2018年第3回定例会個人質問―のの山けん
2018年9月11日 | のの山けん
私は、大きく3点について質問いたします。
1、北区の人口動向と今後の施設整備について
はじめに、北区の人口動向と今後の施設整備についてお尋ねします。
(1)最新の人口推計調査結果と前回からの乖離について
今年公表された北区の新しい人口推計では、5年前の調査と比べても、想定外ともいうべき人口増の予測が示されました。
総人口は2028年がピークで、現在の35万人から36万2000人まで増える見通しが示されました。前回との比較では、現時点で約1万3000人、ピーク時の年では約3万人もの乖離が生まれています。
同じく、0~14歳の年少人口では、ピークを迎える2033年に約4万3000人となり、前回推計よりも約1万5000人増える見通しとなりました。単純に割れば、これまで考えていたピークより、小学生年齢で1校あたり160人、中学生年齢で1校あたり190人ほどの人口が増える計算です。
北区ではここ数年、年間で数百人から1000人規模の保育所定員を増やし、不足する学童クラブでは、施設の増設が計画されています。
先の第2回定例会では花川区長が、人口増に対応するために、今後必要に応じて諸計画を見直すと表明していることをふまえ、お聞きします。
1つは、区として前回調査からの大きな乖離をどうとらえていますか。
2つに、改定時に見直しが必要なのは、どの計画だとお考えですか。
3つに、人口増により、すでに生じている施設不足については、年度内にも必要な対策をとるべきではないでしょうか。お答え下さい。
【区の答弁】
はじめに、区として前回調査からの大きな乖離をどうとらえるかについてお答えします。
人口推計の乖離の要因は、ここ数年の一貫した人口増加にあると考えています。
人口増加の背景には、日本全体において、人口減少が進行する中でも、人口の東京圏一極集中が続いていることがあります。
また、北区において、工場跡地の大規模開発や民間集合住宅の堅調な建設、あわせて子育て施策や教育の充実などに一定の評価を頂いたことも要因と受け止めています。
さらに、国全体が外国人入国超過の状況にある中、北区においても例外ではなく、外国人人口の増加も、要因の一つとなっています。
北区の人口推計は、社会増減、自然増減といった変動要因それぞれに将来値を仮定し、さらに大型の集合住宅の開発なども反映するなどきめ細かく推計しておりますが、社会や経済情勢等の変化により、乖離が生じた場合には、その要因を検証することが、必要であると認識しています。
次に、改定時に見直しが必要な計画についてです。
今回の人口推計調査結果については、「北区基本計画2015」の改定をはじめ、今後取り組む各種計画等の改定にあたり、基礎資料、参考資料の一つとして活用する予定であり、必要に応じて見直しに取り組んでまいります。
計画等の見直しの際には、喫緊の課題に対する迅速で適切な対応とともに、中長期的には、北区においても避けられない見込みである人口減少局面を踏まえ、将来を見すえた健全な行財政運営を図る視点が不可欠であると考えています。
次に、人口増により不足が生じている施設の年度内の対応についてです。
これまでも、近年の年少人口の増加や保育ニーズの高まりに対応するため、保育園や学童クラブの定員拡大に取り組んできました。
さらに、平成30年4月期において、多数の待機児童が発生した学童クラブの定員拡大を図るため、今定例会において、所要経費を補正予算に計上させていただき、迅速な対応を図る考えです。
今後とも「子育てするなら北区が一番」をより確かなものにするため、的確な取り組みを推進してまいります。
(2)人口増加と学校の適正配置、施設整備について
第2に、人口増加と学校の適正配置、施設整備についてです。
先に開かれた学校施設跡地利活用検討委員会で、旧滝野川第六小学校跡地については滝野川紅葉中学校の施設不足を解消するために提供してほしいと、PTA関係者から強い要望が出されました。滝紅中は、2つの中学が統合してできた学校ですが、当初想定されていた300人規模の生徒数が、現在では1.5倍の450人に増加しており、普通教室のほか、多目的室、新世代学習空間まで目いっぱい使用せざるを得ない状況になっているとのことでした。利活用検討委員会の中でも、委員長や副委員長から、適正配置の検証を求める声が出されました。
