2025年第4回定例会代表質問―のの山けん
2025年11月25日 | のの山けん
私は、日本共産党北区議員団を代表して、山田区長、福田教育長に大きく5点、質問いたします。
1、喫緊の物価高騰対策について
1つ目に、喫緊の物価高騰対策についてうかがいます。
(1)省エネエアコン購入費助成事業の拡充・継続を
第1は、省エネエアコン購入費助成事業の拡充・継続についてです。
物価高騰が続く中、東京ゼロエミポイントの拡充に上乗せする形で、北区が独自に実施しているエアコン購入費助成は、高齢者、障害者のみなさんから大変歓迎されています。
一方で、区の助成を受けるために、非課税世帯で7万円、それ以外は4万円を事前に工面しなければならないことが、制度を利用する人にとってハードルになっています。命の危険にも及ぶ酷暑・猛暑は越えましたが、これから寒さのピークへと向かう季節を迎えることから、以下、質問いたします。
まず、北区のエアコン助成事業の現在までの実績をお示し下さい。その上で、エアコン購入時にお金を用意しなくても助成が受けられるよう、区として制度の改善を図ることを求めます。また、東京都に対し、来年4月以降もゼロエミポイント拡充を延長するよう要請するとともに、区としても新年度、エアコン助成事業を継続するよう求めます。お答え下さい。
11月20 日現在での高齢福祉課への申請は147 件、障害福祉課への申請は9件です。
次に、購入時にお金を用意せずに助成が受けられるように制度の改善を図ることについてです。
本助成事業では、世帯の課税状況により助成限度額が異なるため、登録販売店において課税状況の確認を行うことは、販売店の業務負担が大きく、また購入者のプライバシーにも配慮する必要があることから、東京都と同様にその場で値引きされる形への変更は困難な状況です。
次に、東京都へゼロエミポイント拡充の延長を要請するとともに、区の事業継続を求めることについてです。
区では、高齢者及び障害者を対象とした東京都のゼロエミポイント事業の拡充は、今年度限りの事業であると認識しており、この機会を捉え、独自の支援を実施しているところであります。
現時点では東京都へ、ゼロエミポイント拡充の延長を要請することや、区の本事業の継続については考えていませんが、対象となる方が申請漏れのないよう、引き続き高齢者あんしんセンターなど関係機関と連携を図りながら事業の周知に取り組んでまいります。
(2)家賃助成制度の創設を
第2に、家賃助成制度の創設についてです。
近年、首都東京では民間賃貸住宅の家賃が急激に上昇しています。その背景には、東京に集中する超高層タワーマンションの建設ラッシュがあります。現在改定が行われている住宅マスタープランには、住宅セーフティネット法に基づく専用住宅への家賃助成制度が位置づけられていますが、供給戸数がきわめて少なく、「家賃が高すぎて、暮らしていけない」という切実な声に、こたえきれていません。
23区内では、千代田、新宿、豊島区などでファミリー世帯などへの家賃助成制度を実施しており、杉並区では今年度、区営住宅に落選した人を対象に家賃助成を開始しました。
そこで質問です。
北区においても、物価高騰対策の一環として、ファミリー世帯や多子世帯、低所得・中堅所得層などを対象にした、新たな家賃助成制度を創設すべきと考えますが、区長の見解をお聞かせ下さい。
区では、住宅セーフティネット法における専用住宅にお住いの世帯を対象に家賃補助制度を実施しています。
新たな家賃補助制度の創設については考えておりませんが、この度とりまとめた「北区住宅マスタープラン2026(案)」では、手頃な価格で求めやすい住宅の普及促進を、新たな施策として位置づけたところです。
区といたしましては、引き続き、ファミリー世帯等の住宅確保について、様々な取組みを進めてまいります。
(3)財政調整基金の活用で暮らし・営業への支援を
第3に、財政調整基金を活用して、暮らし・営業への支援を行うことについてです。
