2010年6月14日
2010年第2回定例会 代表質問
私は、日本共産党北区議員団を代表し、大きく6点、区長に質問いたします。
「核兵器のない世界」の実現にむけて
最初の質問は、「核兵器のない世界」の実現についてです。
いま世界は、人類の悲願である核兵器廃絶の実現にむけた、新たな局面を迎えています。5月28日に閉幕した核不拡散条約(NPT)再検討会議は、全会一致で採択した最終文書で、国際社会が「核兵器のない世界」の達成のために「必要な枠組みを確立するため」の「特別な取り組み」をおこなうことを確認しました。今回の会議では、活発な討論の中で、核廃絶のための国際交渉に期限を切ってふみだす必要性が、あらためてうきぼりになりました。こうした変化を生みだした力は、国連に提出された600万筆を超える署名など、平和を願う諸国民の声と運動です。日本共産党も、志位和夫委員長を団長とする訪米団を派遣し、NPT再検討会議成功のために力をつくしました。
唯一の被爆国である日本の役割はいっそう重要です。「核兵器のない世界」の実現へ、いまこそ日本から大きな声をあげるべきときです。
そこで、区長に質問いたします。
第1に、核兵器廃絶のための国際交渉の開始を積極的にはたらきかけるよう、日本政府に求めること。
第2に、北区平和都市宣言を「非核」平和都市宣言とすること。これまでの区長のお答えは、現在の宣言にも「非核」の思いはこめられている、というものでした。そうであるならば、核廃絶にむけて世界が具体的に動き出している今だからこそ、「非核」を明記した宣言にするべきではないでしょうか。
第3に、北区として広島・長崎両市がよびかけた平和市長会議に加盟すること。この6月1日現在、国内では全体の41.9%にあたる733自治体が加盟、東京23区でもすでに11区が加盟しています。北区が1日も早く加盟を決断することを、重ねて求めるものです。
お答え下さい。
はじめに「核兵器のない世界」の実現に関するご質問について、順次、お答えします。
まず、核兵器廃絶のための国際交渉の開始を積極的に働きかけるよう、日本政府に求めるべき、というご意見についてです。先日のNPT核拡散防止条約再検討会議では、具体的な措置を盛り込んだ最終文書が10年ぶりに採択されました。これは、4月の米国とロシアの2国間における「新たな戦略核兵器削減条約」の締結に続いて、多国間においても核兵器の脅威に対する削減への歩み寄りが示された証と受け止めています。今後も、様々な形で国際交渉は行われるものと期待をしており、世界の動向を見守っていきたいと思います。
次に、北区平和都市宣言について、非核を明記した宣言にすべき、とのご質問です。北区平和都市宣言は、「非核三原則を堅持することを求め」「世界の恒久平和」を願うと記しており、非核・核廃絶への強い思いが込められた宣言であると考えています。
また、平和市長会議への加盟については、今後、区議会のご意見やご意向をうかがいながら、検討をしてまいります。
国民への約束を守る政治を国に求めること
大きな2点目の質問は、国民への約束を守る政治を国に求めることです。
昨年の政権交代直後から、国民の期待と公約を裏切り続けてきた鳩山内閣は、国民の怒りの声に包囲され、退陣を余儀なくされました。ところが、新しく就任した菅直人首相は、鳩山前首相、小沢前幹事長の辞任をもって、沖縄・米軍普天間問題や「政治とカネ」の問題は解決済みなどという態度をとっています。問われているのは、民主党としての国民への背信行為であり、しかも菅氏は、前政権で副総理という責任ある立場にいた人物です。表紙を変えたからといって、公約違反政治が許されるものではありません。
そこで、以下にのべる諸課題について、新しい政府が、国民に約束したことを誠実に守り、実行するよう区としてはたらきかけることを求めます。
第1に、普天間基地は移設条件をつけず、無条件撤去を求めてアメリカと交渉することです。
鳩山前首相は「国外、最低でも県外」という公約をふみにじって、名護市辺野古沖に新基地をつくり、徳之島や全国に訓練を分散・拡大する最悪の方針を、日米合意という名でおしつけました。私は4月の半ば、「北区議会・憲法9条を守る会」視察団の一員として沖縄を訪れ、地上戦の傷跡と基地被害の実態をこの目で見てきましたが、沖縄県民の怒りの火に油を注ぐ日米合意は、必ず破たんに直面するでしょう。日本共産党の志位委員長は、5月に訪米した際、ワシントンでアメリカ政府代表と会い、「普天間基地は無条件で撤去するべき」と伝えました。日本政府こそ、こうした立場でアメリカと堂々と交渉すべきではないでしょうか。
第2に、東京北社会保険病院は公的病院として存続・拡充させることです。