一方、現在進行中の十条富士見中サブファミリーブロックでの適正配置協議では、あくまでも教育委員会が示した「5校を3~4校に」という統廃合計画が前提となって議論が進んでいます。
このブロックでは、適正配置計画策定時には当面存続規模を割る学校も存在していましたが、現在では生徒数が増え、3校で適正規模、2校で当面存続規模を確保できる見通しにあります。今、無理に学校を減らす必要はありません。
さらに議論の中では、十条まちづくり事業の進捗や、崖地に建つ小学校の防災対策との関係で、人口推移や適切な学校敷地が確保できるかどうか、極めて不透明な状況にあることも浮き彫りになっています。今後、人口が増えていく見通しに立てば、年内にも最終案を決定するというのは時期尚早ではないでしょうか。人口増加などの理由から、協議を打ち切った桐ヶ丘中サブファミリーと同様、慎重な対応も検討されてしかるべきです。
そこで、区長、教育長に伺います。
1つは、新たな人口推計調査結果をふまえ、また例にあげた滝紅中の実例に照らし、他の学校でも人口増による施設不足が生じていないかどうか実態調査をおこない、不足がある学校や将来不足が避けられない学校については、緊急に必要な対策を講じることです。
2つは、教育委員会として、現在おこなわれている十条富士見中サブファミリー適正配置協議会に新しい人口推計の調査結果を示し、適正配置計画については「5校存置」を含めた検討を提起することです。加えて、十条での開発事業や崖地対策の動向などから、適正配置の方針が定まらない場合は無理に結論を出さす、協議をいったん打ち切って様子を見るよう協議会に提起すること。
3つは、今後の学校施設不足解消などのために、閉校した学校施設跡地を積極的に活用することです。旧滝六小については、策定される跡地利活用計画に基づき、要望の強い滝紅中施設不足解消のための具体化を図ること。また、東京成徳学園への売却方針が見送りとなった旧清至中学校跡地については、売却・貸付をしないで、区としての利活用を検討すること。
以上、3点についてお答え下さい。
【区の答弁】
まず、施設不足について実態調査を行い、緊急に必要な対策を講じることについてお答えします。
滝野川紅葉中学校は、平成30年5月現在、生徒数440名、12クラスで、建設当時に想定していた9クラスを超え、多目的室を普通教室に転用しています。
都の推計値によると、増加傾向が続くものの、当面は、転用可能教室である多目的室に新世代学習室を加えた15クラスを上回ることはないと考えています。
各小・中学校の実態について、ここ数年の児童生徒数の増加を踏まえ、これまで以上に学校および関係課が緊密な連携を図ることで、施設状況の把握に努めていますが、現時点において、直ちに教室数が不足する事態は生じないものと考えています。
しかしながら、いくつかの学校からは、将来的な教室不足を不安視する声も届いており、教育委員会としては、学区域ごとの児童生徒数の動向を注視しながら、各学校の状況に応じた教育環境の確保に努めていく必要があると認識しているところです。
中長期的な視点に立った施設整備については、北区の新たな人口推計や毎年度公表される東京都の教育人口等推計などを分析した上で、現在検討中の長寿命化・改築改修計画において適切な対応策を検討してまいります。
次に、十条富士見中学校サブファミリーブロックの学校適正配置についてお答えします。
本ブロックでは、平成28年度に小学校適正配置検討協議会を設置し、協議を行っております。
平成30年5月のブロック内、5つの小学校の児童数は1065名で、適正規模の12学級は1校、他の4校は6学級から8学級で、新たな人口推計調査結果をふまえても、5校すべてが長期的に適正規模を確保するのは難しい状況です。
引き続き児童数や都市計画事業の動向などをふまえ、協議を進めてまいります。
次に、学校施設の不足解消に、閉校した学校施設を活用することについてです。
はじめに旧滝野川第六小学校についてです。
当該学校施設跡地は、利活用計画検討委員会を8月に終了し、検討委員会から最終報告書を頂きました。
区民や地域代表者の方からは、保育園の待機児童解消や防災機能の確保、あわせて滝野川紅葉中学校の教育環境の改善などについて意見が寄せられました。
検討委員会では、寄せられた意見や北区全体の課題、地域の課題をふまえ議論を重ね、最終報告書がまとめられたものです。
