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2008年11月25日

2008年第4回定例会 個人質問

私は、大きく2点、花川区長に質問いたします。

安定した雇用と人間らしい働き方をめざして

最初に、安定した雇用と人間らしい働き方をめざして、3点うかがいます。

景気悪化を口実にした大企業のリストラをやめさせるよう国に働きかけること

第1は、景気悪化を口実にした大企業によるリストラをやめさせるよう国に働きかけることです。

アメリカ発の金融危機が日本経済にも深刻な影響を及ぼし始めている中、トヨタ5800人、日産1500人など、大企業が相次いで労働者削減計画を発表しています。首を切られるのは、多くが弱い立場におかれた派遣・請負・期間社員です。いすゞにいたっては、契約期間が残っているものも含め1400人の非正規全員の解雇計画を明らかにしました。儲かる時にはボロぞうきんのようにしぼり上げ、景気が悪くなったらさっさと使い捨て――生身の人間を「調整弁」にして恥じない大企業の身勝手さには驚くばかりです。

大幅減益といいながら多くの大企業はなお黒字、トヨタ一社だけでも年間6000億円もの利益を見込んでいます。資本金10億円以上の企業がためこんだ内部留保は合計230兆円にのぼります。多少の儲けが減ったからと、大量の労働者を路頭に迷わせる合理的根拠はありません。労働者の雇用を安定させるため、企業に努力をうながすのは、雇用対策法にしめされた国の責任です。

そこで、区長にうかがいます。

大企業の身勝手なリストラをやめさせるため、国が財界や個別企業に対して強力な指導・監督をおこなうよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。

区の答弁

では、雇用・就労に関するご質問に、順次お答えいたします。

まず、大企業のリストラをやめさせるように、国に働きかけるべき、とのご質問についてです。

現在の金融危機による景気悪化の中、大企業において人員整理などが始まっていることは、承知しております。

この問題については、景気回復が最も重要なことと存じますので、今後も雇用の安定、必要な景気対策の実行について求めてまいります。

生活安定化総合対策事業の充実を

第2に、生活安定化総合対策事業についてうかがいます。

東京都は今年度、新規事業として低所得者を対象に生活の安定と正規雇用に向けた支援をおこなう生活安定化総合対策事業を始めました。そのひとつが、各区市町村に開設された生活安定応援窓口です。ここでは、正社員への就職に向けたサポート、塾の費用や大学受験料の貸し付け事業などがおこなわれます。北区でも赤羽エコー広場館内に窓口が置かれ、8月から相談が開始されました。先の委員会では、開設から1ヵ月間の実績が報告されましたが、来所者が20人、電話によるものも含め相談件数は54件とのことでした。

そこで1つ目に、生活安定応援窓口でのその後の相談件数と、区としてはこの数をどのように評価しているかについてお答え下さい。

区の答弁

次に生活安定化総合対策事業に関するご質問にお答えいたします。

本事業は東京都からの委託により、本年8月から赤羽駅高架下に窓口を設置し、相談業務等を実施しています。

窓口設置後の8月から10月まで3ヵ月間の相談件数は、来所、電話での問い合わせを合わせて延べ212件でした。

ひと月あたりの相談件数は、平均70件程度であり、今後事業内容の周知や、受付要件の緩和等について機械を捉えて、東京都に求めてゆく必要があると考えております。

貧困と格差が広がる下で、潜在的にはこうした支援を必要としている人が、区内にも多数いると思われます。この制度については、まだ始まったばかりであり、周知徹底も必要でしょう。同時に、制度設計の問題として、改善すべき点も多いのではないでしょうか。例えば、わずかな年金収入の親の下で暮らしながら就職できずに困っている子どもの場合、「世帯の生計中心者であること」の要件に合致せず支援が受けられません。都としても近々、こうした問題点については実情に照らして改善する方向だと聞いています。

そこで2つ目に、生活安定応援窓口での対応について、東京都が検討している改善策の内容についてお答え下さい。

区の答弁

次に生活安定化総合対策事業に関して東京都が検討している改善策についてのお尋ねですが、現在東京都は本事業の利用者の拡大を図るために、ご指摘のあった「世帯の生計中心者であること」という要件や、課税所得についての考え方など、対象要件について緩和等を実施する予定です。

