
(4)街並みと商店街を守り、住民合意で進めるまちづくりへ
基本構想の第4は、街並みと商店街を守り、住民合意で進めるまちづくりについてです。
構想策定に向けての区民意識・意向調査からは、住民がどのようなまちづくりを望んでいるかが垣間見えます。例えば、北区の魅力はと問う質問への回答は、どの年齢層も「便利で住みやすい」が第1位ですが、18~64歳の第2位は、「商店街がある」です。商店街のある昔ながらの街並みを魅力と感じている人が各年代で多いことがわかります。
自由意見では、駅前の再開発について、「十条駅前に 40 階建てのビルを建てるのは周囲の景観ともあっていないし、混雑を招く。もう少し町の良さをいかした再開発を行ってほしい」、「マンションを建てるのではなく、地域の特性を生かした再開発・まちづくりを行ってほしい」という声が紹介されています。
また、基本構想審議会の中では、区民ワークショップで「20年後、こんな北区になって欲しい!」というテーマで討議したところ、「タワマンなしで程よく発展!」というスローガンが出されたとの報告がありました。
こうした区民の思いに対し、現在、区が進めているのは、駅前を中心として、民間事業者と一体にタワーマンション、大規模分譲マンションを呼び込むまちづくりです。高層マンション中心のまちづくりは、東京一極集中を加速させ、周辺商店街の営業や都市の気候変動にも影響を及ぼします。巨額の税金が投入されるのに、住戸を購入できるのは高い収入を得ている一部の世帯にすぎません。
私は、こうしたまちづくりのあり方を見直し、基本構想の中に、街並みと商店街を守り、住民合意で進めるまちづくりへの方向性を明記するよう求めるものです。
1つに、十条駅西口市街地再開発では、タワーマンションが建設される下でも、昔ながらの十条らしい町並みを残し、十条銀座をはじめ周辺商店街を衰退させず、存続させるための手立てを区として講じることです。具体的には、再開発ビル内にできる新たな商業施設と既存の商店街の共存共栄を図るための協議を、区が主導して進めること。また、再開発区域以外の補助73号線整備については、周辺商店街に与える影響に鑑み、東京都に計画の見直しを求めるよう、あらためて要望します。
これまで再開発組合では、組合員である地元商店街の方を含めた商業プランの意見交換会を実施しており、新たな商業施設と既存商店街との関わりについて、様々なご意見を頂いていると聞いております。
区では、十条地区まちづくり基本構想で掲げる将来像の実現に向けて再開発ビル内の新たな商業施設と、既存商店街が共存共栄できるよう努めてまいります。
次に、再開発区域以外の補助73号線整備の見直しを東京都に求めることについてです。
補助73号線は、延焼遮断機能の向上のほか、災害時の緊急避難路や救急活動のための空間確保など、木造住宅密集地域の防災性向上を図るうえで、極めて重要な都市計画道路であり、首都直下地震の切迫性などを踏まえると、早急に整備していく必要があります。
区といたしましては、早期の整備に向け、今後とも事業者である東京都と連携を図り、事業推進に努めてまいりますので、事業の見直しを求めることは考えておりません。
2つに、赤羽一丁目市街地再開発では、コロナ禍によって2年以上中断しているまちづくり協議会の活動を何とか再開し、再開発計画の全容を地域住民、関係住民に明らかにするとともに、「第二・第三地区」の計画が進めば駅の周辺環境がどのように変化するのかを含めて、赤羽の街のあり方を自由に討議できる、まちづくり懇談会など住民協議の場を早急に確保するよう求めます。
加えて、赤羽駅周辺の公共施設再配置について、区の検討状況をお示し下さい。
はじめに、赤羽駅東口まちづくり全体協議会の活動についてです。
協議会活動はコロナ禍の影響を受け、この2年間は十分な活動ができない状況にありましたが、その中で昨年12月には、2年ぶりに協議会総会が開催され、今後の活動方針等が決議されたところです。
活動方針では、赤羽駅東口のまちづくりに、より多くの住民の参加機会を確保するため、まちづくり懇談会の開催等に積極的に取り組むとされており、今後、活発な議論の場が設けられると認識しております。
