2022年第2回定例会個人質問―山崎たい子
2022年6月10日 | 山崎たい子
1、性差別をなくし、人権が尊重される北区を
私は、性差別をなくし、人権が尊重される北区を求め、困難を抱える女性支援法のとりくみなど、大きく7点質問します。
(1)中高年女性への支援について
第1は、中高年女性への支援について伺います。
コロナ禍、女性へのDV、性的搾取、生活困窮、自殺が増加しています。
その根底には、暴力や力による支配、ジェンダー不平等の歴史的、社会的な差別構造があり、働き方においても女性の半数は非正規雇用で、低賃金・低年金。
男女の賃金格差は生涯で1億円。女性がひとりで自立し、安定した生活をおくることが未だ困難なためです。
私はこの間、弁護士会や労働・市民団体、個人で運営する、「女性による女性のための相談会」に、同僚のながいともこ議員、せいの恵子議員と共に、相談スタッフとして参加してきました。
実行委員会では、相談に訪れた女性の伴走支援にも取り組み、4月末、女性達の実情をまとめ、衆議院会館にて報告と政策提言を行ないました。以下その内容の一部をご紹介させて頂きます。
相談会に訪れた女性は、全体で382名。40~50代が最も多く、30代をあわせると75%にのぼりました。
相談内容は、仕事や住まい、貯金がないことからの将来に対する不安、生活の困窮、離婚やDV、精神的不調など多岐にわたり、その悩みを1人で抱え孤立し、相談や制度につながらない方も少なくありませんでした。
コロナの影響で失業、減収となり、新しい就職先を見つけたいが、仕事がなかなかみつからない。求人が年齢で区切られている。デジタル人材育成支援事業などの制度も年齢制限があり受けられないとの声もありました。そこで、しごとや収入に焦点をしぼり、以下4点、伺います。
(1)中高年からでも新たな資格取得ができる事業や年齢制限をなくした仕事の斡旋など取り組みの拡充を求めます。
(2)職場でのパワハラやストレスで、メンタルを病む方も少なくありません。今年度、生活困窮者自立支援における就労支援事業で、精神保健福祉士の活用時間が拡充しましたが、現状と課題についてお聞かせください。
(3)会計年度任用職員について、女性の年収や200万円未満の割合はどうか。生計中心者の状況はどうか等、待遇の状況を評価し、改善すること。また、今後、一律公募することなく、希望者は継続雇用するよう求めます。
(4)介護職は9割が女性、平均年齢は54歳。中高年ヘルパーによって支えられている介護労働は、介護保険サービスが出来高払いのため、移動や待機、実務時間、キャンセルなどが報酬の対象外。そもそも労働時間がカウントされず、賃金が低いままです。こうした介護保険の制度的な問題を改善するよう国に求め、北区独自の手当実施など処遇改善を求めます。
以上、お答えください。
まず、中高年からでも新たな資格取得ができる事業や年齢制限をなくした仕事のあっせん、雇用創出などの取り組みの拡充についてです。
現在、区では、就労に結びつく資格の取得について、「ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金事業」などをご案内しております。この事業の申請について、年齢制限はありません。
また、北区くらしとしごと相談センターでは、仕事をご紹介する際には、相談内容に応じて、相談者の状況に合わせた求人情報の提供や開拓に取り組みますが、原則として、仕事の内容に年齢条件を付けることはありません。
そのほか、区では、東京しごと財団と共催し、就職活動中、または、これから働きたいと考えている女性を対象に、再就職支援セミナーを年齢制限なく実施しております。
事業の実施にあたる東京都しごとセンター女性しごと応援テラスでは、セミナー終了後、専門の女性キャリアカウンセラーによる個別相談会も開催しており、一人ひとりの事情や希望を踏まえた、きめ細かな支援を行っております。
さらに、シニア向けのセミナーを開催しているほか、就職面接会を実施しております。
今後も引き続き、関係機関と連携しながら、就職を希望する方への支援に努めてまいります。
次に、精神保健福祉士の活用時間が拡充したことによる現状と課題についてお答えいたします。
就労支援事業において、就労にあたり様々な問題を抱えた方に寄りそい、適切な支援を提供する機会を増やすため、精神保健福祉士の活用時間を拡充いたしました。
現在、精神保健福祉士がかかわっている方は11名、そのうち女性は3名です。
精神保健福祉士は、対象者との面談による直接的な支援のほか、キャリアカウンセラーなどを交えた三者面談、キャリアカウンセラーへの助言、各種プログラムへの関与などを通じて、対象者へ適切な支援を提供しております。
今後、制度の拡充も踏まえ、対象となる方の利用が図られるよう、制度の周知などに努めてまいります。
次に、会計年度任用職員の処遇改善についてです。
区では、令和2年度から会計年度任用職員制度を創設し、勤務条件などの環境整備を行いました。