いま、長引く物価高騰に対し、区民の暮らしや中小業者の営業を守るためには、思い切った財政措置が必要です。私たちはこれまでも、中堅所得の納税者を含む区民への給付金支給や、低所得者、高齢者、子育て世帯等へのお米券の配付、区内中小業者への賃上げ支援などの実施を求めてきました。こうした施策の実施にはまとまった財源が必要ですが、昨年度の決算では、当初予算で144億円まで減るとされていた財政調整基金が過去最高の233億円に積み上がっており、財源は十分にあるはずです。
そこで、お聞きします。
高市首相は総合経済対策で、「重点支援地方交付金を拡充する」と表明しましたが、地方創生臨時交付金の見通しはどうでしょうか。交付金が下りれば最大限の活用で緊急の物価高騰対策に取り組むとともに、新年度には財調基金を思い切って取り崩し、区独自の暮らし・営業への支援を具体化することを求めます。
政府は、10 月に行われた内閣総理大臣 所信表明演説において、物価高への対応を最優先事項とし、速やかに経済対策を取りまとめ、補正予算を提出する方針を示しています。
特に、自治体向けには、重点支援 地方交付金を拡充して、物価高に影響を受ける生活者や事業者などを支援する推奨事業メニューを設け、地域の実情に合った的確な支援を速やかに届けるとしています。
区は、これまでもこの重点支援地方交付金を最大限活用し、低所得者への給付や高齢者・子育て施設への給付、プレミアム付 デジタル商品券の追加発行支援など、特に物価高騰の影響を強く受けている区民や事業者の皆さまへの迅速な支援を講じてまいりました。
今回につきましても、国の動向を注視し、内容や交付金の規模が判明し次第、少しでも早く区民の皆さまに支援を届けられるよう準備を進めてまいります。
なお、アメリカの関税措置など、不合理な税制改正と併せ、今後の歳入の先行きは不透明であり、加えて、物価高騰や人件費・建設コストの上昇といった厳しい状況が、今なお収束が見通せない中においては、これまでと同様、区民福祉の維持・向上のため、必要な財政調整基金の活用を検討し、「責任ある行財政運営」を徹底してまいります。
2、住民本位の行財政改革に
大きな2つ目に、行財政改革についてうかがいます。
山田区長は、7つの主要政策の第一に「区民サービスNo.1の行財政改革」を掲げていますが、その土台となっているのが、昨年改定された「経営改革プラン2024」です。国は、1997年に「地方行革指針」を策定して自治体の「営利企業」化を進め、2005年には「新地方行革指針」を策定して職員定数の大幅削減と民間委託の促進という政策を自治体に押し付けてきました。北区の経営改革路線はこれと軌を一にしたもので、職員の削減や非正規への置きかえ、指定管理者制度など官製ワーキングプアを生み出す外部化、受益者負担の強化などが推し進められてきました。
新自由主義の「行革」路線から、住民の福祉増進を目的とする真に住民本位の行財政改革へと転換することを求め、以下2点、質問いたします。
(1)行政手続きのデジタル化について
第1は、行政手続きのデジタル化についてです。
区は、今年度から3年かけて窓口申請を100%電子化するために、LoGoフォームの作成を委託に出す方針を示しています。窓口申請のデジタル化を進めることは、利用者の区民にとっても、事務を受け持つ職員にとっても利便性の向上につながり、大いに推奨すべきことですが、ノーコードツールのLoGoフォームをわざわざ委託に出すことが本当に必要なのでしょうか。
この10月、企画総務委員会で管外視察した豊田市では、kintoneやLINEなどのノーコード/ローコードツールを活用して申請手続きを職員自らの手でデジタル化し、経費の大幅な削減と職員のスキル向上という成果をあげているとのことでした。
そこで、うかがいます。
LoGoフォーム作成委託によって、3年間でどれだけの経費を計上する予定ですか。北区でも豊田市のように、内製化によるLoGoフォームの作成に取り組み、経費削減と職員のデジタル技能向上をめざすべきだと考えますが、区長のお考えをお聞かせ下さい。
