気候危機とグリーンインフラ

 8月1日、衆議院第1会館にて、気候危機・自治体議員の会2024夏の「気候危機セミナー」が開催され聴講しました。

「気候危機とグリーンインフラ」と題し、熊本県立大学特別教授 島谷幸宏氏が講演。

 島谷教授は冒頭に、地球の気温はこれからどうなるのか?と問いかけ、国土交通省の気候変動のシナリオでは、21世紀末、2℃上昇時には、降雨量は約1.1倍、流量は約1.2倍、洪水発生頻度は約2倍になり、仮に何も対策せず4℃上昇した際は、洪水発生頻度は約4倍となって対処が難しくなると言明。

 その洪水被害などの対策のために、今、国際的に取り組まれている潮流は、都市化によって失われた自然の防災機能の回復、自然環境が有する多様な機能を活用して治水をすすめ、持続可能で魅力ある国土や地域づくりを進める「グリーンインフラ」となっている。

 例えば、森林は降雨の10~20%を地面に透過させ土砂の流れを減らし、洪水を防ぎ、水質を浄化することから、ロンドンやニューヨークでは、道路の考え方を車両から人間中心に切り替え、緑を増やし、都市の緑化を促進しています。こうした取り組みで、ニューヨークでは2030年までに、水を通さない不透水舗装面積の10%にあたる地表面の流出を削減する目標である。

 また、イギリスでは、持続可能な排水という考え方で、雨水をできるだけ下水に入れないため、「雨庭」という水をためるところをつくり、ゆっくりと地中に浸透、雨水と汚水の分離をはかり、流出抑制をすすめていると紹介し、熊本県内で実践している高校や中学校、個人宅での雨庭づくりを紹介しました。

 国土交通省も、R5年9月にグリーンインフラ推進戦略2023をとりまとめ、自然災害の激甚化、頻発化への対応として、2021年に、流域全体であらゆる関係者が協働して水災害対策を行う「流域治水」を推進するための流域治水関連法を制定。その推進にあたっては、グリーンインフラの考え方をとりいれるとしています。

北区のまちづくりにもその視点を取り入れて対応すべきと感じました。

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