整理機構による保有期限が目前に迫った東京北社会保険病院が、今の形のままで運営されるよう修正された「地域医療機能推進機構法案」は、今国会最終盤まで予断を許さない状況です。法案の成立を含め、党派を超えた区民の願いである公的病院としての存続、拡充が実現するよう、政府に対し特段の努力を求めて下さい。
第3に、後期高齢者医療制度と障害者自立支援法を廃止することです。
民主党政権は、後期高齢者医療制度の廃止を先延ばしするばかりか、4年後には“姥捨て山”の対象年齢を65歳に広げる改悪さえ計画しています。自立支援法については廃止期限を明記しない「一部改定案」を強行可決、障害者を苦しめてきた同法の「延命」がはかられようとしています。2つの悪法は、きっぱり廃止を求めるべきです。
第4に、労働者派遣法の抜本改正をおこなうことです。
派遣切りなど大企業の横暴に対し、規制強化を求める声と運動が大きく広がっています。しかし、政府が提出した労働者派遣法改定案は、製造業派遣、登録型派遣の原則禁止をうたうものの、8割以上の派遣労働者が例外とされるなど実効性に欠けるものです。「抜け穴」をつくらず、「使い捨て」の働かせ方を許さない抜本改正にふみこむことを求めて下さい。
第5に、消費税増税はおこなわないことです。
民主党は、先の総選挙で4年間は消費税を引き上げないことを公約していました。しかし、菅首相は所信表明演説で、消費税率の引き上げを視野に入れた超党派の「財政健全化検討会議」の設置を呼びかけました。消費税は収入の少ない世帯ほど負担が重くのしかかる最悪の生活破壊税です。約束通り、消費税増税はおこなわないよう、政府に強くはたらきかけて下さい。
以上5点について、区長の前向きな答弁を求めるものです。
次に、2点目のご質問、「国民への約束を守る政治を国に求めること」について、順次、お答えいたします。
まず、普天間基地についてです。今回の日米合意は、日本及びアジア太平洋地域の平和・安全確保への意義を踏まえてなされたもの、と理解しています。菅・新総理もこの合意を踏まえるとともに、沖縄の負担軽減を重視しながら、問題解決に取り組む考えを表明してます。今後も、動向を注視してまいりたいと思います。
次に、東京北社会保険病院は公的病院として存続・拡充をとのご質問にお答えします。東京北社会保険病院につきましては、これまでにも北区をあげて現行の病院体制が引き継がれる形での運営がなされるよう、国に存続の要望をしてきました。今後も、国の動向を引き続き注視し、確実に存続されるよう区議会や医師会ともご相談しながら、全力をあげて取り組んでまいります。
次に、後期高齢者医療制度と障害者自立支援法の廃止について、お答えします。後期高齢者医療制度は、平成24年度の廃止と、新しい高齢者医療制度への移行が決定し、新制度に向けた改革会議もすでに6回行われていますので、引き続きその動向を注視してまいります。また、障害者自立支援法については、現在、その廃止を前提とし、障害者制度改革の推進体制を構築して議論を進めており、今月初めには第1次意見案として「障害者制度改革の推進のための基本的な方向」を出しています。あわせてその動向を注視してまいります。
次に、労働者派遣法の抜本的改正についてお答えします。労働者派遣法の一部改正法案につきましては、現在、国会に上程されています。区としては、政府、国会の今後の動きを見守ってまいりたいと存じます。
消費税につきましては、菅新政権において、今後どのように議論されていくのか、十分注視してまいります。
北区経営改革「新5か年プラン」について
大きな3点目の質問は、北区経営改革「新5か年プラン」についてです。
北区はこの春、2010年度を起点とする長期計画「北区基本計画2010」と、その資源調達などを目的にした「北区経営改革『新5か年プラン』」を策定しました。この「新プラン」は、外部化を基軸としたこれまでの経営改革プランを基本的に引き継ぎ、指定管理者制度や業務委託などをいっそう徹底しようというものです。日本共産党北区議員団は、これまでも行政にさまざまなゆがみを生じさせてきた経営改革プランは撤回すべきと求めてきましたが、今回の「新プラン」にも大きな問題があることを率直に指摘せざるを得ないのであります。
指定管理者制度の導入計画は見直しを
その第1は、指定管理者制度の問題です。
これまで北区は、23区内でも突出した110の施設に指定管理者を導入してきました。その中には、1年目にして職員の大量退職を招いた法人や、さまざまな不祥事を繰り返しコンプライアンスすら投げ捨てた株式会社などもあり、この区議会でたびたび問題となりました。私たちは、指定管理者制度についてはいったん導入を中止して、真剣な検証や総括が必要だと繰り返し求めてきました。ところが今度の「新プラン」では、何事もなかったかのように保育園や児童館、体育施設などに指定管理者を毎年導入してゆく計画となっています。きちんとした総括がなければ、また同じことが繰り返されない保障はありません。