最終報告書の中では、保育所待機児童解消、防災機能の確保、東京国際フランス学園との連携の更なる強化、の3点を、利活用の基本的方向とし、あわせて「教育環境の充実については、区長部局と教育委員会が連携して検討し、より良い教育環境の提供につなげることを期待する」といった記載もされています。
区といたしましては、こうした経緯もふまえ、今後策定する「学校施設跡地利活用計画」に基づき、必要な対応を図ってまいります。
次に、旧清至中学校についてです。
当該学校施設跡地については、今月末まで、保育園運営のため東棟を社会福祉法人に貸し付けています。
その後の活用については、行政需要も見極めながら、暫定活用も含め検討し、区民共通の貴重な財産の有効活用を図ってまいります。
(3)今後の児童館のあり方に関する基本方針、子どもセンター及びティーンズセンター配置方針の再検討を
第3に、今後の児童館のあり方に関する基本方針、子どもセンター及びティーンズセンター配置方針についてです。
来年度までに、改築中の王一小を除くすべての小学校で放課後子ども総合プラン導入の見通しがついたことで、児童館から子どもセンター、ティーンズセンターへの移行が本格的に進むことになります。5年前に策定された「今後の児童館のあり方に関する基本方針」と、4年前の「子どもセンター及びティーンズセンター配置方針」は、当時25館あった児童館を15~17センターへと削減する計画となっており、現在までに6つの児童館がセンターに移行し、4つの児童館が廃止となっています。
しかし、そもそもこの統廃合計画は、子どもの人口減少が大前提の方針でした。センター配置方針では2033年までに年少人口が約2万6000人に減少するとしていましたが、最新の人口推計では、この予測を約1万7000人も上回ります。
いま、不登校児童や貧困家庭の子どもの居場所づくりが叫ばれ、民間団体やボランティアによって運営される子ども食堂が、区内に20ヵ所以上も広がっています。そうした時に、乳幼児親子や中高生の貴重な居場所、遊び場である児童館を最大4割も減らす計画は、区民ニーズへの逆行ではないでしょうか。
そこで、お尋ねします。
児童館のあり方基本方針と子ども・ティーンズセンター配置方針について、施設利用者の意見も聞きながら検証をおこなうとともに、人口増加に対応して児童館を可能な限りセンターとして残す計画に見直すよう求めます。お答え下さい。
【区の答弁】
これまで、基本方針等に基づき、児童館を乳幼児親子が一日安心して過ごせる居場所として「子どもセンター」へと、また、中高生世代の居場所機能を一層充実させるために、「ティーンズセンター」へと順次移行してまいりました。
あわせて、「放課後子ども総合プラン」を計画的に推進し、小学生の居場所が確保されるなどの周辺環境が整った児童館から、順次、移行および統合を進め、小学生の安全・安心な居場所・活動場所の充実を図ってまいりました。
今後も、児童館の移行については、様々な機会をとらえ、利用者のご意見を伺いつつ、乳幼児親子向けの各種事業等における参加枠の拡大や、中高生が自由に利用できる、中高生タイムの充実など様々な工夫を凝らし、乳幼児親子や中高生の参加機会・活動の場の充実に努めてまいります。
(4)公共施設再配置方針の抜本的見直しを
第4に、公共施設再配置方針についてです。
ここまで私は、人口増加によって施設が不足しないよう対応を求める質問をしてきました。ところが、北区が掲げる公共施設再配置方針は、向こう20年間で施設総量の15%を削減するという計画です。先の第2回定例会で、わが会派の本田正則議員が、この方針の見直しを求めたのに対し、区は、「現時点で施設総量の削減目標を見直すことは考えていません」と答弁しました。これを受け、以下、質問いたします。
1つは、削減目標達成の時期に関してです。区は、「平成40年まで北区の人口は増加すると見込んでいるが、中長期的には人口減少は避けられない」ので、目標は見直さないとしています。しかし、再配置方針策定から20年といえば、今回の人口推計で年少人口がピークに達する2033年です。最も人口が増える時に、施設を最大限減らすというのは非現実的ではありませんか。
