2022年第4回定例会代表質問ー山崎たい子
2022年11月22日 | 山崎たい子
区議会議員の山崎たい子です。私は日本共産党北区議員団を代表し、異常円安、物価高、長引くコロナ禍の下、くらし応援の緊急対策や大規模水害対策、気候危機と地域経済の活性化など、大きく6点、区長、教育長に質問します。
1、くらしを守る緊急対策を
はじめに、くらしを守る緊急対策についてです。
区民や事業者から悲鳴があがっています。日本共産党北区議員団が取り組んでいる「区民アンケート」でも、次のような声が寄せられています。
「生きるのが辛いです。生きているだけでお金がかかります。毎日しんどい。今を生きる若者をみてください」20代女性。「物価ばかり上がり、給料は上がらず、雇用全体で賃金を上げてほしい」50代男性。「年金減らされ大変苦しい。非課税世帯でなくても、心を寄せてほしい」80代年金生活者など、切実な声です。
党区議団への生活相談では、「電気代が払えず電気が止められた」「家賃の支払いが遅れ、不安で夜も眠れない」「手持ちのお金がなくなり、数日、何も食べていない」「お店の電気代が倍になって、商売も正念場だ」との切羽詰まった相談も寄せられています。
党区議団はこの窮状に対し、国へは消費税の減税をはじめ、区に対しても学校給食の無償化、若者の奨学金返済補助、そして一貫して現金給付を要望してきました。
北区が10月には、住民税均等割のみ課税世帯への独自の給付金支給、また今議会補正予算案では、ひとり親世帯への給付金追加支給や、0歳~18歳までの全ての子どもへの図書カード支給が提案されていることは、本当に嬉しいことです。
その上で、さらに追加が見込まれる国の交付金約3億円や北区の財政調整基金178億円を、今こそ思いきって活用し、くらしを支えるさらなる支援を求め、以下3点質問します。
(1)北区独自のくらし応援給付金の拡充や賃金引き上げを
1つめは、北区独自のくらし応援給付金の拡充や賃金引き上げです。
課税世帯であっても、子育て世帯、若者・学生、非正規雇用・フリーランス、中小業者などへ支給を拡充すること。また、区が発注する事業の従事者や区の非正規労働者、ケアワーカーなどの賃金は、時給1500円へと引き上げるよう求めます。
北区ではこの間、国の給付金対象とならなかった、一定の世帯への独自給付のほか、中小事業者などへの経営支援などを実施してまいりました。また、今回の補正予算でも、区民生活支援として、東京都の補助金を活用した、子育て世帯生活支援特別給付金や、区内の18歳以下の子ども達を対象とした、図書カードの配布を実施するなど、地方創生臨時交付金を全額活用し、区民のくらし応援に努めているところです。
一方で、区独自の給付金の支給対象を、課税世帯の子育て世帯や若者・学生等に拡大することについては、現時点において考えておりません。
また、区が発注する事業の従業員の賃金については、雇用主と被雇用者との間で取り決められるものと考えておりますが、公契約条例に規定する特定公契約については、労働報酬下限額以上の賃金を支払うことが、雇用主の義務となるところです。
区の会計年度任用職員については、他区の状況や社会情勢の変化、特別区人事委員会勧告などを踏まえ、適切な賃金水準の確保に努めてまいります。
(2)生活保護や生活困窮者支援について
2つめは、生活保護や生活困窮者支援についてです。
2013年に改悪された生活保護基準引き下げに対し裁判が提訴され、この間、大阪、東京など4つの地方裁判所で原告が勝訴、国の基準引き下げは違法との判決が続いています。
そこで、(1)国に対し、速やかに生活保護基準を引き上げるよう求めてください。さらに、「生活保護は国民の権利。ためらわずご相談下さい」とのポスターを掲示し、スティグマなく生活保護を利用できるようあたたかな対応を求めます。
(2)社会福祉協議会が窓口である特例貸付の返済が、来年1月から始まる予定ですが返済が免除されている非課税世帯は、国全体でも3割程度と聞いています。区民からも、「非課税ではないが、生活が苦しくてとても返せない」との声が寄せられました。返済猶予も含め、生活再建に向けた丁寧な相談対応を求めます。
(3)電気・ガス・水道などについて、料金滞納により一方的に止めることのないよう民間事業者と連携して、ライフラインを確保すること。
(4)年末年始、区役所が長期閉庁中の相談体制や居所のない方へのビジネスホテルなど一時シェルターの確保を求めます。
以上、ご答弁下さい。
生活保護基準は、全国消費実態調査の結果などを、専門的・科学的知見から検証を行ないながら、非受給世帯との均衡等も考慮し、国において適切に決定されていると認識しています。
生活保護基準は、5年に1度見直すこととされ、現在、令和5年以降の基準見直しに向け、作業が進められていることから、その動向を注視してまいります。なお、住宅扶助基準など、大都市の生活実態を反映した基準が必要と思われるものについては、引き続き、東京都を通じて国へ要望してまいります。
また、生活保護制度の利用に関するポスターの掲示について、現時点では考えておりませんが、区としては、区ホームページでの周知や、生活保護のしおりの改訂を行ったほか、「くらしとしごと相談センター」などに、区で作成したチラシを配置しています。
