DV被害者支援の課題

全国シェルターネットオンライン学習会を視聴しました。

 日本のDV被害者支援は、1990年代から、主に当事者や支援者を中心とした民間団体が、マンションや民家を活用して、無償ボランティアなどで切り開いてきた経緯がある。

 その取り組みとノウハウの蓄積を、シェルターネット共同代表、スペースおんの山崎菊乃さんより報告頂いた。

 まずは相談活動。子どもへの影響も含め、相談者の気持ちの整理、意思決定をよりそい援助していく。重要なのは、DVを加えている加害者の危険度を見極めること。警察、司法、行政、医療、児相、福祉機関などと連携し、自立に向けての支援計画をたて援助していく。

 2001年にDV防止法が制定され、法的にも対策、支援が実施されているが、日本の支援の大半は、配偶者暴力相談支援センターを窓口とし、その中心は、全国の都道府県にある婦人相談所となっている。

 この機関は、もともと売春防止法にもとづいて設置されたものであり、公的シェルターも携帯や外出が禁止され、その後の婦人保護施設へも措置入所となり、クローズな対応がベースである。

 そうした背景もあり、市区町村や民間の支援員との関係が切れてしまう。児童相談所などとの連携も課題、若年女性の利用には向いていない、男性やトランスジェンダーには対応できないなど、様々な点で課題が生じている。

 2019年10月に、厚生労働省が学識経験者や公的支援機関、民間支援団体の参加者を得て設置した「困難を抱える女性支援のあり方検討会中間のまとめ」では、上記の課題に対応する方向が一定示されたところであり、その具体化が強く望まれる。

 

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