<戻る 
3.まとめ
3-1 測定結果について
  本調査対象者の血液中ダイオキシン類濃度の範囲は1.5~55pg-TEQ/g-fat、平均値は12pg-TEQ/gpfatであった。年齢層別に見ると、未就学児(3~6歳)の範囲は1.5~55pg-TEQ/g-fat、平均値は15pg-TEQ/g-fatであり、児童生徒(7~15歳)の範囲は1.7~22pg-TEQ/g-fat、平均値は8.Opg-TEQ/g-fat、16歳以上の範囲は3.5~32pg-TEQ/g-fat、平均値は12pg-TEQ/g-fatであった。
  13歳以上の対象者の血液中ダイオキシン類濃度は、環境省等で実施されている既存調査の濃度レベルの範囲内であった。なお、12歳以下の対象者の血液中ダイオキシン類濃度については実施事例がないため比較できない。

3-2 汚染土壌等との関連について
  (1) ダイオキシン類の異性体・同族体組成
  • 豊島五丁目団地内の汚染土壌のダイオキシン類の異性体・同族体組成と、本調査対象者の血液中ダイオキシン類の異性体・同族体組成は、明らかに異なっており、土壌中のダイオキシン類が対象者の体内で高濃度に蓄積されているとは認められなかった。
  • 本調査対象者の血液中ダイオキシン類の異性体・同族体組成は、環境省が実施した全国調査とほぼ同様の傾向にあり、日本人の一般的な分布とほぼ等しいことも、対象者の血液中ダイオキシン類が汚染土壌由来でないことを示唆する事実である。
  (1) 居住地・居住期間との関連
  • 調査時点における居住地が豊島五丁目団地内の対象者と団地外の対象者の間に、血液中ダイオキシン類濃度の差は認められなかった。
  • 豊島五丁目団地内での居住期間と血液中ダイオキシン類濃度との関係は認められなかった。
  (3) 豊島東保育園への通園歴との関連
  • 園庭の表層土壌から環境基準を超えるダイオキシン類が検出された豊島東保育園への通園の有無による血液中ダイオキシン類濃度の差は認められなかった。
  (4) 土壌の摂取頻度等との関連
  • 豊島東保育園の園庭や団地内の表層土壌から環境基準を超えるダイオキシン類が検出されたが、団地内の土壌の摂取頻度が比較的高いと考えられる未就学児(3~6歳)及び児童生徒(7~15歳)について、土遊びの経験、土壌の摂取頻度と血液中ダイオキシン類濃度との関係は認められなかった。

3-3 その他要因との関連について
 

3~15歳の対象者について、母乳で育てられた子供と人工乳・混合乳で育てられた子供の血液中ダイオキシン類濃度を比較すると、母乳で育てられた子供の血液中ダイオキシン類濃度が有意に高かった。
  母乳で育てられた子供については、授乳を終了してからの期間が長いほど、血液中ダイオキシン類濃度は低かった。

結論
豊島五丁目団地におけるダイオキシン類汚染土壌による曝露状況を把握することを目的として、豊島五丁目団地居住者、豊島東保育園関係者138人の血液中ダイオキシン類濃度等を調査した。
  汚染土壌中のダイオキシン類が豊島五丁目団地居住者、豊島東保育園関係者に摂取され、体内に蓄積されているとは認められなかった。

<戻る