今後も、設置場所を拡大するなど、生活保護を必要とする方が、ためらわずご相談いただけるよう、引き続き、取り組んでまいります。
緊急小口資金と総合支援資金の特別貸付の償還については、この間の厳しい経済状況などをふまえ、措置期間が本年12月まで延長され、令和5年1月から償還が始まることになります。
償還が困難な方へのフォローアップ支援については、「都道府県社会福祉協議会が、市区町村、社会福祉協議会、自立相談支援機関、福祉事務所などと連携し、必要な支援を行なうこと」との国からの要請も踏まえ、区としても「くらしと仕事相談センターと連携し、対応してまいります。
また、償還免除の申請にいては、11月30日まで受付期間が延長されたことから、特例貸付の償還及び償還免除に関するご案内が、東京都社会福祉協議会から届いている方はへ速やかな手続きをお願いしています。
次に、東京電力などに対し、滞納などの理由による供給停止を行なわないよう事業者へ申し入れることは難しいと考えていますが、生活扶助を受けている場合には、水道料金の一部減免制度があり、こうした制度や連絡先について周知に努めています。
次に、年末年始の長期閉庁期間中に居所のない方へ、一時シェルターとして、区独自にビジネスホテルなどを確保することは難しい状況すが、今年度も係長級以上の職員による緊急連絡体制を構築し、利用可能な東京都の制度の紹介など、長期閉庁中も適切な相談や支援の提供に繋げられるよう努めてまいります。
(3)インボイス制度導入の中止を
3つめは、インボイス制度導入の中止についてです。
先月、「STOP! インボイス10.26日比谷MEETING」の集会が開かれ、私も参加しました。夕刻、すっかり暗くなった公園に、1人また1人と、フリーランス、小規模事業者、建設・商工団体、アニメ業界、演劇、声優、文化人、経済ジャーナリスト、税理士の方々が集まってきて、次々にスピーチ。
「アニメ業界は、年収300万円未満が半数。声優も7割以上が300万円以下。ぎりぎりの生活を強いられているのに、インボイスが導入されれば、課税業者になって消費税分を新たに国に払うのか。免税業者のまま取引先から切られるのか、消費税分の値引きを求められ収入を減らすのか、悪魔の選択。廃業の危機だ」。
また、あるフリーランスの女性は、「インボイス制度は、一言で言えば、消費税率の変更を伴わない増税。その増税分を誰が負担するかは、結果として取引上、力の弱い方になる弱い者いじめだ。フリーランスや自営業者は声をあげにくい。会社の組織になじめず、個人で頑張っている人もいるのに、税制がなんで自分の仕事や生き方を奪うのか」と怒りの声をあげ、私の胸にも重く響きました。
日本の地域経済や文化を支えている方々の仕事を奪い、廃業に追い込むようなことがあってはなりません。
区長、来年10月からのインボイス制度の導入を中止するよう国に求めてください。
インボイス制度については、軽減税率の導入以降、正確な適用税率や消費税額などを伝える手段として必要なものと認識しています。
北区においても、一事業者として、取引先の課税事業者が不利益を被ることのないよう、制度導入に向けた所要の準備を進めているところです。こうしたことから、北区として、インボイス制度の中止を、国に求めることは考えておりません。
2、新型コロナウイルス第8波からいのちを守る
大きく2つめの質問は、コロナ感染症第8波からいのちを守ることです。
東京都の感染状況は、11月に入り、2ヵ月ぶりに1日1万人を超え、入院患者も連続増加。北区の新規陽性者も10月第2週の411人を底に、11月第2週は1130人と急激かつ大幅に増加。北区保健所では、今後、感染の再拡大による第8波について強く警戒し、感染防止対策の徹底と継続が重要とよびかけています。
政府も、この冬の季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行が起きれば、1日の患者は、コロナが45万人、インフルエンザ30万人、計75万人に上る可能性があると想定。東京都はインフルエンザと合わせた1日の新規感染者数が最大9万3000人に上ると試算しており、患者数の増加は命を脅かすことにつながります。
第8波を抑え、区民のいのちを守る対策について、以下4点、質問します。
(1)オミクロン対応ワクチン接種について
オミクロン対応ワクチン接種について、従来型を上回る効果が期待され、接種間隔も3ヵ月へと短縮し、年内接種がよびかけられていますが、区民の予約・接種の現状と課題についてお答ください。
初回接種を終えた12歳以上すべての方を対象に、この秋から始まったオミクロン株対応ワクチン接種ですが、接種間隔が5ヵ月から3ヵ月に短縮され、接種可能時期を迎える対象者が増えたことと、ファイザー社製最新型オミクロン株対応ワクチンの導入に伴い、接種需要が高まっており、予約システムにおいては、12月の半ば過ぎまで予約が入っている状況です。
このため、区内の接種医療機関に対し、予約枠のさらなる増設をはじめ、接種へのご協力を最大限に求めているところです。