区では、ロゴフォームなどのノーコード・ローコードツールについて、プログラミング知識は不要ですが、機能を使いこなすためには、一定の知識・技能の習得が必要であり、特に、区民の皆さまが利用するものを作成する場合は、正確性や利便性の確保が重要であると認識しています。
電子申請の推進にあたり、区民の皆さまに、可能な限り速やかに、デジタル活用による利便性向上を実感していただくため、区では、電子申請フォームの作成支援と職員のスキル習得の両立のための業務委託を実施し、3年間で「原則、電子申請」を実現する方針を判断いたしました。
また、この業務委託は、業務主管課へのヒアリングや業務フロー分析などを行い、最適な電子申請フォームの提案を行うことで、統一感のある利用しやすい申請フォームの作成を目指すとともに、業務主管課からの問合せ対応やFAQ の整備・分析を行うことで、職員のスキル習得に向けた伴走支援を実施するものであり、単に事業者が作成を肩代わりするものではありません。
区といたしましては、引き続き、「原則、電子申請」の実現と、職員のスキル習得の両立を目指し、スピード感を持って、取組みを推進してまいります。なお、3年間での概算経費については、流動的な点はありますが、今年度の委託料が約3,370 万円余のため、その3 倍程度になるものと見込んでいます。
(2)公民連携推進条例の制定について
第2は、公民連携推進条例の制定についてです。
「(仮称)北区公民連携推進条例」の制定が来年度に予定されていますが、今年度は5回の検討会が開かれ、公民双方の対話による条例案の検討が行われてきました。
民間事業者と協働しながら行政課題の解決をめざす取り組みには、たとえば区がこれまで取り組んできた政策提案協働事業など、積極的な意義を持つ施策もあります。一方、民間開放で過度な外部化や民間依存に陥れば、公共サービスを企業の儲け先に変えてしまう危険性もあります。
そこでまず、今回制定する公民連携推進条例のねらいがどこにあるのか、政策提案協働事業と何が違うかなど、条例に対する区としての基本的な考え方をお示し下さい。
「(仮称)北区公民連携推進条例(案)」の目的は、区民が豊かさを感じる暮らしの実現を目指し、区と民間事業者等がそれぞれの強みを発揮し、区民ニーズに応じたサービスの質を向上させるとともに、地域の価値を高めることにあります。
公民連携により、民間事業者等がもつ知識や技術、資金力を結集することにより迅速で柔軟な対応を可能とし、行政サービスの充実や地域の活性化を推進していきます。
一方、政策提案協働事業は、多様で豊かな地域社会を実現することを目的とし、北区内に活動拠点を有するNPO やボランティア団体等を対象に、地域課題解決に向けた新たな視点での事業提案を募集します。採択された事業については、区が年間300 万円を上限に経費を負担し、協働で解決策に取り組むものです。
このような仕組みの異なる施策から、それぞれアプローチすることで、区民の皆さまが豊かさを感じる暮らしの実現を目指してまいります。
条例の一つの大きな柱になるのが民間提案制度で、民間事業者から持ち込まれる提案を公民連携窓口を通じて区が審査し、採用・不採用を決定するというシステムです。今議会には、区長室としごと連携担当室を再編し、新たな区長室を設置するという、民間提案制度に対応した組織再編案も提案されています。
検討会の議論では、「民間企業が公共サービスを代替する際に、特定企業の利益にしかなっていないのではとの指摘を受けないよう注意が必要」との意見が出ていました。民間提案制度においては、特定の企業を優遇することにならないよう、適正な審査体制の確立が必要と考えます。区として審査の公平性をどのように担保しようとしているのか、お答え下さい。
提案内容の選定にあたっては、外部有識者を含めた審査委員会において慎重に選定を行います。
また、透明性を確保するため、評価過程や選定基準を公開することで公正性を担保し、公平な審査を行ってまいります。
公民連携推進条例の最後は、行政が果たす役割を堅持することについてです。
