生理が来ない?妊娠したかも?妊娠葛藤相談

 出産議員ネットワークのオンライン勉強会にて、妊娠葛藤相談事業を行っているピッコラーレの中島かおり代表のお話をお聞きしました。

 冒頭に「妊娠は、身体も心もまわりとの関係、家族やパートナーなど、変化が大きい。それに対応しなければならないが、対応できる社会資本をもっているか、いないかで違ってくる。ない場合は大きな困りごとになってしまう」

「妊娠は一人ではできないが、ともすれば妊婦が一人で担わなければならない理不尽な状況がある。全国のニュースでも、一人で抱えて誰にも相談できず、生まれた子どもを遺棄して犯罪者になってしまう例があとをたたない」と。

 日本では、生まれてその日になくなってしまう子どもが、2018年は52人。虐待死として扱われるこうした状況が16年間、減らせていない国。0ヵ月0日の死亡とはどんな背景かー母子手帳未交付、医療機関未受診、出産も医療機関ではないところでなされている。そうした状況をなくし、変えていく具体策はまだこれから。

 子どもの虐待予防のために、妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援がすすめられているが、母子手帳が交付される以前の早い段階からの相談、対応が求められている。

 ピッコラーレの妊娠葛藤相談実績では、

・6割は誰にも相談していない。2割は家族に相談できたがどうしたらよいかわからない・年齢は10代が51%、10~20代は70%・生理が遅れている、妊娠したかもしれない。個別にも性教育が必要。・困難を抱える若年女性の背景に、貧困・虐待・ネグレクト・家に居場所がない。・SNSで知り合った男性のところに身をよせる。ネットカフェですごしている。・自己決定できるお金や情報がない。包括的性教育が不足している。孤立している。

 そんな居場所がない妊婦の相談を受けた時に、つなぎ先がないのが現状。今は、売春防止法やDV防止法などを根拠法とする施設や民間シェルターに頼らざるを得ない。特定妊婦についても、子どもを虐待防止の観点から、児童福祉法に位置づいている。最初から、妊婦の相談、女性の安心・安全を支えるいう視点での法的位置づけがない。

 そこで、ピッコラーレとして、子ども食堂を行なっている法人とコラボし、豊島区の空き家利活用事業をいかして、妊婦のための居場所「ぴさら」を開設した。・スティ事業 ・デイ ・食事・生活支援 ・保健室など

<こうした活動を通じての拡充してほしい政策>

要望1、避妊・中絶、妊娠診断、妊産婦健診、出産費用の無料化

 SDGS3 ユニバーサルヘルスカバレッジ 日本は皆保険だが唯一除外されているのは生殖、全ての人が健康・福祉を財政リスクなくアクセスできる。

 ドイツには、妊娠葛藤法あり、4万人に1人の相談が補償されている。内密法にもとづき、匿名で病院にも受診できる。日本ではとても大変と話したら、「何で?10代は社会に守られているんじゃないの?」との返答だった。ドイツ、10代は、緊急避妊薬は薬局で買えて無料。日本はなにもない。

要望2、誰もが性・妊娠に関する情報を得ることができる環境の整備

 行政情報もまったく不十分。「社会にあなたを守る仕組みがあるよ」とのメッセージになる。出産する人だけでなく、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ)性と生殖に関する健康と権利の観点で

要望3、国際セクシュアリティ教育ガイダンスの推進

 基本的人権、科学的根拠にもとづく、ひとりひとりのウエルビーイングをめざした包括的性教育

要望4、SRHRを補償する法律が日本はないので整備

要望5、よって予算も拡充を 

 妊娠葛藤相談事業 専門職でもあり高いスキルが求められている、時給2000円以上は必要。様々なレイヤーの居場所も必要。

 お話を聞きながら、日本の女性は、性的自己決定権や生殖にかかわり、安心して生きる環境があまりに未整備であることを改めて認識しました。コロナ前はそれでも必死で自己責任で何とかやってきたが、コロナ禍で仕事もできなくなり、経済的にも、住むところさえも不安定になり、いよいよ一人では、何ともできなくなってきた状況がある。

 民間の皆さんが、行政が足りないところを、自ら作り出して支援に取り組んで頂いている。このような取り組みと行政が連携をして、必要、十分な財政補助をおこないながら、公的責任を果たしてゆかなければばらないと感じました。

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