今後とも、基本型接種施設において、モデルナ社製最新型オミクロン株対応ワクチンの導入にあわせた予約枠の開放を開始るなどにより、接種枠を拡大してまります。
さらに、東京都などが設置する大規模接種会場について情報発信を行なうと共に、区内における新たな臨時接種会場の開設など、接種を希望する方が、可能な限り年内に接種できる方策について検討してまいります。
(2)PCR検査体制について
PCR検査体制については、無症状の方を対象にした都の無料PCR検査会場の拡大、重症化リスクの高い高齢者の入所施設等の従事者に対し、週2回の定期的検査の継続、学校や保育園等の職員にも実施すること。また、発熱外来が逼迫した時に備え、医療用抗原検査キットを事前配布、薬局でも入手できるようにし、速やかにPCR検査ができる体制を求めます。
PCR検査体制について、東京都では感染リスクが高い環境にあるなどのため、感染の不安を感じる都民を対象として、無料のPCR検査を実施しています。
これを受け、北区では、東京都の事業に登録した検査会社と連携し、現在、区内に3ヵ所の会場を確保・提供し、検査を希望する区民の需要に対応しています。
現在の一日当たりの総利用者は、百人程度で推移しており、11月に入り増加傾向ではありますが、検査能力にはまだ余力がある状況です。
また、国の基本方針に基づく、高齢者等入所施設従事者の一斉・定期的なPCR検査等の実施については、重症化リスクの高い高齢者などが入所する施設へ、ウイルスを「持ち込ませない」対策として、必須の取り組みと考えており、今回の補正予算でも継続的に必要な経費を計上しております。
なお、学校や保育園等職員については、東京都が感染拡大や集団感染防止のための抗原検査キットを用いた、集中的検査等を実施しており、あわせて、学校・幼稚園では、東京都が実施している教育活動継続のための、PCR検査も活用可能なため、一斉・定期的なPCR検査の対象とすることは考えておりません。
(3)早期診断・治療体制の確保を
早期診断・治療につながる体制確保です。
国が新規陽性者の全数把握をやめ、65歳以上の高齢者や妊婦、入院が必要な人など、医療機関から保健所への新規陽性者発生届を限定しました。保健所への発生届が出されない陽性者に対しても、適切な医療や行政サービスが提供されることが、感染拡大を防ぐ点からも重要です。
そのために、東京都陽性者登録センターに自らアクセスして頂き、コロナの公的医療や食糧支援などの行政サービスを受けることになっていますが、区民への周知は十分とは言えず、自分で登録が困難な方は、医療にかかっても自己負担、食糧支援が受けられないなど懸念されます。そこで、医師会などと連携し、発熱外来を強化し、オンライン診療も含め、早期診断・治療につながる体制を整備すること。また、医師による届け出以外のコロナ陽性の区民が、もれなく医療や行政サービスが受けられるよう北区ニュースやSNSなど、いっそうの周知をはかると共に、電話による直接の相談や窓口体制を確保するよう求めます。
有症状者に対する診療検査体制については、歯科医師会の協力により、歯科医師会館での高齢者PCR検査体制について、場所を拡充して引き続き確保してまいります。
また、薬剤師会の協力により、区内50を超える薬局において、重症化リスクの少ない有症状者に対し、セルフチェックのための抗原検査キットの配給を行うとともに、WEB上の地図で、各薬局の在庫状況を確認できるシステムを構築いたします。
さらに、医師会と協働で設置したマッチングセンターを通じて、セルフチェックにより明らかとなった陽性者へオンライン診療および、訪問調剤を行う医療機関や薬局を紹介いたします。
セルフチェックにより、コロナ陽性となった場合の東京都陽性者登録センターの登録方法や相談窓口等については、北区ニュースのほか、ホームページでの周知を行っているところですが、区民にわかりやすい情報発信のあり方について、さらなる工夫に努めてまいります。
区としては、これまで構築した医師会、歯科医師会、薬剤師会等との連携に基づき、さらに充実した取り組みを実行することで、同時流行においても、必要な医療をもれなく受療できる安心、安全な診療検査体制を確保してまいります。
(4)マイナンバーカードとの一体化による健康保険証廃止方針は中止を
いのちを守る最後の質問は、健康保険証の廃止に関する国の方針についてです。
岸田政権が現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化させると表明しました。マイナンバーカードの取得は法律で任意とされていますが、国民皆保険において健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに統合するのは事実上の強制です。
マイナンバーカードの交付率は、10月末時点で全人口の51%、北区でも53%と、約半分です。保険証を一体化させた「マイナ保険証」は、昨年10月に運用が始まりましたが、利用者はいまだに全人口の約2割しかありません。デジタル庁が8月~9月に行ったアンケート調査によると、マイナ保険証を申し込まない主な理由は、「メリット・必要性を感じない」約3割、「手続きが面倒」約2割、「情報流出が怖い」約1.5割でした。