検討会では、「公民連携のためには、区の職員が既存の考えにとらわれることなく、もっと民間企業の考え方を受け入れていくべきだ」との意見も出されていました。しかし、行政には利益を追求する民間企業とは違い、住民の福祉向上に資するという重要な役割があります。
条例を制定する際は、区が公として果たす役割の堅持を明確にする必要があると思いますが、いかがですか。区長の見解をうかがいます。
住民の福祉向上は、行政にとって最も基本的で重要な役割であり、これまでも地域課題の解決や区民サービスの向上など、様々取り組んでまいりました。
「(仮称)北区公民連携推進条例(案)」では、民間事業者等が公民連携事業に参加する際には、その公共性を理解し、継続的な事業運営を図ることを民間事業者等の責務として規定しております。
引き続き、行政としての役割をしっかりと果たしつつ、民間事業者等の知見を適切に活かせるよう取り組むことで行政が果たす役割を堅持し、より効果的な公民連携を実現してまいります。
3、学校教育における諸課題について
大きな3つ目に、学校教育における諸課題についてうかがいます。
(1)包括的性教育のさらなる拡充を
第1は、包括的性教育のさらなる拡充についてです。
子どもを取り巻く状況は、インターネットやスマホの利用が当たり前の日常となる下で大きく変化し、SNSを介した性被害や性加害は後を絶たず、低年齢化の懸念が広がっています。ネット社会には性的な情報が溢れており、多くの子どもたちが不安や興味を感じながら、性に関する悩みを誰にも相談できず、孤立している現状があります。
そうした中、現在学校で行われている性教育には、小5の理科で「人の受精に至る過程は取り扱わない」、中学校の保健体育で「妊娠の経過は取り扱わない」とする学習指導要領の「はどめ規定」と呼ばれる事実上の制限があり、国際的な水準の包括的性教育には及ばない現実があります。
北区ではこの間、産婦人科の外部講師を招聘しての性教育の授業を系統的に取り組んできましたが、その規模や速度をもっと引き上げていくことが痛切に求められているのではないでしょうか。
そこで、お聞きします。
新年度は必要な人材を確保して、外部講師による性教育の授業を中学校全校で実施することを求めます。また、国や東京都に対し、すみやかな包括的性教育の導入を要請すべきと考えますが、教育長のお考えをお示し下さい。
北区では、東京都教育委員会が作成した「性教育の手引」を踏まえ、地元の産婦人科医を講師として招へいした性に関する教育の出前授業を区立中学校・義務教育学校で実施しており、年々実施校数を増やしています。
また、出前授業の実施のみならず、生徒が困った時にいつでも相談できるよう、地元の産婦人科医師による講師の発掘・養成にも積極的に取り組んでおり、安定的・継続的な事業の実施に向けて、準備を進めています。
現在、国において次期学習指導要領の改訂に向けた議論が進められており、先日、論点整理が示されたところです。
今後、各教科における個別の議論が行われる予定であることから、性に関する教育についても、検討の推移を注視してまいります。
(2)児童・生徒を電磁波被害から守るために
第2は、児童・生徒を電磁波被害から守ることについてです。
区内の小中学校では、タブレット端末「きたコン」を使った授業が標準になっていますが、全国ではWi-Fiルーターなどからの電磁波による健康被害が報告されています。電磁波過敏症は、電子機器が発する電磁波によって、頭痛、めまい、疲労感などが引き起こされる病気ですが、原因は明確には解明されていません。しかし、現実にはICT教育で「電磁波が不安」と感じる児童・生徒、保護者が存在しており、学校現場での対応が求められています。
そこで、お尋ねします。
教育委員会はこれまで、きたコンを使った授業の中で、児童・生徒が体調不良を訴える事例を把握していますか。子どもたちを電磁波の被害から守るために、教室ではWi-Fiルーターを児童・生徒からできるだけ離して設置するとともに、授業以外の時間はWi-Fiの電源を速やかにオフにできるよう切り替えスイッチを設置することを求めますが、いかがですか。以上、教育長の前向きな答弁を求めるものです。
