2023. 07. 30
自治体学校in岡山に行ってきました。
7月22日(土)~24日(月)岡山で開催された自治体学校に行ってきました。会場となった岡山市立市民文化ホールからは、こんな景色が見えました。久しぶりに外に出た~という解放感、気持ちはこの風景の様です。
「地方自治と地域 この1年から考える」中山徹(奈良女子大学教授)と「地域の主権を大切に、ミュニシバリズムの広がり」岸本聡子(杉並区長)の講演より
中山先生からは「地方政治が動く条件」として投票率の変化のお話しがありました。
2022年の杉並区長選では、投票率(全体)は32%→37.5%(17.2ポイント増)
男性 31.7%→36.8% 女性 32.3%→38.2% 特徴として、20代と女性の投票率が上がっている。
ちなみに、2021年横浜市長選 投票率(全体)37.2%→49.1%
投票率があがるとはどういうことか
今まで政治、社会に不満を持っていたが、どうしていいか分からない層が投票に行く、政治、社会を変えたいという票が増えること。もしくは、地域を破壊から守りたいという票が増えること。今の政治、社会をおおむね維持したい層は、選挙の重要性を理解しており既に投票している。
地方政治を変える条件は「投票率を上げる」そのための要件
政策:原因がどこにあるのか、どうすれば変えることができるのか。
主体:どのような政治勢力が伸びれば、新たな政策が実行できるのか。
方法:政策と主体を、女性、若者にどう伝えるかのか
継続:幅広い市民運動を継続的に行っているかの4要件
また、まちのことを本気で考える、自治能力が高い市民を育てていく「まちづくりは人づくり」このことも重要というお話がありました。
地域の主権を大切に、ミュニシバリズムの広がり 岸本杉並区長
「ミュ二シスバリズム」とは
選挙による間接民主主義に限定せず、地域に根付いた自治的な民主主義による合意を目指しています。ボトムアップで地域から国政を変えようという運動。その背景には、行き過ぎた市場化・民営化で失った公共財(コモンズ)を取り戻す住民運動があります。
新自由主義が世界を圧巻し、自治体では行革という名の下で行政サービスの民間委託や民営化が進められてきました。欧州では、こうした流れに抗して、地域主権や自治を目指す自治体が現れ、「ミュ二シスバリズム」というコンセプトでつながっている。
日本の自治体ではどのような挑戦ができるのか?
杉並区では、2023年の一斉統一地方選挙の投票率が前回より4.19%上がっている。これは約2万人の人が投票に足を運んだ計算。杉並ドラフト会議(押し候補を探すことのできるサイト)など各候補者が何を主張しているのか、区の課題についてどう考えているのかをわかりやすくし、有権者が立候補者の中に等身大の自分を発見できる工夫、様々な議員候補者による区民主催の合同街宣も行い、普段選挙に行かない人が投票に足を運ぶことになり投票率があがった。政治を動かすには、普段投票に行かない有権者にいかに関心をもってもらい、投票に足を運んでもらうのかが大きなポイントとなっている。
杉並区区議会はどのように変化したのか
女性議員が半数を占め、一人会派も多く当選した。その一方で、自民は16議席から大きく議席を減らし、議会の勢力地図化大きく変化した。また、生活者目線を持っている議員が多くなり、このことは議会質問の上でも、多様性、活性化につながっている。
行革からの脱却へ市民とともに
行革は何をやっても、コスト、すべて民間にお任せすれば、うまくゆくという考え方、民営化は人任せ、実践を積まないと人は変わらない公益のための組織づくりが必要、市場をかえさない経験や技術の蓄積と共有を自治の力でやっていくことが行革からの脱却につながる。そして自治のちからになるのが地域社会と地域住民です。行政との対等なパートナーとしての住民とともに地域社会をつくることが必要。
公共性が高い課題
道路 住宅 脱炭素化社会 ケアワーク
道路は都市空間として人間中心に考える、特に、すべての都市計画に子どもの視点を取り入れることが必要。住宅は、公共性が高いにもかかわらず、もっとも市場化されている分野。公が保障していくことがこれから求められる。
ケアを中心に 元気に地域社会で生きることができる社会、いままでケアワークが一番圧縮されてきた、しかも女性が多く担ってきました労働に見合った賃金を支払う必要がある。脱炭素化を経済の中心にすえ、地域に良質で安定した雇用を生みだす地域社会をが必要。
感想
お二人のお話しを伺っていて、政治を変えることができるんだと実感でき元気がでました。投票率のデーターからその方法が示され、そのことを実践的に取り組んだのが杉並区の事例でした。政治をかえる=投票行動にいかに結びつけていくか、北区においても課題だと思いました。★区政の見えにくさ ★市民のあきらめ感 ここを改善し、払拭することが必要です。
市民が動くことは、仕事などの制約があるなかで本当に大変なことだと思いました。「自分たちのくらしを良くするために自らが動く、声をあげるしかない」こうした同じ思いの皆さんとこれからもつながっていきたいと切に思いました。(ながいともこ)