第65回自治体学校 IN岡山

7月22日~24日まで、晴れの国岡山で開催された第65回自治体学校に参加しました。

22日の初日は、岡山市立市民文化ホールを会場に2つの記念講演が行われました。

1つは「地方自治と地域 この1年から考える」と題し、自治体問題研究所理事長中山徹さん(奈良女子大学教授)が以下の要旨でお話しました。

昨年12月に改訂された安保3文書の目的は安保法制の実質化であり、敵基地攻撃能力の保持、防衛費予算を対GDP1%から2%へと倍増、5年間で43兆円。また台湾有事を想定し、自衛隊基地の強靭化をすすめる等、地域の平和と安全が脅かされている。日本がアメリカの世界戦略に組み込まれ、新たな経済戦略として、デジタル化、AIの課題。その中に自治体が大きく巻き込まれていく。

一方、災害に脆弱な地域。30年の間に、南海トラフの大地震や首都直下型地震が予測され、国民生活は不安定化。実質賃金が30年来上がっていないのは、国際的には日本だけ。大企業と中小企業、くらしの格差はひらくばかり。

出生数の低下も深刻。団塊の世代は250万人。ジュニア200万人。今、77万人。子どもを産み育てたいけど育てられない社会。2020年30代女性は1400万人。2050年には1000万人になってしまう。ここ数年がラストチャンスとも言われている。

雇用、賃金引き上げ、地域経済の活性化のために、社会保障の経済効果は非常に大きい。地方政治から変化を起こそう。

この間の地方選挙の結果、例えば杉並区長選挙。10~30代の若い世代や、女性の投票率がアップで議会構成や景色が変わった。地方において、まちづくりは人づくり。自治能力のある市民や地域に関心を持ち、地域を良くしよう共同できる人を育成することや、まちづくりの市民参加をすすめることは、自治体にとってもっとも重要な仕事である。と強調しました。

もう1つは、岸本聡子杉並区長による「地域の主権を大切に ミュニシパリズムとは公共の再生、地方自治、地方再生についてお話しました。(以下要旨)

地方自治を変える戦略は若者と女性。杉並区長選挙に続き、区議選挙では大きなビジョン7つの政策合意で自分の立場を明確にして19名と協定を結んだ。

選挙の結果。定数48人中、女性は24人。パリテになった。全国で4つの1つに。投票率は43.6%前回より4.19ポイントアップ。人口57万人で2万人増。新人15人31%、現職か12人落選。上位4人が全て女性。上位10人のうち9名は女性。30代の女性も多い。等身大の女性。ふつうの生活者としての声や要求が議会で語られる。

区長自身も、19ヵ所の駅頭で1人街頭宣伝。投票率アップで行動。区長選、総選挙、区議選と3つの選挙をくぐり抜け新しい景色をみようと取り組んできた。

投票率を1%あげることはとても大変。しかし、政治を世の中を変えたい。生きずらい、キャリアを築けない若者や女性がもっと声をあげ、アクションする。

国はなかなか変わらない、構造的な課題がある中で、地域でどのような変化を起こしていけるか。地域主権という希望 公共の役割をとりもどす。

税金の使い方を民主的に決めていく。営利の論理で支配されない。公共はcommon。誰のものでもない。みんなのもの。例えば、広場、道、図書館、ケアも(赤ちゃんからお年寄りまで必要なケアするされる)これまでの政治は、これをいかに市場化していくかーという流れだったものを、潮流をどう変えていくか。

その要は、1.運動、2.地方政治、3.地域の実相

1では、国際的にみても民衆、労働者、女性、持たざるもの達の運動が潮流(2008年リーマンショック、2011年のアラブの春、ウォール街99%、スペインなど怒れるもの達、2017年MeToo運動、2018年の気候ストライキFOF、2020年BLMブラックリーブズマター、2022年ウクライナ戦争、2023年労働者、教師、看護師、鉄道の大ストライキ仏、英、オランダ、ベルギー、2023年ハリウッド、アマゾン労働争議など)潮流を作り出す1人としての勇気を持とう。

2では、地方政治の権力をとる。環境、社会的公正、参加型民主主義ー国、政府や大きな権力に物申す、恐れぬ自治体に。スペインでは、市民プラットフォーム、フランスでは市民コレクティブで選挙をたたかっている。

自治体職員は、地域社会に出て、住民と共に地域を作っていくことが仕事。しかし、行革の20年で正規が非正規にされ、行政はコストとみまれ、民間にやってもらえばいいといわれてきた。人は実践を通じてでしか変われない。ストリートの政治、行政との距離を縮めていくことが必要。

ミニシュパリズムは、現在進行形の新しい社会運動。日々成長している。地域に根ざした自主的、民主主義、合意形成を重視する。身の丈の経済をやっていこう。

ケアワークを通じて、地域の事業を通じて実質経済を中心に、良質な雇用をつくっていく。気候変動にとりくんでいくことを政治の最優先にしたい。昭和の利益誘導を変えていく。今や命や生活を脅かす気候危機。学校よ断熱する進んでいない。区民施設も。自治体、地域をあげて断熱をし、水光熱費を抑え、CO2排出を減らしていく。地元の企業の雇用、仕事おこしとなるように。

バルセロナコモンズの8年間の取り組み。

1、フェミナイゼーション 国として始めてフェミニズム、LGBTQの担当部を設置。女性への暴力に対応する公的サービスを提供。

2、よりグリーンな都市計画モデル 土地利用のトランスフォーメーション、子どもを中心に。緑、自転車。

3、産業 4、健康、ケア、子育て

5、住宅、25条生存権を保障する土台。家賃が高すぎることにもっと向き合う。公営住宅をつくる。本来住宅は、もっとも公共性が高いのに、資本主義社会の中で金融化されている。

7、街を子どもの視点で、すべての都市計画を子どものウェルヴイーングの視点で変えていこう、

地域経済の民主化、脱炭素化、ゼロカーボンを中心に新しい経済を考えるべき。ケア中心社会を構想すること。新自由主義の中で、ケアに関する部分、従事者の賃金や待遇も一番抑圧されている。担っているのは大半が女性。

脱炭素社会、ケア中心に、税金と賃金が働いている人にまわっていくように。ケア中心とする社会を、民営化、市場化、私有化から、地域化、社会化し、自治の力で市民と行政が同等のバートナーとして、共に作っていこうと呼びかけました。

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