2つは、財源についてです。区は、「老朽化した施設にかかる多額の更新費用への対応が困難である状況は変わらない」から、目標は見直さないとしています。しかし、方針策定時の前提は、「数年後には財調基金が枯渇する」という認識でした。現在、主要5基金の残高は過去最高の548億円、財調基金も150億円を超えています。今年度は、新庁舎と学校改築のためにそれぞれ20億円ずつ積み立てをおこなっています。これだけの基金を積み増しながら、「財政が厳しいから施設は削減する」というのは、区民の納得が得られないのではないでしょうか。
3つに、来年度、基本計画や経営改革プラン改定の時期にあわせ、あらためて「20年間で15%の削減」目標を見直すことを求めます。
区長の前向きな答弁を求めるものです。
【区の答弁】
はじめに、削減目標達成時期についてです。
平成25年7月に策定しました公共施設再配置方針は、当時の人口推計調査を基礎として策定しており、近年の人口増加によって、当時の推計とは乖離が生じています。
しかし、公共施設再配置方針は、将来人口の推計とともに、昭和40年代をピークに減少を続けてきた人口の動向や少子高齢化の進展、公共施設の更新需要などを課題としてとらえ、策定しました。
区ではこれまで、人口構成や施設需要の変化等により、区民ニーズに合わなくなった施設や役割を終えたと考えられる施設については、統廃合や廃止を行う一方、年少人口の増加や保育ニーズの高まりなどに対応するため、保育園や学童クラブの整備に取り組んでいます。
引き続き、人口推計調査の結果をふまえつつ、今後の人口動向を注視しながら、具体的な施設の再配置を検討してまいります。
次に、施設の更新費用にかかる財源についてと、基本計画や経営改革プラン改定の時期にあわせた削減目標の見直しについてお答えします。
ご指摘の通り、主要5基金の合計残高は548億円と過去最高になり、財政調整基金の残高は150億円を超えています。
しかし、こうした基金は、急激な景気変動や震災等発生時への備えとして、また、新庁舎の建設や計画的に進めている学校改築などを着実に推進するために必要なものであり、決して十分な残高を確保できているとは言えません。
今後、少子高齢化が進展する状況も踏まえますと、扶助費の増大などで歳出規模の拡大が見込まれる一方、区税収入の大きな伸びを期待することは難しく、老朽化した施設にかかる多額の更新費用への財源確保が困難である状況は変わらないことから、現時点で施設総量の削減目標を見直すことは考えておりません。
なお、具体的な施設の再配置については、今後の人口動向やそれに伴う施設需要の変化、老朽化による施設の更新時期などを見極めながら、来年度改定を予定している基本計画や経営改革プランに位置づけて実施してまいります。
2、十条まちづくりと商店街振興について
大きな2つ目の質問は、十条まちづくりと商店街振興についてです。
(1)十条まちづくり事業が既存商店街に及ぼす影響について
第1に、十条まちづくり事業が既存商店街に及ぼす影響について伺います。
事業の基本方針である十条地区まちづくり基本構想には、第2章「まちづくりの将来像と方針」に、「歴史ある商店街は、地域との密着性を保ちつつ、…にぎわいの拠点にふさわしい商業圏を形成している」と書かれています。一見すると、十条銀座商店街をはじめ駅前に広がる6つの既存商店街が、今後も新しいまちづくりの中で発展していくかのように描かれています。
しかし一方で、第3章「エリア別基本構想」では、十条駅周辺に、「区のシンボルにふさわしい住宅・商業・業務機能が共存する再開発ビルを中心として、業務系、住宅系建築物の高度利用を促進誘導(する)」とあり、40階の超高層ビルに、新たなにぎわいの拠点をつくるとしています。実際すでに、再開発ビル内に大規模な商業施設を誘導しようという計画が、再開発組合で検討されています。歴史ある既存商店街と、新しいにぎわいの拠点とは、果たして共存共栄が可能なのでしょうか。
日本共産党議員団はこのほど、民間主導の再開発で商店街の再生をめざす高松丸亀町商店街を視察しました。高松市では今から30年ほど前、バブル崩壊と瀬戸大橋の開通を契機にした大規模小売店舗の流入で、駅前に形成されていた商店街が大打撃を受けました。高松丸亀町商店街のとりくみは、中心市街地から郊外へと離れていった住民を、再び中心市街地へ呼び戻すことが動機となっていました。中心市街地には、高松丸亀町商店街を中心にして8つの商店街が連なり、ちょうど十条駅周辺の構造と似ていました。その中で、ことでん瓦町駅前を起点とする常磐町商店街は、一見してそれとわかるほど空き店舗が目立つシャッター通り商店街となっていました。市からの聞き取りでは、瓦町駅前に出店しては撤退を繰り返す、ジャスコや高松OPAといった大規模商業施設の影響が大きかったとのことでした。