電磁波を原因と感じる体調不良、一般的に電磁波過敏症と呼ばれる症状について、これまで児童・生徒、保護者からの相談や報告を受けたことはありません。
きたコンをネットワークにつなぐためのアクセスポイントは、基本的には教室内の天井の一か所に設置しており、学校規模に応じて、インターネットを利用するに適切な帯域を確保しているところです。
また、きたコンは児童・生徒だけでなく、教員が授業準備や校務に終日使用していることから、授業以外の時間をオフにするなどの運用は難しいと考えておりますが、保護者等から相談があった場合は、個別に必要な対応を検討してまいります。
4、公園整備と緑の保全について
大きな4つ目に、公園整備と緑の保全についてうかがいます。
現在、名主の滝公園では、園内を7つにゾーニングし、2024年度から4か年をかけて老朽化した設備の更新、回遊式園庭の創出をめざす大がかりな再生整備工事が行われています。昨年度は、公園北側の三平坂拡幅のための樹木整理などが実施され、今年度は三平坂拡幅工事、滝循環施設・設備改修工事などが施工されています。
こうした中で昨年度は、当初設計で113本と予定されていた樹木の伐採本数が、最終的には170本となったことが報告されました。このうち、幹廻りが小さいものや、外来種など実生木と思われる樹木は約100本あり、三平坂は二項道路でセットバックが必要なことから、一定の樹木の伐採はやむを得ないととらえています。
同時に、伐採された樹木には、幹廻りの大きいものも含まれており、周辺にお住まいの方や、公園を利用している区民のみなさんからは、「樹木はできるだけ伐採せずに残してほしい」という声も寄せられています。ちなみに北区では、個人が所有する樹木のうち幹廻り150センチ以上などの基準を満たすものを保護樹木に指定し、維持管理を行う場合には助成金を支給しています。
そこでまず、昨年度と今年度の工事において、幹廻り150センチ以上の樹木がどれだけ伐採されたのか、その本数をお示し下さい。
伐採本数については、現地を確認したところ実生木が多数確認され、当初確認していた113 本から170 本の伐採となりました。
このうち、幹周り150cm以上の樹木の伐採本数については、昨年度の実績は16 本、今年度は4 本の見込みで、合わせて20 本を見込んでおります。
次に、来年度に施工する斜面散策エリアでの樹木伐採についてお尋ねします。
説明会資料によれば、高台にあるプール跡地、児童遊園、民有地と、公園西側外周との境界の道路を散策路として整備し、3か所の見晴らしデッキが設置される計画です。ここでの樹木整理の考え方は、「見晴らしデッキや手摺り、転落防止柵の整備を行う際、支障となる樹木」や、境界から2メートル以内の「民地に近接した高木」を伐採するというものです。
先日、公園の緑を守るために活動されている住民のみなさんにご案内され、この場所を視察したところ、見晴らしデッキを設置する予定の場所には伐採の印がつけられた幹廻り150センチ以上の樹木が何本も立っていました。これらの樹木は、枝葉が生い茂って地上に影を落とし、樹幹被覆率を上げる重要な役割を果たしています。樹齢数十年にもなると思われ、一度伐採すれば、再生するまで長い年月がかかることになります。
そこで、お聞きします。
斜面散策エリアのうち、見晴らしデッキを設置する散策路には、幹廻り150センチ以上の樹木が何本あり、そのうち何本を伐採する予定ですか。これらの樹木を伐採せずに、デッキを回りこませるような形での設計も可能と考えますが、これからでも伐採計画を変更し、樹木を残すべきと考えますが、区の見解をお示し下さい。
まず、幹周り150cm以上の樹木の本数と伐採する本数についてです。
伐採する樹木については、現地の確認が完了しておりませんが、今のところ総数20 本の内、11 本程度を見込んでおります。
