「しんぶん赤旗」日曜版で年金問題連載中 自民・公明政府案「安心」どころか年金破たんへの道
公文昭夫のキーワードで読む
年金講座(2)
改悪で崩壊加速
国民には苦しい生活から、ひとり月1万3300円の国民年金の保険料を払わせながら、当然払っているはずの閣僚たちが、「つい、うっかり」などといって未納者になっていた。
こんなふざけた大臣たちが決めた年金「改革」など、どうして信用できるでしょう。
まずは、年金保険料が払えない、信用できないから払わないという人が年々増えている、制度空洞化の実態を数字でみてみたいと思います。
弟1号被保険者は、02年度末で2206万人います(任意加入を除く)。
このうち、免除者は280万人(うち全額免除者は246万人)となっています。免除者280万人に、学生の納付特例者154万人を合わせると、434万人。たいへんな数といえましょう。
ただ、学生を除いた免除者数は、01年度の376万人から100万人程度減ったことになっています。免除者のうち、役所に申請して免除してもらう「申請免除者」が大幅に減らされたからです。
要するに行政指導を通じて、免除を受けていた100万人の人たちを切り捨てたのです。
おそらく、この人たちの大部分は、表の「未納者」に再編成されたのでしょう。年金受給権を一方的に奪い、無年金者予備軍をつくる手法は人権侵害としかいいようがありません。
いまの国会で、100万人の人たちの実態を、ぜひ明らかにさせる必要があります。
第二の問題は、「未納者・未加入者」の増加です。「未加入者」は、6年間で半分に減ったように見えますが、つまるところ「加入」させて「未納者」になっただけの話と推測できます。未加入、未納者の合計数は、01年度末では390万2千人に達しています。
とくに問題は「未納者」の326万7千人という数字です(社会保険庁調査では64・5%が未納理由に「保険料が高い」をあげている)。
政府の説明では、この人たちは「2年間まったく保険料を払っていない人」。つまり、2年間に1カ月でも保険料を払った人は数に入っていないのです。これでは、未納の実態とはいえません。
そこで政府のいう1年間の「納付率」(保険料を納めるべき月数のうち、納付した月数の割合)で推計してみましょう。
02年度末の1号被保険者の「納付率」は62・8%です。92年の85・7%を境に、どんどん落ちてきています。 |
|
1号被保険者から免除者、学生納付特例を除いた納付対象者数は1836万人。未納者はこのうち37・2%、約683万人です。これが1年間の未納者の数です。
免除者434万人(学生含む)+未納者683万人(推計)+未加入者63万人で計約1180万人。1号被保険者総数の過半数に達する数です。
空洞化は、保険料天引きの厚生年金にも表れています。人減らしや賃下げにより保険料収入が減っているほか、不況を背景に、新しくできた企業の2割が未加入です。
不況のなかで、本来許されないことですが、事業主が「廃業」を装い、事業主負担のない国民年金へ移行せざるを得ない労働者も増えています。
こうした状況のなかで、保険料値上げ、年金額切り下げの改悪案が成立したらどうなるか。まちがいなく、年金破たんへの道をひた走る結果を招くでしょう。
(くもん・てるお 年金実務センター代表)
(つづく)
|