2014年第2回定例会代表質問―のの山けん
2014年6月19日 | のの山けん
私は日本共産党北区議員団を代表して、大きく4点、質問いたします。
1、安倍政権の暴走政治に対する区長の認識を問う
まず初めに、安倍政権の暴走政治に対する花川区長の認識をうかがいます。
(1)集団的自衛権の行使容認について
第1に、集団的自衛権の行使容認についてです。
安倍政権が集団的自衛権の行使を認めるよう閣議決定をおこなおうとしていることに対し、全国津々浦々から怒りと抗議の声が広がっています。海外での戦闘行為に参加することは、戦争を禁じた憲法9条をふみにじり、戦後政治の原則を根底から覆すものです。一内閣の判断で憲法解釈を変えるという立憲主義否定の暴挙には、保守層からも懸念の声があがり、自民党の元幹事長、加藤紘一氏は、5月18日付けの日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」日曜版に登場し、「自衛隊を海外に出し、米軍と肩を並べて軍事行動させようということ。地球の裏側まで行くことは十分に想定される」と批判しました。
そこで、お聞きします。
日本を「戦争する国」に変えてしまう集団的自衛権の行使について、区長はこれを認めるべきと考えますか、それとも拒否すべきと考えますか。はっきりとお答え下さい。
(2)日本軍「慰安婦」問題での河野談話見直しについて
第2に、日本軍「慰安婦」問題で、軍の関与を認め謝罪した河野談話を見直すべきだという動きが一部から出ていることについてです。
見直し派は、強制連行を裏づける日本側の公文書がないことをもって「強制はなかった」、さらには「『慰安婦』問題は存在しなかった」などと主張しています。しかし、日本の司法による裁判でも、8例の裁判で35人の方々の被害事実が認定されており、軍の関与は動かすことのできない事実です。本来ならば、日本政府自身が明確な反論をおこなうべきですが、安倍内閣が毅然とした態度をとらず、迎合的な姿勢を示しているのは大問題です。河野談話を見直すことは、日本軍による侵略と植民地支配の歴史を書き換えることであり、世界から孤立する道に他なりません。
そこでうかがいます。
区長は、河野談話を見直す必要があると考えますか、見直す必要はないと考えますか。お答え下さい。
【区長の答弁】
まず集団的自衛権と、日本軍「慰安婦」問題での河野談話見直しにかんするご質問にお答えします。
ご案内の通り、北区では昭和61年3月15日に、世界の恒久平和と永遠の繁栄を願い、平和都市であることを宣言いたしました。また、平成23年2月1日には、平和市長会議にも加盟いたしました。
真の平和と安全を実現することは、私たちの願いであり、人類共通の悲願であります。
今後も平和で自由な共同社会の実現に向けて、引き続き努力をしてまいる所存です。
お尋ねのいずれの課題につきましても、国の外交にかかわる問題であり、様々な課題なども含め、今後、国において適切に対応されることを期待しております。
(3)来年10月からの消費税10%増税について
第3に、来年10月から予定されている消費税率10%への増税についてです。
4月からの8%増税は、早くも暮らし、営業を直撃しています。4月の消費者物価指数は前年同月に比べ3.2ポイントと急上昇する一方、労働者の基本賃金は25ヵ月連続減となりました。4月からは年金が引き下げられ、70~74歳の医療費窓口負担が2倍となるなど、「社会保障充実のため」という口実が偽りであることがはっきりしました。世界のトヨタが5年間、国内では法人税を1円も払っていなかったことが世界を驚かせていますが、安倍政権は、さらなる法人税減税を検討しています。消費税による増収は大企業減税の穴埋めに消えてしまう恐れがあります。
区長は、それでも消費税率を10%に引き上げるべきと考えますか、それとも、これ以上の増税はすべきでないと考えますか。お答え下さい。
【区長の答弁】
少子高齢化が急速に進展する一方で、社会保障に要する経費は、大幅な増加が続くと見込まれています。
今後、社会保障制度を持続可能なものとしていくためには、財源の確保は避けて通ることができません。
