介護士確保と処遇改善、介護保険料の負担軽減を

 10月5日は、歳入・特別会計の集中質疑。私は、福祉・衛生費での保育士確保に続き、介護ヘルパーの確保や介護保険料の負担軽減を求めました。

 過日の北区介護保険運営協議会でも、区内で介護ヘルパーの確保がどこでも困難であり、区としての賃金引上げ、処遇改善の取り組みについて、委員の方々から次々と提案がありました。例えば、

「保育士に行っている家賃補助をヘルパーでも実施してはどうか」「介護学生の実習を区内介護施設で積極的に受け入れ、介護士確保につなげては」

「大学や専門学校と連携し、奨学金制度も作って、北区の介護事業所で働いてくれれば返済不要にするなどの仕組みを作っては」等などです。こうした提案を、ぜひ区として検討・実施してほしいと質問。

 北区は「今年度も介護報酬の引上げを要望していく。北区としても、様々な取り組みを検討していく」と、具体的な施策の答弁には至りませんでした。

 私は重ねて、若い世代の方々にも魅力ある仕事、くらしを十分に支えるだけの賃金保障、処遇改善に北区が独自にも取り組むよう求めました。

 さらに、介護ヘルパーの労働環境とケアの質は、介護を受ける人のくらしと人権を守ることにつながる「車の両輪」だが、介護保険改定は事態を悪化させていると指摘。

 2015年の改定で「1回の訪問時間が最低1時間単位だったのが、45分、30分、20分と細切れにされ、時給1600円の身体介護も細切れ支給になり、やりがいも削られた」とのヘルパーさんの声。

 厚生労働省は、訪問介護の移動や待機時間なども労働時間と認めているが、全てを介護報酬で支払えないと回答しており、ヘルパーの労働時間に対する正当な介護報酬、賃金保障になっていない。

 更に、要支援の方の生活援助サービスなどを、自治体の裁量で実施する「介護予防・日常生活総合支援事業」に移行し、北区でも独自に「生活支援員」を制度化。

 昨年も100人受講、就労は16人の実績だが、十分な担い手にはほど遠く、9割前後は、介護給付と同水準の介護事業所が担う「従前相当サービス」が基本になっている。介護事業所から見ると、要支援の方への生活援助サービスは、抑制的な報酬体系であり、経営上は厳しいのが実情と指摘しました。

 そうした中で、国は総合支援事業を要介護1.2へと拡大しよう。その上さらに、要介護5の対象者まで対象を拡げようとの議論が行われているのはとんでもない。国の動きを北区はどうとらえているのか、考えをお聞かせください。

北区は「国は見直しの指針を示している。区としては、区民への介護サービス充実に努めたい」との答弁。

 私は「 介護サービスの充実というが、国の方針では困難だ。生活援助を含めた介護サービスの質を向上させ、「従前相当」サービスについては、介護保険給付にもどし、ヘルパーの処遇改善を抜本的にひきあげることが必要だ。介護サービスを安あがりに改悪するなどもっても他であり、国に意見を述べるよう求める」と重ねて強調しました。

 最後に、介護保険料について、介護保険運営、目標と実績の乖離問題について質問。

 第6期の介護保険運営では、計画と実績の乖離が3年間で約44億円。今期第7期では、H30年度は19.4億円、令和元年度は32.6億円と、2年間ですでに52億円の乖離がでており、第6期の3年間分をすでに大きく超えている。

 令和2年度は、コロナ禍でサービス抑制の影響が考えられる。今年度の介護サービスの実施状況と今年度の乖離額の見通しを質問。

北区は「乖離が年々、大きくなる傾向。給付実績は、H30年度が92、8%、R元年度は88.9%、今年度は85%程度のみこみ」と答えました。

 私は「昨年度より、さらに低い利用率となると今年度も30億円以上の乖離額がでて、3年間で80億円を超えるのは必至の状況だ。介護保険料については、第7期の基準額73380円で、第6期65260円より、8130円も値上げとなったが、結果として保険料を値上げする必要があったのか、取り過ぎではないかということになる。第8期の計画改定にむけて、十分精査し、準備基金も活用して保険料を値上げしないよう求めるがどうか。」と質問。

北区は「前回も準備基金を活用し保険料を抑えたが、来期に向けても準備基金を活用し、十分検討してていく」と答えました。

北区介護保険事業報告より
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