大きく第四の質問は、第5期北区介護保険事業計画、地域包括支援センターの充実等で誰もが安心の北区の介護をめざしてです。
1点目は、「改正」介護保険法にともなう、第5期介護保険事業計画についてです。
改正介護保険法は、衆議院で10時間、参議院で8時間というわずかな審議時間で、地域包括ケアシステムの導入を柱とする「改正」が決まりました。
しかし、一方、特養ホーム等の深刻な施設不足、実態を反映しない介護認定等の現行の介護保険の多くの問題点は一顧だにされず、新たな給付抑制策等が盛り込まれました。訪問介護の基本時間を60分未満から45分未満への縮小案が出されています。経験20年のヘルパーさんは、「訪問介護はコミュニケーションを大切にして、高齢者を支えます。60分では足りないこともあり、45分ではとても無理」と語ります。ヘルパーの離職に拍車をかけ、結果的に高齢者をないがしろにするもので、断じて認められません。「改正」介護保険と介護保険事業計画について質問します。
①現行の要介護認定制度、利用限度額制度は廃止し、介護サービスは、保険者や現場の専門家の判断で必要な介護を提供できる仕組みに改善すること。
②保険料の大幅値上げが必至です。一時しのぎの抑制策でなく国庫補助を大幅に増やし引き上げはしないこと。
③要支援1・2方にサービス切り捨てとなる「総合事業」は凍結し、現行の保険予防給付で対応すること。
④24時間地域巡回型訪問サービスを目玉とする「地域包括ケアシステム」が創設されましたが、具体的内容は、今後、政省令で示すとしています。財源等、国の責任を明確にすること。
⑤介護報酬を大幅に引き上げる処遇改善策を実施すること。その際、報酬引き上げが利用者の負担増にならないよう仕組みを作ること。当面は、介護職員処遇改善交付金を継続・拡充すること。以上5つの改善を国に求めてください。
次に、第5期介護計画で認知症支援策とともに重点的な取り組み事項となった介護と医療との連携についてです。 これまでもわが党が山口県宇部市の先進例を取り上げ本会議代表質問を重ねています。特に今回は、歯科医師会との予算懇談でも強い要望を頂きました。
そこで在宅医療連携推進のため、近隣の大学病院、都立病院、区内基幹病院、北区役所、医師会、歯科医師会、看護師、および介護サービス関係者等による、「(仮称)在宅医療推進協議会」を設置すること。区長の積極的な答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、第5期介護保険事業計画について順次お答えいたします。
平成12年度から開始された介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組として、着実に定着しつつあります。
・一方で、サービス利用の大幅な伸びに伴い費用も増大し、また、人口減少社会が現実となる中、制度の持続可能性を確保していくことが課題となっております。
国に対しては、介護保険財政の健全な運営のため十分かつ適切な財政措置を講じること、また、低所得者に対する軽減策については、国の責任において、財政措置を含め総合的かつ統一的な対策を講じるよう抜本的な見直しを求めています。
また、介護従事者を取り巻く厳しい状況を改善し、同時に、保険料の値上げに通じることのないよう、大都市に見合った介護報酬の改定と介護職員処遇改善交付金の継続を要望しております。
新たに創設されました日常生活支援総合事業については、利用者のニーズや、平成24年度に策定予定の高齢者保健福祉計画の内容を踏まえながら、財源・人員・サービス内容など幅広い検討を行なったうえで、第5期計画期間中に実施するとしたら、どのように実施すべきか慎重に判断してましります。
同時に、介護予防及び重症化予防の観点から、生活支援サービスについて、介護保険給付の対象として維持することを国に求めています。
・次に、「(仮称)在宅医療推進協議会」の設置についてお答えします。
在宅療養を進めるためには、地域包括支援センターやケアマネジャー、介護事業者と、医師会や歯科医師会をはじめとした医療関係者等、介護と医療が連携し、介護サービスと在宅療養が適切に受けられる仕組みづくりが大切だと考えています。
今後、地域包括ケアを推進するにあたり、介護と医療の連携は、とても重要と認識しています。
現在、「長生きするなら北区が一番」専門研究会で地域包括支援センターを中心とした介護と医療の連携の仕組みづくりや、事例検討のための協議会の設置などを検討しております。 |
2点目は、北区の介護認定の改善について質問します。
予算要望の懇談の中では「介護5の寝たきりの方が4に下がるケースが目立ってきた。」「資料の事前送付があるにせよ、合議体としての審査会の審査が30ケース、30分で合議と言えるのか」また、先日の5期事業計画の公聴会では調査員の方から、「北区は訪問調査に際し、毎回人を変えるため、来る度に同じことを聞くなと言われ、高齢者に負担をかけているなーと感じた」等、他では見られない北区独自のルールがまだ存在しています。そこで、誰もが納得できる認定への改善をめざし、4つ伺います。
①認定調査の際に、本人、家族の希望があれば、ケアマネージャー、ヘルパー等の介護関係者の立ち会いを認めること。
②主治医意見書の提出手続きは、北区が行うこと。
③認定決定に要する日数は、30日以内とする法定期間を遵守すること。
④認定審査会では充分な審査時間をとり審議を尽くすこと。 以上答弁下さい。
【区の答弁】
次に、介護認定の改善についてお答えいたします。
・まず、認定調査の立ち会いについては、原則としてご家族とさせていただいております。
