所得税も消費税も、その多くはサラリーマンが負担する税金です。その両方を増税すれば、サラリーマンにとっては往復ピンクのような、大き過ぎる痛みです。
とくに、所得税の控除というのは事実上、衣食住医という生計費に課税しない役割を果たすものです。これを廃止するのは、いわば「サラリーマンの再生産コスト」に課税することになり、生活の維持を脅かします、)
私が、日銀統計を使って試算したところ、大企業のリストラなどによる大もうけで、国内の企業部門の余剰金(金融資産残高)は04年末に、82兆円という空前のカネ余り状態になっています。
このように能力があるのに法人税をまともに払わない企業が増えている一方、中立公正な法人税のあり方を問わずにサラリーマン増税を強化するのは、税制の信頼を脅かすものです。
(第一生命経済研究所・主席エコノミスト) |