認知症フレンドリーなまちづくり

 2018年から福岡市で実践されている「認知症フレンドリーシティ」の取り組みを聴講する機会があり、認知症の方へのケアに長くかかわってこられた方のお話もうかがうことができました。

 その方は、昔は施設やグループホームに入所している人が(家に)帰りたいという気持ちで、大声を出したり、暴れてしまたりするのを問題行動とみていた。

 しかし、認知症は記憶や実行機能に障害をきたす、日常生活に支障をきたす状態であることを考えれば、当事者の方ができるだけ混乱がないように周囲の環境や人の対応が変わっていくこと(わかりやすさ、話しかけやすさ、覚えやすさ、見やすさ、聞き取りやすさ、親しみやすさ、使いやすさ、触れやすさなど)で、当事者の混乱は大きく軽減させる。共に地域で暮らしていくことができるのではないかと考えるようになったーとの言葉がとても印象的でした。

 福岡市では2018年から、「認知症フレンドリーシティ・プロジェクト」に取り組まれています。その内容は、市民が認知症に関心をもってもらうーユマニチュード、認知症の方にやさしいデザインでまちづくりをすすめる、オレンジパートナーズ、オレンジバンクなど当事者とともに理解を深め関わる人や企業を増やしていくことです。企業の方には、認知症にやさしい商品開発にも取り組んでもらい、その過程に当事者にも関わってもらうことを位置づけていると。

 昨年2023年9月には、認知症フレンドリーセンターも開設し、1、認知症当事者の活躍の場をつくり、2、当事者との交流、3、ユマニチュードを学ぶ、体験する、4、情報を発信していくことをすすめる拠点ができました。

 認知症のネガティブな印象から自分に自信がもてない。認知症になりたくないという方は多いが、認知症の方を保護の対象と捉えるのではなく、経験の専門家として、当事者から学ぶ。認知症多数派社会に備えていく。ゆるやかな、寛容な社会でOKに。(エラーや失敗をとがめない)当事者が輝く姿、価値を共有し、自己肯定、自己実現をはかることをめざしたいとのお話に感銘を受けました。

 80代半ばになれば、約半数の方は認知症になると言われています。自分も認知症になるのがあたり前という覚悟、認識をもって、地域で共に生活できる体制や社会を築いていくことが必要だと感じました。

TOP – 福岡市の認知症フレンドリーセンター公式ホームページです。 (fukuoka.lg.jp)

 

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