2019年度決算に対する態度表明

 10月5日、北区議会決算特別委員会最終日、2019年度の決算認定に対する会派の態度表明を福島宏紀委員が、以下の内容で行いました。

 本決算審査では、新型コロナウイルス感染拡大という危機の中で、あらためて区政運営のあり方が問われました。

 会派が議論の前提にすえた柱の1つは、183億円に積みあがった財政調整基金を活用し、コロナ対策や区民のくらし・営業への支援を行うことです。区も引き続き、「財調基金を積極的に活用していく」との姿勢を示しました。

 2つは、特別区交付金の減収など、今後、区財政への大きな影響が予想される中、不要不急の事業は大胆に見直しを行うことです。数十億円規模の財源を要する市街地再開発事業はその典型であり、赤羽での第2、第3地区の計画はいったん立ち止まるべきです。

 3つは、経営改革プランなど「行革」路線の推進により、窮地に陥っている区民や事業者に新たな負担を求めるべきではないことです。区が、現下の社会経済状況や区民生活の実態をふまえ、今年度の利用料・手数料見直しの検討を中止したことは、適切な判断に立ったものです。

 こうした議論から昨年度の予算執行を振り返ると、子ども・子育て、高齢者、防災、地域公共交通などの施策で、区民要望に資する積極的な事業は見られたものの、以下3点の改善について強く求め反対理由と致します

 第1は、高まった財政対応力が、区民のくらしを応援するために、十分活用されていないこと。

 昨年度末の基金残高は、主要5基金で620億円、財政調整基金で183億円と、いずれも過去最高に。猛暑・酷暑で命の危機にさらされている区民へのエアコン設置助成など、機動的な財政出動が求められたが、結果的に基金を積み増すことになった。

 第2は、まちづくりにおいて、駅前市街地再開発や大型道路計画などの事業を、東京都と共に、住民合意のないまま推し進めたこと。

 十条の鉄道付属街路や赤羽一丁目市街地再開発事業では、地権者やテナント、周辺住民に十分な説明をつくなないまま都市計画決定を急ぎ、住民訴訟が起きている4つのまちづくり事業から教訓を学んでいない姿勢が明らか。大型開発ではなく、修復型のまちづくりに転換すべきです。

 第3は、人口が増加しているにもかかわらず、「経営改革」の名のもとに、区民に必要な施設を削減してきたこと。

 区民事務所の7分室の全廃は、重大なサービス切り捨てとなり、小学校の統廃合や児童館の再編・縮小は、切実に求められている少人数学級の実現にも逆行するものでした。

 次に特別会計ですが、国民健康保険会計は、生活保護基準程度の方にも、払いたくても払えない保険料の引き上げ等の理由から反対。後期高齢者医療会計は、特別措置を廃止したことによる保険料の値上げなどから反対します。

 介護保険会計と中小企業従業員退職金等共済事業会計には賛成します。

 なお、最後に質疑を通じ、以下の点を強く要望します。

1、少人数学級の実現。2、PCR検査は、9月15日の国の通知や東京都の拡充をふまえ対応すること。また、保育園、幼稚園、小中学校など、子どもにかかわる検査の拡充。3、リフォーム助成の拡充と緊急融資の期間延長など中小企業支援。4、制度のはざまで各種給付金、支援金を受け取れない事業者への独自支援。5、困難を抱えた区民へのアウトリーチと相談活動の支援強化。6、大規模水害避難行動の具体化やCO2排出実質ゼロなど気候変動の取り組み。以上です。

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