そこで区長にうかがいます。
1つに、これまでの指定管理者導入について、区としてどのような総括をしていますか。
2つに、以前大量退職が問題になった保育園の指定管理者について、その後の運営をどう把握していますか。指定管理を継続することが不適切な事例は起きていないでしょうか。
3つに、問題の再発防止への確固たる保障ができるまで、指定管理者の導入計画は中止・撤回するべきではないでしょうか。
以上、お答え下さい。
次に、これまでの指定管理者制度の総括についてお答えします。
区では、北区経営改革プラン、指定管理者制度ガイドラインに基づき、多様化、複雑化する区民ニーズにより効果的、効率的に対応するため、平成18年度から順次、公の施設の管理に指定管理者制度の導入を進めてまいりました。これまでの導入の成果といたしまして、一定の経費縮減と区民サービスの向上、また、職員の意識改革が図られてきたものと認識しています。一方で、様々なご意見やご指摘をいただく中で、いくつかの課題も生じてきたものと認識しています。こうした課題につきましては、その都度、指定管理者制度ガイドラインの見直しを始めとして改善に努めてまいりました。また、今般策定いたしました「経営改革『新5か年プラン』」においても必要な対応を計画化したところです。制度導入後、5年目となりましたが、今後ともより良い制度として改善すべき点は、他区の事例も研究し、区議会とご相談しながら改善を重ね、より適切な運用に努めてまいります。
次に、指定管理者制度を導入している保育園の運営状況の把握ですが、毎月1回、保育園から報告される「月次モニタリング用報告書」をチェックするとともに、職員が適宜保育園を訪問し、保育や施設の状況を確認しています。また、定例のモニタリング調査の際には、公立保育園の園長経験者も調査に同行し、保育に関する必要な助言を行っています。現時点においては、保育園運営において、指定管理を継続することが不適切と認められる事例は確認しておりません。
次に、指定管理者制度の導入計画は中止・撤回するべきとのご質問ですが、従来からご答弁させていただいているとおり、新規の指定管理者制度の導入につきましては施設の設置目的に照らし、それをより効果的に達成できる最も優れた事業主体という観点から慎重かつ総合的、多角的に検討を行い、状況を踏まえ区議会のご意見をうかがいながら判断してまいりたいと考えております。
新たな経営改革の手法の検討について
経営改革「新プラン」についての第2は、これまでにはなかった新たな外部化や経営改革の手法にふみこもうとしていることです。これらは「新たな公民連携のしくみの構築」というかけ声で、本来、公がになうべき仕事を、民間に丸投げしてしまう危険性をはらむもので、認めることはできません。
具体的にお尋ねします。
1つは、給与事務や戸籍事務、出納事務への外部委託の検討です。これらは区民と職員のプライバシーに関わる部門です。個人情報の漏えいにもつながりかねない外部化はやめるべきです。
2つは、図書館の運営方法です。すべての地区図書館から正規職員を引き上げ、外部委託を拡大するとしていますが、いま必要なのは、どの図書館にも専門性をもった司書を配置することです。ここにこそ区が責任を持つべきではないでしょうか。
3つは、「市場化テスト」の検討です。「市場化テスト」は、「官」と「民」を競わせ、入札によって公共サービスの担い手を決めるというものですが、法律に基づく実施は全国わずか3例しかありません。あけすけな民間開放を求めるやり方は、きっぱりと拒否すべきです。
4つは、受益者負担と有料化です。使用料・手数料、駐車場料金、家庭ごみの有料化などが盛り込まれていますが、さらなる区民負担増はおこなうべきではありません。せめて社会教育関連施設については、無料にするべきではないでしょうか。
お答え下さい。
次に、給与事務や戸籍事務、出納事務への外部委託についてお答えします。新たな区の業務に対する民間活力の活用にあたっては、個人情報などプライバシーにおける適切な取り扱いがなされることが前提だと考えております。今回、計画している業務については、他区における導入事例はもとより、すでに北区においても一部導入済みの業務も含まれております。個人情報などに関する取り扱いについては、今後とも十分留意したうえで、導入を検討してまいりたいと考えています。