本年4月、消費税が従来の5%から8%へ改定されたことで、安定した財源の確保に向けて、大きく踏み出したものと考えています。
なお、消費税の8%への引き上げは、いわゆる景気条項に基づき、経済成長や物価動向などを慎重に判断しておこなわれました。
来年10月に予定されている10%への引き上げに際しても、国において、経済状況を総合的に勘案し、適切な判断がされるものと考えています。
(4)労働者派遣法の「改正」について
第4に、今国会に提出されている労働者派遣法「改正」案についてです。
この法案は、「派遣労働の常用雇用代替の禁止」「派遣受け入れは一時的・臨時的業務に限定」という大原則をとりはずし、「生涯ハケン」の社会をもたらす労働法制の大改悪です。非正規労働者を際限なく広げることによって、「正社員ゼロ」社会に道を開くものでもあります。
北区はこの間、正規の仕事に就けない若者を、区内中小企業に正社員として就職させる支援をねばり強く続けてきました。
こうした努力をも無にしてしまいかねない労働者派遣法の改悪について、区長は日本経済の成長・発展のためにプラスになると考えますか、それともマイナスになると考えますか。お答え下さい。
【区長の答弁】
今年1月の労働政策審議会の専門部会の建議において、労働者派遣制度について、わかりやすい制度、派遣労働者のキャリアアップや直接雇用の推進、優良な事業者の育成などの観点から、具体的な措置が提案されています。
今回の改正案は、この建議に基づいたものであると認識しており、国会での審議、検討を注視してまいりたいと考えております。
なお、北区といたしましては、若年未就職者の就労体験事業につきましては、雇用状況をふまえて、今年度もとりくんでいるところであります。
(5)原発の再稼働について
第5に、原発の再稼働についてです。
安倍政権が再稼働の動きを強める下で、この5月、福井地裁は大飯原発の運転差し止めを命じる判決を言い渡しました。この判決は、憲法で保障された人格権の尊重を訴え、原発の「安全神話」を厳しく断罪しました。そして、極めて多数の人々の生存に関わる権利と、電気代の高い低いの問題とを天秤にかけるような議論そのものが法的に許されないと断じ、国民の安全よりもコストを優先する考え方をきっぱりと退けました。これは、大飯原発のみならず、国内すべての原発に当てはまる判決です。
そこで、うかがいます。
区長は、大飯原発運転差し止めを命じた福井地裁判決をどう評価されますか。また、区長は、原発の再稼働をすべきと考えますか、それとも再稼働はすべきでないと考えますか。
これまで区長は、国政問題について問われると、決まり文句のように「推移を見守る」「動向を注視する」という答弁を繰り返してきました。どの問題も、区民の暮らしと安全に直結する問題です。今回は、それぞれの質問について、どちらの考えに立つのかを、はっきりとお答え下さい。
【区長の答弁】
大飯原発における福井地方裁判所の判決については、被告側である関西電力が控訴したことにより、現時点において、判決は確定していないものと認識しています。
また、原発の再稼働については、原子力規制委員会が実施する規制基準に基づく適合性の審査を経たうえで、環境エネルギー政策における十分な専門性を保有し、国民の暮らしと安全に責任を持つ立場にある国が判断をすべきものと考えています。
2、北区基本計画2010の改定にあたって
大きな2つ目の質問は、今年度改定される北区基本計画2010についてです。
昨年11月から、7回にわたり基本計画および経営改革「新5か年プラン」の改定にむけた検討会が開かれ、私も可能な限り傍聴してきました。今回は、その議論もふまえながら、新しい基本計画において充実が必要と考える施策を提案したいと思います。
(1)高齢者施策について
第1に、高齢者施策について、区営シルバーピアの増設を求めます。
高齢化が進む北区では、高齢者の住宅確保は喫緊の課題です。ところが、北区住宅マスタープランに位置づけられた高齢者向け優良賃貸住宅の供給はわずかな戸数にとどまり、計画から大きく遅れています。こうした中、区は、区営シルバーピアの建設を打ち出し、現在、旧北園小学校跡地に75戸の建設を計画しています。