次に、見晴らしデッキの見直し、伐採計画の変更についてです。今回の再整備は、利用者が安全に回遊できるための園路の再整備と斜面地の安全対策を合わせて実施することで、地域の防災性の向上を図るものです。
また、過密した樹木を整理し、緑地の健全化にも資すると考えております。区といたしましては、樹木の保全や樹冠被覆の重要性に留意し、残すことが可能な既存樹木を大きく育てることで、樹冠の最大化を図るとともに、更新・補植による中長期的な緑の育成・充実にも努めてまいります。
この問題の最後に、樹木伐採についての地域住民への周知についてうかがいます。
今回の計画では、工事のスケジュールや整備内容については事前に一定の報告や説明があったものの、樹木伐採の詳細については、今年7月に行われた住民説明会で初めて示されたと聞いています。
名主の滝公園の再生整備は、今後2年以上も続く工事であり、来年度実施する工事での樹木伐採計画については、今年度中にあらためての住民説明会を開催することを求めます。また、今後、他の公園整備にともなって幹廻りの大きい樹木を伐採する予定がある場合は、事前に住民への理解を求めるための説明会を開くことをルール化するよう求めますが、区長のお考えをお聞かせ下さい。
区ではこれまで、地域の皆さまへのわかりやすい資料づくりに努めてきたところであり、説明会開催の機会を捉え、地域の皆さまの関心が高い事項については、資料を追加するなど工夫するとともに、個別の要望や問合せにも、丁寧な対応を行っております。
引き続き、次年度以降の工事着工の際には、地域の皆さまへの説明会を継続していくとともに、個別の説明についても必要に応じて対応いたします。
また、開催の際には、北区ニュースをはじめ、北区公式SNS による発信にも取り組んでまいります。
次に、幹回りの大きい樹木の伐採にあたり、説明会を開くことのルール化についてです。
公園は多様な方が利用される場であり、再整備にあたっては、施設の配置や利用方法などを含む、全体的な整備内容の説明や意見交換が有効と考えております。
今後も適切な時期に説明会を開催するとともに、日常の維持管理で緊急性を伴わない樹木の伐採にあたっては、現地に告知するなどの事前の周知に努めてまいります。
5、赤羽駅周辺まちづくりについて
大きな5つ目に、赤羽駅周辺まちづくりについてうかがいます。
(1)基本計画策定後の検討について
第1に、基本計画策定後の検討についてです。
この7月に、赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画が策定されました。今後の赤羽のまちづくりでは、「第一地区」に続き「中央地区」の市街地再開発計画を事業化するのか、それとも再開発によらない修復型のまちづくりの手法を選択するのかが最大の争点になってきます。また、赤羽小学校や赤羽公園など周辺の公共施設を現在地で更新するのか、それとも移転して再整備するのかが、地域住民の大きな関心事になっています。
本来ならば、こうした選択の結論は基本計画で定めるはずでしたが、今年度以降の検討へと先送りされています。区は基本計画策定後に新たな会議体を設置し、まちづくりガイドライン、まちづくり整備計画を策定するとしています。
そこでまず、新たな会議体の設置はいつになるのか、またその構成や人数について、区の考えをお聞かせ下さい。次に、ガイドライン、整備計画は、それぞれどのような内容となるのか、策定に向けた議論をどのように進めていこうとしているのか、お答え下さい。さらに、赤羽小学校の改築方針、公共公益施設の整備方針については、新たな会議体の中でどのように検討されるのか、見通しをお示し下さい。
「赤羽駅周辺地区 まちづくり基本計画」に掲げる将来像の実現に向けて、「ガイドライン」は周辺区域の土地利用や基盤整備のあり方を、「整備計画」は重点区域の具体的整備イメージや実現化方策等を取りまとめる予定です。