詳細につきましては、所管委員会でご報告させていただきます。

この相談窓口では、低所得で家を失い、駅前のネットカフェなどに寝泊りしながら働く、いわゆる「ネットカフェ難民」の相談には応じることができません。住む家はあるが生活するお金がなかったり、子どもを進学させるお金がない、という家庭が対象だからです。住居喪失者の相談・支援をおこなっているのが、生活安定化総合事業のもう一つの柱であるTOKYOチャレンジネットです。この窓口は都内にただ一つしかありません。先日、新宿・歌舞伎町にあるその窓口を訪ね、お話をうかがってきました。

開設以来、半年間で問い合わせは1,800件以上、相談登録者はすでに700人を超えています。厚生労働省は、都内にいる「ネットカフェ難民」はおよそ2,000人と推計していますが、実態にはこれをはるかに上回っていると思われます。どの地域からの相談が多いかを尋ねてみました。住居を失っているため「前夜地」、つまり前の夜に寝泊りした場所で地域を振り分けているそうですが、新宿の20%を筆頭に、池袋、上野、渋谷の順で、北区は9番目、2.8%とのことでした。暮らしや住宅の相談から始まり、生活資金の貸付や就労援助まできめ細やかな支援をおこなっています。面接に着て行く服がない人には、スーツも貸し出しています。週に2回、繁華街を巡回し、アウトリーチ相談もおこなっています。こうした親身な援助で、これまでに100人以上の住居を確保しました。

こうした先駆的なとりくみについて広く周知し、制度を必要としている人が、確実に支援を受けられるようにすることが大切だと感じました。

そこで3つ目に、TOKYOチャレンジネットの活用についてうかがいます。さらに利用しやすくするため窓口を都内各所に増やすこと、3年の実施期間を延長することを東京都に求めるべきと思いますが、いかがですか。また、住居を喪失した不安定就労者の相談については、必要に応じてTOKYOチャレンジネットへの紹介をおこなうよう生活安定応援窓口や福祉事務所との連携を強化して下さい。

以上、区長のあたたかい答弁を求めます。

区の答弁

次にTOKYOチャレンジネットの窓口設置に関するご質問にお答えいたします。

生活安定化総合対策事業も、TOKYOチャレンジネット事業も、様々な環境の下にある方々が、それぞれの条件や希望などに合わせて、生活、就職等に関する相談が出来るよう東京都が、その責任により実施しているものです。

現在、TOKYOチャレンジネット事業により、東京都は、窓口を設置するとともに、担当職員が、インターネットカフェ等に出向いて相談を行う巡回相談なども実施しております。

北区の就労支援対策のさらなる強化を

次に、北区独自の就労支援対策の強化についてうかがいます。

11月5日に、昨年に続いて、若者就職サポートフェスタが開催されました。私も参加させていただきましたが、開会前から数十人の若者が入口に並び、セミナールームにも人があふれるほどの盛況でした。

そこで最初の質問ですが、2年目の実施となった若者就職サポートフェスタについて、区としてはその成果をどのようにお考えになっていますか。また、来年以降の継続的な実施や、さらに充実させるべき内容についてもお示し下さい。

区の答弁

次に、若者就職サポートフェスタに関するご質問についてですが、当日は、13の区内企業の参加をいただき、約150人の来場者がありました。

多くの企業から、実際の会社訪問につながったケースもあったと伺っておりまして、相当な成果があったものと理解しております。

次年度の開催にあたっては、具体的な内容を含め、関係機関で構成する北区雇用問題連絡会議で協議することとなりますが、区といたしましては、今後も継続したいと考えており、その旨を提案してまいります。

就労支援策についての2つ目は、赤羽高架下に移設された「赤羽しごとコーナー」の活用についてです。先日うかがって、お話を聞いたところ、移設後の利用実績は、すべての年代で増えており、シルバー人材センターと併設になったことから、とりわけ60歳代パートの新規登録者が急増しているとのことでした。一方、就職に結びついた件数はほぼ横ばいです。利用者は増えたものの、実際に就職に結びつけるためには、もう一歩ふみこんだ支援策が必要ではないでしょうか。

他区の経験を見ますと、足立区では「あだち若者サポートステーション」、江戸川区では「ヤングほっとワークえどがわ」など、若者をターゲットに就労支援を専門的におこなう施設を立ち上げ、さまざまなサポートをおこなっています。単に仕事を紹介するだけでなく、就職にむけた一歩をふみだそうとする若者たちを励ます能動的な援助が成功している例だと思います。

