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ひ506-43
平成18年2月8日
東京都環境審議会
  水質土壌部会長 殿
独立行政法人都市再生機構東日本支社
                           支社長  中  川   忠

豊島五丁卓団地におけるダイオキシン類対策地域の指定等について(意見)

 豊島五丁目団地の土地所有者及び管理者として、団地における対策地域の指定等に関して、機構の意見を申し上げます。
 当団地は住宅戸数が約5,000戸と大規模な団地であり、約1万人の居住者が生括し、保育園や児童館を利用する区民、団地内賃貸施設の経営者や利用者も多数いる団地であります。
 現在、当機構では、このような団地の特性を踏まえ、ダイオキシン類と併せて確認された重金属等汚染への対策措置として、居住の安全を図るため、団地全域において植栽地、遊び場など土壌が露出している部分について法令に基づく対策(原則として覆土50cm)を、平成18年6月未を目途として実施しているところであります。
 当機構としては、地域措定の有無に関わらず、土地利用を変更することなく団地を存続する方針であり、多数の方が現に居住している団地においてダイオキシン類により汚染された土壌を掘削除去することは技術面及びリスク管理面から極めて困難であり、現在実施中の覆土対策により汚染土壊の直接摂取リスクは遮断され、安全面から見てもこの対策がダイオキシン類対策にもなると考えております。
 以上、当機構としましては、覆土を基本とした対策工事を着実に実施し、汚染土壌の直接摂取のおそれがないよう団地の安全な維持管理に努めて参る所存でありますが、これまで地域指定された事例と異なり、約1万人の居住者を中心に日常生活が営まれている地域である当団地の指定については、住民とのリスクコミュニケーションを十分に実施したとしても、汚染地域であるというマイナスイメージに伴う風評被害など、賃貸住宅経営面だけではなく、周辺地域を含めた地域全体に及ぼす影響も極めて大きいと懸念されるところであり、慎重な検討をお願いしたいと考えているところであります。
 また、今後の団地の維持管理に当たっては、関係事業者との十分な協議及び調整、緊急修繕や計画修繕等の工事を安全に実施するための管理マニュアルの作成、関係機関との管理協定の締結、埋設管の地上配管化など様々な対策が必要となります。仮に、行政において実行性の確保を担保していただく観点から、機構を含めた透明性の高い協議会を設置するなどの措置を請じていただくとすれば、地域指定がされた場合と同等の成果が得られるものと考えております。
 なお、仮に対策地域に指定され、対策計画において機構が実施者として将来の掘削除去を求められることとなれば、地方公共団体が実施者となる場合とは異なり、原因者への費用負担請求の法的根拠も国の補助金の導入も得られず、土地所有者である機構の経営を揺るがしかねない程の巨額の費用を当機構が強いられるという非合理的かつ不公正な結果となること等から、対策の実施者は地方公共団体にお願いしたいと考えているところであります。
以上

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