北区内でも同様のことが起きています。ちょうど7年前、JR赤羽駅構内に約50店舗が集積するエキュート赤羽が開業しました。JRは当初、「地元商店街と競合しないように配慮したい」としていましたが、できてみると多くの店舗が駅前の一番街商店街と重なる業種でした。結果、シャッター通りにはなっていないものの、エキュートと競合する多くの店舗が撤退を余儀なくされ、一番街は飲食店街へと様相を変貌させていきました。
これらの例から言えることは、駅前に新たな商業機能が誘導されれば、周辺の既存商店街に大きな影響が及ぶということです。
そこで、お尋ねします。
区は、再開発ビル内の商業施設によって、既存商店街にどのような影響がでるとお考えですか。新たなにぎわいの拠点と既存商店街は、本当に共存共栄の関係を築くことができるのでしょうか。お答え下さい。
【区の答弁】
区では、既存商店街に加えて再開発ビル内の新たな商業施設ができ、十条地区以外からも多くの来街者が訪れることで、十条駅周辺が、さらなるにぎわいの拠点となると考えております。
また、再開発組合では、今年3月から組合員である地元商店街の方を含めた商業プランの意見交換会を実施しており、その中で、新たな商業施設と既存商店街との関わりについて、様々なご意見もいただいていると聞いております。
区では、十条地区まちづくり基本構想でかかげる将来像の実現に向けて、再開発ビル内の新たな商業施設と、既存商店街が共存共栄できるよう努めてまいります。
(2)区の商店街振興策について
第2に、十条まちづくりにおける商店街振興策についてお尋ねします。
1つは、今年度の当初予算で100万円の予算が計上された十条地区商店街支援事業について、その詳細を伺います。
2つは、道路事業との関連です。補助73号線の新設や補助85号線の拡幅によって、十条富士見銀座商店街や、いちょう通り十条駅西口商店会の多くの店舗が撤退を迫られることになります。これら既存商店街の存続と振興について、あらためて区の見解を問います。
3つに、かねてより東京都や北区に対し、十条まちづくり事業の見直しを求めてきた十条地区商店街まちづくり連絡会との協議は、その後、どう進んでいますか。連絡会からの要望に対し、区がどのように対応してきたのか、お示し下さい。
【区の答弁】
まず、十条地区商店街支援事業についてです。
本事業では、商業とまちづくりの両方に精通するコンサルタントに委託して、商店街内からのご要望をふまえ、十条地区に類似した事例紹介を含む講演会を開催するよていとしております。
区では、この講演会が、将来の十条商店街のあり方を検討していただくきっかけになればと考えております。
次に、道路事業における既存商店街の存続と振興についてです。
補助73号線新設整備では、十条富士見銀座商店街および十条銀座商店街の一部に、補助85号線拡幅整備では、いちょう通り十条駅西口商店会に影響があります。
区といたしましては、地域に根ざした商店街は、にぎわいを形成する上でも、貴重な地域資源であると認識しており、事業者である東京都と連携を図り、道路整備により影響を受ける各商店街の皆さまと意見交換を行っております。
引き続き、商店街の更なる活性化や、まちの魅力の向上をめざし、既存の商店街のにぎわい創出や、個店の魅力発信、連携強化など、できる限りの支援に取り組んでまいります。
次に、十条地区商店街まちづくり連絡会との協議経過についてです。
区では、昨年9月に、座談会形式で東京都や再開発組合とともに連絡会からのご要望について回答させていただきました。
今後も、区といたしましては、事業者と連携しながら、商店街の皆さまに対し、各事業へのご協力が得られるよう、きめ細かく丁寧な説明に努めてまいります。
(3)にぎわいある十条のまちづくりは住民合意を大前提に
第3に、にぎわいある十条のまちづくりは住民合意を大前提に進めることです。
ドーム広場で有名な高松丸亀町商店街のA街区は、関係地権者全員からの同意を前提とする都市再開発法110条に基づく事業手法がとられたそうです。時間はかかっても、関係権利者全員からの納得を得ようと、4年をかけて合意をとりつけたとのことでした。