また、医療現場からも保険証廃止に異論が出ています。全国保険医団体連合会が医師・歯科医師を対象に8月に行ったアンケートでは、保険証の原則廃止とオンラインでの資格確認の義務化に、約8割が反対しました。世論調査でも、健康保険証の廃止に賛成は1割にも満たず、一方、反対は7割を超えています。
そこで、健康保険証を廃止し、マイナンバーカードへ一体化する方針は中止するよう国に求めること。また、区としてマイナンバーカードの申請は、義務ではないことを周知するよう求めます。
以上、区長の積極的な答弁を求めます。
政府はマイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるため、令和6年の秋に、現在の健康保険証の廃止をめざすとの方針を示しました。マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、健康・医療に関する多くのデータに基づいた、よりよい医療を受けることが可能になるとともに、転職や引越しをしても新しい保険証の発行を待つことなく、そのまま保険証として使用できるなど、さまざまなメリットがあるとされています。
一方で、政府はマイナンバーカードを持たない人の救済策を丁寧に検討するとしています。区としては、より多くの区民がこうしたメリットを享受できるよう、周知に努めていくこととしており、国に対して中止を求める考えはありませんが、マイナンバーカードを持たない方などを対象とする、保険診療の適用に向けた、国における救済策の検討状況を注視してまいります。
また、マイナンバーカードは、あくまで申請に基づき交付するものであり、区のホームページにおいて、「マイナンバーカードの申請は任意である」旨、周知しているところです。
窓口や電話などにおいて、「義務ではないのか」との問い合わせがあった際も、引き続き、「申請は任意である」旨を伝えてまいります。
3、介護保険と障がい福祉の充実を
大きく3つめの質問は、介護保険と障がい福祉の充実についてです。
(1)国の介護保険改悪を許さない
はじめに、国の介護保険改悪を許さないことです。
先日、高齢の男性から、「10月から医療費が2倍になった。外来と薬局も上がり、正直きついね。介護保険料も高いけど、これで利用料が2倍になるのは勘弁してほしい」との声を頂きました。政府が来年の通常国会で成立を狙っている介護保険法の改定案は、「史上最悪」とよばれる内容です。
1つが、介護保険サービスの利用者負担増です。原則1割が2割負担へ倍化となり、仮に要介護1の場合、上限の1割で1万6000円余の負担が、2割では3万3000円余に跳ね上がります。
2つは、要介護1、2の人を介護保険給付から、区が運営する「総合事業」に移します。現在、北区で実施している要支援1、2の総合事業は、国がねらった介護の専門資格者ではない担い手の確保がすすまず、大半は、介護事業所の専門ヘルパーが担っています。しかし、その報酬は国基準に満たない単価であり、改善されてきたとはいえ、介護事業所の運営は厳しい状況です。
そうした中で、要介護1、2まで総合支援事業にすることは、介護基盤をさらに崩すことにつながります。国の審議会では、「要介護1、2は、認知症の人が多く、早期のかかわりが大事。機能の低下が懸念される」「報酬単価が下がれば、人材確保が難しくなる」など、批判が噴出しています。
3つは、ケアプランの有料化です。現在、ケアプランの利用者負担は無料。しかし有料化されれば、サービスを受ける前の段階で、作成料が足かせとなり、利用を控える人が生まれる危険があります。ケアプラン作成にかかわるケアマネジャーからも、「支援困難ケースへの介入が遅れる」との弊害も指摘されています。
その他、介護保険料の納付年齢の引き下げ、福祉用具の貸与を廃止するなど、いずれも介護の安心と高齢者の尊厳をそこなう改悪と考えます。
区長、介護の負担増、給付削減につながる介護保険制度改悪を行わないよう国に強く求めてください。そして、北区の総合支援事業については、国基準の報酬単価とするよう、引き続きの改善を求めます。お答えください。
現在、国において、次期介護保険事業計画に必要な介護保険制度の改正について検討が進められています。検討では、高齢者人口がピークを迎える2040年代にむけて、制度の持続可能性を高めるため、介護保険料、公費および利用者負担の適切な組み合わせにより、給付と負担のバランスを図ることとしています。
その中で、ご指摘のあった、介護保険サービス利用料の2割負担への引き上げのほか、要介護1、2の方の訪問介護・通所介護を区が運営する総合支援事業へ移行することや、ケアプランの有料化が議論されていますが、この点について、現段階では結論に至っておりません。
区としましては、引き続き、制度改正にかかる国の動向を注視してまいります。
次に、区の総合支援事業の報酬単価についてです。区が行う介護予防・日常生活支援総合事業報酬単価の考え方は、利用回数単位であり、月額を単位とする国基準とは相違しており、単純な比較はできませんが、令和3年度の改定時には、報酬の基本部分について引上げを行ったほか、一部加算については、国基準を超える区独自の上乗せを行っています。