区といたしましては、引き続き状況を注視しながら、協議会の活動を支援してまいります。
次に、再開発計画の周知についてです。
第一地区では、準備組合が今年度内に自らの計画に理解を得るため、地域住民等を対象とした説明会の開催の準備を進めていると聞いています。
また、第二地区、第三地区については、現在、事業化に向けた権利者の合意形成が活動の中心となっており、具体的な計画の検討には至っていないときいておりますが、今後の進捗に応じては、同様の取り組みを求めてまいります。
区といたしましては、赤羽駅東口のまちづくりについては、引き続き、赤羽駅東口まちづくり全体協議会の活動と整合を図りながら、魅力あるまちづくりを推進してまいります。
次に、赤羽駅周辺の公共施設再配置の検討状況についてです。
区では、市街地再開発事業を始めとしたまちづくりの推進や、赤羽小学校の教育環境の確保・充実とともに、赤羽駅東口周辺の経年により更新時期を迎える大規模公共・公益施設の更新等を検討するため、庁内にプロジェクトチームを設置しているところです。
今年度からは、2ヵ年計画で、今後の検討の基礎資料を収集するため、調査業務を委託し、取り組みを進めているところです。
3つに、学校跡地とUR用地の一体的活用による赤羽台のまちづくりでは、児童相談所等複合施設の良好な周辺環境を確保することを最優先し、民間分譲マンションを可能な限り敷地の南側に配置するとともに、北側の敷地は災害時に児相施設からの避難スペースにもなる空地として整備する設計とすることを求めます。
赤羽台周辺地区のゲートウェイ形成を目的とした学校跡地とUR都市機構用地の一体活用については、土地の譲渡先を選定するための公募手続きを来月上旬に開始する予定です。
その際、公表する土地譲渡先の募集要領では、現在の地区周辺のバリアフリー等のまちづくりの課題を解決し、将来にわたり安心して生活できるまちづくりを進めるため、様々な計画条件等を付してまいります。
なお、募集要領の公表前のため、具体的な内容についてはお示しできませんが、まちづくりの課題解決を最優先にしながら、応募者の提案を適切に評価してまいります。
ご指摘の児童相談所等複合施設への配慮や、現在も指定されている地域の災害時の避難場所機能の継承なども重要な事項と認識しているところです。
(5)日本国憲法が生きる区政に
基本構想の最後は、日本国憲法が生きる区政をめざすことについてです。
現在の基本構想には、すべての施策の基本となる理念の第1に、平和と人権の尊重が掲げられています。新しい構想でも、この理念は当然継承されるべきであり、それを体現しているのが日本国憲法です。
今後も、恒久平和を謳った前文や9条をはじめ、憲法のすべての条項を守り生かす区政を実現すること、また、国際的に焦眉の課題となっている核兵器禁止条約の批准や核禁会議へのオブザーバー参加に向け、平和都市宣言を高く掲げる北区が、強く国へと働きかけるよう求めるものです。区長の決意を問い、私の質問を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。
まず、日本国憲法9条をはじめ、憲法のすべての条項を守り生かす区政を実現することについてです。
北区は、憲法で定める地方自治の本旨に基づき、地域における行政を総合的に実施する役割を広く担っています。
憲法は、平和や国民の権利・自由を守るための最高法規であり、区政運営に当たっては当然に尊重すべきものと考えております。
区といたしましては、引き続き、日本国憲法や関係法令を遵守しつつ、区民福祉の向上を追求し、区政の推進に努めてまいります。
次に、核兵器禁止条約の批准や批准国会議へのオブザーバー参加に向けて、強く国へ働きかけることについてです。
昨年11月、北区が加盟する平和首長会議国内加盟都市会議から内閣総理大臣あてに、条約の批准や批准国会議への参加について、要請文を提出しています。
区としましては、引き続き、国会における議論や他自体の動向などに注視してまいります。