東京の人口あたりの病床数は全国41位、救急車の台数は最下位です。「お産できる病院を増やして」「子どもが急病のとき、夜間診てくれる病院をもっと」と多くの都民が切実に願うなか、自民、公明、民主の「オール与党」は16あった郡立病院を半減する計画を進め、公的医療への責任を放棄しようとしています。
重症者49回照会も救急医療は最悪に
石原知事は「医者はダブついている」と公言し、都立病院への財政支出を1999年度の500億円から2006年度に340億円へ3割以上も減らしました。都立病院の医師給与(06年度)は自治体病院で全国最低に。都立病院全体の医師数(07年度)は定員に対し56人不足し、産婦人科は12人、麻酔科は17人も足りていません。
昨年10月、都立墨東病院を含め8病院で受け入れを断られた妊婦が脳出血で死亡する事態が起きました。墨東病院は慢性的な医師不足から06年11月に新規の正常分べん受け付けを停止。08年7月から士・日曜日、祝日の当直医が一人体制となり急患への対応が困難になったことが背景にあります。
救急医政の実態も深刻です。3月の消防庁の調査によれば、11回以上医療機関に照会しても処置困難などで重症愚者の受け入れに至らなかった例は東京が最多で全国の53%、6481件でした。
同調査で医療機関への照会回数が最も多かったのが、重症の例で49回、妊産婦の例で26回、小児救急の例で30回と、いずれも東京の患者でした。
都議選で自民党は「ストップ、タライ回し」「救急医療や周産期医療の充実」(政策提言)をあげ、民主党は公約で「救急搬送時間47・2分(全国最悪)を30分に短縮します」とうたいます。しかし、どちらも都立病院への財政支出削減に質成してきたことへの反省がありません。
統廃合「高く評価」「まとまっている」
石原知事は都財政の「構造改革」が必要だとして01年、16の都立病院を半分に減らす「都立病院改革マスタープラン」を打ち出し、母子保健院の廃止や4都立病院の公社化を強行しました。
自民、公明の両党はマスタープランを「高く評価し、これに沿って都立病院改革を積極的に進めるべきだ」(02年2月、松本文明議員)、「今後の病院改革の出発点となる」(02年3月、東村邦浩議員)といって推進してきました。
民主党も「やみくもに都立病院改革に反対するものではない」(02年9月、山下太郎議員)、「マスタープランを読み直してみたが、非常によくまとまっている」(04年10月、初鹿明博議員)という立場で、白民、公明とともに廃止や公社化に賛成してきました。
都立病院充実求め統廃合反対の論陣
日本共産党は都立病院の統廃合で地域医療に〝大穴″があくことを繰り返し都議会で取り上げ、都立病院を残して充実させることを要求。梅ケ丘、清瀬、八王子の3小児病院廃止条例に反対しました。
01年12月都議会で清水ひで子議員は、都立病院統廃合に反対の論陣を張る一方、小児医療の危機打開のため開業医の小児医療研修や医師養成の奨学金制度創設などを提案。粘り強く要求し、これらの提憲を実現しました。
都議選に向けて日本共産党は医療政策を発表し、3小児病院の存続や都立病院半減計画の中止、医師や看護師を増やす、政急医療の充実などを求めています。
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