子ども・若者の生きづらさを支える性教育

5月19日(日)埼玉大学を会場に行われた包括的性教育セミナー(子ども・若者の生きづらさを支える性教育)を受講しました。

講師の金子由美子さんは、ご自身が所長である「さいたま市若者自立支援ルーム」で接している若者の現状と支援の必要性について、また、具体的な実践を、臨床心理士の新藤さんが報告しました。

同支援ルームは、概ね15歳から39歳までの若者を対象に、安心できる居場所の提供や社会的な体験活動を行い、生きづらさを抱えた若者の個別支援、セーフコミュニティを創る場所です。

金子氏は、そこに通う若者は、経済的貧困、目前DV、ネグレクト、虐待など、子ども期を健康に生きる権利や発達が保障されなかった方が多く、不登校、アルバイトや就労も難しい。発達障害の可能性もあるが診断を受けたことがない。母親からの教育虐待により「女はうるさい、女はダメ」とジェンダーバイアスを持っている若者もいる。

日本社会では、そうした生きづらさを抱えた思春期の子ども・若者へのアプローチが希薄であり、学校では性加害・性被害にあわないよう命の安全教育も始まっているが、不登校やひきこもり等により機会がえられない。学校を卒業してからは、その機会がないという子ども・若者に、心とからだの学びを保障することは重要と強調しました。

新藤氏は、色々な悩みの根っこにはジェンダー課題があるとして、同支援ルームで実践している「からだと性」や「多様性」、デートDVや暴力についての学習や、結婚についてどう思うかの話し合い、ルーム女子会と称し、おすすめナプキンのプレゼンをする等にとりくみ、参加者の変化や成長の様子を紹介しました。

講座を受講して、包括的性教育は学校教育と共に、学校外での取り組みとあわせて、子ども・若者のすべての生活の場で展開される必要性を痛感しました。自治体の取り組みも充実するよう働きかけたい。

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