一方、十条駅西口再開発事業は、3分の2の同意で発動できる再開発法111条の手法に基づくものです。現在、3分の2の要件を満たしているかについては住民提訴の裁判で争われているところですが、仮に要件を満たしているとしても、事業に反対したり賛同していない3分の1の権利者を切り捨てて再開発が進むことになります。
また、補助73号線についても事業認可取り消しを求める住民訴訟が起きるなど、十条まちづくり事業については十分な合意形成が図られているとはいえません。
そこで質問です。
居住者や商店街に大きな影響を与え、まちのありようを大きく変えるまちづくり事業を、住民合意なしに進めることは許されません。区は、十条地区まちづくり基本構想がうたう「区民とともに行うまちづくり」の立場に立ち返り、現在起こされている裁判の結論が示され、住民の合意が得られるまで、再開発や道路事業を中断するよう働きかけるべきと考えますが、いかがですか。お答え下さい。
【区の答弁】
十条地区のまちづくりは、十条地区まちづくり基本構想に基づき、「にぎわいとやすらぎを奏でるまち―十条」を実現するため、「区民とともに行うまちづくり」等を方針としてまちづくりを推進しております。
区といたしましては、補助73号線等の道路事業を実施している東京都や、十条駅西口地区市街地再開発事業を実施している再開発組合と連携を図り、引き続き、地権者の皆さまへの丁寧な対応を行ってまいりますが、いずれの事業も重要であると認識しており、事業を中断するよう東京都および再開発組合に対して働きかけることは考えておりません。
3、赤羽・志茂地域の諸課題について
大きな3つ目の質問は、赤羽・志茂地域の諸課題についてです。
(1)赤羽一丁目における市街地再開発事業について
第1に、赤羽一丁目における市街地再開発事業についてお尋ねします。
現在、赤羽駅東口周辺で、第一地区、第二地区という2つの再開発の動きがあります。先行する第一地区では、新たに建設される再開発ビルの地下に、機械式駐輪場を整備する計画です。駅前再開発は、まちの様相を大きく変えてしまうことが往々にしてありますが、この地域には先ほどもふれた一番街やスズラン通り、東口駅前通りなどの商店街が連なっています。
そこで、3点伺います。
1つに、再開発事業が駅前周辺の商店街に及ぼす影響について、区はどのように考えていますか。
2つに、地権者や借地権者の合意はもとより、テナントで入居している店舗からも同意と納得が得られるよう丁寧な説明に努めることを、区から準備組合に求めて頂きたい。
3つに、かつて赤羽駅東口に計画していた機械式地下駐輪場は、地下水のために断念しましたが、第一地区の駐輪場建設の見通しはいかがでしょうか。お答え下さい。
【区の答弁】
準備組合が結成されている第一地区については、権利者を対象に、権利変換の希望等のヒアリングが進んでおり、再開発ビルの占める商業床のボリューム等がおおよそ、まとまってきていると聞いています。
それによると、再開発ビルの商業床の計画規模は、現在の地区内で店舗用ととされている施設の面積規模を上回らないとのことです。
また、限られた計画敷地の施設配置計画上の制約から、大規模な商業施設計画としないよう検討が進められています。
以上のことから、区としましては、第一地区における再開発ビルの商業施設の規模感から、周辺駅前商店街等への営業面での影響は限定的と考えています。
なお、第二地区につきましては、事業化に向け、準備組織が合意形成を進めている段階であり、現時点で具体的な商業計画等の検討は実施されていません。
次に、地権者・借地権者の合意形成やテナントへの丁寧な説明について、お答えします。
両地区の事業化に向けた合意形成の状況は、検討の開始段階に時間差があることから差異はありますが、区はこの間、地域の理解を含め、両地区の今後の円滑な事業の推進のために、機会あるごとに権利者の合意形成に全力で努めるよう、働きかけを行っています。
準備組合等は、これに応える形で、権利者への戸別訪問による丁寧な説明等を実施しているものと認識しています。
また、テナントで入居している店舗等への説明については、モデル権利変換計画が示されていない現段階で、権利者が事業参画を判断することが難しいことや、他の権利者の意向によっては事業化できない可能性もあるため、テナントへの説明には慎重な対応が必要と聞いています。