借り上げ期間満了までに、全世帯分の戸数を確保することはいうまでもありませんが、この際、転居以外の希望者にも低廉かつ安全な住宅を提供できるよう、区営シルバーピアの増設を計画化すべきと考えますが、区長のご見解をお聞かせ下さい。
【区長の答弁】
区が、民間住宅を借り上げて供給しているシルバーピアは、借り上げ期間満了に合わせ、順次、区営のシルバーピアを建設し、必要な戸数を確保してまいります。
公的住宅の活用が難しい部分については、現在、民間事業者において、サービス付き高齢者住宅の整備を推進する動きがありますので、今後、供給の推移を見守ってまいりたいと考えております。
(2)子育て施策について
第2に、子育て施策についてです。
その1つは、就学援助を前倒し支給できるようにすることです。
現在の認定の流れでは、4月に申請書を配付し、実際に第1期分が支給されるのが7月中旬となっています。そのため、小学校から中学校に進学する際、入学のための準備金を自分で用意しなくてはなりません。
そこで、中学1年の就学援助については、小学校6年生の3月に支給し、入学準備のために使えるように改善することを求めます。
【教育長の答弁】
就学援助の認定に際しましては、前年分の世帯全員の総所得金額の確認が必要となります。
現行では、住民税の課税情報が確定した後、教育委員会が税務課に照会し、認定しています。
支給を早めるには、その前に所得を把握することが必要ですが、その場合は、所得を確認する書類などを保護者の方から直接徴収することとなり、時間的な制約とともに、保護者への周知や学校における受付事務の負担、そのほか、小学校卒業後に区外へ転出した場合の対応方法などが課題となります。
これらのことから、中学1年の就学援助を小学校6年の3月に支給することは困難な状況ですが、他自治体の例などを参考に研究したいと考えます。
子育て施策の2つは、給付型奨学金制度の創設です。
北区では、就学意欲がありながら、家庭の経済事情などにより高校進学が困難な生徒に対し、奨学資金の貸し付けをおこなっています。制度自体はありがたいものですが、貸与型の奨学金は卒業後の借金となり、若者の生活を圧迫する一因ともなっています。
そこで、すでに世界では当たり前になっている給付型奨学金制度を北区で創設することを求めますが、いかがですか。
【教育長の答弁】
国では、平成26年4月から国公立・私立を問わず高等学校などに通う低所得者世帯に対し、授業料以外の教育費に充てるため、世帯構成などに応じて奨学給付金を支給する制度を創設しました。
この制度は、都道府県が実施主体となっており、現在、東京都で準備中とうかがっています。
今後も、東京都からの情報の収集に努めるとともに、北区といたしましては、当面、現行制度を維持してまいりたいと思います。
(3)若者・ファミリー世帯の定住化に向けて
第3に、若者・ファミリー世帯の定住化に向けた施策です。
その1つは、住み替え家賃助成・転居費用助成の要件を緩和することです。
ファミリー世帯向けの住宅助成については、子どもの扶養条件を2人から1人以上に変更すること、また、助成額や助成期間についても拡充することを求めます。お答え下さい。
【区長の答弁】
区では、今年度から助成の申請期間を、転居後6ヵ月以内から1年以内に変更いたしました。
さらなる助成の拡充につきましては、助成制度によるファミリー世帯の定住化の効果の検証や、今後の少子化の進行などをふまえて、研究してまいります。
若者・ファミリー世帯の定住化施策の2つは、都営住宅、区営住宅により多くの若者・ファミリー世帯が入居できるよう改善をはかることです。
都営住宅については、年2回、東京全体で数十戸程度しかない若年ファミリー向けの募集戸数を抜本的に引き上げることを都に強く要望して下さい。また、区営住宅については、限られた戸数の中でも若年ファミリー向けの供給をおこなうことを求めます。
【区長の答弁】
都営住宅につきましては、現在の少子化の進行に対応するため、子育て世帯の当選倍率の優遇制度や、若年ファミリー世帯向けの期限付き入居を実施し、若い世代の入居促進にとりくんでいるとのことです。
区営住宅につきましては、住戸数も少なく、提供できる空き室も限られていることから、住宅への困窮度が高い世帯の居住の安定を図ってまいります。
(4)防災対策について