原則として、区常勤職員と同様の職種や給料表を適用し、報酬額の決定を行い、職務内容に応じた賃金体系といたしました。
引き続き、他区の状況や社会情勢の変化、これに伴う法改正などを踏まえつつ、適切な処遇改善に努めてまいります。
また、希望者の継続雇用については、勤務実績が良好であること等を要件として、連続4回まで公募によらない再度の任用が可能となっています。
次に、介護保険制度の改善を国に求めること及び区独自の処遇改善の実施についてお答えします。
区では、介護事業者に管理者支援事業を実施し、社会保険労務士等の専門職を派遣することで、介護職員の処遇改善に向けたサポートを行っています。
また国においては、介護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取り組みを介護事業者が行うことを前提に、今年の2月から9月までを事業実施期間とした「介護職員処遇改善支援補助金」を実施しています。
申請窓口は東京都となりますが、4月から受け付けを開始し、6月から交付が始まると聞いています。
区としましては、今後も本事業の周知を行うほか、処遇改善にかかわる他自治体の取り組みを注視してまいります。
なお、区ではこれまで特別区長会を通じて、国に対し、介護保険制度の充実を求めていますが、その中で、介護職員の実態に即した評価やキャリア形成に応じた報酬を担保することを求めているところです。
今後も、必要な事項については特別区長会を通じて、国や東京都に要望してまいります。
(2)女性のつながりサポート事業について
質問の第2は、女性のつながりサポート事業についてです。
今年度の北区の新規事業では、女性のつながりサポート事業として、NPO法人と連携し、LINE相談やアウトリーチ支援の実施、必要な際のシェルターの提供、支援者養成講座の実施がもり込まれました。
議会質問や組み換え予算などで、繰り返し求めてきた内容であり、本当に嬉しく思っています。23区の中でも先進的である事業の意義が広く周知され、孤立し、悩みを抱えている方に届き、ためらわず活用されるよう願い、2点伺います。
はじめに、LINE相談についてです。
4月から週2日、午後6時~9時までの時間帯でスタートしました。
北区としてどのように区民周知をすすめているか。また、利用実績や相談内容の傾向について、お聞かせ下さい。
これまで、困難をかかえているにもかかわらず、適切な支援を受けられなかった女性が、気軽に相談を利用できるよう国の「地域女性活躍推進交付金」を活用して、NPO法人への委託により、この4月から新たにLINE相談を開始しました。
LINE相談の区民への周知については、相談案内カードを区施設等で配布しているほか、北区ニュースやホームページ、SNSを活用し、周知を図っているところです。
次に、LINE相談の実績についてです。
5月末時点の相談件数は35件で、仕事や家族関係などの相談がありました。
詳細につきましては、本定例会の所管委員会でご報告いたします。
2点目は、支援者養成講座の開催についてです。
今月から7月にかけて、LINE相談やアウトリーチ支援員を養成する講座が開催されます。定員は25名で、5月6日から申し込みでしたが、なんと次の日には、定員に達し受付終了となっていました。まさに嬉しい悲鳴ではないでしょうか。
講座の内容は、DVや性暴力、虐待についての基本的な理論、トラウマや法律、権利について、子どもや高齢者、障がい者、多文化社会における様相、そして、加害についてなど多角的に学ぶ、充実した5日間のコースとなっています。
受講者の方は、全日程の受講を前提にしているとは思いますが、突然の事情で、参加できない日もあるのではないでしょうか。そこで伺います。
補講などの実施はどのようになるのか。また、1人でも多くの区民に、今後も機会を提供して頂きたいと考えます。年度内の開催など検討を求めますがいかがでしょうか。
お答えください。
本講座は、実際に相談員や支援員として必要な基礎知識や支援のあり方を学び、活動していくための研修であることから、全日程参加できることが前提となっています。
区では、事情により参加できなかった場合の補講や、年度内の開催は考えておりませんが、本講座を受託している事業者が実施する同内容の講座について情報提供してまいります。
(3)DVなど暴力支配をなくす取り組みの充実を
質問の第3は、DVなど暴力支配をなくす取り組みです。
DVの本質は「支配」です。それは身体的暴力によるものだけではありません。現在、国の動きでは、DV防止法の保護命令や公的支援の対象を、現行では身体的暴力か、命の危険がある場合に限定されていますが、精神的暴力や性的暴力にも拡大する法改正が検討されています。
また、DVは夫婦だけでなく、交際しているカップルにも起きます。
