激増する「架空請求」
だましやおどし…巧妙、悪質化
国民生活センターが業者名公表
消費者から電話かけさせる、などさまざまな新手口ご用心 利用した覚えのない有料アダルトサイトの情報料などを請求する「架空請求」が昨年度から激増し続けています。名簿などをもとに手当たり次第にはがきなどで請求し、だましやおどしで消費者側から電話をかけさせるように仕向けるのが特徴です。国民生活センターは、手口や業者名を紹介するなど、消費者への情報提供を強化し、注意を呼びかけています。
昨年度の相談46万件をこす
国民生活センターや全国各地の消費生活センターに寄せられた利用した覚えのない「 架空請求」にかんする相談は、二〇〇三年度で四十六万件を突破(国民生活センター・全国の消費生活センター集計分)。〇一年度と比べると約二十七倍で(グラフ1)、全相談件数に占める割合も、2・6%から31・8%に増加しています。 |
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性別では男性が70%以上。年代では二十~三十歳代が約三分の二を占め、10代も被害にあっています(グラフ2)。平均請求額は十二万以上と、前年度の六万円台から高額化しています。
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架空請求のはがきなどには、振込先が記入されていないものが大半です。これは昨年、消費者に現金を振り込ませるために悪用されていた銀行口座にたいする利用停止や強制解約が強化されたことによるもの。消費者から連絡するように仕向ける、さまざまな新しい手口が使われ、巧妙化・悪質化しています。
最近の特徴的手口と対策は
特徴的な請求事例と国民生活センターのアドバイスは次のようなものです。
「債権を譲渡された」
典型例の一つは、「有料番組の未納金について運営業者様から債権譲渡を受けた」と請求するものです。よく似た例として「ご利用通信会社様から委託を受けた」「当社が窓口になり和解交渉を行うことになった」というものもあります。
法律上は債務者に無断で債権を譲渡することはできません。「債権譲渡を受けた」と自称する業者が請求してきても、これに応じる必要はありません。
存在しない法令や公的機関の名称を使う
「このハガキは『電子消費者契約民法特例法』上、法務省認可通達書となっております」など、法律や公的機関の名前を使う例もあります。
「○○債権管理機構」「法務省認定○○○(株)」などとしている例もあります。
事例の法律は存在せず、法務省が認定する制度もありません。
法務大臣の許可を得た債権回収業者装う
「当社は特別法に基づき法務大臣から許可された債権回収業者(サービサー)です。このたび、有料サイト代金が未払いということで調査依頼を受けました」などと請求するケースも多発しています。
サービサーが管理回収できる債権の種類は法律で限定されています。有料番組やアダルトサイトなどの利用料金は含まれていないので、これらを請求することはありません。
脅迫的文言を使う
「顧問弁護士と協議の結果、ご本人様よりご連絡・お支払いいただけない場合には信用情報機関へのブラックリスト登録、さらには給料差し押さえという法的措置を執らざるをえなくなります」「やむなく勤務先等にご通知差し上げる場合もございます」「本状到着後三日以内に下記連絡先にご連絡なき場合、ご自宅にうかがう場合もございます」など脅迫的な文言を使うのも常とう手段です。国民生活センターのアドバイス 国民生活センターは、消費者にたいして次のようにアドバイスしています。
▼利用していなければ、支払い義務はありません。脅し文句にひるまず、支払わず放置する。
▼不明・不安な点があった場合は、まず各地の消費生活センターに相談する。
▼相手方がまだ把握していない個人情報(電話番号など)を知られないようにする。電話は絶対しない。
▼今後のために請求のはがきや封書、電子メールなどは保管しておくこと。
▼執ような請求や脅迫的取り立てなどの場合はすぐ警察へ届け出をする。
※架空請求の業者名は、同センターホームページに掲載されています。
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