第4に、防災対策についてです。
その1つは、感震ブレーカー設置に対する助成です。
大地震の際に、揺れを感知してブレーカーのスイッチを落とす感震ブレーカーは、通電火災防止に役立ち、低コストの防災対策として注目されています。先に開かれた、おちゃのこ祭祭でも防災ボランティアのみなさんから紹介を受けましたが、安いものだと3000円程度で導入が可能とのことです。
そこで、感震ブレーカーの普及を図るための区の助成を求めますが、いかがですか。
【区長の答弁】
経済産業省では、電気設備自然災害等対策ワーキンググループを設置し、地震発生時における電気火災防止への対応について検討しております。
検討では、感震ブレーカーなどの導入支援にかかる制度の創設、費用負担などについて、補助率、補助制度などを含め、関係機関との協議を必要としております。
今後、国の動向を注視して対応してまいります。
防災対策の2つは、木造住宅耐震改修助成の基準を緩和することです。
現在、助成を受けるためには「耐震改修工事後の上部構造評点が1.0以上に計画されたもの」という条件が付いていますが、著しく評点が低い住宅で、予算の都合などで0.8や0.9程度の強度にまでしか引き上がらない場合にも、一部助成がおこなえるよう改善を求めます。
以上、基本計画改定にあたっての提案について、区長、教育長の前向きな答弁を求めるものです。
【区長の答弁】
区では、木造住宅の耐震化を図る上で、建築基準法に適合させることが重要であると認識しており、まずは、現在助成をおこなっている木造住宅耐震化促進事業の周知に努めております。
3、北区経営改革「新5か年プラン」の改定にあたって
大きな3つ目の質問は、同じく今年度改定となる北区経営改革「新5か年プラン」についてです。
(1)これまでの経営改革路線の徹底した検証が必要
第1に、これまでの経営改革路線の徹底した検証が必要だということについてです。
7回にわたる改定のための検討会では、区側の説明に、腑に落ちない点がいくつかありました。その1つは、私たちが指摘してきた、行き過ぎた「行革」路線の弊害について、まともに検証した形跡がないことです。
たとえば、区立保育園に指定管理者制度を導入したことについて、民間のノウハウを生かして、区民サービスの向上に努めているとのべていますが、その中で職員の大量退職を繰り返し、2期目の指定を前に撤退した法人や、残業代の割増賃金未払いなどについて労働基準監督署から是正勧告を受けた法人が生まれている事実については言及していません。
また、税金や保険料の徴収では、平成22年に納付案内センターが設置され、徴収率が回復しているとのべています。ここでは、「収納忘れ等、催促を行ったり、電話による催促等」で効果が発揮されたと説明していますが、実際には生活預金の通帳残高をゼロにする、文字通りの「強制徴収」までおこなって区民を追いつめていることは語られません。区長は、経営改革路線を推し進めてきたことによる区民や職員への影響について、何ら痛みを感じていないのでしょうか。
いま1つは、事実に基かない「財政危機」論をことさら強調し、「行革」路線を合理化していることです。
検討会の説明で区は、毎年財調基金を取り崩す予算編成を余儀なくされており、いずれは貯金が底をついてしまう、今は切羽詰まった状態だ、などとのべています。しかし、新5か年プラン23年度改訂版で示された「今後の財政見通し」と、区財政の実態との間には大きな乖離があります。
財政見通しでは、平成24年度には財調基金が不足に転じ、残高が約8000万円のマイナスになるとのべています。ところが、実際にはこの年、財調基金は過去最高の138億円まで積み上がりました。25年度の見通しでは、財調基金残高が約62億円のマイナスに落ち込むとされていますが、出納閉鎖の結果、財調基金は約120億円に達することが明らかとなりました。つまり、新5か年プランを改訂してわずか2年で、財政の見通しが約182億円も狂った、数年のうちに枯渇するといっているのに主要5基金で約430億円もの貯金を積み上げたというのが実態であります。
区長にお聞きします。