区の総合支援事業の報酬単価については、今後の国の動向を注視するとともに、各関係団体からのご意見を勘案しながら、検討してまいります。
(2)障がい福祉サービス充実について
2つめは、障害福祉について、2点伺います。
1点目は、医療的ケア児や重度心身障がい児への対応についてです。
今年度から、医療的ケア児の区立直営保育園や区立学校での対応について、保護者にかわり、訪問看護師の派遣が始まり、保護者からも喜びの声を頂いています。
来年度からは、区立保育園1園で、区の看護師が対応し、医療的ケア児の受け入れ整備のため、今議会にも関連条例が提案されています。今後もさらなる充実をはかって頂きたいと願っています。そこで今回要望したいのは、医療的ケア児や重度心身障がい児を受け入れている放課後デイサービス事業所に対し、東京都の加算補助事業を北区でも実施するよう求めます。
2点目は、緊急時の対応についてです。
世田谷区では、先月10月から、ご家族等の介護者が、急病や事故等により障がい者の支援、介護ができなくなった場合など、緊急時の相談に24時間体制で対応する「緊急時バックアップセンター」を開設しました。
利用者に応じ、在宅介護や見守りケアを行う専門サポーター派遣や、短期入所、介護タクシーの手配などを行うバックアップ体制を、社会福祉法人に委託してモデル実施し、来年度から全区展開する予定と伺っています。
北区においては、土日、祝日、夜間などにおける相談や対応に不安があるとの声を、保護者の方から頂いています。そこで、世田谷区同様、緊急時の24時間バックアップ体制を整備して頂くよう求めます。お答えください。
東京都では、重症心身障害児や医療的ケア児に対する放課後等支援の充実を図るため、加算補助として、「障害児の放課後等支援事業」を令和3年から実施しています。この事業では、放課後等デイサービス事業所において、看護師などの専門職の配置や児童の送迎支援等に取り組む場合の経費の一部について、東京都2分の1、区2分の1の負担割合で、事業所を支援するものです。
区では、この事業は実施しておりませんが、北区基本計画2020において、医療的ケア児や重症心身障害児を対象とする放課後デイサービス、児童発達支援施設の誘致を掲げており、同じく東京都の加算補助である「障害児支援体制整備促進事業」を令和元年度から活用し、これまで区内で2つの事業所を開設しています。
ご質問の「障害児の放課後等支援事業」については、現在活用している「整備促進事業」とともに、令和5年度までの時限事業となっていますが、今後の施設誘致や施設運営にかかる東京都の事業の動向把握に努め、活用できる事業については、導入を検討してまいります。
次に、緊急時の対応についてです。
障害者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見すえ、障害者の生活を地域で支えることを目的に、居住支援のためのサービス提供体制である「地域生活支援拠点等」の整備が国から求められています。
ご質問の、世田谷区の「緊急時バックアップセンター」は、この地域生活支援拠点等の整備の取り組みの一環であると認識していますが、地域生活支援拠点等の整備については、核となる福祉施設などを中心に整備を進める多機能拠点整備型、地域の資源を活用する面的整備型といった手法が示されています。
現在、区では、土日、祝日、夜間において、障害者を自宅に戻すことができないケースを想定し、警察や消防、医療機関などから区役所巡視室に連絡があれば、障害福祉課の職員が対応する仕組みを整えていますが、今後、国の基本方針や他自治体の取り組みを参考にしながら、区の実情にあった地域生活支援拠点などの整備を第6期北区障害者計画に基づき、進めてまいります。
4、地域で支え・見守る子育てを
大きく4つめの質問は、地域で支え・地域で見守る子育てについてです。
私はこの間、社会的養護が必要な18歳以上の若者や若年女性の相談や居場所づくり、お金の心配なく学びくらせる若者施策など、提案してきました。
また先日は、今年7月から開設された板橋区の児童相談所である「子ども家庭総合支援センター」の視察や、「豊島区児童虐待防止区民講演会」、また、北区の「養育家庭体験発表会」や、北区内の民間子ども支援法人が主催した懇談会に参加してきました。
どの場面でも、1人ひとりの子どもを大切にし、その成長をどう応援していけるか、関係者の方々の懸命な姿勢に触れ、心がとてもあたたかくなる思いがしました。
現在、北区でも、令和8年度の区立児童相談所等複合施設の開設にむけ、全力で取り組んでいる最中ですが、その基盤を確かなものにしていくため、今日は以下2点にしぼり質問致します。
(1)子どもの権利条例について
1つは、子どもの権利条例についてです。
北区で制定が予定されている(仮称)子ども条例について、子どもの権利条約の柱である4つの権利、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利にもとづき、子どもを権利の主体として位置づけ、子どもの声を聴きながら条例制定に取り組んで頂くよう求めます。