NPO法人デートDV防止全国ネットワークの実施した、中高生と大学生を対象にした実態調査でも、交際経験のある若年者の4割が被害を経験。その内容は、「思い通りにならないと不機嫌になる」、「暴言を吐く」、「人格を否定する」等の精神的暴力や、「返信が遅いと怒る」、「他の異性と話をしないと約束する」等の行動制限に及ぶものもありました。
コロナ禍、北区でもDVの相談件数は増加しています。北区では、専用ダイヤルや対面による平日・夜間、土日の相談を伴走型としても対応。また、区民向けDV防止啓発講座は、毎年、内容も充実しており、昨年は、中高生向けデートDV理解促進リーフレットを作成、配布して頂きました。以上の取り組みをふまえ、以下3点質問致します。
区民向けDV防止啓発講座については、1人でも多くの区民に聞いて頂くために、リアル参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド開催や、YouTubeの配信などができるよう求めます。
区では、DVの実態や影響を知り、被害者に対する理解や必要な支援などを知り、自分たちに何ができるかを考えるDV理解基礎講座を実施しています。
講座のハイブリッド形式の開催やYouTubeの北区公式チャンネルを活用した配信につきましては、講師の承諾を得ることが不可欠であるため、可能な範囲で開催方法を検討してまいります。
2つめは、デートDV予防教育についてです。
今年度、北区が女性相談事業で委託したNPO法人が、イヴ・サンローラン・ポーテと長期的なパートナーシップを組み、「デートDV防止講座」を無料で実施できるようになったと側聞しています。
自分と相手を大切にし、デートDVの被害者にも加害者にもならず、互いに尊重し合える関係のつくり方を学ぶプログラムで、中学校や高校、大学、団体などへの出張講座、オンライン講座により行うご案内となっています。
そこで、北区の中高生向けデートDV理解促進リーフレットの配布とあわせて、デートDV防止無料講座もご案内し、積極的に活用して頂くよう周知を求めます。
区では、デートDVは人権侵害であり、早期からの気づきが重要であると考えています。
その方策の一つとして、区内中学校や高校を対象としたデートDV講座を実施しているところです。
ご紹介のあった「デートDV防止講座」の周知につきましては、まずは、講座の内容を把握したうえで検討してまいります。
3つめは、加害者プログラムの実施です。
日本でDV加害者教育に取り組んでいる民間法人では、DVの加害者には、社会的地位や学歴が高い人を含め、普通の社会生活を送っている人が多いこと。被害を受けても実際には、別れない女性が多い現状を指摘しています。
こうした点から、DV被害をなくすためには、加害者側に自分の考えや行動を変えてもらうための取り組みが不可欠です。加害者教育の推進は、被害者への支援と暴力防止教育の推進に並ぶ、3つの要素の1つと強調しています。国もようやく、モデル事業を実施しています。
そこで、北区での加害者プログラムの早期実施を求めます。
お答えください。
加害者更生に関する取り組みは、被害者の安心・安全を確保するための手段として有効であると認識しております。
区においては、こころと生き方・DV相談で、加害者からの相談も受け付けておりますが、加害者が暴力をふるう要因は様々であり、その類型によりアプローチの仕方には専門的知識が必要であることから、相談内容に応じ、加害者プログラムを実施している団体等の紹介を行っております。
また、国においては、被害者支援の一環として、地域社会内における加害者プログラムを含む加害者対応と連動させた包括的な被害者支援体制の構築に向け、加害者プログラムの試行実施を行うとともに、有識者検討会を設置し、基本的な考え方や課題について調査・検討が行われました。
今後、この検討結果をふまえ、加害者対応のあり方について、さらに検討を進めていくこととしています。
区としましては、引き続き、加害者からの相談にも応じつつ、国の動向を注視してまいります。
(4)困難を抱える女性支援法の北区の取り組みについて
質問の第4は、困難を抱える女性支援法の北区の取り組みです。
先月5月19日、虐待や暴力、性搾取・性暴力の被害など、困難を抱える女性を包括的に支援する新法が、超党派の議員立法により、全会一致で可決・成立しました。
この法律は、従来の公的支援である婦人保護事業において、その根拠法であった「売春防止法」の女性差別規定、いわゆる性売買に従事する女性の取り締まりや保護・更生から、女性の人権擁護や福祉の向上へ転換するものです。
基本理念に当事者の「意思の尊重」、「人権擁護」、「男女平等の実現」を掲げ、「女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多い」と、支援の必要性を指摘し、国と地方自治体の責務を明記しています。
支援現場の長年の運動が実った画期的な法改正であり、私も4年前の本会議質問で要望していたので、本当に嬉しいです。
