見えにくい女性の貧困

 Withyouさいたま(県の男女共同参画センター)で行われた講演会に参加しました。テーマは「見えにくい女性の貧困 どう捉え、どう取り組むか」講師は、立命館大学産業社会学部准教授 丸山里美さん。

 日本の貧困率は15.6%(2015年)、子どもの貧困率も13.9%で高い。貧困線(一人当たりの年収が122万円以下)以下の人の割合が、6人に1人います。

 中でも女性の賃金は低く、非正規雇用が多い。年収で100万円~200万円代に集中している。(男性平均511万円、女性272万円、正規473万円、非正規168万円) 勤労世帯(20~64歳)の単身女性の3人に1人、母子世帯の母の2人に1人は貧困線以下で暮らしていると。

 では、なぜ、女性は貧困なのか?と、丸山さんは問いかけました。

「それは、性別役割分業が社会システムにくみこまれているため。女性は男性(父や夫)がいることが前提とされた、雇用・税・社会保障制度になっている。それゆえに、女性は専業主婦か、低賃金・不安定雇用に就いても問題ないとされてきた。」「 日本の場合、女性の貧困は、世帯の中に隠れてしまうということがわかってきた」と指摘されました。

 例えば、所得が世帯内で平等に分配されていることが前提にならないケースがある。世帯では貧困ではなくても、経済的DV、生活費を渡さない。貯金を勝手に使う。外で働くことを止められる。本人の自由に使えるお金がない。別居・離婚すれば、すぐに貧困になってしまうと。

 こうした女性の貧困の現状に対して、対応する法律や制度、行政サービスなどは、実態とのミスマッチがおこっている課題があり、国の取り組みとしても、2018年7月に「困難な問題をかかえる女性への支援のあり方に関する検討会」を設置し、現在検討中。近く、中間のまとめが出される予定とのこと。

 女性の貧困を改善するために必要な施策として、
・経済的自立が可能な賃金(最低賃金アップ)
・女性が働き続けられる環境整備(育児・介護支援の充実)
・男性方働きモデルの見直し
・社会保障の給付単位・方法の見直し が必要だと提起されました。

 身近な自治体の北区としても、女性の貧困解決にむけ、制度設計をすすめていく必要を改めて感じました。

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