また、図書館の運営については、中央、滝野川、赤羽図書館の拠点館から司書資格を持った職員が中心となり、地区図書館の管理運営にあたっております。委託業務についても司書資格者を配置するなど、今後ともサービスの向上に努めてまいります。
次に、市場化テストについてお答えします。ご指摘のように、法に基づく実施事例はわずかですが、法を参考にした自治体独自の制度に基づく導入事例が増えつつあるという実態があります。区民のみなさまに対し、社会的な費用対効果がより高い事業手法により公共サービスを提供することは、自治体に課せられた重要な責務だと認識しております。今後も、市場化テストをはじめ、様々な経営改革手法については検討、研究を重ね、必要な経営改革に取り組んでまいりたいと考えています。
次に、受益者負担と有料化についてお答えします。使用料については、施設など特定の利用者の受益に対する対価であり、施設を使用する方とそうでない方の負担の公平を図る観点から実施しているものです。使用料の額については、施設の維持管理にかかる費用や利用者負担割合の状況などをふまえ、常に見直しを行いながら、社会経済情勢の変化に対応して適正化に努めていく必要があるものと考えています。なお、社会教育関連施設についても、同様の観点から使用料の適正化に努めてまいります。
公契約条例の制定で北区発「官製ワーキングプア」の根絶を
経営改革「新プラン」についての第3は、北区発「官製ワーキングプア」を根絶することです。
指定管理者の導入や外部委託の最大の問題点は、経費削減の矛先が働く職員の給与にむけられ、大幅な人件費削減で、「官製ワーキングプア」を生みだすことです。昨年暮れ、放置自転車の移送・管理業務を受託しながら、2ヵ月も賃金未払いのまま倒産という問題を引き起こした株式会社が、時給わずか770円、実質最低賃金以下で労働者を働かせていたことは、周囲を驚かせました。区は、外部化による経費の削減効果をうたいますが、その裏では、北区発「官製ワーキングプア」が広がっていることを直視する必要があるのではないでしょうか。
そこで、質問いたします。
1つは、指定管理者や業務委託を受託している法人について、区として給与水準を把握し、社会的にみて問題がある水準であれば是正を求めることです。
2つは、千葉県野田市が先駆的に切り開いた「公契約条例」を北区でも早期に制定し、区として最低額以上の賃金支払いをルール化することです。
区長のあたたかい答弁を求めます。
次に、指定管理者や業務委託を受託している法人の給与水準についてお答えします。
指定管理者制度の導入や委託契約などに際しては、働く方々の労働条件が不安定となることがないよう適切な指定管理料や委託料の算定に努めるとともに、募集要項や協定書、仕様書などにおいて労働基準法等関係法令の遵守についての明記を徹底しております。今年度より、指定管理者制度における全庁統一のモニタリング・評価の枠組み中に、新たに外部有識者を加えた体制を整備しましたが、今後とも、労働基準法等関係法令の遵守については、徹底してまいりたいと考えています。
次に、公契約条例については、従来からご答弁させていただいているとおり、関係法令と条例制定権との関係などから、国の法整備が優先すべきものと考えております。
「新プラン」を撤回し、自治体版「構造改革」路線からの脱却をはかること
経営改革「新プラン」についての最後の質問は、「構造改革」路線からの脱却をはかることです。
小泉内閣以来10年間にわたる「構造改革」路線は、人間らしい雇用と社会保障のしくみを壊し、貧困と格差の広がるゆがんだ社会を生み出しました。財界・大企業は、自治体にも「構造改革」を強要し、「官から民へ」の路線を迫ってきました。今や、国でも自治体でも、暮らしを犠牲にして企業を儲けさせる「構造改革」路線は完全に破たんしているといってよいでしょう。
区長、もはや時代遅れとなった自治体版「構造改革」路線と決別し、北区経営改革「新5か年プラン」は撤回するべきだと思いますが、いかがですか。お答え下さい。
次に、「北区経営改革『新5か年プラン』」は撤回すべきとのご質問にお答えします。
「北区経営改革『新5か年プラン』」は、経済危機への対応とともに、「基本計画2010」で定めた施策、事業が持続可能なものとなるよう資源調達はもとより、将来に向けて健全で安定的な行財政運営の確保をめざして策定したものです。政府が打ち出した「新しい公共」の考えや欧米を中心に公共サービスの新たな担い手として「社会的企業」が急成長しているという実態、多くの自治体経営に取り入れられつつある「PPP」(公民連携)の手法など自治体の経営改革の重要性は高まりつつあると認識しております。
