菅政権発足、医療・介護の改悪継承を許すな

 安倍政権の継承をかかげ、発足した菅政権。菅首相は「私がめざす社会像は自助、共助、公助だ」とも語り、コロナ禍の下、苦しい生活を強いられている国民に、なお自己責任をおしつけ、国による支援はあとまわしの姿勢を明らかに。

 16日、厚生労働省は、原則1割となっている75歳以上の医療費窓口負担に、2割負担を設けるなど、負担増、給付削減の具体化に向けた論点を社会保障審議会に示してきた。

 また先立つ10日、小池晃参議院議員が厚生労働省からヒヤリングした際、介護認定で要支援となった方への「介護予防・日常生活支援総合事業」(区市町村の裁量で実施。国が予算の上限をかけており、サービス単価は介護保険給付より低く設定され、サービスの担い手も無資格者でも可能)の対象を、要介護5の方まで拡大し、要介護者の介護保険給付外しを可能にする省令改正が考えられていることも。

 その狙いは要介護者の日常生活を支える訪問介護の「生活援助」を、ヘルパーや介護福祉士といった専門職から、ボランティアや無資格者に置き換え、社会保障費を抑制することではないか。

 すでに昨年、財務省の財政制度審議会では、要介護1・2の訪問介護、通所介護について、総合支援事業へ移行させるよう議論され、そこでも生活援助が強調されている。

 背景に、生活援助に専門性は必要ない。人と人とのかかわりという介護の本質を理解せず、介護を家事の延長程度しか見ていないことがある。

 総合支援事業は、保険給付と同水準の「従前相当」サービスや、基準を緩和して事業者が実施する「A型」サービス、ボランティアなど地域住民主体の「B型」サービスに分かれているが、

 北区でも、ボランティアや一定の研修を受けた生活支援員の確保が十分進まず、サービスの担い手にはなりえないのが現状であり、多くの自治体が「従前相当」サービスが圧倒的(通所は86%、訪問81%)であるように、北区でも「従前相当」サービスが基本となっている。

 介護事業所運営からみれば、要支援者への総合支援事業は単価が低く抑えられる傾向のため、経営圧迫につながってくる。要介護者まで対象を拡大すれば、経営は一層深刻になり、介護従事者の担い手不足に拍車をかけることは容易に想像できることだ。

 生活援助を含めた介護サービスの質を向上させ、介護に携わるヘルパーさんの確保のためにも、「従前相当」サービスについては、介護保険給付にもどし、ヘルパーの処遇改善を抜本的にひきあげることが必要である。

 介護サービスを安上がりに改悪するなど、もっての他なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

これ以前の記事を見る