先行する第一地区については、準備組合がテナントとの関係を円滑に保つための勉強会を開催する予定をしており、区としましては、このような取り組みを通じて、テナント等への説明を適宜適切に行うよう今後とも求めてまいります。
次に、第一地区の機械式地下駐輪場計画の見通しについて、お答えします。
第一地区では、限られた計画敷地の中で、再開発ビル内の商業施設の附置義務駐輪場を含めた機械式地下駐輪場を整備する計画としています。
準備組合によると、機械式地下駐輪場のメーカー等から、この間の各地での稼働実績や技術の進展等により、防水性の高い構造躯体や施工方法を採用することで、本地区のような地下水位の高い地盤での事業化も可能である旨の回答を得ていると聞いています。
(2)北清掃工場建替事業について
第2に、北清掃工場建替事業についてです。
今後予定されている解体工事にあたり、粉塵や騒音を防ぐための全覆い仮設テントを使用しないとした東京二十三区清掃一部事務組合の説明に、地域住民のみなさんから不安の声があがっています。清掃一組は、先の区民生活委員会説明会でも、テントの組み立てスペースが確保できないなどの理由をあげ、あらためて仮設テントの設置に否定的な見解を示しました。
しかし、北区に先立ち23区内で行われている他区での建替事業では、解体工事で全覆い仮設テントが使用されています。
そこでお聞きします。
1つに、清掃一組が全覆い仮設テントが使用できないとしてあげている理由について、区の見解を問います。
2つに、清掃一組は、工事までにはまだ時間があり、今後の技術革新によってはテントの使用が可能となることもありうるとしています。区として、周辺住民への被害が最小限となるよう、全覆い仮設テントの使用を強く清掃一組に求めて頂きたいと考えますが、いかがですか。
【区の答弁】
まず、北清掃工場建替工事に「全覆い仮設テント」が使用できない理由についての区の見解についてお答えします。
東京二十三区清掃一部事務組合は、「全覆い仮設テント」を設置できない理由として、敷地内に移設不可能な下水道局の施設があり、テントや重機の重さに耐えられない恐れがあることや、北清掃工場の建屋に対応する大きさのテントが現存しないこと等から、設置が困難であるとしています。
北区としても「全覆い仮設テント」の使用を、清掃工場建替計画策定検討委員会等で求めてまいりましたが、清掃一組と情報を共有し、議論していくなかで、「全覆い仮設テント」の設置ができないことにつきましては、現段階ではやむを得ないと考えています。
次に「全覆い仮設テント」の使用を清掃一組に強く求めていくことについてです。
先ほどお示しした、「全覆い仮設テント」が使用できない理由については、今後、技術革新が進み、解決できる課題が出てきたとしても、スペースや、埋設物の問題等、対応困難な課題があると認識しております。
北区といたしましては、地域住民の皆さまへの環境負荷を最小限に抑えて、建替えを円滑に進められるよう、引き続き、清掃一組と連携して対応してまいります。
(3)(仮称)志茂二丁目児童遊園整備について
最後の質問は、(仮称)志茂二丁目児童遊園の整備についてです。
7月に開かれた志茂まちづくり協議会総会で、旧志茂地域振興室跡地に整備される志茂二丁目児童遊園については、今後、意見交換会を開いて住民の意向を聞くとの報告がありました。協議会の場では、これまで志茂の密集事業で整備されてきた、ゆりの木公園や小柳川公園と同じように、ワークショップを開いてほしいという意見も出されています。
そこで、意見交換会では、地元周辺住民に限定することなく、まちづくり協議会の会員や希望する人すべての参加を認め、幅広い意見を集約することを求めるものです。
以上で、私の質問を終わります。ご静聴、ありがとうございました。
【区の答弁】
旧志茂地域振興室跡地に整備を予定する(仮称)志茂二丁目児童遊園については、その施設規模や誘致園等の考え方から地元町会を中心に基本設計にかかわる話し合う会を複数回開催することを計画しています。
この話し合う会には、志茂まちづくり協議会の活動に代表されるように、住民主体のまちづくり活動のすそ野を広げ、協働型のまちづくりを推進するため、町会自治会の協力を得て、志茂地区全域の住民の方々に参加を募っていきます。