そこで、「赤羽しごとコーナー」の活用について、以下4点、提案いたします。

1つは、現在「しごとコーナー」で区やハローワークがおこなっている各種セミナーについては、周知徹底につとめ参加枠を広げるとともに、内容をさらに充実させること。

2つは、キャリアカウンセラーや臨床心理士など専門家を配置し、定期的なセミナー以外にも個別相談に応じられるようにすること。

3つは、「しごとコーナー」の待合スペースや集会室を活用して、若者が気軽に立ち寄り交流できる「たまり場」を確保すること。また、このスペースに若者たちが足を運んでみたいと思うような愛称をつけ、北区のホームページや北ケーブルTVでも大々的に紹介や宣伝をすること。

4つは、現在、「しごとコーナー」に閲覧用として常備している東京都発行の「ポケット労働法」を、希望者には配布できるよう一定部数をストックしておくこと。

以上、区長の積極的な答弁を求めるものです。

区の答弁

次に、赤羽しごとコーナーに関するご質問に順次お答えいたします。

各種セミナーにつきましては、これまでも北区ニュースやホームページなどを通じて周知に努めてまいりました。

今後もハローワークと連携を図り、参加枠の拡大や内容の充実に努めるなど、さらに取り組んでまいりたいと存じます。

続きまして、キャリアカウンセラーや臨床心理士を配置しての個別相談を、とのご質問にお答えいたします。

就職に関する個別相談については、これまでもハローワーク王子において実施しているとお聞きしております。

ついては、区としてもハローワーク王子と連携して、個別相談に関する周知に努めてまいります。

なお、ご要望の趣旨は、ハローワーク王子にお伝えいたします。

続きまして、若者向けたまり場の確保に関するご質問ですが、現在の赤羽しごとコーナーは、赤羽開館に設置していたときに比べれば、3倍ほどの広さになっておりますが、来所者数も以前より多く、曜日や時間帯によっては混雑することもあります。

そうした中、待合室の活用は難しいと存じますが、集会室については、ハローワーク王子との間で、現在、協議しているところです。

続きまして、ポケット労働法の配布に関するご質問についてお答えいたします。

既にご案内のとおり、この6月から閲覧用として設置しておりますが、本冊子は東京都が発行しておりますので、東京都に一定部数をご提供いただけるように、要望してまいります。

指定管理者制度の根本的見直しを

大きな2点目の質問は、指定管理者制度の根本的見直しについてです。

破たんが明らかな「構造改革」路線について区の見解を問う

第1の問題として、「経営改革プラン」と「構造改革」路線との関わりについてお聞きします。

区は「経営改革プラン」にもとづいて、今年度までに98施設を指定管理に移し、今後も一路外部化の路線をまい進しようとしています。しかし、「経営改革プラン」の土台であり、その理論的根拠となっている「構造改革」路線は、すでに破たんが明白であります。

小泉自公政権以来の「構造改革」によって、日本はどんな姿になったでしょうか。雇用の行きすぎた規制緩和は、正社員を次々と非正規に置き換え、1000万人を超えるワーキングプアを生み出しました。過度な医療費削減を目的にした医療「構造改革」は、政府ですら「姥捨て山」と認める究極のお年寄りいじめ、後期高齢者医療制度をつくりだしました。いま、これまで「改革」推進の立場にたってきた勢力までもが日雇い派遣の原則禁止、後期医療制度の抜本的見直しを表明せざるを得なくなっていることは、個々の政策の誤りにとどまらず、「構造改革」路線そのものがゆきづまっていることをしめすものです。

「北区経営改革プラン」は、「構造改革」路線の具体化としてつくられました。そのサブタイトルは「夢と希望の実現にむけて」となっています。「構造改革」が貧困と格差を極限にまで広げ、日本の未来を暗闇に投げ込んでしまったいま、経営改革プランがうたう「夢と希望」は空しく響くだけではありませんか。

そこで、おうかがいします。

区長は、「構造改革」路線の破たんについてどうお考えですか。破たんした路線にもとづく「経営改革プラン」は大本から見直すべきだと思いますが、いかがですか。

区の答弁

次に、「構造改革」路線と「経営改革プラン」についてお答えします。

いわゆる構造改革路線、毎年の「経済財政改革の基本方針」等で示された方向性については、国政のあり方そのものにかかわることであり、その評価や検証は、今後の方向も含め、国会において十分議論されるべきものと認識しております。

