しんぶん「赤旗」2009年1月3日付
早いものですね。志位さん(日本共産党の志位和夫委員長)と新春の対談(「しんぶん赤旗」2008年1月1日付掲載)をしてから1年になります。なかなか話が終わらなくてね…。でも時間をとって、ざっくばらんにお話できて良かったなと思います。経済、資本主義が直面している課題についても、米国発の金融危機という形で、あのとき語りあったことが、いま大きな問題になっています。
この問題にかかわって、私がいま、大きく評価していることは、共産党が志位さんを先頭に全力投球で雇用問題に取り組んでおられることです。大企業に乗り込んでね。
企業だけがあったんでは、資本主義でもなんでもないんです。労働者と企業と両方あって資本主義です。非正規労働で、年収2百万円以下の若い人が多いという状態を、このまま続けていって、資本主義は、日本はもつのでしょうか。
共産党が雇用問題を真正面からとらえ、経済はどうあるべきかを問うていることは大切なことです。非正規雇用の人たちが組合をつくったり、組合に加入しています。労働組合に新しい血が入り出したんですね。08年に始まったいろんな芽は、09年にかなり大きな意味を持つんじゃないですか。
大企業の経営者の中でも、議論になっていると思うんですよ。利益を株主配当に回すのと、人件費に回すのとどちらが企業として安定するのか。増配すれば株価は上がる。しかし、人件費をコストとして低くすればいいのか、人員削減をすればいいのか。そんなことをしたら、〓志位さんが来るぞ〓と(笑い)。私は、大企業の役員会でどんな議論をしているか、直接聞いてみたいと思うんです。
経営者の側も、志位さんに“外需依存を続けるつもりなんですか、内需に転換せざるを得ないんじゃないですか”と言われたら、押しまくられる。“いや、外需しかないんだ”“内需への転換なんて全然考えていない”とは言えないですよ。
内需とは国民の消費力のことです。年収2百万円で、結婚して、子どもを育て、衣食住を、なんてできないですよ。そんな人の使い方をしていいのでしょうか。人間を道具のように、使い捨てていいのでしょうか。 (3面につづく)
しながわ・まさじ 1924年、神戸市生まれ。現在、経済同友会終身幹事、財団法人国際開発センター会長、全国革新懇代表世話人。東京大学法学部卒。日本興亜損保(旧日本火災)社長・会長、経済同友会副代表幹事・専務理事を歴任。著書に『これからの日本の座標軸』『9条がつくる脱アメリカ型国家』『戦争のほんとうの恐さを知る財界人の直言』など。 |