これらの計画策定にあたっては、学識経験者や関係機関、関係事業者、区民代表等による新たな検討会を設置して検討を進めることとしており、現在、年度内の検討会開催に向け、具体的な委員の構成等を検討・調整しているところです。
検討会には、複数の部会を設け、相互に連携しながら、実質的な議論を効率的に進めていく考えです。
赤羽小学校の改築方針や公共公益施設の整備方針については、庁内で検討・整理し、検討会に報告してご意見をいただくことを予定しております。
(2)市街地再開発計画について
第2に、市街地開発計画についてお聞きします。
まず、「第一地区」についてです。
今年2月の地域開発特別委員会では、来年2026年5月に権利変換計画を策定、27年2月に解体工事開始、28年6月に建設工事着工、31年9月に再開発ビル竣工というスケジュールが示されました。また、組合試算による総事業費は約285億円、税金投入となる補助金要望額は約88億円という金額が示されています。
現時点で、このスケジュール通り計画が進むのか、また、総事業費および補助金要望額がいくらかになるのか、見通しをお示し下さい。
第一地区については、再開発組合から、「事業計画の再調整を行っており、権利変換 計画認可に向けたスケジュールは遅れる見込みであるが、着実に事業を進めたい」と聞いています。
また、総事業費や補助金の要望額については、今後、再調整を踏まえて明らかになっていくと考えています。
次に、「中央地区」についてです。
国土交通省は今年4月に、社会資本整備総合交付金等による市街地再開発支援の対象を、必要性・緊急性の高い事業に絞り込むとする要綱の改正を行いました。「必要性・緊急性が高い事業」というのは、具体的には、1つに「都市機能の集約」、2つに「国際競争力の強化」、3つに「密集市街地の解消」という網がかかった地域での再開発事業のことです。赤羽「中央地区」の計画はいずれにも該当しないため、補助金の対象から外れます。
そこでまず、「中央地区」の市街地再開発計画が事業化されたとしても、現時点では国からの補助金は下りないと判断されることになりますが、この点をご確認下さい。
中央地区については、現時点では、国の支援要件は満たさないと考えますが、当該地区の市街地 再開発事業は、必要性・緊急性の高い事業であると認識しており、国の支援制度を活用できるよう検討してまいります。
ところが区長は、第3回定例会のわが党の代表質問に、「国の支援制度を活用できるよう検討していく」と答弁しました。そこで、決算特別委員会でその真意を尋ねると、区は、「都市機能の集約」にあたる立地適正化計画の策定を検討しているとのことでした。
しかし、再開発の交付金を獲得するために、わざわざ立地適正化計画を策定することは、本末転倒ともいうべき試みではないでしょうか。
第1に、そもそも、すでに密度の高い都市構造をもっている北区や赤羽の地域に、立地適正化計画をかける必要があるのかということです。
立地適正化計画の目的は、人口減少・高齢化や市街地拡散といった都市の課題に対応するため、居住機能や生活関連機能を集約・誘導し、「コンパクト・プラス・ネットワーク」のまちづくりを推進することとされています。この目的に照らせば、一定規模の人口を抱え、都市機能も居住機能も充実している赤羽には、無縁ともいえる計画です。
ちなみに、高度な都市機能を持つ東京23区内では、現在までに立地適正化計画を策定した自治体はありません。
第2に、2014年に制度がつくられて以降の10年間に、区は立地適正化計画の導入を一度も検討したことがありません。それはすなわち、北区のまちづくりには必要のない計画であるからに他なりません。
第3に、立地適正化計画には、新たな行政コストや時間がかかります。
計画を策定し、5年ごとの見直しなど運用・評価をしていくには、自治体に相当な人的・財政的コストがかかる上、計画策定までの間、まちづくりの推進が遅れることになります。
第4に、国交省の要綱改正の趣旨にも反します。