今後も社会情勢や他団体の動向など十分ふまえながら、基本構想の将来像、「ふるさと北区」の実現をめざし、基本計画の着実な推進に向けて、区民のみなさまとの協働により、必要な経営改革に取り組んでまいりたいと考えています。
雇用対策・就労支援の充実で人間らしく働ける社会を
大きな4点目の質問は、雇用対策・就労支援の充実について、3点うかがいます。
最低賃金の引き上げと全国一律最賃制を国に求めること
第1は、最低賃金の引き上げと全国一律最賃制を国に求めることです。
5月16日、全国から5200人の働く青年が明治公園に集まり、「全国青年大集会」を開きました。私も、北区の青年といっしょに参加しました。そこであらためて実感したことは、労働者の賃金があまりにも低いということでした。東京の最低賃金は791円、最も低い佐賀、長崎、宮崎、沖縄では629円、全国平均で713円です。果たしてこの賃金で、まともな生活ができるのでしょうか。全国各地で1ヵ月の「最低賃金生活体験」に挑戦した若者のうち、多くが体を壊し、途中でリタイアせざるを得なかったとのことです。
2007年11月の最賃法改正では、最低賃金が生活保護費を下回ることがないよう配慮することが明記されました。しかし、愛媛の労組青年部からの報告では、最低賃金でフルタイム働いたとしても、松山市の生活保護水準には3万5000円も届かないということでした。
日本経済の再生についてまじめに考える財界人も、最賃引き上げを求めています。富士通総研の根津利三郎氏は、自らのブログで「最低賃金引き上げは最大の成長戦略だ」と訴え、賃金の上昇が国内消費を刺激し、ひいてはデフレ傾向を打ち破る答えになると主張しています。また、全国一律で賃金を上げれば、一部の事業者が不利になることもないし、値上げもやりやすくなるだろうとのべています。
そこで区長にうかがいます。
すでに北区議会でも「最低賃金の引き上げを求める意見書」が全会一致で採択されています。あらためて最低賃金の引き上げと全国一律最賃制の実施を国にはたらきかけていただきたいと思いますが、いかがですか。お答え下さい。
次に、雇用対策・就労支援に関するご質問に、順次お答えいたします。
まず、最低賃金の引き上げと全国一律最低賃金制を国に働きかけよ、とのお尋ねについてです。ご質問の通り、意見書の件は承知していますが、国では昨年の秋、緊急雇用対策の一環として、労働界・産業界をはじめ各界のリーダーや有識者による雇用戦略対話を設置して議論を重ね、先日、早期に全国の最低賃金について、一律に800円を確保することと、2020年までに全国平均1000円をめざすことなどの雇用分野の目標をとりまとめたところであります。
区といたしましては、最低賃金等に関して、国において取り組んでいるところでありますので、その動きを見守ってまいりたいと存じます。
区として区民に働く場の提供を
雇用対策・就労支援についての第2は、区として区民に働く場を提供することです。
日本共産党北区議員団は、今年の年頭から「北区民アンケート」にとりくみ、1800人を超える区民のみなさんから回答をいただきました。このうち、雇用について望むことでは、第1位の「正規雇用をふやす」67.2%に続き、第2位が「北区が区民の働く場をつくる」で、59.6%でした。北区では昨年度来、国の基金を活用した緊急雇用対策にとりくんできましたが、その成果と今後のとりくみについてお聞きします。
1つは、昨年度の緊急雇用対策で、どれだけの雇用促進がはかられたのか、実績についてお答え下さい。
2つに、今回の補正で計上しているものや、今後予定しているものも含め、今年度の緊急雇用対策の計画についてお答え下さい。あわせて国の基金の活用枠の状況についてもうかがいます。
3つに、区がハローワークに出す緊急雇用の求人については、北区民を優先して募集することができないでしょうか。
以上、3点についてお答え下さい。
次に、区として区民に働く場の提供をについてお答えいたします。
まず、緊急雇用対策についてです。平成21年度に、基金を活用して新たに雇用した人数は、271人となります。また、本定例会で上程しました補正予算では、4事業で約20人の新規雇用を予定しています。この緊急雇用対策の補助金につきましては、東京都に確認したところ、まだ余裕があるとうかがっています。基金の活用につきましては、今後とも雇用情勢に応じて、適切に対応してまいります。なお、緊急雇用対策の実績につきましては、所管委員会でご報告させていただきます。
次に、区民を優先した緊急雇用の求人についてお答えいたします。国や都の補助金を活用した緊急雇用対策は、景気悪化により離職された区民の方々に雇用機会を提供するものです。このため、区としては、緊急雇用対策の実施にあたっては、区民が優先的に雇用されるよう努めてまいります。