検討会でおこなった「いずれ基金は底をつく」という説明は、事実と相反するのではありませんか。事実に基かない「財政危機」をあおって経営改革路線を合理化するやり方はあらためるべきと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
【区長の答弁】
これまで区は、北区経営改革「新5か年プラン」の着実な推進により、「基本計画2010」の実現および健全で安定的な行財政運営をおこなってまいりました。
平成26年3月に改定した「北区中期計画」の基金活用計画では、3年間で財政調整基金を約250億円、基金全体では約350億円の活用を予定しており、区政運営が困難な事態になることも想定されます。
現在、「北区基本計画2010」の改定にあわせて、北区経営改革「新5か年プラン」の改定作業をおこなっていますが、新基本計画の着実な実施や将来を見すえた健全で安定的な行財政システムの確立のため、今後も経営改革を継続的に実施する必要があると認識しております。
(2)児童館の再編計画と放課後子どもプランについて
第2に、児童館の再編計画と放課後子どもプランについてお尋ねします。
新5か年プランに沿ってすすめられてきた児童館の再編について区は、この秋に(仮称)子どもセンター、(仮称)ティーンズ・センターの事業計画、配置計画を決定し、来年度は浮間と滝野川東地区でモデル実施をおこなうとしています。
この計画には、大きくいって2つの問題点が指摘できると思います。
1つは、これまで0~18歳まで誰でも利用できた児童館の機能を改変し、子どもの居場所を乳幼児、小学生、中高生のそれぞれに切り分けてしてしまうことです。
児童館でおこなわれている小学生のクラブ活動は、プラン内に移行すれば異なる学校間の交流という魅力が奪われてしまいます。また、ティーンズ・センターは中高生だけを切り離して既存の施設に居場所をつくるやり方で、魅力的なものにできるか疑問です。実際に中高生が多く利用している志茂子ども交流館では、音楽スタジオと広いプレイホール、赤ちゃんからお年寄りまで世代を超えて交流できることが魅力となっています。
2つ目の問題点は、小学生の居場所は放課後子どもプランに「確保された」として、25館ある児童館を縮減してしまうことです。
放課後子どもプランの整備は、小学生にとって安全な遊び場が増えることではあっても、それによって居場所が「確保される」というものではありません。実際におこなわれているプランでも、日々参加している児童は登録数からみれば一部にすぎません。児童館の縮減は、子どもの活動の場を削減することにつながります。
他区の例に目を転じましょう。比較的早い時期から全小学校に「すまいるスクール」という事業を導入してきた品川区では、児童館の機能の一部は小学校に移しましたが、25の全館を0~18歳までが使える児童館として維持し、なおかつうち5館は、中高生向けの「ティーンズ・プラザ」を併設して拡充をおこなっています。
そこで、児童館の再編計画と放課後子どもプランについて、以下4点の改善を提案いたします。
1点目は、小学生のクラブ活動は放課後子どもプランに移すのではなく、子どもセンター内で継続できるようにすることです。
【区長の答弁】
放課後子どもプランの全小学校での実施により、放課後における小学生の安全で安心な活動拠点が小学校に確保されます。
子どもセンターでは、乳幼児親子のための事業が中心になるため、小学生のクラブ活動などは順次、放課後子どもプラン実施の小学校に移行していく予定です。
なお、周辺校との交流事業や子どもセンターまつりなどを通じ、小学生を含めた地域の子どもたち同士のつながりが保たれるように工夫していきます。
2点目は、ティーンズ・センターについてです。学校跡地などを活用した改築・新築も視野に入れ、音楽スタジオを併設した現在の志茂子ども交流館のような全世代型の交流施設として整備することを提案します。
【区長の答弁】
ティーンズ・センターについては、中高生世代の居場所として、学習や趣味の活動ができる場を提供する施設となります。
区の財政状況をかんがみると、既存施設の有効活用も大事な視点であり、施設規模や施設内容、施設の利活用状況などの特徴を生かしながら、中高生にとって魅力のある施設としていきます。