区では、現在、令和5年度中の(仮称)北区子ども条例制定をめざし、今年度から具体的な検討に着手しております。条例は、全ての区民が一体となって、子どもの育ちと子育て家庭への支援を推進することを目的として制定の準備をすすめているところですが、
これまでも区では、東京都北区子ども・子育て支援計画の策定にあたり、子どもの権利条約の柱である4つの権利を尊重することとしており、当然にその考え方は、条例にも反映されるべきものと考えていることころです。
また、条例制定の過程においては、当事者である子ども達の声を条例に反映できるよう、これまでも、小学生と区政を話し合う会や、中学生モニター会議、高校生モニター会議などにおいて、意見聴取をおこなっており、引き続き、さまざまな機会をとらえ、取り組みを進めてまいります。
なお、子ども達から意見聴取を行う際には、区職員などが子どもの権利条約について説明し、子ども達自身が子どもの権利について理解を深められるよう工夫しています。
(2)若年妊婦の相談、居場所づくりを
2つは、妊娠した子ども・少女が気軽に相談し、安心して過ごせる居場所や地域をつくることです。
コロナ禍、家族や社会から孤立し、たった1人で妊娠に葛藤している10代、20代の少女達がいます。にんしんSOS東京の相談窓口に寄せられる相談では、「検査薬で陽性だったが、相手と連絡がとれない。親にも言えない」「バイトが減ってお金がなくて受診できない」など、妊娠確定後の相談が毎月平均120件近く寄せられ、その中で若年者からの相談は7割、中絶を選択できない時期になってからの相談も4割となっています。
支援の場として、母子支援施設や婦人保護施設などもありますが、DV被害者も受け入れており、オープンな施設ではないことやハードルが高いという課題もあります。
また、出産し子どもが生まれた後、仮に親に頼れなくても、母子ともに大事にされる人とのつながり、地域の中で孤立せず子育てができる環境がのぞまれます。
そこで、助産師や母子保健とも連携し、妊娠した子ども・少女やその家族が、妊娠何週からでも、また出産後も安心して過ごせる居場所、地域に開かれた支え合いの関係が築ける地域づくりをすすめて頂きたいと思いますが、区の考えや取り組みをお聞かせ下さい。
子ども家庭支援センターでは、リスクがあり、支援が必要な妊婦と特定した妊娠した女性について、健康支援センターと連携し、出産、育児の環境整備や、生活支援などを行っています。妊娠した少女の生活背景や、今後の生き方、生まれてくる子どもの養育については、様々な選択肢があると認識しています。
妊娠した少女が望む生活が送れるよう、必要に応じ、弁護士や児童相談所、民間NPOの相談機関とも連携してまいります。また、出産前後に安心して過ごせる居場所や、地域づくりについては、今後、研究してまいります。
5、大規模水害対策について
大きく5つめの質問は、大規模水害対策についてです。
先月、豊島地域の町会が主催した防災講和に、私も参加させて頂きました。北区が全戸配布した「荒川水害ハザードマップ」を目にした住民の方が、「荒川氾濫の際には、JR崖下の地域が浸水し、真っ赤になっているのを見て愕然とした。じゃあ、どうしたらいいのと、改めて頭をかかえた」と率直に感じたことを機に、町会としても水害や避難行動について考えていこうと催された企画です。
当日は、北区防災課の職員の方が、スライドや最近作成した「ハザードマップ解説動画」も活用して、水害情報や危険度、避難の準備・行動について等、お話をしてくださいました。私自身、とても勉強になったと感じた一方、参加された高齢者の方の中には、高台にある区の小・中学校を水害対応型避難所として確保しても、その受け入れは5万人程度であり、崖下地域で浸水の影響を受ける区民約20万人の受け入れにはほど遠い状況を知り、「自分たちはもう逃げられない。助からないという気持ちになり、がっかりした」との感想も聞かれました。
私はあらためて、荒川水害時の高台避難について、北区が住民自身の縁故関係などで避難先確保をよびかけつつも、行政として最大限、高台避難所の確保に全力をあげ、避難方法も明確にしていく必要があると感じました。
そこで以下4点質問します。
(1)水害対応型避難所について、北区が国や東京都とも連携し、公共施設や学校、大学や民間宿泊施設などへの働きかけで、どこまで拡大できているのか、取り組みの現状と今後の見通しをお答えください。
(2)要介護者や障がい者、妊産婦などが避難できる福祉避難所や福祉避難室について、障がい当事者やご家族から、高台に増設を、エレベーターなどバリアフリーの整備や個別避難計画の具体化をと要望頂いています。北区の取り組みの進捗状況と見通しをお聞かせください。
(3)コミュニティバスや民間バス、タクシー会社等と協定し、高齢者、障がい者、子育て世帯などの避難支援について、検討状況をお聞かせください。
(4)コミュニティタイムラインについて、町会の関係者の方から、「町会・自治会の班単位など、協力し合って避難できるようなネットワークをつくりたいが、もっと北区が音頭をとって、一緒に取り組んでほしい」とのご要望を頂きました。区の積極的な取り組みを求めます。お答えください。