就職サポート事業の充実について
雇用対策・就労支援についての第3は、今年度から開始した新しい就職サポート事業の実施状況と、さらなる充実についてです。
これまでの若者就職サポートフェスタなどに加え、今年度の新規事業として、資格取得支援講座やキャリアカウンセラーによる就職相談がはじまりました。私も繰り返し、この議場から求めてきた施策でもあり、大いに歓迎するものです。
そこで、区長にうかがいます。
1つは、資格取得支援講座と就職相談の事業について、4月からの実施状況や成果についてお答え下さい。
2つに、資格取得支援講座のテキスト代についてです。講座を受ける際、休職中の方に限り受講料は無料ですが、テキスト代は自己負担となります。例えば、パソコン検定3級対策講座は5100円かかりますが、さらに負担を軽減するよう求めます。
3つは、2つの事業について、希望者が多い場合、講座の回数や相談の枠をさらに増やすことが必要だと思いますが、いかがですか。
区長のあたたかい答弁を求めます。
次に、資格取得支援講座と就職相談事業の実施状況について、お答えいたします。
まず、資格取得支援講座についてですが、現在のところ、4月に開講した簿記講座が終了し、今月からはパソコン講座が開講したところであり、非常に多くの方に参加していただいています。また、就職相談事業の4、5月の2ヵ月間の実績としては、計40枠のうち、35枠で相談を受けています。いずれの事業も、多くの方にご利用いただけるように、引き続き取り組んでまいります。
次に、資格取得支援講座のテキスト代の負担軽減に関するご質問にお答えします。今回実施する講座はすべて、民間教育機関が実施する際の受講料に比べて、低廉な受講料を設定した上、さらに求職者については受講料を無料にするなど、手厚い内容になっています。確かにテキスト代は自己負担としていますが、この分は参加者ご自身でご負担いただくことが相応しいと考えています。なお、今回のパソコン講座では、当初の予定よりも安価なテキストに変更したことで、受講者の負担軽減を図ることができましたので、今後も、受講者の負担軽減について配慮してまいります。
次に、これら2つの事業で希望者が多数の場合の対応についてお答えします。現在のところ、簿記講座では定員を超えた申し込みがありましたが、申込者全員を受け入れることとし、パソコン講座では受講できない方が多数出たため、講座の開催回数を大幅に増やすなど、対応したところです。また、就職相談事業については、現在のところ、希望した週もしくはその翌週には、相談できるような状況となっています。いずれの事業につきましても、緊急雇用対策事業として実施しているものでありますので、今後も、可能な限りご要望にお応えするように努めてまいります。
安心して子育てできる北区を
大きな5点目の質問は、安心して子育てできる北区をめざすことについて、3点うかがいます。
保育園の待機児解消にむけて
第1は、保育園の待機児解消についてです。
保育園に入りたくても入れない子どもの増加は、大きな社会問題になっています。北区でも昨年度、保育計画を策定して分園設置などの対策を講じたものの、今年4月には昨年をさらに上回る119人に増えてしまいました。区は、6月補正でも追加の対策を打ち出しましたが、この課題については緊急対策とともに、抜本的な対策にのりだすことが必要です。
その1つは、保育計画における目標事業量の達成期日の見直しです。昨今、待機児童が増加しているのは、「構造改革」路線による貧困と格差の広がりに加え、一昨年来の急激な景気悪化によって、生活のために共働きしなければならない家庭が増えているからです。ところが、保育計画の目標事業量の根拠となっているのは、世界的な金融危機の引き金となったリーマンショック直後、2008年11~12月におこなったアンケート調査です。実際には、調査時の予想をこえる勢いで待機児童は増え続けています。
そこで、区長にお尋ねします。
保育計画で定められた目標事業量について検証するとともに、その達成年度を実際のニーズにふさわしく前倒しすべきだと考えますが、いかがですか。
2つに、認可保育所を増やすための財政措置を国に求めることです。分園や認証保育所の設置は、一時的には有効ですが、区の責任で安定した保育を保障するためには、認可保育所を増やすことが重要です。
そこで、認可保育所建設のための国庫補助金の復活・引き上げ、国有地の無償貸与や低価格での売却をすすめる仕組みづくり、土地取得に対する助成制度の新設などを、国に対し求めてはいかがでしょうか。
3つに、保育環境にかかわる問題です。