27年度には、モデル実施をする予定ですので、その実施状況をふまえて検証し、次年度以降の事業計画に活かしてまいります。
3点目は、現存25館を15~17センターとする配置計画は見直し、可能な限り存続させるようにすることです。
【区長の答弁】
子どもセンターの配置については、現在の児童館の地域別利用状況調査の結果をふまえ、区内15から17ヵ所を設置するとしたもので、適正配置と考えています。
4点目は、放課後子どもプランの充実についてです。すでに10校が実施にふみだしていますが、そこでの重要な教訓は、プランに協力し子どもと接するようになった地域の方々が生きいきと変化していることです。地域の教育力を高めるプランにするため、区として直営で運営している経験を広げ、地域リーダー、地域サポーターの育成支援をおこなうことを求めます。また、直営ではリーダーで時給1480円、サポーターで時給870円というプラン職員の報酬を、役割と責任にふさわしく引き上げることを求めますが、いかがですか。
【教育長の答弁】
放課後子どもプランは、小学生の放課後の安全安心な活動場所を確保し、様々な学びを支援するだけでなく、地域住民が活動を通じて地域のつながり・絆を強化し、地域教育力を向上させるという目的があります。
放課後子どもプランの運営方法は、直営型と委託型がありますが、どちらも地域の方々を中心に組織した実行委員会の意向に基づき、様々なプログラムを提供できるよう、地域の方々に地域サポーターとして参画いただいています。
現在、育成支援として、地域サポーターなどへの研修会を実施しておりますが、今後、子どもとの接し方や遊ばせ方、指導法などの研修メニューの充実を図ってまいります。
ご指摘の報酬については、この事業の趣旨をふまえ対応しておりますが、今後も、国・東京都の補助制度の動向、他区の状況などの把握に努めてまいります。
(3)窓口業務の民間委託について
第3に、窓口業務の民間委託についてです。
新5か年プランでは、戸籍住民課、税務課、収納推進課、国保年金課の窓口事務について一部外部化を実施するとしています。しかし、今年1月から戸籍事務の民間委託を開始した足立区では、早くも矛盾が噴き出し、区長が混乱について謝罪するという事態に陥ったことを、毎日、朝日、読売など各紙が報じています。
足立区では、富士ゼロックスシステムサービスに窓口業務を委託したとたん、待ち時間が3時間以上となる事態が発生するなど、区民サービスが大きく低下しました。また「経費削減」を名目にしているにもかかわらず、今年度は1100万円も余分な支出となることが明らかになりました。この問題については、東京法務局が業務改善指示を出し、東京労働局も立ち入り調査をおこなっています。
私は、先の予算特別委員会で、窓口業務の民間委託を実施しないよう求めましたが、区は、先行する自治体の事例を検証してゆく、と答弁しました。
そこで、区長は足立区における戸籍事務民間委託の混乱について、どう受け止めているか、お答え下さい。
【区長の答弁】
足立区では、本年1月から戸籍住民課窓口業務の民間委託が開始され、その後、東京法務局から業務改善が求められたことや、そのことに対する足立区の改善が認められたことなどが報じられており、注視しているところです。
区の窓口業務では、住民手続きの判断などは区の職員がおこなうべきという大原則があります。窓口業務を委託すれば、民間事業者が受け付けた1つ1つの案件について、そのつど職員が判断せざるを得ないという事務の流れとなり、結果として足立のような混乱が避けられません。逆に、手続きの時間を短くするために判断業務を業者がおこなうことになれば、法令に抵触することは明らかです。
そもそも窓口業務を判断業務とそれ以外の業務に分けるということ自体が、現在の業務の実態と相いれないものです。
区長にお聞きします。
窓口業務の民間委託は、区民サービスにも経費削減にもつながらず、経営改革の手法としてはふさわしいものとはいえません。この項目については、プランから除外することを求めますが、いかがですか。
【区長の答弁】
北区においては、北区経営改革「新5か年プラン」において、民間活力の活用による窓口事務外部化の推進を掲げており、検討を進めています。