これはご本人の日ごろの状況を、ご家族の方が一番熟知していると考えているからです。しかし、ご家族が遠隔地にいらっしゃる場合など、ご家族では日常の様子を把握できないと客観的に判断できる場合には、ご家族の了解を得たうえで、必要に応じ、ケアプランを担当するケアマネジャーによる立会いを認めています。
・次に、主治医意見書の提出手続きについてですが、主治医意見書の遅れの主な理由として、区が意見書を依頼する際に、申請者が受診をしていないというものが多くありました。
これを解消するには、ご本人が意見書の用紙を持参して主治医を受診していただくことが、最も効果があるものと考え、平成17年度から現在の方式に変更したものです。
・次に、要介護認定に要する日数は、介護保険法により申請から30日以内に行うこととされておりますが、北区では、直近の数字で平均36.4日となっております。
これまでも、これを短縮するための方策として認定審査会の判定部会数を25から30にし、主治医にお願いしていただく方式に改めるなどの対応をとって参りましたが、今後も短縮に向け、さらに努力して参ります。
また、末期がんの方については、特に認定の迅速化が求められるため、資料の事前配布ではなく、審査会当日に配布して審査をする方式に改めております。
・次に、認定審査会は、一審査会あたり約30件ずつ行なっておりますが、北区の場合、この資料につきましては事前に委員のもとにお送りし、審査会当日までに内容を確認していただいております。
審査会におきましては、医療・保健・福祉の委員がそれぞれご自分の意見を述べられ、意見が一致しないものについては、特に議論を深めるという方法で審査を行っております。 |
3点目は、介護相談のよろず相談窓口となっている地域包括支援センターの充実について質問します。
①直営地域包括支援センターの業務委託は行わないこと。
②全高齢者実態把握調査結果での施設認知度はいかがだったでしょうか、また、認知度と利用率向上の方策についてもお答えください。
③全高齢者調査における住民要望の今後の施策展開のために、思い切った人員増をはかること。その際、経営が赤字とならない積極的な財政支援を行うこと。
④地域割りについても実情に見あったものにすること。今後の高齢化率の上昇、立地条件等も考慮し15箇所計画は、ローリングの機をとらえて増設をはかること。以上答弁下さい。
4点目の目の質問は、8月から取り組まれている、全高齢者実態把握調査アンケートについてです。 回答が70%を超えました。これは区民の切実さ、要望の高さで、今後の高齢者施策充実の願いと期待が示されています。 まず直近の回答状況、目標75%達成の見通しをお答えください。合わせて新年度の高齢者施策の拡充に可能なものから積極的に生かすこと。特に要望の高い、紙おむつ支給事業等は直ちに支給要件の緩和を行い改善をはかること。
区民の切実な声に応える、区長のあたたかい答弁を求めます。
【区の答弁】
次に、地域包括支援センターの充実についてお答えします。
・まず、直営の地域包括支援センターの委託についてです。
直営の地域包括支援センターは、祝日と土曜日の開所及び利用時間の延長などサービスの充実のため、平成25年度に滝野川地域包括支援センターを委託し、王子地域包括支援センターが委託の地域包括支援センターを支援する体制を強化してまいります。
・次に、全高齢者実態把握調査での認知度と認知度・利用率向上の方策についてです。
全高齢者実態把握調査の1万人の速報では、知っている及び利用したと答えた方が合わせて39.2%、知らないと答えた方が50.5%でした。
認知度、利用率向上のために、北区ニュースやパンフレット、各地域包括支援センターのチラシ作成をはじめ、様々な機会でPRを行うとともに、親しみやすい愛称を募集しました。
愛称については、所管委員会にご報告する予定です。
・次に、人員増については、今年度から相談機能の充実のため、委託の地域包括支援センターについて、社会福祉士等の専門職1名の人件費を増額しました。
高齢化のさらなる進展の中で、地域包括支援センターの役割は重要と考えており、今後も、引き続き地域包括支援センターの体制強化を進めてまいります。
・次に、地域割についてです。
地域割については、担当地域の高齢者数やケアプラン作成数を考慮しています。
地域包括支援センターは、基本計画に基づき、平成25年度に、新町中学校あとに建設予定の特別養護老人ホーム併設により1か所増設し、あわせて、滝野川地域包括支援センターの委託による設置場所の変更を行います。
さらに基本計画の前期期間中に王子西地区に1か所増設し、15か所とする予定です。
これにともない、高齢化率や立地条件を考慮して、地域包括支援センターの担当地域の再編を行います。
将来的な配置のあり方については、高齢者保健福祉計画や、基本計画改定の中での課題と考えています。
・次に、全高齢者実態把握調査の直近の回答数、目標75%の見通しについてです。
11月18日現在の回答数は、5万6098人、回答率72%です。
現在、訪問員が、回答のなかった方を、訪問しており、年末までには、目途とする75%に近づくものと考えています。
次に、調査結果を、新年度の高齢者施策に可能なものから積極的に活かすこと、特に要望の高い、おむつ支給事業の支給要件の緩和を行うことについてです。
調査の速報を、「長生きするなら北区が一番」専門研究会の検討に活かすとともに、今年度末にまとめる調査結果を来年度の高齢者保健福祉計画の検討に、反映してまいります。
おむつ支給事業等の支援要件の緩和については、優先順位をつけて検討してまいります。 |
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