コロナ禍でのジェンダーにもとづく暴力

 紛争や災害時などの「非常時」には、仕事がなくなったり、収入が減り、生活不安が増大し、女性や子どもへの暴力がむきだしになってくる。

 コロナ禍においても、国連総長が4月「影のパンデミック」と評して、世界中で起きている「女性に対する暴力」への懸念を示し、各国の暴力防止の取り組みを呼びかけた。

 日本でも、女性や子ども達が、いのちの危険に脅かされていると伺える調査結果が報道されている。厚生労働省は8月、全国で自殺した人が1849人。昨年の同月より246人増え、15.3%も増加したと明らかに(地域における自殺基礎資料)

 その自殺者246人のうち、186人(75.6%)は女性であり、昨年比でも女性は、6月に前年を上回り、7月(495人から501人、1.01%)、8月(563人から645人、1.15%)と増加率が高まり、8月は前年464人から650人へと186人増、1.4倍に増えたと。

 男性も8月に、1139人から1199人と1.05%増えたが、3月~7月は昨年比で増加率はマイナスからみると、自殺者が増えているのは主に女性とのこと。

 女性の貧困(非正規雇用、コロナ休業・解雇などによる生活困窮)DVや望まぬ妊娠などが、コロナ禍は男性より、女性の「生」にいっそうの影を落としているのではと考えられる。

 そして、8月の自殺者を性別、年齢別で更にみていくと、自殺者の増加率は、10代が2.1倍、20代が1.4倍と、10~20代で大きくなっている。

 大学生がキャンパスに通えず、自宅でのリモート授業で、4割にうつ症状があるというデータもあり、アルバイトもできず生活できない、授業料も払えるのか等、生活や将来への不安が考えられる。

 性別でみると、10代の女性が昨年10人が40人と、4倍に増えている。女子中学生が4倍、女子高生が7.3倍に激増。

 女子高生の妊娠相談が増えたとの報道がある中、性暴力被害があるのではないか?との懸念がぬぐえない。性暴力被害は魂の殺人と言われる。5感としてのトラウマ、恐怖、身体が凍りつく、安心できる空間が消滅すると言われ、うつ、自傷、自殺の発生率も2.5~8倍(WHO)と言われている。

 若年女性に対しても、若い世代のツールとなっているSNSを介した相談体制を拡げていくことが切実に求められており、コロナ禍で対面での対応が抑制されている中、その重要性が増しているといえる。

 北区の性暴力被害防止、相談、支援の取り組みにもいかしていきたい。

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