今後、窓口業務の民間委託にかんする法務省などの見解や、先行する自治体のとりくみを検討し、実現に向けてとりくんでまいります。
(4)北とぴあへの指定管理者制度導入にともなう男女共同参画事業への影響について
第4に、北とぴあへの指定管理者制度導入にともなう男女共同参画事業への影響についてです。
北とぴあについては、2年前に指定管理を導入しようとした際、いずれの事業者も区が提案する運営費を上回り、選定がおこなわれなかったという経過があります。ところが今度は、事業者に収益保障のための裁量を拡大し、再度選定をおこなうとしています。
総務省は、指定管理者制度をコストカットのツールとして利用してはならないと警告していますが、経費節減のため何が何でも指定管理の導入を、ともとれる区の姿勢には疑問を感ぜざるを得ません。
それに加え、今回の大きな問題は、男女共同参画センターとして活用している6階部分を指定管理者の管理に委ねようとしていることです。北区の男女共同参画事業は、5階と6階に設置した「スペースゆう」を拠点におこなわれており、区が策定しているアゼリアプランでも「拠点施設の機能強化」が謳われています。ところが、今回の指定管理導入によって、これまでの活動が縮小されるのではないかという不安が広がっています。
そこで、区長にうかがいます。
北とぴあへの指定管理者制度導入による北区の男女共同参画事業への影響をどうお考えですか。男女共同参画センターのこれまで通りの活動を保障するため、6階部分の移管は見直すべきと考えますが、いかがですか。
【区長の答弁】
北とぴあの6階部分については、プラネタリウム投影事業の廃止により、プラネタリウムホールの利用が減少する中で、施設として有効活用を図ることが必要です。
男女共同参画センターが所管するプラネタリウムホールなど、一部施設の北とぴあへの移管については、利用者の皆さまにご不便をおかけする面もあるものと認識しております。
移管に伴う影響については、説明会を開催し、ご理解いただくよう努めているところであり、ていねいに説明してまいります。
4、まちづくりに住民参画の原則を貫くこと
大きな4点目の質問は、まちづくりに住民参画の原則を貫くことについてです。
(1)あらためて特定整備路線について問う
第1に、「木密地域不燃化10年プロジェクト」の特定整備路線についてです。
住民合意のないまま、東京都が一方的に測量を進める道路計画に対し、怒りが爆発しています。4月には、赤羽西地域の住民と静勝寺のご住職が、赤西86号線計画の中止を求める署名約2700筆分を都に提出、5月には、志茂1丁目住民でつくる「未来のための志茂一保存会」が、同じく志茂86号線中止を求め、約2700筆の署名を都に提出しました。十条でも、73号線中止の署名運動が始まっています。
今回の道路計画に対し、これほどまでに住民の反対運動が起きている理由は、計画決定の際に、東京都と北区が、地元住民の意思を徹底的に無視してきたことにあります。私たちはこのほど、2012年の特定整備路線候補区間選定にかかわる都と区のやりとりに関する資料を、情報開示請求によって入手しました。この資料によれば、区が強く推薦した73号線以外に、優先順位が下位の赤西86号線や81号線まで候補区間に引き上げられました。この2路線と、志茂86号線については、区の示した資料でも「地元住民の意向」の欄は空欄となっています。
つまり、住民の意向はお構いなしに、区が積極的に推薦していない道路まで特定整備路線に組み入れられた経過が見て取れます。
区長にお聞きします。
いかなる理由、いかなる緊急性があるにせよ、数百軒に及ぶ立ち退きと、町のありようを一変させてしまう道路計画について、住民に一切はかることもせず、都と区だけで決定してしまうことが、果たしてあってもよいのでしょうか。こうした決定の方法は、「地域のきずなづくり」をめざす北区の施策の方向性にも相反するものと考えますが、いかがですか。
【区長の答弁】
区といたしましては、「地域のきずなづくり」とあわせて、区民の皆さまが安全で安心して生活していただけるよう、まちづくりを進めることが重要であると考えます。
特定整備路線については、東京都が施行する都市計画道路のうち、防災上、整備効果の高い区間を区と協議し、選定しました。