これまで婦人保護事業は、基準や職員配置が不明確なまま、2002年以降、対象が、DV、人身取引、ストーカー行為被害者へ拡大され、行政の予算や施策が不十分な中、一方で、深刻な事態への対応から、民間シェルターは増加したものの、公的な財政支援は乏しく、従事者の確保や運営が困難などの課題が指摘されていました。
新法では、現行の婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設の3機関を残しつつ、それぞれ女性相談支援センター、女性相談支援員、女性自立支援施設に改称します。
また、役割として新たに、「心身の健康の回復を図るための医学的、又は心理学的な援助」や、「当事者の立場に立った相談対応」、更に「同伴児童への学習・生活支援」などが盛り込まれました。 また、民間の支援団体との「協働」「その自主性の尊重」をうたい、民間団体を行政と対等な関係に位置づけています。
このように、国と自治体の責務が明記された新法の制定を機に、北区においても専門職をはじめとした体制と予算拡充を求め、以下、3点、うかがいます。
(1)困難を抱える女性支援法に対する北区の見解を伺います。
(2)北区では、福祉事務所の相談係に婦人相談員を配置し、相談、支援を行っています。現状の体制とコロナ禍における相談、支援の実績、傾向についてお聞かせください。
(3)新法との関連で、福祉事務所の女性相談・支援および、先に述べた女性のつながりサポート事業や、スペースゆうにおけるDV相談・予防事業などを位置づけ、それぞれの体制、事業の充実、連携の強化をはかって頂きたいと思いますが、区の考えや今後の取り組みをお聞かせください。
はじめに、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に対する区の見解についてです。
本年5月19日に可決、同月25日に公布された困難な問題を抱える女性への支援にかんする法律は、これまでの「売春防止法」にはない女性の福祉の増進、人権の尊重、関係機関の緊密な連携等が明記されていると認識しています。
区におきましては、その基本理念に則り、困難な問題を抱える女性が、最適な支援を受け、福祉の増進につながるよう、令和6年4月1日の法施行に向け、関係機関、民間団体との連携、協働のあり方などを早期に検討してまいります。
次に、婦人相談員の配置とコロナ禍における支援の状況についてです。
現在、北区の婦人相談員は3名、担当主査を含め、4名体制で支援を行っています。
コロナ禍においては、離婚問題、DV、生活困難、精神的問題による相談が増えており、中には帰る場所の喪失が想定される相談もあることから、社会福祉施設等への入所対応も行っています。
新法可決に先立ち、厚生労働省が都道府県に対し、婦人保護事業の強化・推進に関する通知を令和4年4月に発出しています。
北区においても、福祉事務所の婦人相談員と、スペースゆうの相談員との連絡会を開催するなど、新法対応、連携強化に向けた協議を始めています。
今後発出される新法施行に係る国や東京都からの通知に基づき、適宜対応してまいります。
(5)安全・安価な避妊、中絶のアクセス改善を
質問の第5は、安全・安価な避妊や中絶のアクセス改善です。
避妊や中絶について、女性が自己決定できることは、基本的人権です。
その手段の一つである緊急避妊薬は、性交から72時間以内に服用すれば、高い確率で妊娠を避けることができます。日本では、若年層における意図しない妊娠やDV、性暴力被害が増加しており、その重要性が増しています。
2020年第3回定例会で、せいの恵子議員が、緊急避妊薬の薬局での販売を求め質問。国も、男女共同参画基本計画に、医師の処方箋なしに薬を使えるよう検討を盛り込みました。現在、緊急避妊薬のアクセス改善を求める要望書が25団体の連名、15万筆の署名と共に、厚労大臣に提出されています。
中絶薬については、2020年第4回定例会で、私が本会議質問を行いました。昨年末、国内初となる内服による中絶薬が、製薬会社から申請され、早ければ、1年以内にも薬事承認、実用化される見通しとなり、価格設定や処方・販売方法が、現在大きな焦点となっています。
中絶薬は、世界80ヵ国以上で使用され、平均価格は780円です。日本での承認に際し、中絶手術並みに十数万円かかるならば、女性の自己決定や安全な中絶の権利が制限される恐れがあると、経口中絶薬が高い価格にならないよう求める署名は、10万筆を超えています。そこでうかがいます。
緊急避妊薬も中絶薬も、女性の自己決定権を尊重し、安全・安価でアクセス改善となるよう国に求めてください。
緊急避妊薬については、すでにオンライン診療での処方が可能となっているところですが、令和2年の第5次男女共同参画基本計画の閣議決定で、予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性が、一定の条件のもとで処方箋なしに適切に利用できるよう、薬の安全性を確保しつつ、幅広く健康支援の視野に立って検討することとされました。