民主党政権がすすめている「規制緩和」は、待機児解消を理由に子ども一人あたりの面積基準を引き下げ、さらなるつめこみ保育をおこなおうというもので認めることはできません。「規制緩和」に反対するとともに、非正規保育士の正規化をすすめ、賃金アップ、待遇改善など非正規保育士の労働条件の改善をはかるべきではないでしょうか。
区長の答弁を求めるものです。
次に、保育園の待機児解消についてお答えいたします。
まず、保育計画の目標事業量についてです。保育計画で算出したニーズ量は、平成20年11月に実施しました「次世代育成支援行動計画策定のためのアンケート調査」の結果に基づき、「現在就労していないが、子どもを預けられれば働きたい」という潜在的なニーズも含めた保育ニーズ量となっております。しかしその後の、景気動向の影響により、就労を希望する家庭が増加したことなどのため、急激に保育ニーズ量が増加したと考えております。なお、本定例会の補正予算で提案しました待機児解消に係る追加対策により、事実上、目標整備量の達成年度を前倒しするものと考えております。
次に、認可保育所整備のための財政措置を、国に求めることについてです。地価や賃料の高い特別区においては、認可保育所の整備は財政負担が大きく、民間事業者にとっても参入が困難な状況にあります。国では、「安心子ども基金」を創設し、保育所等の緊急整備事業を展開していますが、補助対象施設や補助率等については十分とはいえません。そのため区では、特別区長会を通じ、国に対して多様な保育需要に応えられるよう特別区の実態に即した財政支援を求めています。なお、ご承知の通り、三位一体改革により、平成16年度から公立保育所の運営費が、平成18年度から整備費が、ともに一般財源化され、公立保育所についての国庫補助はありません。引き続き、特別区の実態に即した財政支援について、国に要望してまいります。
次に、保育施設に係る「規制緩和」については、待機児解消のための保育所整備を進める中で、必要な保育定員の確保に努めてまいります。また、非正規保育士の労働条件の改善については、平成20年度から、育児休業代替の任期つき保育士を採用し、任期つきではありますが、非正規保育士の正規化の道を開いております。
地域の力を生かした子育て応援活動の促進を
子育てについての第2は、地域の力を生かした子育て応援活動の促進です。
今年度から実施となる北区次世代育成支援行動後期計画では、健やかに育ち、育てる地域活動の促進をうたい、取り組みの方向性として「地域の子育てグループへの支援」「地域の子育てグループ・団体等との協働」を掲げています。児童館や育ち愛ほっと館、子ども交流館などで展開している区の事業に加え、区内で活動している子育て支援団体や子育てグループとの協働を広げ、ネットワーク化することは、北区全体の子育て応援活動に、さらに厚みを加えることになると思います。
一つの参考として、今年度から政策提案協働事業として始まった十条の「でんでん保育室」を、先日見学してきました。地域密着で週3日、子どもを預かってもらえるミニ保育ということで、パートで働く人や育児ノイローゼで悩むお母さんにも利用してもらい、好評だと聞きました。昨年から始まったプレーパーク事業もそうですが、北区には優れた民間団体の力があることをあらためて実感いたしました。
ただし、この政策提案協働事業では年間経費のうち、人件費は2分の1までしか使えません。ミニ保育など処遇的な事業では人件費の割合が高くなるため、せっかくの助成金が有効に活用できないとの悩みも聞きました。
そこで、区長にお聞きします。
1つは、区内で活動する子育て支援団体、子育てグループの支援・育成に力を入れ、ネットワーク化する具体的な計画をしめすこと。
2つは、政策提案協働事業については、人件費の上限をとりはらうこと。
以上、2点について、あたたかい答弁を求めます。
次に、地域の力を生かした子育て応援活動の促進についてのご質問に順次お答えします。
まず子育て支援団体、子育てグループの支援・育成とネットワーク化についてです。「北区次世代支援行動計画」(後期計画)では、「子育て家庭を応援する地域づくり」として、地域における子育てネットワークの必要性をあげています。地域の子育て団体やNPOの活動を支援し、協働の体制を構築していくにあたっては、様々な課題もありますが、計画の方向性に沿ってネットワークの育成に取り組んでまいります。
次に、政策提案協働事業についてです。政策提案協働事業は、NPOやボランティア団体等の先駆性、創造性、専門性などを活かし、区との協働によるまちづくりを進めることを目的に実施するものであります。平成20年度から実施しておりますが、当初、人件費の割合が補助額の過半を占める団体が多く見受けられ、選定委員会の中からも将来の自立を考慮した時に、人件費の多くを区の補助金に頼る組織のあり方はいかがなものか、という意見が出され、平成21年度から現在の基準に改めたものです。当面は現在の基準にのっとり、事業を進めてまいりたいと考えております。
