CEDAW勧告を活かしてジェンダー施策を進める

5月19日、参議院会館にて開催された、女性議員パワーアップ講座を受講しました。

「CEDAW勧告を活かしてジェンダー施策を進める」と題し、浅倉むつ子早稲田大学名誉教授が講演。

浅倉さんは、女性差別撤廃条約実現アクション共同代表、国際女性の地位協会共同代表でもあります。以下、講演要旨の報告です。

女性差別撤廃条約は、正式名称が「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」1979年12月18日、第34回国連総会で採択されました(日本も賛成票)。その条約の特色は、固定化された性別役割分担の変革が掲げられ、議論があったが、ここをかえることなしにはじまらない!と文言にもりこまれたとのこと。

その他(女性に対するあらゆる分野の差別の撤廃、法律上の差別のみならず事実上の平等をめざす、国家による差別だけでなく、個人、団体、企業による差別も撤廃する、社会の慣習・慣行の修正もめざす)

条約における「女性差別」とは何か?

条約1条、1、性に基づく区別、排除、または制限であって、2、いかなる分野においても、3、女性が人権および基本的自由を認識し、享有しまたは行使することを、4、害し又は無効にする効果または目的とするもの。

暴力も差別であり、性役割の強制、慣習上・事実上の差別も含む、間接差別も含む。性自認、性的指向による差別も含む。ただし、「暫定的な特別措置」は差別ではない。

日本では、1985年に条約を批准(72番目の締約国)現在、世界189か国で批准。

そして、今回のテーマである「選択議定書」の批准は、批准すれば「個人通報」が可能となり、女性差別撤廃条約の実効性を強化することにつながるものだが、日本は未だに批准していない。

2019年からは、選択議定書の批准を求める共同行動「女性差別撤廃条約実現アクション」がスタートし、国会議員へのロビーイングだけでなく、地方議会から意見書採択を行う働きかけも行っている。(2025年5月段階で、全国で368議会が意見書採択)

2024年10月、CEDAWによる日本審査が行われ、以下の総括所見が提出されました。

前回2021年以降の肯定的側面では、①再婚禁止期間の廃止。②優生保護法による被害者救済、③刑法改正、④DV法改正、⑤婚姻最低年齢を男女共通に、⑥政治分野雇用者男女共同参画法があげられた。

そして、2年後までに早急に対応しなければならないこととして4つのフォローアップ項目が示されました。①選択的夫婦別姓の導入②暫定的特別措置として、女性の立候補時の300万円の供託金の減額、③緊急避妊を含む安価な現代的避妊手段へのアクセス、④妊娠中絶における配偶者同意条項の削除。

その他にも、選択議定書の批准に対する障害の除去、皇室典範の改正、高齢・障害・マイノリティ女性の司法へのアクセスの確保。専任のジェンダー平等省の設置。国内人権機関の設置、家父長制の撤廃、沖縄の米軍による性的暴力の防止、慰安婦被害者とサバイバーの権利の対処、ジェンダー賃金格差公表義務の拡大、女性の正規雇用の増大、間接差別に関する均等法の改正などが勧告されました。

以上、日本のジェンダー平等社会実現のためには、女性の権利を国際基準にしていくことが必要。

2024年総括所見の特色は、①選択議定書、包括的反差別法の制定、国内人権機関の創設など、人権施策の基本構造が指摘されたこと、②マイノリティ女性への目配りの必要、③性と生殖に関わる健康と権利(SRHR)に焦点。④雇用分野の法改正も重視と言える。

選択議定書の批准は、すべてのジェンダー平等のテーマに共通しているもの、率先して批准すべきであり。地方議会からの意見書採択も重要なアプローチとなる。

お話をうかがい、北区議会では、住民の陳情審査で継続審査となっているので、一日も早く、採択にしたいと感じました。

講演する浅倉むつ子氏

批准しないとはじまらない!国連女性差別撤廃条約「選択議定書」

セミナー参加者の皆さんと

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