「北区経営改革プラン」は、低成長経済下にあって、急速に進む少子高齢化に伴う需要が増大する中、基本構想及び基本計画を着実に実現するため必要な資源の調達とともに、今後の社会構造の変化に対応できる持続可能な行財政システムへの改革をめざして策定したものです。

このプランは、区議会や区民のみなさまの協力を得つつ、職員が一丸となって、区民との協働の推進、民間ノウハウの活用、そして資源の重点配分などをめざすものであり、今後とも、基本構想の将来像、「ふるさと北区」の実現をめざし、基本計画の着実な推進に向けて、区民のみなさまとの協働により、必要な経営改革に取り組んでまいりたいと考えています。

「経営改革プラン」の大きな柱となっているのが、「官から民へ」の流れにそった指定管理者制度です。これまで区は、指定管理に移行することで「サービスの向上と経費圧縮」が期待できると繰り返してきました。しかし、この間、私たちが実際に受託した指定管理者を訪ね、実態調査をおこなった結果は、それほど生易しいものではありませんでした。どの施設でも限られた指定管理料のなかで人材の確保や育成に四苦八苦しており、プレッシャーで「身動きがとれない」思いをしていることがわかりました。経費の圧縮は、結果として人件費の削減を余儀なくさせるものであり、公募という「競争」にさらされることによって、切り下げはさらにエスカレートせざるを得ません。この際、指定管理者制度を根本から見直すことで、とめどない人件費削減に歯止めをかけるべきであります。

区長にお尋ねします。

「サービスの向上と経費圧縮」が両立しないばかりか、官製ワーキングプアをつくりだす弊害が明らかな指定管理者制度について、根本的に再検討するつもりはないのですか。はっきりとお答え下さい。

区の答弁

次に、指定管理者制度についてです。

区では、北区経営改革プラン、北区師弟管理者制度ガイドラインに基づき、多様化、複雑化する区民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、平成18年度から順次、公の施設の管理に、指定管理者制度の導入を進めてまいりました。

導入した施設につきましては、サービスの質を検証すべく、区が構築した「モニタリング・評価制度」に基づき、組織的な体制を組み、毎年度、施設への現地調査、指導を行うこととしております。

今後も、施設の設置目的に照らし、それをより効果的に達成できる最も優れた事業主体という観点から、慎重かつ総合的、多角的に検討を行い、導入を判断してまいります。

なお、導入にあたっては、適切な指定管理料の算定に努め、また、労働基準法等関係法令の遵守についても改めて徹底してまいりたいと考えております。

制度導入後、3年目となりましたが、より良い制度として改善すべき点は、他区の事例も研究し、区議会とご相談しながら、改善を重ね、より適切な運営に努めてまいります。

子育て施設の運営については区が責任をもっておこなうべき

指定管理者制度についての第2は、子育て施設の運営に関する問題です。

去る10月31日、都の認証保育所「ハッピースマイル東中野駅前園」を運営する株式会社エムケイグループが、「経営難」を理由に首都圏29の保育施設を一斉に閉鎖するという事態が発生しました。事前に何の説明もなく「閉鎖のお知らせ」という紙切れ一枚で突然の倒産、保護者や保育士もあ然とする出来事でした。信じ難いことに、エムケイグループは、さいたま市と戸田市から得る補助金や施設営業権を担保に多額の借金をしていました。この事実を見逃し認証を与えていた東京都の脇の甘さが指摘されています。株式会社が運営する都の認証保育所については、これまでも職員の架空申請や補助金の不正受給、食材費を浮かせるための激安給食など問題が続出、都自身が認証を取り消す例も生まれています。今回、中野区の例でも、あらためて保育所経営に株式会社の参入を認め、子育て施設を企業のもうけの場にすることの危険性がうきぼりになりました。

一方、重大なことは、厚生労働省が公的責任で保育を保障する現行制度をくつがえし、年内にも「市場化」に道を開く方向に結論を出そうとしていることです。利用者が自治体を通さず直接園と契約を結ぶ方式を導入し、保育所の最低基準を見直し、保育料も園が独自に決定できるようにするなど、国が検討している案は、まさに東京の認証保育所が先取りして行い、先の例のように数々の不祥事のもととなっているものです。保育園など子育て施設には、断じて株式会社の参入を許してはなりません。

