2019.10.18
韓国のジェンダー政策
韓国は2001年に、日本の省にあたる「女性部」(現在は女性家庭部)を設立し、いち早く女性政策に取り組んでおり、昨年の#MeToo運動の高まりの中、2019年に「女性暴力禁止基本法」など9つの関連法案を成立させたとのこと。(スゴイ!!)
韓国の進んでいるジェンダー政策を学ぶ企画がある!と聞き、韓国ソウルでの3日間のスタディツアーに同行しました。
1日目は、ソウル市女性家族支援財団が運営している「ソウル女性プラザ」を理事長さんのご案内で見学、副理事長さんより、「ソウル市のジェンダー平等政策について」以下、お話を伺いました。
現在のソウル市長は3期目。初めてセクハラ事件を弁護した人権弁護士でもあり、ジェンダー平等に理解がある。3つの柱で施策を推進している。
一つは、ジェンダー平等特別市ソウルを掲げ、ジェンダー主流化をすすめる。
2016年に、カンナム事件(20代の女性が、女性を嫌悪する見知らぬ男性から殺害された事件)で、「女性だからおきた」「自分かもしれない」と、女性差別が社会問題となり、#MeTooが大きく拡がった。女子高生のSchool Me Tooや全国から5万人の女性が集まり集会が開催される。ジェンダー主流化のためにジェンダー平等委員会の設置、特別補佐官の配置、ジェンダーモニタリングをスタートさせた。
二つ目は、安心のインフラ構築。
2016年から、夜のガードマンや無人宅配BOXの受け取り、助けを求めて飛び込める「安心守りの家」をつくり、こうしたサービスを、安心アプリで要請できるようにした。
三つ目は、女性関連予算を6倍。管理職を1.5倍に!!
上記の安心事業など、サービスを行うことと雇用創出をあわせ、女性の公共事業としての予算を6倍に、起業者は4倍に。その他、職場で働く母親の育休取得や復帰支援をサポートするファミリー支援センターを4か所設置。性別賃金格差の解消にも着手しました。と、ご説明頂きました。
2002年に開設した「女性プラザ」は、こうしたジェンダー政策を推進する拠点となっている。5階建て、研修室やオープンスペース、食堂、保育室、結婚式場、図書・資料センターの他、性売買被害者の社会復帰を支援する施設などがある。
驚いたことに、来年6月には、隣接する米軍基地跡地を活用し、7階建てのスペースサリウム(過ごし方、生き方という意味)を拡張させるとのこと。その費用は、500億ウオン。日本円で50億円!
「拡張した施設は、家族で集まれる憩いの空間、居場所、宿泊施設をそなえ、ひとつの街のようにつくりたい。女性に特化した団体の育成、事業の拡大をすすめたい」「軍事基地の男性性のシンボルから、女性性のシンボルへ変えていきたい!」と、理事長さんが熱く語ってくれました。