現在、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」での再検討が継続しており、次回は夏ごろに開催の予定と承知しています。
経口中絶薬については、イギリスの製薬会社が日本国内での使用について承認申請しており、今後有効性や安全性について審査され、運用方法等についても議論される見通しです。
いずれにつきましても、様々な観点からの高度な判断を要する課題であり、区といたしましては、引き続き、国の検討状況を注視してまいります。
(6)女性の権利を国際基準に
質問の第6は、女性の権利を国際基準とする「女性差別撤廃条約選択議定書」についてです。
選択議定書は、女性差別撤廃条約(以下、条約とします)の実効性を強化し、女性が抱える問題を解決するため、1999年に国連で採択されたものです。その内容は、自身の権利侵害の回復について、国連女性差別撤廃委員会に通報し、救済を申し立てる「個人通報制度」と「調査制度」があり、条約とセットで批准するよう国連から要請されています。
世界では、条約締結国189ヵ国中114ヵ国が選択議定書を批准し、この間、女性差別撤廃委員会へ40の国から174件の個人通報がなされ、そのうち42件で国の条約違反、例えば、ジェンダーにもとづく暴力や健康の権利侵害、雇用と社会保障に関する権利侵害などを認定しました。
一方、日本では女性差別撤廃条約は批准しているものの、選択議定書は国連採択から20年たっても未だ批准していません。
日本が批准すれば、条約が裁判、司法に適用され、差別的法制度の見直しが国会ですすみ、行政による救済が整備されるなど、女性の権利を国際基準へと引き上げる力になるものです。
まさに、ジェンダーギャップ指数120位の日本が喫緊に取り組むべき課題であり、政府も、2020年の第5次男女共同参画基本計画の中で、「早期締結について検討を進める」としています。
そこで伺います。
女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准について、北区からも国に求めてください。
女子差別撤廃条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、「女子に対する差別」を定義し、締約国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動における差別の撤廃のために適当な措置をとることを求めています。
令和2年12月に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画の中でも、女子差別撤廃条約を積極的に遵守し、選択議定書については、諸課題の整理を含め早期締結について検討を進めるとしています。
区といたしましては、国の動向を注視してまいります。
(7)男女共同参画推進拠点の「スペースゆう」について
最後に「スペースゆう」男女共同参画推進拠点について伺います。
4月の北区ニュースに、北とぴあの改修計画について掲載されました。北とぴあ改修中は、貸出し施設が休館になると共に、施設内に設置されていた北区役所の所管課や民間団体執務スペースなどが、一時的に仮移転が見込まれます。
多様性社会推進課、スペースゆうもその1つであり、4月末に開催された、北区男女共同参画推進ねっとわーくの総会でも、スペースゆうの今後について、会員の方々から、次のような意見が出されました。
「活動の拠点となる場所が、駅から遠く交通の便が悪くなり、事業や活動が縮小してしまうのではないか心配している。」また、「新庁舎建設計画との関連についてもどうなっていくのか。女性の施策は、課題がたくさんあるので、事業が遅れることのないように、区民に良く見えるように進めてほしい」との声です。
そこでうかがいます。
スペースゆうについて、北とぴあ改修中の移転先の検討状況や、その後の新庁舎建設計画との関係について、現時点での区の考えをお聞かせください。
以上で、私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
まず、北とぴあ改修中の移転先の検討状況についてです。
北とぴあ内の施設等の大規模改修中の移転先については、今年度から実施する基本設計と並行して検討を進めて行く予定としております。
移転先につきましては、遊休施設の活用を基本としつつ、検討してまいります。
スペースゆうの移転については、執務、相談、区民・団体の活動支援など、複数の機能を有していることから、各機能を踏まえて検討をしてまいります。
次に、新庁舎建設計画との関係についてです。
現在策定を進めている新庁舎建設基本計画の中間のまとめでは、新庁舎は、協働や交流など様々な形による区民利用を目指すことから、スペースゆうについては、複合化の対象とすることを基本としております。
今後、区民の皆さまの意見を踏まえた、新庁舎建設基本計画案を作成してまいります。