国交省が、補助金の交付対象を絞り込むとしたのは、主に首都圏を中心として市街地再開発事業が急増するとともに、物価高騰により建設コスト、労務費が上昇し、社会資本整備総合交付金そのものの財源が不足しているからです。支援対象を絞り込む前に、すでに交付金の措置率は全国で59%にまで落ち込んでおり、十条駅西口再開発事業でも補助金が満額交付されない事態になっています。また、建設コストの上昇で、北とぴあ大規模改修の見直しや児童相談所等複合施設の設計やり直しなどが余儀なくされ、北区でも公共工事への大きな影響が広がっています。
もはや再開発事業だけが「計画化すれば補助金が満額下りる」という状況ではないことは、誰の目にも明らかではないでしょうか。補助金の対象外とされた自治体がこぞって立地適正化計画をかけて補助金の奪い合いをするようなことになれば、予算は枯渇し、いずれ北区の計画も破たんに追い込まれることにならざるを得ません。
以上の点をふまえ、質問します。
市街地再開発交付金を受けることを目的とした立地適正化計画の策定は取りやめ、「中央地区」が補助金対象から外れることを前提に、赤羽駅周辺まちづくりの事業手法を検討すべきと考えますが、区長の見解をお聞かせ下さい。
中央地区は、隣接する赤羽小学校や赤羽駅 東口駅前広場と一体でのまちづくりを進め、防災性向上をはじめとした多くの課題を早期に解決すべき「重点区域」に位置づけていますので、今後、整備計画策定に向けた検討の中で、課題解決を図るまちづくり手法を明らかにしてまいります。
なお、立地適正化計画については、大都市部においても、持続可能な都市構造の実現のために必要な計画であると考えていますので、区といたしましては、市街地再開発事業への支援の有無にかかわらず、計画策定に向けた検討を進めてまいります。
(3)今後の計画に地域住民・関係住民の意見を反映させることについて
第3に、今後の計画に地域住民、関係住民の意見を反映させることについてです。
基本計画では、今後のまちづくりの具体化において、「検討のプロセスの各段階で適切に区民意見の聴取と反映を行います」と述べています。
これまで基本計画の策定検討にあわせ、区は無作為に抽出した地域住民への区民アンケートや、北コンを活用した近隣の小中学校児童・生徒への子どもアンケートなどを実施してきました。しかし、これらの調査では、基本計画策定検討会が最初に提起した、個別建替えや共同建替えによるまちづくりか市街地再開発によるまちづくりかの選択、赤羽小学校や赤羽公園、赤羽会館など周辺の公共公益施設の更新・整備の具体策などを問う設問は含まれていませんでした。その一方で、オープンハウス型説明会や教室型説明会では、タワーマンション建設への懸念や、赤羽小学校、赤羽公園を現在の場所に残してほしいという意見が多数寄せられています。2回開催した教室型説明会では、限られた時間の中で、発言ができなかった参加者も残されており、さらなる意見聴取の場が必要です。
赤羽駅東口のまちづくりは、いよいよ具体化の検討に入ります。今後の計画策定に地域住民や児童・生徒、保護者など学校関係者、駅前商店街で商売をしている事業者のみなさんなど関係住民の多様な声を反映させていくことが、より一層重要になります。
新たな会議体が立ち上がるまでの間、そして検討が始まって以降のあらゆる場面において住民説明会やまちづくり懇談会、子どもの意見を聞く会などを開催し、地域住民・関係住民の声を計画に反映させるよう求めますが、いかがですか。
区長、教育長のあたたかい答弁を期待して、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
基本計画の策定にあたっては、地域住民の代表等によるグループワークで出された意見等をもとに検討結果をとりまとめるとともに、検討過程では、オープンハウス型説明会での個別説明、パブリックコメントに合わせた2日間の教室型説明会や子ども向けアンケートの実施など、区民の皆さまのご意見を丁寧にお聞きしました。
今後、ガイドラインや整備計画の策定にあたっても、適宜・適切に、検討内容等を説明し、地域住民等の意見聴取を行いながら、丁寧に議論を進めてまいります。