候補区間が発表された後、81号線の北区部分については、花川区長名で候補区間から除外することを求める要望書が提出され、都も同意しました。その理由は「実質8年間という限られた期間での整備は困難であるとの考えにいた」ったということです。
区長にお尋ねします。
いま、86号線でも73号線でも、計画にかかる住民の反対の声が大きくなっており、今後6年間で整備の見通しはたたない状況です。81号線の北区部分と同様、北区における特定整備路線は撤回を都に申し出るべきではないでしょうか。お答え下さい。
【区長の答弁】
首都直下地震の切迫性などをふまえると、特定整備路線の整備は、延焼遮断帯の形成のほか、災害時の緊急避難路や救援活動のための空間確保など木造住宅密集地域の防災性を向上させるうえで、極めて重要なとりくみと認識しており、東京都に対し撤回を求めることは考えておりません。
(2)「不燃化特区」が導入された志茂地域のまちづくりについて
第2に、この4月に「不燃化特区」が導入された志茂地域のまちづくりについてです。
このほど、志茂不燃化特区の整備プログラム概要がしめされました。さまざまな手法を組み合わせた整備内容は複雑で、住民にとっては大変わかりにくいものです。中には戸建て住宅の建替えや除却に対する手厚い支援など歓迎できる施策もある一方、6mの主要生活道路整備やその周辺に確保されるミニ延焼遮断帯にかかる家屋については、建替え時の制限がかかることになります。特に、来年秋頃をめどとする防災街区整備地区計画が都市計画決定されると、道路拡幅のために建替えなどが強力に推進されることになります。
これらを含めた志茂のまちづくりの方向性について、十分に地域住民に周知する必要があります。
区長にうかがいます。
志茂における不燃化特区の事業では、防災地区計画の導入や主要生活道路の整備などについて関係住民に丁寧な説明をおこない、合意と納得を得て進めることを求めますが、いかがですか。
【区長の答弁】
主要生活道路の拡幅整備については、平成18年度の密集事業の導入以来、沿道の地権者の皆さまへの説明会や測量をおこなう際の立会いなどの機会を通じて周知してまいりました。
今後、地区計画の策定にあたっては、都市計画法に定める手続きに加え、志茂地区で全戸配布している志茂まちづくり協議会ニュースの活用や説明会の開催などていねいな説明に努め、地域の皆さまにご理解いただけるよう進めてまいります。
(3)まちづくりに住民の声を反映させるしくみを
第3に、まちづくりに住民の声を反映させるためのしくみをつくることについてです。
区は、まちづくりの一層の推進を今後の方針に掲げています。まちづくりの主役は住民であり、計画の段階からいかに多くの住民の声を聞き、その意見を反映させるかは重要な課題です。そこで、以下、提案いたします。
1つは、まちづくりの事業着手にあたり、事前に関係住民の意見を聴取する機会を制度化することです。
2つは、住民説明会やワークショップ、区長のまちかどトークなどの手法を活用して、住民合意に向けた情報公開と協議の場を可能な限りつくることです。
区長および教育長の前向きな答弁を期待して、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
【区長の答弁】
これまでも区では、都市計画マスタープラン策定時における地域懇談会の開催や、十条、西ヶ原、志茂地区の密集事業におけるまちづくり協議会の活動支援、さらには、公園やコミュニティ道路整備にあたってのワークショップの開催など協働型のまちづくりを推進してまいりました。
今後とも、さまざまなまちづくりの手法、しくみづくりについて研究し、区民の皆さまとの協働の推進に努めてまいります。
3つは、施設の複合化をともなう学校改築にあたっては、計画づくりの過程を透明化し、必要に応じて検討資料を公表することです。
【教育長の答弁】
学校を他の施設と複合化する場合には、施設全体として機能の向上が図られることが大変重要であると認識しており、そのためにも学校以外の施設の利用者など、より多くの方々の参画をいただけるよう、十分配慮してまいります。
また、検討会の資料の公表につきましては、適時適切な情報提供・情報発信ができるよう今後も努めてまいります。