ところが、北区の指定管理者公募においても、すでに危険な予兆があらわれています。来年度から移行する十条台児童館については、応募した6法人すべてが株式会社でした。これらの企業を調べて驚きました。その多くが人材派遣会社とタイアップした企業なのです。たとえばAという会社が指定管理をとる。すると、グループ企業や提携会社のBという人材派遣会社が保育士を供給する。別の自治体でA社が新たな保育園を引き受けると、またB社が派遣スタッフを送る。こういう構図が容易にみてとれます。保育の「市場化」を見越してか、このところ保育士の登録型派遣をおこなう企業が急増しています。

十条台児童館に応募した会社のバックについている、ある人材派遣会社のホームページでは、「(保育園は)必要な時に必要なだけ、スタッフが欲しいと言う風に変わってきている」などと公然とうたい、保育士の派遣スタッフを募集しています。また別の会社は「保育のお仕事にも『派遣』があるということを知らない方は、まだまだ多いようです。…派遣なら、朝・夕方だけ働きたい、1週間働きたい、といったご希望に沿った働き方ができます。…お仕事先は優良施設ばかりです」などとふれこんでいます。"働き方はあなた次第"といわんばかりに登録型派遣をバラ色に描き、使い捨ての働かせ方を横行させたあげく、数々の違法行為を繰り返して人材派遣業界から撤退を余儀なくされたグッドウィルの宣伝文句をほうふつとさせるものです。

これら株式会社に無防備に道を開けば、「いくらでも安上がりに人材を確保、儲けるだけ儲け、経営に困ればすぐ撤退」という身勝手な運営が広がることは必至でしょう。こうした企業は「とれるところならどこでも」と、保育園、児童館の指定管理者、都の認証保育所などに雪崩を打つように参入してきています。

保育園にせよ、児童館にせよ、これまで区直営の施設では、ベテラン職員から若手へと経験を継承しながら、子どもの成長を第一に考えた運営がおこなわれてきました。コスト削減先にありきの指定管理者では、人材も育たず、経験も蓄積されず、子育てという大切な営みに、重大な影響を及ぼしかねません。ましてや保育で利益で出そうという株式会社では、その危険はなおさらです。「ワーキングプア保育士」が量産され、保護者など関係者の心配をよそに、職員がくるくると入れ替わるという事態も予想されます。いまこそ子育ての原点にたち返り、区直営の子育て施設については、区が責任をもって運営するという原則をとりもどすことが必要ではないでしょうか。

そこで区長に、質問いたします。

1つは、子育て施設に、営利目的の株式会社の参入は認めないこと。保育園の指定管理者募集に関しては現在の資格要件を将来にわたり緩和せず、児童館については逆に株式会社を排除するよう資格に制限を設けること。

2つは、これまで指定管理に移行した保育園や児童館で、職員が頻繁に入れ替わるなど、子どもに影響を与えるような環境の激変という事例は起きていないか、具体的にお答え下さい。また今後は、当該施設から職員の入れ替わりや待遇の変更などについて定期的に報告を受けるとともに、区民や議会にもその結果を明らかにすること。

3つは、保育の「市場化」に道を開く制度改悪を強行しないよう国に求めること。

4つは、区直営の子育て施設については指定管理者に任せず、区が責任をもって運営をおこなうこと。

以上4点について、区長の積極的な答弁を求め、私の質問とさせていただきます。

ご清聴、ありがとうございました。

区の答弁

次に、子育て施設の指定管理者に、株式会社の参入を認めるべきでないというご質問にお答えいたします。

まず、保育園における取り扱いについては、今後の国の動向や他自治体の状況、運営実績などを見極めた上で、判断していくことが必要であると考えています。

また、児童館につきましては、自由な発想による多様な事業展開を期待して、引き続き、株式会社にも門戸を開いてまいります。

次に、指定管理施設における職員の退職等に係わるご質問にお答えいたします。

保育園では、指定管理に移行した1年目は、退職者が生じやすい傾向がありますが、2年目以降は次第に安定してまいります。

児童館では、結婚、出産等で退職する職員はおりましたが、比較的安定しています。

各々の指定管理者には、職員の採用・退職・人事異動が生じた場合にその都度、区への報告や労働法令を遵守した職員処遇を行うよう求めております。

また、職員の退職等の状況につきましては、必要に応じて議会等にご報告してまいりたいと考えています。

次に、保育の「市場化」を行わないよう国に求めるべきとのご提案につきましては、今後とも国の動向を注視してまいります。

次に、子育て施設への今後の指定管理の導入につきましては、経営改革プランの改定の中でお示ししてまいりますが、指定管理施設につきましても、区立施設として、区が責任を持ってまいります。