受動喫煙の被害から子どもを守るために
子育てについての第3は、受動喫煙の被害から子どもを守ることです。
今年2月25日に、厚労省が各自治体あてに通達を送付しました。これは、健康増進法第25条にもとづく受動喫煙防止対策をさらに強化するよう求めるもので、その具体的な内容の一つが、子どもへの被害を防ぐことであります。自ら煙を回避できない子どもの前で喫煙することは、児童虐待にあたるとの声も聞かれますが、通達では、「多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである」「特に、屋外であっても子どもの利用が想定される公共的な空間では、受動喫煙防止のための配慮が必要である」とのべています。
この通達にそった形で、この2月に北区が、区内すべての児童遊園から灰皿を撤去したことは、きわめて積極的なとりくみでした。これをふまえ、受動喫煙の被害から子どもを守るために、さらにふみこんだ施策が必要と考えます。
区長にお聞きします。
1つは、児童遊園については、灰皿を撤去するだけでなく、全面禁煙にするべきだと思いますが、いかがですか。
2つは、公園についても、子どもが遊ぶ遊具の周辺では禁煙とすべきではないでしょうか。
3つは、すでに全面禁煙とされている赤羽自然観察公園や志茂ゆりの木公園でも喫煙する人の姿が時々見かけられます。こうした公園では、ベンチ周辺に禁煙の立札を目立つように立てること。
以上、お答え下さい。
次に、受動喫煙の被害から子どもを守るためについて順次お答えします。
児童遊園につきましては、すでに灰皿の撤去を完了いたしました。また、公園の児童コーナーに設置されている灰皿については、順次、撤去を進めております。さらに赤羽自然観察公園や志茂ゆりの木公園では、まちづくり協議会などで提案された他人の迷惑になる喫煙を禁止するという公園利用ルールについて、案内板などにより周知を図ってまいりました。今後とも、公園等において、受動喫煙防止を図るための措置に努めてまいります。
赤羽駅南口「ボートピア」(競艇場外券発売場)設置問題について
大きな6点目の質問は、赤羽駅南口「ボートピア」(競艇場外券発売場)設置問題についてです。
5月下旬、赤羽南口駅前にある錦水会館ビルに、公営競技場外券発売所を設置したいとの要請を地元赤羽南自治会が受けていることが伝えられました。5月30日に自治会が開いた第1回説明会では、神田に本社を置く株式会社パオ・コーポレーションが、350人を収容でき、年間360日営業する競艇場外券売場(ボートピア)を設置しようとしていることが明らかにされました。ところが、6月10日の第2回説明会では、元締めであるBOAT RACE振興会との調整不良が露呈、具体的な説明に入らないまま散会し、参加者から不手際を指摘する声が多数寄せられました。
ボートピアを設置するためには、①地元の同意、②当該自治体(北区)の承認、③国土交通省の認可、という手続きが必要となります。とりわけこの地域では、1990年代に中央競馬、地方競馬、川口オートレースと、3つの場外券売場の設置が計画され、いずれもPTA関係者をはじめとする住民の強い反対の前に、断念に追い込まれた経緯があります。こうした教訓もふまえ、区では慎重な判断をおこなうことが求められます。
そこで、区長にうかがいます。
1つは、区として今回の計画についてどう認識しているか、お答え下さい。
2つは、「地元の同意」という場合、当該自治会だけでなく周辺の町会・自治会、商店会、PTAや学校関係者の意見も十分配慮するよう区としてもはたらきかけていただくこと。
3つは、そのためにも、昨年発足した赤羽駅東口地区まちづくり協議会で、ボートピア設置問題を議題として幅広い意見を集約すること。
以上、区長の明快な答弁を求めて、私の質問を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。
次に、ボートピアの設置問題について、お答えいたします。
場外売場の誘致に関して、地元自治会における説明会の開催の動きなどは承知しておりますが、区に対する正式な協議や相談は、受けておりません。今後、地元自治会あるいは事業者等から、開設の方向でのご相談があった場合は、より多くのご意見に配慮していただきたい旨をお伝えするとともに、区としても区議会をはじめ、地域の各種団体の、意見意向の把握に努める所存です。