現在、高台にある区立の小中学校等22ヵ所を荒川氾濫時の高台水害対応避難場所としています。
一方で、避難場所のスペースには限りがあるため、区外の遠くの高台への縁故避難等を推奨するとともに、高台にある町会会館の活用や、高校、大学等との水害時における防災協定の締結、さらには、国や東京都、関係自治体と連携した広域避難先の調整などをおこなっているところであり、引き続き、避難場所の確保に努めてまいります。
次に、福祉避難所や福祉避難室について、高台にある福祉施設等23ヵ所を要配慮者のための福祉避難所としています。また、高台水害対応避難場所22ヵ所に福祉避難室を設けることとしています。
今後は、現在検討中の「北区大規模水害避難行動計画」の策定をふまえ、避難行動要支援者の避難先を確保するため、バリアフリー対応として、昇降機のある学校を新たに福祉避難所に位置づけるとともに、来年度からは、個別避難計画及び避難確保計画を作成するなど、具体化を進めてまいります。
次に、避難支援の検討状況についてです。大規模災害時においては、まず自力での避難ができない避難行動要支援者の移動支援について、タクシー事業者などとの協議を行い、水害時の移動支援の具体的な運用の仕組みを検討しております。
次に、コミュニティ・タイムラインについて、今年度の新規事業として、堀船地区をモデル地区に選定し、コミュニティ・タイムラインの作成支援に取り組んでいます。地域の方にご参加いただき、ワークショップを開催し、地域の状況に応じた避難行動についての検討をすすめており、来月には一定の方向性をまとめる予定となっています。
今後は、堀船地区でのモデル実施の成果を踏まえて、低地部の全ての地区におけるコミュニティ・タイムラインの作成支援を計画的に進めてまいります。
6、ゼロカーボンシティ北区を前へ
最後の質問は、ゼロカーボンシティ北区を前へです。
私はこの間、本会議質問などを通じて、地球温暖化、気候危機打開の対策を繰り返し提案してきました。今年度は、北区役所庁舎の電力を再エネ由来100%に切り換えや、区民・事業者の再エネ・省エネ機器導入助成の拡充がはかられました。
また、現在、パブリックコメントが実施されている「北区環境基本計画2023(案)」においては、2050年までに、温室効果ガス排出ゼロを達成するために、2030年までにCO2排出50%の削減へと目標値の引き上げが提案されています。
その他、ゼロエネルギーハウスやゼロエネルギービルの推進。自治体連携による森林整備・カーボンニュートラル、ごみの減量・資源化、脱プラスチック・廃プラスチック、食品ロスの取り組み、環境教育等を推進する内容が盛りこまれたことは前進と受けとめています。
今日の質問では、それらを促進するための機動力となる取り組みについて、以下4点、提案します。
(1)建物のエネルギー性能と地域経済の活性化を
1つめは、建物のエネルギー性能と地域経済の活性化・雇用創出についてです。
再エネ100%の環境評価基準を設け、現庁舎および新庁舎、その他の区有施設や学校の環境性能導入調査を実施し、建物の壁面や窓ガラスの断熱改修、太陽光発電などの再エネ導入を計画的に最大限実施することや、区民の住宅におけるゼロエネルギーハウス購入、断熱改修、再エネ・省エネ促進について、区内の建設企業や地元業者の育成・仕事おこしと連携してすすめるよう求めます。
建物のエネルギー性能と地域経済の活性化について、区では区内最大事業者として、自ら率先し、事務事業に伴う温室効果ガスのさらなる前進をめざし、本年度、「北区役所ゼロカーボン実行計画」の策定に取り組んでいます。
策定にあたっては、新たな削減目標を設定するとともに、区有施設の省エネルギー化をはじめ、区職員の環境行動の推進などハード及びソフトの両面から庁内横断的な検討を行っています。
新庁舎については、新庁舎建設基本計画中間のまとめの中で、原則ゼブオリエンテッド相当以上をめざすとしていますが、他の公共施設についても、新築及び改修の機会をとらえ、建物の用途、規模、費用対効果等を勘案の上、可能な限り、省エネ性能の向上を検討すると共に、計画の進捗状況や効果を区民や事業者にわかりやすく発信し、ゼロカーボンへの意識の啓発と浸透を図ってまいります。
なお、ご提案頂いた環境性能導入調査の実施については、今後の検討課題とし、他自治体の動向を注視してまいります。
次に、区内事業者の育成などと連携した再エネ省エネの推進についてです。
区の再エネ省エネ機器導入に対する助成制度は、区内業者が機器の設置や工事を実施する場合や、助成対象者が環境マネジメントシステム認証取得事業所に該当する場合は、助成額の割り増しをおこなっています。
今後も、環境経営に関する各事業所の自主的、積極的な取り組みを、後押しできるような効果的な施策について検討してまいります。
(2)区民の体験型学習と発信について
2つめは、区民の体験型学習の機会を増やし、発信力を高めることです。
私はこの間、京都市が開設した、「京都里山SDGsラボ・ことす」や、品川区で今年5月にオープンした、ゼロエネルギービル都内初認証の「環境学習施設エコル戸越」を視察してきました。
京都の「ことす」では、古紙、古布、びん、缶、プラスチック等の分別体験や、生ごみコンポストの普及、小・中・高校・大学と連携した環境教育や企業と連携した地場産業、地域おこしのコワーキングスペースや研修を実施。
「エコル戸越」では、実際のZEBがどんな建物なのかを学び実感できる学習ツアー。ペットボトルゼロの飲料水自動販売機や、体験を重視した展示や講座も見分し、その快適な空間が、区民の憩いの場、楽しく環境が学べる発信拠点になっていたことが印象的でした。
そこで、先ほどの区有施設における環境性能向上により、区民が体感して学べる機会を増やすと共に、エコー広場館やエコベルデほか、資源リサイクルや生ごみコンポストの普及、フードドライブの拠点とする等、区民の意識や行動変容をすすめる交流や発信を充実するよう求めます。
区では、エコベルデや自然ふれあい情報館などを拠点とした、自然と生き物に関する講座や環境大学事業、さらには子どもを対象にした「省エネ道場」や「エコエコツアー」など、様々な体験学習の機会と情報発信に取り組んでいます。
また、今定例会に提案した令和5年度からのエコー広場館の指定管理者の公募要項においては、リサイクル情報の収集・発信に加え、環境啓発に関する事業の展開も求めるとともに、フードドライブ事業における未利用食品の受付予定場所として、エコー広場館をはじめ、清掃関連施設や環境関連の各施設を提示させて頂いております。
今後も、幅広い世代の区民が環境活動に対する興味や関心を拡げ、行動変容につなげることができるよう、新たな環境基本計画の取り組みも取り入れながら、地域における環境学習機会の拡充に取り組んでまいります。
なお、ご提案の生ごみコンポストの普及については、現在、設置している「北区資源循環推進審議会」における議論などもふまえて、検討してまいります。
(3)ごみの戸別収集について
3つめは、ごみの戸別収集についてです。
廃プラスチックの分別収集が来年度から全区展開されますが、戸別収集を滝野川地区以外へも拡げてほしいとの声を頂いています。公平な行政サービス、集積所確保の困難性、例外として戸別収集となっている現状もあり、戸別収集のエリア拡大にふみだすべきと考えますが、拡大に向けての課題についてお聞かせください。
戸別収集は、1人ひとりが責任をもって、ルールどおりに、ごみを排出することができる収集方式ですが、集積所収集と比較すると、より多く人員や車両の確保が必要であり、そのための経費が増大するなどの課題があります。
そのため、戸別収集の地域拡大については、区民ニーズや費用対効果、さらには、狭小路地が多い地区への対応や集合住宅の増加など、地域の特色を踏まえ、慎重な対応が必要であると考えています。
本年度、「北区資源循環推進審議会」に対し、「持続可能なごみ減量の推進について」の諮問を行い、来年度、その検討結果の答申を頂く予定であり、併せて、ごみ減量・リサイクルに関する区民意識アンケート調査や、ごみの排出原単位調査も実施しているところです。
審議会の答申や、各種調査の結果をふまえ、令和7年度を初年度とする「北区一般廃棄物処理基本計画」の改定に向けて、区の実情にあった収集方式のあり方について、検討を進めてまいります。
(4)気候市民会議・若者会議の設置について
4つめは、北区版「気候市民会議・若者会議」の設置についてです。
環境問題など、個人の意識や日常の行動変容が求められる改革は、行政だけでは解決が難しい社会問題であり、政策決定プロセスに市民を巻き込む取り組みが、「気候市民会議」という形で、欧州でも活発に、日本でもその動きが始まっています。
北区でも、環境基本計画策定と並行して、「北区版SDGsライフ宣言」起草市民会議との自主的な区民勉強会が開催され、1人1人の行動アクションをまとめ、北区へ提言されました。私もその連続学習会に参加させて頂きましたが、区民のアイデアがたくさん提案され、とても有意義な時間でした。こうした市民の積極的な参加、とりわけ、未来を担い、課題意識のある若い世代の参加は、環境を改善する推進力になると考えます。
そこで、北区でも「気候市民会議・若者会議」を設置し、環境施策を促進するよう求めます。
以上、区長の前向きな答弁を求め、私の質問を終わります。
気候市民会議は、無作為で抽出された市民同士が議論を通じて、気候危機意識の高揚をはかると共に、市民の考えを自治体の政策に反映させるひとつの手法であると認識しています。
なお、区においては、環境基本法に規定されている付属機関として、環境の保全について調査審議を行う北区環境審議会を設置しております。今般の環境基本計画の改定にあたりましては、本審議会のもとに、2つの専門部会を設け、学識経験者や事業者、公募区民、大学生などから意見を頂きました。
あわせて、高校生を中心としたワークショップや区民及び事業者の意識意向調査などを通じ、幅広い意見を計画に反映できるよう努めてまいりました。ご提案の「気候市民会議・若者会議」の設置については、現在の「環境審議会」の効果的な運用を図るとともに、環境学習の参加機会の拡充や、環境に関する情報受発信のさらなる充実に取り組んでまいります。